弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

お坊さんが労働組合を結成!?-賃金交渉を行う目的で

2006年02月13日 | 法律情報
お坊さんのみで労働組合を結成したわけではないようですが、あるお坊さんが労働組合に加入し(おそらくユニオン系)、何人か集めて分会を作ったとのことです。

ちなみに、プロ野球のストライキ問題の時によく間違って報道されていましたが、労働基準法上の「労働者」と、労働組合法上の「労働者」とは意味が異なります。
ざっと説明すると、
・労働基準法=使用者の指揮監督下で労働し、賃金を得る者
・労働組合法=賃金収入で生活する者
です。
つまり、労働基準法上の労働者は、「指揮監督」という要件がありますが、労働組合法では、その様な要件がないということです。
このため、プロ野球選手は、指揮監督下におかれない(チームプレーですので、監督の指示には従いますが、法律上の指揮監督とは別物でしょう)独立の事業者であるため、労働組合法上の労働者として労働組合を結成することができることになります。

今回問題となっている「お坊さん(=僧侶)」は、どのような実体になっているのか分かりませんが、賃金収入を得ていますので、労働組合を結成すること自体は問題ないと思われます。

ただ、何となく、お坊さんが労働運動しているというイメージがわきにくいのも事実ですね。



関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060211-00000004-yom-soci

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住友信託vs旧UFJの訴訟、住友信託が敗訴!

2006年02月13日 | その他
世間を騒がせた、最後の!?金融機関の大統合と言われた住友信託、UFJ、東京三菱に関する訴訟の件ですが、東京地裁は住友信託に対し敗訴判決を行ったようです。

報道文だけを読む限り、住友信託側は、仮に統合が実現したのであれば得られたであろう利益(法律上は逸失利益といいます)を損害賠償請求したようです。

確かに、法律上は、不法行為によって具体的に生じた損害を賠償するのが原則ですので、将来的に発生するかもしれない損害を賠償するとなると、結構、難しい訴訟を余儀なくされます。
おそらくは、裁判所の認定としては、「本当に将来発生する利益とは言い切れない」ということで請求棄却になったのではないかと思われますが(判決文を読んでいませんので、あくまでも勝手な予想ですが…)、素人考えでは、住友信託は一方的に合意事項を破棄され、踏んだり蹴ったりの様な気がします。

住友信託側は控訴する方針とのことですので、今後もこの訴訟は続きそうです。



関連リンク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060213-00000072-kyodo-soci

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