阿寒湖畔でマリモを研究している若菜さんに、改めて阿寒湖のマリモについて分かってきたことを教えてもらいました。
マリモというのは淡水性の緑藻の一種で、実は日本や北半球の世界の湖に結構存在しています。
しかし球状になって群落を形成しているのは、阿寒湖とアイスランドのミーバトン湖だけ。
同じ植物でも球状になったり、ならなかったりするわけでそこが阿寒湖の不思議なわけです。
若菜さんは元々阿寒町の職員として、今は合併後の釧路市職員として阿寒湖畔でマリモの研究を進めていて、ここ十年来の研究でようやくマリモが球状になる要因がわかってきたと言います。
阿寒湖の特徴はまずその多様な地形。10万年ほど前は古阿寒湖とも呼ぶべき大きなカルデラ湖だった阿寒湖ですが、その後周辺に火山が誕生して、そのために外輪山が決壊し一度は水位が大幅に低下したのだそう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/7f/4fb836930ec0c13b25253b9bac242fc0.jpg)
【阿寒湖の多様な地形】
その後さらに今の雌阿寒岳や雄阿寒岳が誕生したことで再びせき止められて今の湖の形になりましたが、水位が低下していた間に湖に流れ込む河川の谷筋が削られて、今の湖底には深い谷ができました。
その後の長い間の土砂の流入などで遠浅な地形もできて、これがマリモが転がるのに実に都合の良い地形となりました。
次に湖底の地質も多様です。遠浅な砂泥や溶岩と砂礫、さらには泥だけといった様々な様相を示します。
湖底の地質が溶岩になるとマリモは岩に張り付いて球状にはなりません。マリモが球状になるのは遠浅な砂泥という条件のところに限られているのです。
※ ※ ※ ※ ※
さらには風の要素が重要になります。
阿寒湖では夏の間に東西の雄阿寒岳、雌阿寒岳に挟まれて南風が卓越して吹くようになります。その結果、湖面を長く吹く南風は、湖の北側の遠浅な湖岸に適度に吹いてマリモを適度に転がすことで球状化が促進されるのだそう。
風向きがバラバラだったとしたら、マリモを転がすような方向や力が得られなかったろう、というのが若菜さんの分析です。
また最近の研究でようやく、湖に流れ込む、あるいは湖底から湧き出る水の水質の違いが分かってきました。
実はヨーロッパでも、マリモが生息するのはかつて海だった湖ということが分かってきて、塩類が重要な要因になっていることが予想されます。
阿寒湖でも調べると塩類が湧き出ているところがあって、これがまたマリモを育てる要因になっていることが分かりました。
マリモは植物なので光が極めて重要になります。湖底のマリモに光が当たるということは水深が極めて重要というわけ。
今の阿寒湖はそうしたマリモが球状になるために極めて最適な条件がすべてそろっているわけで、実に稀有な偶然の塊なのだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/80/4648a7fcff3f84514848d07ed5eca01d.jpg)
【神様からの贈り物
※ ※ ※ ※ ※
マリモは日本では1897年に札幌農学校(現北海道大学)の川上瀧彌氏が阿寒湖で発見し、「マリモ(毬藻)」という和名をつけましたが、世界の歴史では、カール・フォン・リンネがスウェーデンのダンネモーラ湖で1753年に発見して学名をつけています。
しかしその後保全の方法が分からずに、ヨーロッパの湖からは社会の工業化と水質の悪化によって次々にその姿を消し、球状マリモが群落で残るのはアイスランドのミーバトン湖とここ阿寒湖だけになりました。
しかも今やそのミーバトン湖でも急速に球状マリモはその数を減らしているそうで危機感を抱いているそう。
その原因は水中の濁りが広がっていて水中への光の量が不足しているのではないか、とのこと。
ちょっとした微妙な環境の変化がマリモの生育には大きく影響します。
阿寒湖は国立公園でもあり、球状マリモの群落は特別天然記念物として厳正に保全されていますが、我々は常に環境の変化には敏感でなくてはいけません。
球状のマリモがいかに偶然の組み合わせで、神様からの贈り物であるかを改めて味わいたいものです。
マリモというのは淡水性の緑藻の一種で、実は日本や北半球の世界の湖に結構存在しています。
しかし球状になって群落を形成しているのは、阿寒湖とアイスランドのミーバトン湖だけ。
同じ植物でも球状になったり、ならなかったりするわけでそこが阿寒湖の不思議なわけです。
若菜さんは元々阿寒町の職員として、今は合併後の釧路市職員として阿寒湖畔でマリモの研究を進めていて、ここ十年来の研究でようやくマリモが球状になる要因がわかってきたと言います。
阿寒湖の特徴はまずその多様な地形。10万年ほど前は古阿寒湖とも呼ぶべき大きなカルデラ湖だった阿寒湖ですが、その後周辺に火山が誕生して、そのために外輪山が決壊し一度は水位が大幅に低下したのだそう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/7f/4fb836930ec0c13b25253b9bac242fc0.jpg)
【阿寒湖の多様な地形】
その後さらに今の雌阿寒岳や雄阿寒岳が誕生したことで再びせき止められて今の湖の形になりましたが、水位が低下していた間に湖に流れ込む河川の谷筋が削られて、今の湖底には深い谷ができました。
その後の長い間の土砂の流入などで遠浅な地形もできて、これがマリモが転がるのに実に都合の良い地形となりました。
次に湖底の地質も多様です。遠浅な砂泥や溶岩と砂礫、さらには泥だけといった様々な様相を示します。
湖底の地質が溶岩になるとマリモは岩に張り付いて球状にはなりません。マリモが球状になるのは遠浅な砂泥という条件のところに限られているのです。
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さらには風の要素が重要になります。
阿寒湖では夏の間に東西の雄阿寒岳、雌阿寒岳に挟まれて南風が卓越して吹くようになります。その結果、湖面を長く吹く南風は、湖の北側の遠浅な湖岸に適度に吹いてマリモを適度に転がすことで球状化が促進されるのだそう。
風向きがバラバラだったとしたら、マリモを転がすような方向や力が得られなかったろう、というのが若菜さんの分析です。
また最近の研究でようやく、湖に流れ込む、あるいは湖底から湧き出る水の水質の違いが分かってきました。
実はヨーロッパでも、マリモが生息するのはかつて海だった湖ということが分かってきて、塩類が重要な要因になっていることが予想されます。
阿寒湖でも調べると塩類が湧き出ているところがあって、これがまたマリモを育てる要因になっていることが分かりました。
マリモは植物なので光が極めて重要になります。湖底のマリモに光が当たるということは水深が極めて重要というわけ。
今の阿寒湖はそうしたマリモが球状になるために極めて最適な条件がすべてそろっているわけで、実に稀有な偶然の塊なのだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/80/4648a7fcff3f84514848d07ed5eca01d.jpg)
【神様からの贈り物
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マリモは日本では1897年に札幌農学校(現北海道大学)の川上瀧彌氏が阿寒湖で発見し、「マリモ(毬藻)」という和名をつけましたが、世界の歴史では、カール・フォン・リンネがスウェーデンのダンネモーラ湖で1753年に発見して学名をつけています。
しかしその後保全の方法が分からずに、ヨーロッパの湖からは社会の工業化と水質の悪化によって次々にその姿を消し、球状マリモが群落で残るのはアイスランドのミーバトン湖とここ阿寒湖だけになりました。
しかも今やそのミーバトン湖でも急速に球状マリモはその数を減らしているそうで危機感を抱いているそう。
その原因は水中の濁りが広がっていて水中への光の量が不足しているのではないか、とのこと。
ちょっとした微妙な環境の変化がマリモの生育には大きく影響します。
阿寒湖は国立公園でもあり、球状マリモの群落は特別天然記念物として厳正に保全されていますが、我々は常に環境の変化には敏感でなくてはいけません。
球状のマリモがいかに偶然の組み合わせで、神様からの贈り物であるかを改めて味わいたいものです。