北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

列島強靭化論 ~ 藤井聡先生講演会

2012-04-14 23:45:14 | Weblog
 「まちとくらし市民防災フォーラム2」に参加しました。

 今日のテーマは地域強靭化計画で、講師は今この「地域強靭化」というキーワードで、日本を強くしようという主張を続ける、京都大学の藤井聡教授。




 藤井先生は、「人も国も経済も、タフでなくては生き延びられません。だから国も経済もタフになるために『強靭化』ということを考えなくてはいけないんです」と言い、文春文庫から「列島強靭化論」という本を著しました。



【列島強靭化論】 http://bit.ly/HTTVsN


 藤井先生は、「まず日本列島は、国土そのものがぜい弱です。関東から関西にかけての太平洋側は地震多発地帯であり、周期的に巨大地震が発生しているのは明らか。今回の大津波で、その危険性も明らかになったのだから、しっかりとそれらに対する備えとして『強靭化』を図らなくてはならないし、そのためには国としてちゃんと公共事業としての投資をすべき」と言います。

 加えて、「強靭化のために公共投資をちゃんとすれば、経済が上向きになってデフレ対策にもなる。これで経済環境も強靭化が図れる。今政府がやろうとしている、緊縮財政+増税という政策は国を弱くしたくてたまらないのではないか、と目を疑うばかりです」と舌鋒鋭く、現政権の政策に真っ向から反対を唱えます。

 藤井先生は今や国会での公述人としても招かれてこの列島強靭化論を展開されていて、全国から引っ張りだこ。

 国土政策としても経済政策としてもこの主張は今の政策とぶつかりますが、厳しい内容のことを言っている割には、奈良県御出身ということで関西弁でまくしたてられるとなんだか会場は笑いに誘われてしまいます。

 関西弁はきついことを言うのには便利ですね。




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 返す刀でTPPにも真っ向から反対と主張します。

「人間の体には、外部から異物が入ってきたらそれをやっつける免疫機能というのが備わっています。体内に入っても良いものと入ってきてはいけないものを区別して、だめなものはやっつけるという機能です」

「国の経済で言うと、まさに関税自主権というのは外からやってくる危険なものを排除するための免疫的な機能なのです。体の免疫機能が働かなくなった病気がエイズです。日本経済をエイズにしたいのでしょうか」

「TPPで関税をゼロにする関係を結ぶというのは、まさにこの免疫機能を失わせるもので、こちらに有利なもので攻めたとしても、不利なものが入ってくることを止められなくなるのだから、それでやられてしまう」

「このことでもうTPPには参加すべきではない、ということを証明し終わっていますよ」


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「いろいろなインフラは今や費用便益効果(B/C)が一定の値を超えないと作らないというルールが一般化していますが、これは地方都市にとっては卑怯なルールと言えます」

「それは便益として計測する元に人口という要素が入っているからで、当然大都市の事業は便益が高くなり過疎の都市では便益が低くなってしまうから」

「だから高速道路も大都市から順番に作られていますが、高速道路ができると経済は伸びるんです。都市はつなぐと一体となって発展するし、そういう大きな国土計画は道州制では実現できません」

「地域は地域のあるべき姿をちゃんと見据えて、中央に堂々と語ってください」


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 民間の投資が動かないときには、公共が代わって投資をすることで民間投資を誘発するというのが、国家の財政機能です。

 仕事を作ればお金が回って雇用が上向き、経済が回る。

 国の借金を増やしたくない、と言うけれど、増税をしたら皆お金を使わなくなるので、結局税金も増えない。逆に投資をするから経済が拡大して税金も増える、と藤井先生は言います。

 どこか元気のない地方に、「元気出せ!」と活を入れられた気持です。藤井先生の本もちゃんと読んで、地方からの声を大きくしたいもの。

 とても面白い講演でした。フォーラムを開いてくださった関係者の皆さんと、藤井先生に改めて感謝します。
コメント (1)
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