北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

プロ用と素人用

2007-07-31 23:53:56 | Weblog
 雷雨が去って爽やかな一日。夕べは涼しかったなあ。

 午前中に某テレビ局から「防災公園街区整備事業について教えていただけますか」という取材が一件ありました。どうやら9月1日の防災の日に何らかの形で特別番組をつくるらしく、火災からの避難地を整備する事業について取材をしているとのこと。

 「企業などから急な土地の売り物が出たときに、緊急に対応できるのがこの制度の特徴です。しかもその土地で防災公園を作るだけではなくて、その土地を使って、地域の狭かった道路を広げるなど、周辺のまちづくりの課題も解決しようというものです」と説明すると、「一度現場を見せていただきたいのですが」と好反応。
 うまくすると、我々の事業がテレビに登場するかも知れません。

 しかしそういう目で我々の事業の宣伝ツールを眺めると、いつもつきあう相手は地方自治体なので、自治体の担当者向けの難しいパンフレットしかないということに気がつきました。

 マスコミや普通のおじさん、おばさんに分かるような説明ツールも必要で、それには難しい専門用語などを抜きにして分かるようになっていなくてはなりません。
 弱点が分かったら早速克服に向けて作業を開始しなくてはね。
  

    ※    ※    ※    ※

 夜は職場の上司の送別会。この時期の人事異動というのはあまり多くありませんが、着任もちょうど二年前のこの時期だったそう。新任地は四国とのことで、送別会では「うどんがうまい」とか「台風が案外少ないよ」など四国話で盛り上がりました。

 ちょうど参加してくださった幹部がやはり愛媛県出身とのことでしたが、「昔は県を超えた情報というのがほとんどなくて、香川県の讃岐うどんが美味しいなんて子供の時は全く知らなかったよ。それが最近では愛媛にまで讃岐うどんが進出しているんだ。どうかなあ、と思うよ」とのこと。
 名物はひっそりと、知る人こそ知るぐらいが良いのでしょうね。


 異動する上司が先方との引き継ぎをした際には「着任早々の8月12日から徳島の阿波踊りなんだそうですよ。阿波踊りでは一つの踊りのグループの事を『連(れん)』と言うのですが、徳島の事務所が連を持っていて、もう私が参加することになっているんですって。『足袋の大きさは?』なんて訊かれましたよ」という会話があったとか。

 地方色豊かな土地柄ですが、新任地でのご活躍をお祈りしています。
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戦いを終えて~「撤退戦の研究」を読む

2007-07-30 23:55:54 | Weblog
 豪雨が雷とともに襲うかと思うと晴れ間も見られ、不安定な天気の一日。参議院選挙の結果が出たのと同時に、天も何か言いたげです。

 どのテレビ局の番組や新聞を見るまでもなく、与党は完敗。野党…と言っても民主党が大躍進と言うことで、今後の政局運営は不安定なものになることでしょう。

 夜は知人とお酒を飲んだのですが、彼はぽつりと「いずれにしても公務員たたきは与野党が共有できる目標になるかも知れないなあ」と一言。改革とは漠然と何かを変えることでも時計の針を巻き戻すことでもなく、これからの行く末を見計らって、そこにむかって粛々と社会を動かすこと。

 これからの社会がどうなるかを見据える眼力が政治には必要です。

  

    ※    ※    ※    ※

 夜は知人と飲んでいて、話題が人事権ということに及びました。

「安倍総理ももっと早く人気のない大臣を切るべきではなかったでしょうか」と言う私の問いかけに知人は「人事権って、トップと言えでもすべてを掌握しているものではないんですよ。そうですねえ、3割も通れば良い方かな。あとはたいていがしがらみの中でそうせざるを得ない状況にある、というのが私の見方ですね」との答え。なるほど、そういうものでしょうか。

 今日ちょうど読み終わった本が「日本人はなぜ同じ失敗を繰り返すのか~撤退戦の研究」(半藤一利・江坂彰 知恵の森文庫)でした。

  

 この本の中では、第二次大戦での日米の戦い方を振り返りながら、リーダーの資質などについて半藤さんと江坂さんの対談が行われています。

 半藤さんはリーダーの六つの条件というのを挙げています。それは
①権威を明らかにして責任を取ること
②組織の目標を明確にするための決断をすること

③焦点の場に位置せよ
④情報を自分の耳で確実に聞くこと

⑤規格化された理論にすがらないこと
⑥部下に最大限の任務遂行を求めること

 …の六項目で、必ずしもトップ出なくても部下を持つものの心構えとして重要なことでしょう。

 これに対して江坂さんは「それでは私は駄目な経営者(トップ)を挙げましょう」として逆な面からトップのあり方を示しています。江坂さんが掲げる、駄目な経営者とは、

①目的がはっきりしていない官僚的経営者
②時代性のない経営者

③問題を先送りする経営者
④部下の人気取りばかり考えている経営者

⑤運の悪い経営者
⑥いまだに「全員ガンバレ」と言っている経営者

 という六つでした。自戒を込めて、これらを心に刻みたいものです。

    ※    ※    ※    ※

 駄目だ、と思ったときの撤退については、レスター・サローという人の言葉を引いて、「マネジメントとは、結局のところ、失敗する前に方針を変えるよう説得することだと思う。失敗して変えるのは当然。うまくやっている間にいかに変身を図るか」だと述べています。

 うまくいっているときが凋落の始めです。消耗戦を避けて、体力を見極めながら戦う位置を下げて新しい防衛戦を築くことが大事だ、とも。

 日本では撤退戦をしようものなら「臆病者」だとか「弱腰」などというネガティブなレッテルを貼る傾向にあって、それが最前線にいるものの的確な判断を妨げる要因ともなっています。プロを信じる社会と、社会に信じられる最前線のプロであることの両方が求められます。

 さて、選挙の結果はどう受け止めるべきでしょうか。常に変身を図りながら変えることができた方が次の勝利者とは言えそうですが。

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参議院選挙は与党が惨敗 ~ ビジョンをしっかり持つということ

2007-07-29 22:18:42 | Weblog
 朝の天気予報では東京は夕方以降雨とのことでしたが、どうもあやしげ。案の定、午後2時くらいから雷と激しい雨が始まりました。選挙もあるし、今日は家でたまったレポートなどを読みましょう。

 今日読んでいたのは、2004年に小泉政権の下で議論された「日本21世紀ビジョン」です。
 http://www.keizai-shimon.go.jp/special/vision/index.html

 これは当時の経済財政諮問会議の下部組織として専門調査会が作られたもので、各界の専門家たちを集めて自由な意見交換が行われ、これからの日本がどうなるか、そのためには何をしておかなければならないのか、が語られています。

 ホームページに掲載されているのは、発言者の名前を伏せた自由な討議の要旨ですが、活発な意見交換の様子が分かります。そしてこの議論は3年前のものですが、それから今日に至る3年間の間にこの中身が少しずつ実現していることが分かるのです。
 
 21世紀ビジョンの最終報告書は冊子になって販売もされていますが、骨子はホームページに掲載されています。

 そこでは「これからの日本が迎える大きな流れ」として以下の3点を掲げています。

 (1)全体の人口が減る、お年寄り(高齢者)の割合が増える
 (2)国境を越えた交流がいま以上に増える、アジアの国々などが大きく経済発展する
 (3)インターネットなどの情報化が進み、人の暮らしや社会が多様化する


 さらに「何もしないと日本はどうなってしまうのか?」という問いに対しては、「そうした流れにうまく対応しようとせず、現状に甘んじていると、日本は、緩やかだが、着実な衰退を迎えてしまいます」として、何もしなかった場合、

 (1)経済活動の規模が小さくなり、1人1人の暮らしが貧しくなる
 (2)国や地方の借金が増えたり、個人や会社のその返済のための負担が大きくなったりする

 (3)日本が世界に及ぼす影響力が小さくなり、世界の動きに左右されてばかりいる国となる
 (4)お金持ちの人はお金持ちのまま、貧しい人は貧しいままとなり、社会の雰囲気が悪くなる

 という四つの方向を示しています。

    ※    ※    ※    ※

 なにもしなければこうなってしまう。そして、そうならないためにはどうすべきか、という、まさに「ビジョン」が次に示されています。
 それが「明るい日本の未来のために何が必要でしょうか?」という問いへの答えです。

 ビジョンには「そのような衰退の道を辿らず、明るい日本の未来を実現するためには、将来の目標(目指すべき将来像)を明確に持ち、それを実現するための基本的な考え方(戦略)と手段(具体的な行動)が必要です」と書かれ、以下の3つの方向性を目指すべき、と結論づけています。

 (1)開かれた文化創造国家
 日本が持つ文化や技術は、他国に負けない素晴らしいものです。これを世界に発信し、世界中の人が日本に集まるような、魅力的で存在感のある国になることが可能です。
 そのためには、人の質(人間力)を高める教育を行うなど、文化を盛んにしたり、新しい技術を生み活用したりするような環境を整えることが必要でしょう。また、より自由な海外との取引のために地域的な経済の結びつきを強めたり、外国人労働者を受け入れたりするなど、外国との交流を活発にさせることも必要でしょう。

 (2)「時持ち」が楽しむ「健康寿命80歳」社会
 健康な人が増え、様々なチャンスと自由な時間があれば、高齢化の時代でも、活力のある社会を維持することができます。
 そのためには、健康の維持や病気の予防に力を入れたり、自分の生き方を自由に選べるようにすることが必要でしょう。また、お金持ちの人はお金持ちのまま、貧しい人は貧しいままといった、貧富の差が固定化しないよう、勉強したり、働いたりする機会の平等が確保されることも必要です。

 (3)豊かな公・小さな官
 政府は政府にしかできないサービスをもっぱら提供すべきです。政府の借金ができるだけ増えないようにするほか、私たちの暮らしの安心を支える社会保障制度が長持ちするようにする必要があるでしょう。
 現在世の中の役に立つ活動をしてみたいという人が増えています。そうした人たちを支援することも必要でしょう。

 この報告書は平成17(2005)年4月に世に出されていますが、(3)にある豊かな公・小さな官というビジョンの延長上にあるのが郵政民営化でした。

 郵政民営化関連法案は、この年の通常国会では衆議院で可決したのですが、8月8日に参議院において否決されました。そして、この結果を受けて小泉首相は『民営化の賛否を国民に問う!』として、衆議院を解散し、自民党の内部分裂を乗り越えて、9月11日の総選挙では、与党の郵政民営化賛成派が圧勝し、10月に関連法案を通過させたのでした。。

 まさに、自民党はこのときこれからのあるべき姿を掲げて国民に信を問うたのでした。小泉劇場の真骨頂でもありました。

    ※    ※    ※    ※

 最近外務大臣の麻生太郎さんが「とてつもない日本」という著書の中で『日本のアニメはすごいんだ』ということにふれて話題になりました。
 実は上記の(1)の「開かれた文化国家」という分野でのワーキンググループの討議を読んでいると、まさに日本の漫画やアニメがハリウッドの若手制作者の間に静かな影響を与えもてはやされているという事情などが語られているのにふれることができます。
 「鉄腕アトム」「マッハGO!GO!GO!」「Akira」などがその代表なのだとか。日本のアニメ、そしてオタク文化はまさに日本にしかないオリジナリティを持っていて、それがこれからの日本のソフトパワーにつながるだろう、ということなのです。


 こうしたビジョンは、公表もされているし情報公開もされているのですが、実はこれを世の中に理解してもらうにはもう一段、エンターテイメントという能力が必要で、日本人にはそうした感性がやや欠けているとも言われています。
 宮崎県の東国原知事などはその例外かもしれませんね。
 
 いずれにしても、これからの日本のビジョンを理解すれば、地方都市や自分の生き方を考えるのにも有効なのです。紆余曲折はあっても、まさにその通りになってゆくのですから。

    ※    ※    ※    ※

 今夜の10時ですが、参議院選挙は与党惨敗が伝えられています。なるほど、事前の下馬評というのは当たるものだ、と妙なところに感心しました。

 さて、国民の選択結果を受けてこれからの日本はどうなるのでしょうか。変化を受け止めて自らも変わって行かなくては生き残れません。

 生きるための変化こそ進化です。
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【番外編】パソコン周りのアイディアグッズ

2007-07-28 23:58:59 | Weblog
 パソコンでラジオが聴けないものかとネットで探していたところ、「USBラジオ」なるものを発見。売っているのは秋葉原のサンコーレアモノショップといういうお店だというので、まち巡りの途中で立ち寄ってみました。

 原理は簡単で、USB端子から電源の供給を受けてFMを受信するというもの。音声は機械からケーブルで取り出してライン入力をするという原始的な方法なもの。

  

 FMはAMに比べると電波が強いのですが、それでもパソコンに直に取り付けるとパソコンの雑音を拾いそうなのと、形がずんぐりむっくりなので、他のケーブルが邪魔してうまく刺さらない。

 仕方なく延長ケーブルで本体から離して見ると雑音もなく安定した音質が楽しめるようになりました。

 パソコンに繋げることができれば、パソコン上でいろんな操作もできるようになります。予約録音などということもソフト上でできるようになりましたが、パソコンをつけていないと駄目なんだろうなあ。省エネには反しそうです。

  

    ※    ※    ※    ※

 このサンコーレアモノショップには、本当に変わったものが置いてあって、笑っちゃいますが、これもまたアイディアの宝庫ということでしょうか。

 USBから電源供給を受ける冷える椅子だとか、USBの電子マッサージ機、鏡をかねたUSBカメラなんてのもありました。

 音のしないキーボードと音のしないマウスというのもありました。キーを押すとグニュという感触なのですが、夜間にパソコンを使っていて気になるのがキーボードのカチャカチャいう音ということで、夜使っても周りに迷惑をかけないという発想です。

 とにかく笑えるアイディアショップ。まさにパソコン周りのレアモノの宝庫です。さすがは都会だなあ。

 http://thanko.jp/

 サッカーアジアカップの日本チームはPK戦で韓国に敗れて4位。一人少ない相手に勝てなかったのは残念。
 明日はいよいよ参議院選挙。おかしな意味で関心が高まった今回の選挙。果たして結果は?
 
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自転車のまち巡り~江東区かいわい

2007-07-28 23:21:25 | 東京ウォーク
 暑い!しかし雨が降りさえしなければ、まち巡りはできます。紫外線対策が欠かせません。

 今日は東側の墨田区、江東区方面をぐるぐる走りました。まずは本所横網町公園のすぐ隣にある旧安田庭園。
 ここは、元禄の頃に下野足利二万石の領主だった本庄因幡守宗資(いなばのかみむねすけ)が幕府から拝領して下屋敷を構え、宗資の時代に築造されたものとのこと。

 その後、明治24年に明治時代の実業家安田善次郎の所有となり、善次郎の没後はその遺志により大正11年に東京市に寄付されたのでした。その翌年の大正12年には関東大震災があって、ほとんどその姿をとどめないほどになったのですが、昭和2年には復元されて市民の庭園として開放されたのです。
 ここの特徴は池の水が隅田川から導かれていたことで、江戸時代の名園の一つです。写真の背景に移っているのは安田善次郎が寄付した昔の公会堂です。昔のお金持ちはすごいですね。

  

    ※    ※    ※    ※

 旧安田庭園のすぐ南側にあるのが両国国技館と江戸東京博物館。江戸東京博物館では「生誕150年周年記念 後藤新平展」が開催されていました。

 以前に本で読んだ彼の生涯が、様々な資料や模型などでわかりやすく説明されています。昨日見たばかりの同潤会の集合住宅の模型も展示されていました。
 気になる話題というのはつながってくるものですね。不思議だなあ。

  

    ※    ※    ※    ※

 その後は東へと自転車を走らせて亀戸天神へ。社も立派ですが、ここは藤が有名なのですね。有名な神社をまた一つ巡ることができました。

  

 亀戸といえば、都市プロデューサーの北山孝雄さんの手による、亀戸サンストリートがありました。ここは工場の跡地を人工的な町並みに変えたものです。曲線を使った商店街と、お店に囲まれた広場空間が賑わいを演出します。
 そういえばまちなかに賑わいを醸し出す広場はこういうことなのだというイメージがよく分かります。

  

    ※    ※    ※    ※

 ところでここ江東区には清澄庭園もあります。ここは三菱財閥の創始者である岩崎彌太郎(いわさきやたろう)の所有となり後に東京市に寄付されたもの。ここもまた明治の名園です。

  

 今日の江東区周辺はなんだか騒がしいと思ったら夜に隅田川の花火大会があるのでした。まちなかに浴衣姿の若い人たちの姿が多かったのはそのせいでしたか。

 今日は名園巡りになりました。
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集合住宅歴史館~住まいの歴史を考える

2007-07-27 23:09:30 | Weblog
 外は夏のような暑さながら、まだ関東の梅雨は明けていないのだそうです。ふー、外にいると暑い暑い!


 今日の午後は八王子にあるわが都市機構の研究施設である「都市住宅技術研究所」を視察してきました。ここでは何年にもわたって住宅に関する様々なテーマの研究が行われていて、今ではあたりまえになったような技術もここで試されたのです。

 屋上緑化もその一つで、施設の中の「すまいと環境館」の屋上で実験が行われています。土の厚さを変えたり植物の種類を変えて、管理のしやすさや緑の成長などを検証しているのです。

  

 壁を使って壁面緑化の実験も行われています。壁面の前に植物があると、直射日光に照らされないために壁の温度が下がりヒートアイランド現象の抑制に効果があるだろう、というものです。
 しかし壁に針金でメッシュを固定して植物を伝わせようとすると、針金を伝って侵入者も入ってきそうだということが分かって、今では細いワイヤーをぶら下げてこれに植物をからませる実験を行っているとのこと。壁を伝うのは植物だけではないんですな。

  

 今では我々が作る新しい住宅はすべて屋上緑化がされることになっています。昔は考えられなかったようなニーズが現実のものになっているのです。

    ※    ※    ※    ※

 施設の一角に「集合住宅歴史館」という建物がありました。ここには文字通り集合住宅の歴史を彩るような時代の節目の集合住宅の一室がそのまま運ばれて展示されています。ほんの少し前の我々の住まいはなんとつましかったことか、と思わず笑ってしまいますし、同時に懐かしい郷愁を感じます。

  

 我が国の住まいの中で近代的な集合住宅と呼べるものは、関東大震災後に発足した財団法人同潤会によるもので、この歴史館にはその頃の室内が再現されています。
 専用の流しも小さいけれど、共同流しが当たり前だった頃には高級な住宅だったようです。

  

 次には昭和30年代の2DK住宅。いわゆる公団住宅と呼ばれた典型的な住まいです。テーブルがついていますが、当時は市場にこうしたテーブルが売っていなくて専用に作ったのだとか。
 流しもありますが、人造研ぎ石製でした。

  

 冷蔵庫や洗濯機も懐かしいものが飾られています。こういう生活にあこがれた時代は、あこがれがどんどん現実になっていった喜びに満ちた時代でもあったのです。

  

 高層住宅にはエレベーターがついたものの、3,6,9階にしか止まらず、その前後の階には階段で行くという時代もありました。少しずつの便利をスタンダードにしてきた住まいの歴史。

  

 こういう施設を見ると、住まいをさらに便利にしたい自分の欲望を「わがままかなあ」と自己反省することにつながるかも知れません。歴史を学ぶと言うよりは、「足るを知る」心を思い出すきっかけになりそうです。
 
 施設は事前申し込み制で一般にも公開されています。

 さて、緑や植物は住まいのどういう部分にどういう貢献ができるでしょうか。新しい住まいのニーズを緑がどう受け止めるかを考えてみたいと思います。

 歴史館のホームページはこちら → http://www.ur-net.go.jp/rd/history/
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即席道産子、北京で活躍中

2007-07-26 23:11:29 | Weblog
 朝早い新幹線で掛川からとんぼ返り。ホテルでは3時間くらいしか寝ていないので新幹線の中は爆睡。もう若くはありません。


 私が北海道にいた間に内地から転勤してきて仲良くなったのが、優秀な官僚のAさん。

 ともに北海道の観光を盛り上げましょうと誓いを立てたものの、私はこの四月に東京へ、そしてAさんはこの7月に北京に異動になったのでした。

 Aさんのミッションは日本と中国の観光のパイプを強化することで、以前にも中国大使館へ勤務した経験から中国語にも堪能なAさんに白羽の矢が立ったもの。

 来年は北京オリンピックも控えており、日中間の観光人口が爆発的に増える要素に満ちたこの時期に、大変なミッションをこなせるのはAさんをおいて他にはおりますまい。

 このAさん、現地からホットで質の高い中国事情をブログでご紹介してくれていますので、是非ともご愛読をいただきたいと思ってここにご紹介する次第です。

 ブログ名は「即席道産子再び北京に暮らす~再入門編~」(http://blog.goo.ne.jp/baimulong)です。実に精力的にいろいろなところへ赴き、たくさんの人に会っている様子がうかがえます。

 北海道の隠れたる味方の一人の「即席道産子」のAさんの活躍を応援しています。在任期間中に一度はお訪ねしたいものです。
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あるお別れ会

2007-07-25 23:59:59 | Weblog
 掛川であるお別れ会があるというので、一泊朝帰りの超強行軍で掛川行きの新幹線に飛び乗りました。

 お別れ会で送られるのは、仲の良かった新聞記者のAさん。Aさんと私は掛川では8ヶ月しか一緒にいなかったものの、当時からスローライフ活動に暖かいまなざしを送り続けてくれたのでした。

 Aさんと私が初めて会話らしい会話をしたのは、スローな花火大会を行ったときの逆川(さかがわ)に架かる橋の上でのこと。

 見慣れない若者がにこにことほほえみながら、それでいてやたら興味深げにいろいろなことを訊いてくるものだから、こちらも青い思いを熱っぽく語ったものでした。

 後から「さっきの人は誰だったっけ?」と訊くと「今度新しく変わったB新聞の支局長さんですよ」とのこと。

 そしてそのとき以来のつきあいだったのですが、ついにこのたび3年間の掛川滞在を終えて静岡市に転勤されてしまうのでした。

 お別れ会はいつもながらの野外パーティー形式。蕎麦研のみんなも仕事の後に素早く蕎麦を打って駆けつけてくれたし、自転車イベントなどスローライフ活動で仲の良くなったたくさんの人たちが参加してくれました。



 三年間というと、いろいろな人脈もできたりその土地柄が分かって来る頃なのですが、誠に残念です。良いよそ者としての視点を持ち続けて叱咤激励をしてくれた三年間でしたね。

 Aさんの新しい場所でのさらなる活躍を祈って、笑ってお別れをすることにいたしましょう。Aさん、ありがとうございました。

 また会う日まで、お元気で。 

    ※    ※    ※    ※

 明日の朝は速い新幹線でとんぼ返り。もったいないようにも思うけれど、一生に一度くらいこういう旅があってもいいよな
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高いビジョンを持つということ

2007-07-24 23:56:59 | Weblog
 朝から快晴で、梅雨が終わったよう。昨日「梅雨明けは遅れそう」と書いたばかりなのに…。

 
 今夜は人づてに、ビジョンづくりでは有名なA先生のお話を聞く機会を持ちました。

 話のスタートは東京の防災に対する脆弱性を問題にするところから始まり、「ドイツにあるミュンヘン再保険会社が世界中の都市の災害リスクを指標化したところ、東京は最悪で、東京の災害の再保険は受けないという結論を出したのを多くの方は知らないのです。これはつまり、災害が来ることが分かっていながら何もしていないということに他なりません。世界は東京の防災対策の現状をそう見ているということです」www.fdma.go.jp/html/new/pdf/1512_tiiki_2.pdf

 というショッキングな導入。

 A先生の主張は、それゆえに環状七号線沿いを防災道路軸として位置づけ、その沿道は区画整理や再開発の手法を用い、高度利用を図ることで地権者の権利を損なわずに整備ができるだろう、というものです。

 環状七号線の外側にはいわゆる密集地帯が存在していて、その低層な利用も東京の効率性を下げていると同時に地震時の火災と延焼地帯としての危険性も併せ持っているのです。

 そういう地域構造を根底から改善できないまま次の災害を迎えるようなことがあれば、「日本人は近代科学というものを理解できない国民である」と笑いものになるだろう、ということです。

 必ず災害が来る、と言われていながらそれに対する備えが遅々として進まないことをどう言い訳できるというのでしょうか、というのがA先生の主張。

 昨日も書いたように、「自ら変えることのできない日本人」というのは評論家の言葉としては面白いかも知れませんが、行政の一端にいる者としては忸怩たる思いです。

 もちろん現実はそう簡単ではないのですが、こうした高いレベルからのビジョンを持つと言うことが大事だと言うことです。

    ※    ※    ※    ※

 先生のもう一つのお話は、経済最先端の国の都市作りの現実です。

 ドバイ、上海、香港、ラスベガス…など、世界中のマネーが集まって次々に投資が行われて都市がすさまじい勢いで成長をしている実例を次々に紹介していただきました。

 ドバイでは、投資の利率が年間で140%(!)で、100億円と投資すれば8ヶ月で元が取れて、あとは利息がどんどん入って来るという金融環境にあるのだそうです。
 
 ある意味ではバブルっぽいところもあるのですが、そこに共通して見いだされるのは、「もはや都市作りは瞬間芸になっている」というのが世界の常識なのだとか。

 「ここに構想住宅街を作る」というビジョンを打ち立てたら2、3年でそれをやりとげて、そこに世界中の投資家のマネーを集める。そのスピード感がすさまじい。

 空港を一つ作るのに20年かけたり、道路一本通すのに10年もかけたりはしないのです。
 写真は中国で都市作りを説明するスライドです。1994年にはこうだったものが2000年にはこうなったということがはっきりと見て取れます。

  

 土地の高度利用で人口を集積させれば交通機関も黒字になり、商店がはやるのも当たり前。日本のコンパクトシティの方向性もこうしたところにヒントがありそうです。

 地上すれすれの現場を眺めるのも大切ですが、たまにはものすごく高い視点からのあるべきビジョンを想像するのも大切です。

 この両方のバランスが大事。日本の地方都市も特区を使ったコンパクトシティ化など、やれることはたくさんありそうなのですがね。

 高いビジョンを持ちましょう。
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「変える」のか「変わる」のか

2007-07-23 23:54:23 | Weblog
 朝通勤の時にいつもはすれ違う子供達を見ないなあ、と思ったらもう夏休みに突入していたんですね。夏休みならカーッと暑い方が夏らしいのですが、まだぐずついた空模様が続きそうです。

 関東地方の例年の梅雨明けは7月20日頃なのだそうですが、今年はもう少し遅いよう。お天気はパソコンのプログラムではないのだからそれもまたよしです。

 いよいよ参議院選挙を週末に控えて、マスコミも選挙報道モード全開といったところです。

 今回の選挙は、直接安倍政権の責任とは言えないような年金問題に端を発し、相次ぐ閣僚の失態で頼りにならないという印象の与党自民党側と、「時は今!」とばかりに過半数奪取をねらう民主党ほかの野党との戦いです。

 事前の世論調査では圧倒的に「政権与党に分が悪い」という下馬評ですが、どうも野党連合もいまいち政権批判の受け皿になりきれているとも思えません。

 もちろん衆議院選挙ではないので政権選択というわけでもないのですが、まあ国民の程度なりの結果が出るということでしょうか。

 テレビを見ていると、安倍総理は街頭演説で「改革か!後退か!改革実行力」ということを盛んにアピールしています。一方の民主党の小澤党首は「国民の生活が第一」という路線で大衆に訴えかけています。

 どちらも「改革」ということを口にしてはいるものの、それが有権者の選択にどれだけ効いてくるのかには興味がわくところです。

    ※    ※    ※    ※

 「日本人は自ら変化できない国民だ」と言ったのは評論家の山本七平さんでした。

 「日本人の人生観」(講談社学術文庫)という本の中で山本さんは「日本人は自然ということを大切にする。そのときの自然というのは、『ごく自然にそうなる』というのをよしとする自然であって、意識的・作為的になにかをするということを否定する民族である」というようなことを述べておられます。

  

 「お二人はどうして結婚されたのですか」と問われると「ごく自然に…」と答えることが多いだろう、ということも書かれていて、意識的に「俺はおまえと結婚するのだ」「私もあなたと結婚するのよ」という強い意志がぶつかりあっての結婚というのはあまり日本人には見られないでしょう。

 意図した結果ではなく、いつの間にか最良の状態になっているということが幸せな民族なのです。

 それは、農業を生業として誕生し成長してきた国だからでもあって、四季の移り変わりは変えることができず、それだからこそ自然に付き従ってその変化に対応をすることで歴史を刻んできたからだ、とも言えるのです。

 山本七平さんは、「そのため日本人は変化に非常に強いという国民性を持っている」とも書かれています。
 
 明治維新でも敗戦でも、オイルショックでも、日本人は環境が変化すればそれにすぐさま対応ができ、これがまた実に見事なのです。

 しかし日本人にとってのこうした変化は常に『外圧』として訪れてくるわけで、環境が変わらない限り自分の方は変化しません。四季が変化する際に自分を変えるのではなく、服を替えて暑さ寒さをしのぐような対応に終始しようとします。
 絶対に自己の本質的なものは変えまいとしていて、それゆえ社会を固定化する方向に安心を覚えるのです。

 来る運命は受け止めるけれど、危機的になりそうな運命を意図的に回避するという能力に欠けているとも言えるでしょう。

    ※    ※    ※    ※

 そういう意味では「改革」を口にする安倍総理の進めるこれまでの政権が揺らぐようなことがあるとすると、それもまた自然に改革がなさるということなのかもしれません。

 そして、何か変化が訪れるとその変化した後の社会に臨機応変に対応をしてしまう、という歴史が繰り返されるのかも知れません。

 今の投票に向かう世論調査を見ていると、どこまで国民が自ら意図して変化させようとしているのかよく分かりませんが、自らの選択に責任だけは持ちたいものです。
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