北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

最後の挨拶

2010-03-31 23:34:54 | Weblog
 朝一番で退職の辞令をいただきました。

 最後の会議に出席してお礼のご挨拶。

 「都市再生機構は住宅公団が出発なので住まいと言うことに対して常に新しい提案を繰り返していますが、あまりに住まいということにこだわりすぎているような気もします。住まいがもはや介護や子育てなど国交省だけではなく厚生労働省の施策とも組み合わせるべきではないでしょうか。介護や子育てこそ、地方自治体がこれからの社会に向けて住むということに必要な機能だと思います」

 三年間で実にいろいろな都市づくりの場面を見せて頂き、本当に勉強になりました。

 これからは機構にシンパシーを感じつつ、都市のリニューアルについて考えて行きたいと思います。

 お世話になりました。

 
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宮内庁へご挨拶

2010-03-30 23:27:54 | Weblog
 外回りで離任の挨拶回り。宮内庁にいる先輩を訪ねてみました。

 事前に訪問者登録を済ませていましたが、皇居坂下門で皇宮警察の門番を訪ねる時はちょっとどきどき。







 坂下門をくぐって見えてきた宮内庁の庁舎は昭和10年築で由緒あるものです。

 訪ねた先輩は快く迎えてくれて、少しだけ周辺を案内してくれました。

 皇居二重橋も渡りましたが、なぜ二重橋というのかよく分かりません。私など手前の眼鏡橋を二重橋だと思っていました。

「なぜこれが二重橋なんですか?」
「この橋は前の橋よりかなり高いところを渡っているだろう?昔この橋が木橋だった時代はこれを一橋で渡すことができなくて、まず低いところに橋を架けて、その上にもう一つ橋を乗せて渡っていたんだそうで、そこから二重橋という名前になったと聞いている」
「ほー、勉強になりました」





 この管理区域内には伝統ある盆栽が数多くあって、その世話も宮内庁の職員が行っているそう。

「はあー、一番古い盆栽となるとどれくらいなものですか?」
「そうだなあ、樹齢600年くらいのものがあるよ」

「600年ですか!」
「三代将軍家光が好んだことから『三代将軍』という銘の盆栽もあるし」

 いやはや、歴史と伝統を継承する皇室の凄さが改めて分かりました。

 挨拶で回って良いものが観られました。
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介護・福祉はまちづくりの鍵になる

2010-03-29 23:59:21 | Weblog
 高齢者や要介護者のための介護機能付き住宅というものが増えています。

 今日はその先進事例を紹介するシンポジウムに参加。東京では随分多くの勉強会やシンポジウム、講演会に参加しましたが、多分これが最後の勉強の機会です。

 講演には兵庫の社会福祉法人「きらくえん」理事長の市川禮子さんという方が「地域に根ざすノーマライゼーションの取り組み」という演題でお話をされていましたが、その哲学に感心。福祉法人のなかには経営と言うことよりもケアの哲学を強く持った方がいるものだと思いました。

 こちらの運営する特養施設では、個室化に向かって努力を続けているのですが、それはプライバシー確保と共に、感染症対策としても重要なのだとか。

 「もう収容施設はつくらない」、「介護の基本は同性介護」、「ケアとは生命と生活を発展させること」といくつもの哲学が語れます。

 認知症のお年寄りであっても、介護者が連れ立って地域の居酒屋にも行くしお店にも行きます。洗濯や料理も自分でしてもらうことには、「なんでも人に頼らなくては行けない訳じゃない」という自己の誇りを支えるという意味があります。

 認知症のグループホームで、世界でおそらく唯一だろうという自治会が誕生しました。
 「自分たちの生活は自分たちで決める」もちろん、介護者が裏でバックアップしているのですが、お年寄り達の思いをとことんまで受け止めて自己実現を支えるというのが介護の真髄なのだと強く思いました。


 フォーラムは全体的には、進行がなんだか物足りない感じもしましたが、改めて自分の知らない人たちのお話を聞くことはとにかくためになるものだ、と感心しました。

 これからのまちづくりにおいて、介護・福祉の分野は相当なウェイトを占めてくるでしょう。それをどれだけの自治体が本当に気づいているものなのか。

 ごまかしではなく、幸せな市民を増やすことが地域の魅力を増し、良き自治体が偉大な自治体に変貌する分野なのだと思っているところがどれくらいあるものでしょうか。

 福祉の世界は奥が深い。

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浅田真央ちゃん優勝!~ネット時代のリアルタイムスポーツ

2010-03-28 18:18:27 | Weblog
 やりましたー!浅田真央選手が世界選手権優勝です。

 昨晩のテレビ放送はショートプログラムの放映で、結果が全て分かっている演技をただ流すだけのもの。

 あほらしくなってそれは観ないでいたのですが、フリープログラムでのリアルタイムな演技状況は分からないものかとネットを探していたところ、ツイッターでリアルタイムに演技を見ている人の実況コメントが流れていました。 

 (この人たちはどんな映像を見ているのかな?)と思っていたら、ツイッターの一人が「ラジオカナダがネットで生中継中」と教えてくれました。

 早速観てみると本当にやっていました。しかもかなり品質の高い放送です。アナウンスはフランス語でほとんど分かりませんが、観客の盛り上がりは伝わってきます。





 ネットなのでときどき映像が止まるのが難点でしたが、真央ちゃんの演技を観てフリーの得点が129点でこの時点で暫定一位と確認出来ました。

 この時点でフリーの得点だけ観ればキム・ヨナ選手の方が上だったんだそうで、ツイッター上ではキム・ヨナ選手と浅田選手との演技の差と点数の差についての議論が盛り上がっていました。
 
 朝になればもうyoutube上に二人の演技も動画がアップされていますが、キム選手が転倒一度とジャンプがひとつ抜けたのに対して、浅田選手は3Aの一つが回転不足と判定されたらしいものの他はほぼノーミス。

 結局一番まとめた浅田真央ちゃんの優勝で、これで日本はなんと世界選手権のジュニアとシニアの男女それぞれ4つの金メダルを取ることになりました。荒稼ぎのしすぎで、これでまた採点基準が厳しくならなければよいが、と余計な心配をするほどです。

    ※    ※    ※    ※

 この演技を見比べて審判団はキム選手が上と採点しましたが、観客としては不満に感じる人が多かったですし、私も「え~、そうなの?」という感じ。youtube上には海外からも採点への不満と真央ちゃん絶賛のコメントが多数寄せられていました。


《キムヨナ選手の演技》
  http://ow.ly/1rDuX

《浅田真央選手の演技》
  http://ow.ly/1rDuH


 ツイッター上での意見交換や感想を共有する時間は、ブログや新聞記事では味わえないライブコンサートを観ているような臨場感でした。この演技をラジオカナダがネットで無料中継をしてくれていることにネットユーザーたちは大賞賛。






 
 また、細かな点数のことも生の臨場感も伝え(られ)ないマスコミに対する失望感も。

 採点票も素早く公開されていました。ネット時代のいろいろな面が見えて面白い夜でした。






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生活をflush!

2010-03-27 23:47:36 | Weblog
 この週末からいよいよ引っ越し荷物の整理開始です。

 手伝いに来ているうちの奥さんからは、「いる本といらない本を仕分けてくださいな」と言われて、トイレや棚に積んであった本を整理し始めましたが、いや結構ありますねえ。三年間の間にこんなに読んだかな。

 いろいろ良い本も読みましたが、私は「ここだ!」と思ったところにガシガシと線を引いてページの角を折り曲げるので、これではとても古本屋さんに売るわけにはいきません。

 良い本もおそらく二度と読み返すことはないのでしょうが、それでも降り曲げを便りに引用したりはするのでなかなか捨てられずやはり大量に持って帰ることになります。でもやはり読み返すよりはまだ読んでいない良書を読んだ方が良いと思うんでしょうね。

 最後の一年は、読んだ本のレビュー記事も少なかったかな。ちょっと反省です。

    ※    ※    ※    ※

 さて、私が住んでいる川崎市は、粗大ゴミを出すのにもネットで事前に登録をしなくては行けません。

 月に二回の粗大ゴミ回収日に登録して事前に廃品処理票を購入してそれに登録時の番号を書き込んで、捨てるものに貼り付けるシステム。ここで役立つのが住基カードとカードリーダーなので、まだこれだけは片づけてしまうわけにはいきません。

 引っ越しもたまにして、溜まってしまった生活の澱(おり)を押し流してしまうのもよさそうです。

 人生をフラ~ッシュ(flush!)!
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三年間を一言で言うと

2010-03-27 22:04:21 | Weblog
 後任との引き継ぎを終えて、夜は職場のチームが後任を交えて歓送迎会を催してくれました。

「三年間のお勤めの感想はいかがですか」と訊かれての答えは、「都市の新陳代謝する様をまざまざと見ました」というもの。

 こちらへ来て都市再生というものをきちんと見るまでは、鉄筋コンクリートの建物は簡単には姿を変えるとは思っていませんでした。

 しかし、コンクリートの建物とはいえ寿命は大体50年。寿命が来る前だって、今日であれば省エネや省CO2、バリアフリーなどさまざまな社会的ニーズが高まると、それに応えていないビルは価値が下がってしまい利益があがらなくなります。

 建て替えをするためには投資が必要ですし、投資に見合う利益を上げるためにはそれ以前よりも周辺の地主さん達と協力して土地を集約したり、高さと床面積を大きくするような、価値をさらに増進するような工夫が必要です。

 「都市は完成しない」と言われますが、新陳代謝しながら常に新しいニーズを取り込んで変化しているのが都市。改めて皆さんの住んでいる町を見てみてください、年々歳々少しずつ変わっていることが分かるはずです。

    ※    ※    ※    ※

 真っさらで単純な土地にマンションやオフィスビルを建てることは民間事業者でもできますが、都市計画の地域ミニ版である地区計画などで自治体と調整をしながら機能改善や防災など、まちづくりを未来へ向かって進めるにはしっかりとした計画と提案が必要です。

 そんな縁の下の力持ちをだれがやっているのか、それが上手にやられているなんて分かるのは、一握りの玄人でしかないかもしれません。

 目立つところでも目立たないところでも、我々の仲間達は都市の成長を確かに手助けしてをするプロの集団でした。

 レベルの高い良いものを見せてもらった三年間でした。
 
 これが私の感想です。ありがとうございました。

 
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本日解禁です

2010-03-25 23:55:15 | Weblog
 本日人事異動の正式な内示をいただきました。行く先は北海道の札幌で、三年ぶりの帰還となります。

 うすうすいろいろな情報が飛び交う中でも噂は数多くありましたが、本日を以て正式に決定で解禁となりました。

 東京での3年間は読書、いろいろな人との出会いそして知らない土地巡りでまた新しい世界が広がりました。百聞は一見にしかずと言いますがまさに、そこに身を置いてこそ分かる実感や肌感覚こそが現場主義というものです。

 しかしそうした現場主義もまかり間違うと狭い視野の特殊な出来事かも知れず、常に現場の目の前で起きている現実とマクロに見た世間全体の動きとを自分の中でバランスさせる必要があります。

    ※    ※    ※    ※

 ノーベル経済学賞を取ったグンナー・ミュルダールという経済学者は「経済学が価値判断からは不可分であり、そこでどのような価値判断を前提としているかを明らかにすべきである」と言っていますが、物事の見方はまさにそのとおり。

 自分が何を正しいと思うか、そしてなぜそれを正しいと思うのかということを常に考えている方がよいですね。


 さて、中学校にしても高校にしても、青春時代の三年間は相当たくさんの思い出があるものですが、この年になると長いようで短いもの。それでもこの中に、これからの将来を左右する出会いや感動、そして考え方を変えるような何かがあったのでしょうか。過去のブログを読めば思い出すものでしょうか。


 そんなわけで今日のところは異動決定のお知らせまで。

 これから遠くなる方へ、お世話になりました。

 これから近くなる方へ、よろしくお願いします。


  
  
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ラジオはネットの仲間になれるのか

2010-03-24 23:11:16 | Weblog
 ネットラジオのradiko.jpのサービスが始まったという話題を先日お伝えしました。

 ネットユーザーの間では早速それをとりまくサービスを各自が提供し始めて面白い動きが始まっているようです。ラジオはネットの仲間になったのでしょうか。

---------- 【ここから引用】 ----------
ラジオ聞きながら交流 「radiko」関連サービス、個人開発者が続々 2010年03月19日 18時20分
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/19/news070.html

 AM・FMラジオをPCで聴ける「radiko.jp」が人気だ。radikoを便利に使うための非公式サービスを個人開発者が続々とリリースするなど盛り上がっており、ラジオの魅力が再確認されている。


 公式のradikoプレーヤー AM・FMラジオ放送をPCで聴ける「radiko.jp」が、3月15日のスタート以来人気を集めている。radikoを便利に使うための非公式の周辺サービスを個人開発者などが続々と公開。ラジオの魅力が改めて見直されている。

 radikoは、AM・FMラジオ番組を放送と同時にCM含めて丸ごとPC向けに配信する「IPサイマルラジオ」の試験サービス。関東・関西の計13局の放送を、聴取エリア内のPCのWebブラウザから聴ける。ラジオを持っていなかったり、自宅に電波が届かないネットユーザーに人気で、15日のスタート直後からアクセスが殺到し、一時つながりにくくなるといった事態も起きた(ラジオ放送のネット配信がスタート アクセス殺到でつながりにくい状態も)。

【ラジオ聴きながらコメントで交流 周辺サービス続々】

 CoRadiko この人気を受け、radikoをより便利に使ったり、リスナー同士で交流できるサービスを、個人開発者などが次々にリリースしている。

 (中略)

 「予告.in」などを開発してきた矢野さとるさんは、チャンネルごとに設定した匿名掲示板で交流できる「radipo」をスタート。radikoのプレーヤー横に匿名で発言できる掲示板を配置し、リスナー同士で交流できる。発言はTwitterのアカウント「radipo」にも投稿されるため、番組のTwitterアカウントへのリプライなどにも使える。

 (中略)

 radikoの各局の再生画面URLを短縮URL化した「rdk.me」は、「携帯動画変換君」などを制作したMIROさんが公開。聴いているチャンネルをTwitterで紹介したい時などに便利だ。ニワンゴの「ニコニコ実況」もradiko各局に対応。同じ番組を聴いているリスナー同士でコメントをやりとりできる。

 radikoはAPIも公開していない試験サービスにも関わらず、スタートから1週間も経たないうちに周辺サービスが盛り上がっており、PCでラジオを聴ける環境がいかにネットユーザーに待望されていたかを証明している。radiko人気は、“ラジオ復権”の切り札になる可能性を秘めていそうだ。

---------- 【引用ここまで】 ----------

 先日お伝えしたネットでラジオが聴けるradiko.jpの続報です。

 ラジオがネットで聴けるようになったことで、それをネタにした様々な動きがネットユーザー達の中から派生的に出て来ています。

 ラジオを聴きながら、コメントを書き込めるというのはニコニコ動画のラジオ版のようなサービスですが、あっという間にこういうソフトを作り上げてそれを一般に公開して大勢の利用者が使えるようになるというネットユーザーレベルがまずすごい。

 これに視聴者が飛びついて、ラジオ番組をネタにして相互に盛り上がっているとのこと。

 しばしば既存メディアとネットは仲が悪いと言われますが、決してそうではなくて、ネットユーザーにしてみると自分たちの思いを一方的に流して「これが正しい価値観なのです(大衆の皆さんは分からないかも知れませんが)」という押しつけがましさがどうも鼻についているわけです。

 そして批判も賛同も受け付けないというかたくなな姿勢も既存メディアの共通した姿勢です。私の知る限り新聞メディアで記事に読者のコメントを受け入れているのは韓国の中央日報くらいなものです(笑)。

 ネットユーザーは自由な言論のネタを提供して欲しいと願っているのであって、今回のradikoはそれを取り巻くユーザーの努力によって新しい言論空間を作り上げて行くのかも知れません。

 そうなるとラジオは既存メディアとして川の向こうにいるのではなく、川を渡ったこちらの仲間として認められているのではないでしょうか。

 ラジオがネットの仲間になることで、やはり良質なコンテンツは磨かれ、粗悪なものは消えて行くという大衆の神の手が働くことが期待されているのだと思います。

 ネットラジオは新しい楽しみを与えてくれています。
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黄砂がもたらす意外なもの

2010-03-23 22:32:58 | Weblog
 週末は日本列島を春の嵐が吹き荒れ、大陸からは多量の黄砂をもたらしました。

 最初は「これなんだろう?杉の花粉じゃないよね」と言っていたのですが、後から黄砂だと分かりました。なんだか喉ががらがらするしあまり気持ちの良いものではありません。

 でも黄砂がもたらす意外なものがあるそうで。
 
---------- 【ここから引用】 ----------
大気汚染で海洋プランクトンが異常発生 2005年2月15日
http://wiredvision.jp/archives/200502/2005021507.html


 陸上の大気汚染が進むと海上の一般的な温室効果ガスが減少する――そんな事象と化学反応の驚くべき連鎖が10日(米国時間)、ジョージア工科大学の研究者グループにより明らかにされた。

 研究者たちによるとこの連鎖には、ゴビ砂漠の砂塵嵐や臨海工業地帯で発生する有害な亜硫酸ガス(二酸化硫黄)の増加、海中の植物プランクトンの異常発生が関わっており、ひいては大気中の二酸化炭素の減少にもつながるという。二酸化炭素はちょうど温室の壁のように熱を大気中に閉じ込めてしまうため、地球温暖化の原因となっている。

 得られた結果は予想外でいささか皮肉なものだったが、研究者たちはこのことをもって公害の発生源に対する規制緩和の根拠とすべきではないと考えている。むしろ、人間が環境に与える影響を解明するためにさらに多くの研究が必要であることを示しているのだという。

 「今回明らかになった連鎖から、この環境がどれほど壊れやすいものであるかがわかる」と、この論文の筆頭執筆者となったジョージア工科大学地球・大気科学部の研究者、ニコラス・メスキゼ博士は語る。「こうしたすべてが関連し合い、非常に微妙なバランスを保っている。何かを変えれば、必ず何らかの結果が生じる」

 メスキゼ博士は、工場から排出される亜硫酸ガスは人や環境に有害な酸性雨の原因となるため、排出量の削減はこれから先も重要な目標だ、と付け加えた。

 メスキゼ博士と共同執筆者のウィリアム・チャマイデス教授は、2001年にアジアで収集された地上、大気および衛星観測のデータを使って研究した。この研究により、中国北部からモンゴル南部に広がるゴビ砂漠の小さな砂塵嵐の発生から始まるプロセスが明らかになった。嵐は大量の砂塵を巻き上げ、そこに含まれる鉄を上海など沿岸の工業地帯へと運ぶ。ここで、工場が大気中に排出する亜硫酸ガスと砂塵の中の鉄が混じり合うことになる。

 混じり合う過程で、砂塵の酸性度は鉄が容易に水に溶ける程度まで上がる。変質した鉄は風に乗って海に運ばれ、海水に溶け込むが、それが植物プランクトンの恰好の養分になる。こうして大量発生した植物プランクトンが光合成の過程で二酸化炭素を消費し始め、連鎖を完結させる。

 もっと規模の大きな砂塵嵐では、砂塵に含まれる多量の炭酸カルシウムによって酸性度が低下してしまうため、同様の影響は与えないようだ。つまり、大きな嵐の場合、亜硫酸ガスを取り込んで砂塵に含まれる鉄を水に溶けやすくするという効果が小さい。

 このプロセスの概要をまとめた研究論文は、『地球物理研究ジャーナル――アトモスフィアズ』誌に今月掲載される予定だ。

 メスキゼ博士は、研究結果には自信を示しながらも、このプロセスによって一体どれだけの二酸化炭素が大気中から取り除かれるかを解明するためにはさらなる研究が必要だと、慎重な姿勢を見せている。また、砂塵と大気汚染が出合う、世界の別の場所でもこのプロセスが繰り返されているのかどうかを調べることも重要だとも述べた。

 「この研究は、正しい方向へ踏み出すための第一歩だ」と、メスキゼ博士は語った。「この研究によって、生態系におけるこうした種類の関連性に目を向ける必要があることがわかった。さらに多くのメカニズムが関わっていて、さらに多くの連鎖を見いだす必要があるのかもしれない」

[日本語版:石川あけみ/福岡洋一]

 原文はこちら → "Pollution may feed plankton" http://www.wired.com/science/discoveries/news/2005/02/66571

---------- 【引用ここまで】 ----------

 最近「鉄」が生き物の成育に大きく関わっているということがだんだん分かってきました。磯焼けなどの海岸に鉄団子を撒くことで海草が復活したなどと言う実証実験結果も報告されています。

 http://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/news/digest/2010/0216/13p.html




 それにしても、ゴビ砂漠で舞上げられた鉄が、産業化による酸性化で水に溶けやすくなった上で日本まで到達しているとは。はた迷惑な霞ですがその陰で微妙な環境バランスが潜んでいるというのでは、環境の問題は実に難しいことが分かるというものです。


 ちなみに、高野辰之作詞、岡野貞一作曲の文部省唱歌『朧月夜』(おぼろづきよ)は、

【 歌詞 】
1. 菜の花畠に、入日薄れ、
  見わたす山の端(は)、霞ふかし。
  春風そよふく、空を見れば、
  夕月かかりて、にほひ淡し。
2. 里わの火影(ほかげ)も、森の色も、
  田中の小路をたどる人も、
  蛙(かはづ)のなくねも、かねの音も、
  さながら霞める朧月夜。

 ・・・と歌われていますが、これも春風に霞む黄砂を歌ったものなんだそう。環境への好・悪影響を考えながらも、これをひとつの季節の風物詩として捕らえるあたり、自然をよく見つめる日本らしいと言えそうです。 
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ワンセグ放送を持ち歩く

2010-03-22 23:53:08 | Weblog
 単身先にはビデオなどのテレビを録画する機器がありません。

 携帯電話でも録画は出来るのですが、必ずしも電波の良いところにいるわけでもないし都合良く録画が出来るわけでもありません。

 そこでなにか良いものはないかと探していて、パソコンでワンセグ放送が受信できて録画も出来るというワンセグチューナーを買いました。

 Buffalo社製 DH-KONE/U2VP
 http://buffalo.jp/products/catalog/multimedia/dh-kone_u2vp/index.html?p=spec





 録画したところで家ではあまり見ている時間もないのですが、それでもテレビに縛られずに自分の都合で生活ができるようになりました。

 さらにこの製品の良いところは、録画した番組を携帯電話に移せること。これなら通勤時間や移動時間中に見ることができて効率的です。

 もっとも、ワンセグも画質は悪いものの一応デジタル放送なのでダビング10という制度に引っかかり、簡単に移すわけにもいきません。単純なコピーではできないのです。

 そこで必要なものが著作権保護機能付きカードリーダー/ライター。おまけに10回までの『ムーヴ』なので、その回数をカウントするためにはインターネットに接続していなくてはならず、まあ面倒くさいものです。

 http://buffalo.jp/products/catalog/multimedia/dh-op-sdcr/




 ワンセグチューナーさえ買えば携帯に移せると思ったところ、カードリーダー/ライターを追加で購入しなくてはならずちょっと計算が狂いましたが、まあ仕方がありません。

 しかしこれで携帯電話でもモバイルパソコンでもワンセグが利用できるようになりました。まあどれくらい使うものかよく分かりませんが、新しい時代について行くのはなかなか大変です。ふー 

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