北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

少年老い易く学成り難し

2012-09-30 23:45:17 | Weblog
 ある詩吟の会の創立記念吟道大会で挨拶を述べてきました。

 こういう方面には全く素養のない私なので、道内各地から地区を代表するお歴々と共に来賓席に座っているのは何とも気恥ずかしい限りです。

 一部には和歌や俳句などもあるそうですが、主には漢詩に節をつけて詩情を表現するという吟道は江戸時代後期に盛んになり、幕末の志士たちは悲憤慷慨を詩に乗せて謡ったそう。

 今のような形が整ったのは大正から昭和初期に優れた吟詠家が活躍したおかげで、今日の様々な流派の礎がこの時期に築かれたのだそうです。

 漢詩を素読して楽しむというのは分かりますが、これに節をつけて声を出すことを一つの芸術や吟道として成立させるというのは、何にも道を見出す日本人的な楽しみ方だと思わざるを得ません。

 
 市政を全うしようとするなかで、数多くの市民の皆さんとお会いしますが、願いはひたすら一人一人が健康で文化的な生活を送っていただきたいということです。

 詩を吟じるというのは、まずは詩を覚えるのに頭を使い、肺と腹筋とのどを使って浪々と声を発するだけではなく、さらには仲間たちと切磋琢磨しながら上手になろうとする向上心を保ち続けるというのですから、健康になるためには非常に良い活動のように思います。

 会長さんの挨拶の中では、残念ながら会員数は減少しているとのことですが、少しでも多くの方が参加して健康な生活を営んでいただきたいものです。

 
 いただいた資料には、何人かが合唱のように吟じる「合吟(ごうぎん)」の欄に、朱子学を開いた朱熹の「偶成」という詩が載せられていました。

 曰く、

 少年老い易く学成り難し
 一寸の光陰軽んずべからず
 未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢
 階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声


 心が洗われるようです。
 
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自主夜間中学フォーラムin釧路

2012-09-29 23:26:13 | Weblog
 北海道自主夜間中学フォーラムが釧路で開催され出席してきました。

 北海道には、札幌(札幌遠友塾)、旭川(旭川遠友塾)、函館(函館遠友塾)、そして釧路の「くるかい」という四つの自主夜間中学校がありますが、これらの活動を多くの人に知ってもらおうという趣旨で釧路市が主催したものです。


 自主夜間中学に対しては公立夜間中学というのがあります。

 公立夜間中学は学校教育法に基づいて自治体の教育委員会が設置するもので、これは全国的に非常に数が限られており、北海道には一つもありません。

 自主夜間中学とは文字通り自主的に学び直す場を地域が主にボランティアで運営している場です。

 実は学び直しにも明確な線引きがあって、不登校などで中学校をちゃんと卒業していない人たちの学び直しには、義務教育としての公立夜間中学校として公費を支弁することができます。

 しかし、仮に不登校などで出席していなかったにもかかわらず、学校側の配慮や親の求めなどで中学校の卒業証書をもらってしまったら、それはもう義務教育課程を終えたとみなされて、再度公費を使って学び直しをすることは経費の二重負担となり認められないのです。

 世間には、戦争や貧困で幼少期に適切な学校教育を受けられなかった人や、不登校で学校を離れてしまった人、さらには在日の人たちや結婚などで来日した外国人など、学校教育の間におかれた様々な学習ニーズがあるのですが、それを救い上げているのが自主夜間中学校というわけです。

 
    ※     ※     ※     ※     ※


 自主夜間中学校に参加する方の多くは、実は戦時中に学べなかったお年寄りが中心で、そこに不登校の子供たちの学び直しや外国人などが加わります。

 ですから年齢層も幅広く、学業の進度もばらばら。それでも世代を超えたコミュニケーションのなかで、一人一人が成長して、ここから立ち直る人も少なくないのだそう。

 今日のフォーラムの最初は、東京の都立夜間中学校で長年教師として活躍され、その後自主夜間中学校「えんぴつの会」を主催されている見城慶和からの基調講演。


 【見城先生は、映画『学校』のモデルなのです】


 先生の中には数多くの人間ドラマがあることでしょうが、今日は不登校から立ち直った「シンちゃん」を中心にしたDVDを見せていただきました。

 また、札幌、函館、旭川、釧路の各自主夜間中学から一人ずつがそこでの思いを発表して会場の涙と拍手を受けていました。

 学ばないと生活に困ったり損をするということもありますが、人間はやはり学ばずにはいられない存在なのだ、とも思うのです。
 

 【涙なくして聞かれません】


    ※     ※     ※     ※     ※


 さて釧路の場合、この自主夜間中学校「くるかい」の活動に対して地元からの寄付が回るシステムを実験中。

 これは地元商店の加盟による「スキップカード」を使い、購入金額の1%を寄付に充てることができ、その寄付対象に「くるかい」も指名することができるのです。




 人々の善意が買い物の一部というお金で、経済として回る仕組み。

 そして、善意を地域に還元しようと思えば参加している地域内のお店で消費をしましょう、ということ。

 善意、経済、域内循環、そして文科省じゃやれない学び直しを地域内のシステムとして包含しているなんて…、すんごいシステムでしょ。

 考えた人は釧路市役所の名物男のTさん。これで社会を変革してやりましょうよ! 


 【学校はおもしろいところです】
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【おまけ】『オウンゴールが続いた対中外交 - 山田 高明さん』を読んで

2012-09-29 22:25:59 | Weblog
 BLOGOSという様々な識者がブログを載せているサイトに、山田孝明さんという方が、『オウンゴールが続いた対中外交』と題する一文を投稿されていました。 → http://bit.ly/R20uPZ

 内容をかいつまんで言えば、中国は決して一枚岩じゃなくて内部は権力闘争の嵐。中には嫌日・排日の派閥があれば多少は親日的な派閥もある。

 そのうえで今現在の政権である胡錦濤・温家宝体制はどちらかというと親日で、次なる習近平は胡錦濤・温家宝体制に対する反体勢力を集めたものになるとみています。

 つまり、石原都知事の尖閣諸島買い上げやそうはならじと国有化を進めた野田政権は、中国の親日派の足を引っ張り、それが反日派に口実と力を与えてしまった、というのです。

 こうした権力力学は精緻に把握したうえでこれを上手に使った外交戦略が必要なはずですが、そういうことに触れた記事を久々に読んだ気がします。

 しかしこれを読むと、こういう情報ってちゃんと把握して伝えられていたのでしょうか。日本の大使館って一体どんな仕事をしていたのかと思ってしまいます


    ※     ※     ※     ※     ※


 さて、この記事を紹介したところ、フェイスブック上で、「日本もいつまでも『領土問題は存在しない』と言い続けていてよいのでしょうか」というお尋ねがありました。

 どうもデモや破壊行為で痛い目にあった経済人の一部から、「領土問題は存在しない、で良いのか」という声が上がってきていますが、これはやや国内がぐらついているという相手にしてみれば「しめしめ」という状態なのではないでしょうか。

「領土問題は存在しない」というのは、日本にとっては外交上の橋頭保の一つで、それが崩されるということは、さらに次を求められることに外ならないと誰もが感じることでしょう。

 ですから、できるだけ前で防ぎたいと思うのが外交上の常識なのだと思います。

 デモや暴動などを見せつけておいて、外交交渉を再開するためには「領土問題は存在することを認めろ」という主張に譲歩するのは、デモや暴動は外交交渉を進めるうえで効果的だ、という前例を作ることにほかなりません。

 つまり、日本にとっては「外交問題は存在しない」というところから譲歩して得られるメリットがないのです。ただただデメリットでしかありません。


    ※     ※     ※     ※     ※


 交渉学には「アンカリング」という言葉があります。ある品を取引しようと思う時に、たとえば(1万円で売りたいな)と思っているときにはまず、「じゃ2万円でどう?」とふっかけましょう。

 相手側が、「ええ?1万円くらいじゃないの…」とくればしめたもので、この「2万円」がアンカリングとなる数字です。

 交渉はここで1万円と意味のない2万円の間で始まり、しばしば「じゃ痛み分けで1万5千円でどう?」ということになるでしょう。

 これで本当は1万円でいいと思ったものがより高く売れたことになります。これがアンカリングの効果。

 「アンカリング」をwikipediaで見ると、「交渉において最初に極端な立場を取るべきだということを示唆しているとする専門家もいる」という記述がありましたよ。


    ※     ※     ※     ※     ※


 今回の中国は、全く根拠のない「領土問題はわが領土」という随分ふっかけたところにアンカリングを打ってきています。

 これと「領土問題は存在しない」という日本側との二国間の交渉が、「じゃあ領土問題を認めたうえで棚上げにしよう」などというところにおさまったとしたら、これは完全に中国の勝利です。何も失わずに中国側が成果を得ただけではありませんか。

 したがって、少なくとも日本としては、「領土問題は存在しない」というところにアンカリングを留めるのではなく、こちら側も安価リングを打ち返すべきです。

 例えば、「これではODAを始めいろいろな支援は無理だし、国内からの投資も逃げるし、被害の補償はしてもらわないと困るし、貴国もメンツがなおつぶれるし、○○もだめだし××もできないし…」というように向こうが思いきり困るところにアンカリングを打って、「ODAの減額くらいで国民感情が収まりました」と何か得るくらいの交渉をしてほしいものだと思います。

まあ表で正論をぶちかましつつ、どこで矛を収めるかというのはまさに精神力勝負ですが、どこぞの団体のトップのように経済を人質に取られればすぐに根を上げる日本でいい、という考えの人がいて、そういう意見を言うこと自体が交渉を難しくしているという認識があるのかないのか…。

 まあそう言わせるだけ懐に入り込んで個人単位で懐柔が行われているその向こう側の成果を見るたびに、日本人の純粋でまっすぐで単純な思考回路が浮き彫りになり、ほくそえんでいるのは中国、ということになっていてちょっと残念です。

 まあ、親日ですごした平時のときにどう備えているかが問われるのでしょうけれどね。なんだか情けないです。


    ※     ※     ※     ※     ※


 さらに一言加えれば、おそらく日本人は、『根拠なくふっかける』ということを「不誠実」で品のない行動だと思っているんでしょうね。

 国民を上げて(特にマスコミや知識人だけでなく庶民レベルでも)、品性と交渉を明確に分けて考えられないのが国際外交における日本人の大きな弱点です。

 国益をせめぎ合う国際外交の場面でも「お天道様が見ている」と思うのでしょうね。


 外交の場では日本国民をも良い意味で騙さないといけないというのはやっぱりハンデなのでしょうねえ…。
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電動歯ブラシ導入で歯の健康を

2012-09-28 23:36:55 | Weblog
 歯医者さんから指摘された歯の磨き残し。

 克服するには歯をちゃんと磨かないといけないのですが、「はっきり言って手で磨く分には限界があります」と言われました。

「じゃあどうすれば良いのですか?」
「性能の良い電動歯ブラシを使って正しい磨き方でケアすることをお薦めしたいです」

 そういわれて教えてもらったのが外国製P社の電動歯ブラシ。ちょっとお高いですが、健康には代えられません。


 【P社製電動歯ブラシ、すごい振動です】


 超音波振動で、歯と歯茎の歯垢を効率的に落としてくれるという触れ込みでしたが、買って2週間ほど経ったところで歯医者さんで磨き方チェックをしてもらいました。

 磨き残しチェックと言えばお約束の、歯垢が赤く染まる薬を口に塗られると、うむむ、いたるところに磨き残しがあります。

「一生懸命やっているんですけど…」
「正しく当てて正しく磨かないと、いくら電動歯ブラシでも性能を発揮しきれません。歯と歯の間に注意をして、ゆっくりとずらすように磨いてくださいね」

 美人の歯科衛生士さんから、奥歯から前歯、表と裏の磨き方をそれぞれ教えてもらい、改めて歯磨きをしっかりやるようにと指導されました。

 一生付き合う歯だから仕方がありません。

 まずはしっかりと気持ちをこめてケアしてみます。

 健康がお金で買えるわけではありませんが、お金で買える健康への道なら自分への投資と思っても良いでしょう。

 最近は口腔の健康が全身の健康に大きく影響するという話も出ています。

 皆さんも歯の健康には十分お気を付け下さい。
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改めて道東の観光を考える講演会

2012-09-27 23:45:43 | Weblog
「釧路地域の観光の将来を考える」というタイトルでの観光講演会。

 今日は、首都大学東京大学院都市環境化学研究科観光科学域教授 の清水哲夫さんと東京海洋大学流通情報工学科兵藤哲朗教授のお二人をお招きして観光に関する様々なお話を聞きました。

 冒頭で清水先生は、「韓国の人はほとんど札幌にしか行っていないのに、北海道には行ってしまったという感覚があるのではないか」という問題提起をしてくれましたが、それはまさに私が日頃から考えている問題点と同じです。

 「北海道の東」などと言っているうちは、北海道のどこかを見物した段階で北海道はすべて行った気になってしまっています。

 私も「東北海道」などと北海道の冠にコバンザメのようにくらいついているのではなく、「DOTO」などといった新しいエリアブランドを形成するべきだと思っているものの一人。

 道東などと言うくらいなら、「オホーツク」と言った方がよほど地域をよく表しているというものです。

 エリアブランドを形成するにはどんな名称や単語が良いでしょうか。



    ※     ※     ※     ※     ※

  
 清水先生は、「例えば日本ならば『イタリアへ行く』と言うだろうけれど、ロンドンに住んでいる人ならば、『ミラノへ行く』とか「ベネッィアへ行く」と言うに違いありません」と言います。

 目的地への距離にもよるけれど、現場の地理やエリアは何度も旅するうちに分かってくると言います。

 では道東の旅をする人たちは、どこへ行くつもりをしているのでしょう。

 そしてこれは我々が与えるよりも、海外からのインバウンド観光客に、「どこを楽しみにして、どこへ行く旅ですか、あなたはどこへ来たのですか?」と訊いてみたいものです。

 案外、釧路空港へ降り立っても「やっと旭山動物園が見られる」などと楽しみにしている人がいるかもしれませんが、だとしたら釧路や阿寒のステータスが問題です。


    ※     ※     ※     ※     ※ 


 続いては東京海洋大学の兵藤哲朗教授。主に観光統計を上手に使って自分たちのまちの観光を適正に評価しよう、というお話でした。

 兵藤先生は、学生時分にサイクリングの旅で道北から道東を回られたのですが、もう30年も前のことだと言います。

 ぜひとも、30年間一度も来ようとは思わなかった理屈と、それでも道東へ行くならここへ行きたいと思うところはどこですか、と訊いてみたかったけれど、ちょっと果たせませんでした。残念。

 
    ※     ※     ※     ※     ※


 いずれにしても、一朝一夕に地元の観光資源を作り出すわけには行きませんから、またゆっくりとやり直すことにいたしましょう。

 観光の話で面白かったのは、リゾート地で長逗留をするライフスタイルでした。

 リゾート地へ行ってそこからどこへも行かずにただボーっとしているのは、何か新しい出会いを求める旅とは違って、『単に日常が広がって日常のエリアを越えていっただけ』とも言えそうです。

  沖縄は最近リピート観光客が増加していると聞きますが、その実態は馴染みの旅館に安く泊まって、ダイビングだけして帰るという、お金を使わない旅になっているのだとか。

 そういう先達の苦労を感じながら自分たちは何ができるのかを考えたいですね。

 お二人の先生、どうもありがとうございました。


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日馬富士関の横綱昇進で日本の国柄を考える

2012-09-26 23:45:26 | Weblog
 大関日馬富士が九月場所で二場所連続となる全勝優勝を果たして、今日第七十代横綱に昇進しました。

 日馬富士関は、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で行われた伝達式で「横綱を自覚して、全身全霊で相撲道に精進します」と力強く口上を述べたそうで、相撲道の頂点に立つ覚悟と気概を見せてくれました。

 横綱大関陣に外国籍の力士が増え、日本人力士の力が相対的に落ちていることを憂う声もあります。

 しかし、親方がしっかりとした指導をした力士は、例え外国籍であっても相撲の心をしっかりと理解していて、国籍だけ日本という日本人よりも素晴らしい人間性をもっているように思います。

 なにより、髷を結い、浴衣や着物を着こなして、回し一つで勝負にかけ、勝っておごらず負けても感情を表に出さないような振る舞いを身に着けている力士となれば、もう日本人以上に日本の文化や考え方を理解している立派な日本人です。



 【旭日マークに深い意味はありません、念のため】

    ※     ※     ※     ※     ※


 相撲の力士(プロレスラーもそうなのですが)という格闘家となれば、一般的には『力強い』という印象が強いのですが、彼らが本当にすごいのは、それに加えて怪我をしない『柔らかさ、柔軟性』と、稽古に稽古を重ねることで本場所を戦い抜くだけの『スタミナ、持久力』を身に着けていることです。

 力強さ、柔軟性、スタミナというそれぞれに別な能力を併せ持ったのが格闘家としての力士なのですが、角界で出世を果たしてゆくためにはさらにそれに加えて品格や風格、精神力が求められるというのがこれまた非常に日本的なところと言って良いでしょう。

 力強さ、柔軟性、スタミナは外見的に見極めが着きやすいのですが、精神力や品格となるとなかなか説明ができず分かりにくいことでしょう。

 『品格』という言葉の意味がとうとう最後まで理解できなかった横綱もいましたが、これを身に着けていないと世間の評価が高まらないというのが日本的です。

 
 私は国家の国柄にも経済・軍事的な力強さ、変革を厭わずに前進できる柔軟性、そしてどんな困難にも耐え続けるスタミナがあるのだろうと思っていて、しばしばこれら一見して分かりやすい指標で国の序列が語られています。

 『GDPがいくらで世界何位になった』などと言った議論は、経済的な力強さの側面だけが語られているにすぎません。

 日本人の多くは見て分かる単純な指標に加えて、国としての品格を大切にしたいと思っています。

 しかしこの品格という言葉の意味を正しく理解して共感ができるのは長い歴史を持つヨーロッパの先進諸国や、他の国であっても洗練された教育を受けた一部の人でしかないようにも思えます。

 日本人が思うほどには世界は品格を求めていない…、という以上にまずは食っていける力強さが欲しいと思っている段階なのではないでしょうか。

 
    ※     ※     ※     ※     ※


 中国や韓国との国境を巡るいさかいが激しさを増しています。

 日本人には理解できないようなデモや反日的で暴力的な振る舞いは一見日本にダメージを与えているように見えます。

 しかし、日本という国は経済的な損失以上に品格を失うことを恐れる気高い国家であるということを、穏やかにしかし力強くメッセージとして発信し続けることこそが、やがていつか相手に恥をかかせることに繋がると信じるのは馬鹿げているでしょうか。

 私には決して馬鹿げたことだとは思いません。

 日本が経済的な支援をする国には、是非ともこの日本的な考え方をセットにして伝えてほしいものだと強く思います。


    ※     ※     ※     ※     ※


 横綱白鵬関は本当に立派な品格ある力士です。

 彼は小結になった頃からある後援者に「あなたは双葉山に似ているね」と言われ続けたそうです。

 そこで大関になったころに双葉山の取り組み映像を観てみたそうです。

 その中で双葉山が立会でも「勝ちにゆく」という気負いがまるでなく、相手の立合いをしっかりと受け止めてから自分の型に持ってゆく、いわゆる『後の先』という相撲をしっかりと取っていることに気が付き驚いたと言います。

 双葉山が六十九で連勝を止められたときに、「ワレイマダ モッケイ(木鶏)タリエズ」という電報を打ったというエピソードや、明治維新で断髪の風潮が大きくなった時に、力士の伝統を残さねばならぬと髷を残すように明治天皇に働きかけたのが大久保利通であったなど、相撲の歴史についても造詣が深く、まさに横綱として精神的に日々精進している姿が立派です。


 日本の精神文化を改めて考え、この日本で生まれたことに誇りと幸せを感じるきっかけを日馬富士関の横綱昇進という話題が与えてくれました。

 私も改めて、力強く柔軟で持久力に満ち、なおかつ品格ある国の国民として頑張りたいと思います。
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富裕層の旅を取り込め~観光人材育成講演会

2012-09-25 23:41:14 | Weblog
 第1回釧路湿原・阿寒・摩周観光人材育成セミナーに参加しました。

 今日のテーマは、「富裕層による富裕な旅を考えるというもので、講師にはILTM Asia日本事務局代表の福永浩貴さんと、北海道運輸局の水口猛課長補佐のお二人。

 ILTMとは、会員限定で富裕層向けの旅のお手伝いをする団体で、福永さんはその日本事務局代表として、日本における富裕層向けの旅を売り込むお仕事をしている方です。

 福永さんの講演は、『ラグジュアリートラベルへ「釧路エリア」を売り込むために~本物を求めるハイエンドな層へのおもてなしと地域人材」というもの。

 この講演を聞いて、私のうすぼんやりした富裕層イメージが大きく変わりました。今日の講演を聴けて良かった。




    ※     ※     ※     ※     ※


 まず富裕層旅行とは何か、富裕層旅行への取り組みの意義とは何でしょうか。

 私には、お金をもてあまして贅沢なことにお金を湯水のごとく使うという成金のイメージが強かったのですが、本当の富裕層とは実はそうではないのだそう。

 富裕層とは、投資できる資産が100万ドル(≒8000万円≒まあ約1億円)以上ある人をイメージしていますが、厳密にそれを証明した人を数えているわけではありません。

 ワールド・ウェルス・レポートという調査によると、2012年の世界の富裕層人口は約1100万人で、アジア太平洋地域の富裕層人口は約337万人、北米が約335万人、その他の地域ではヨーロッパが約320万人とのこと。

 残りはその他地域ですが、まあアジアと北米とヨーロッパで大体三分の一ずつというわけですね。

 そしてこの富裕層とは、常に本物を求め、『一生に一度の体験』を求めて旅をし、自分の持つ富を永続させるためのヒントを追究する旅行者なのだ、と福永さんは言います。。

 食、文化、人との出会いなどなど、インターネットで何でも取れる時代にわざわざ時間とお金を使って旅をすることの意味は、『心が豊かになり、人間が豊かになれるのが旅』だということ。

 そしてそれを心から信じて、『一生に一度、富を永続させるためのヒントを手に入れたい』と思って旅をするのが真の富裕層だというのです。


   ※    ※    ※    ※


 だから、外国の富裕層が日本に来たなら、日本でなければできない体験を与えなければ意味がない。

 福永さんは、日本の旅の中で世界に絶対負けないものがある、それは「日本旅館のおもてなしだ」と言います。


 日本旅館には物語があります。

 日本旅館の物語とは、1300年の歴史、個人経営・家族経営、全国5万件の施設、日本を屈指の国家にした「おもてなしの振る舞い」などです。

 これは、自然と人を尊び、人を喜ばせることに徹底的にこだわった日本人の文化であり、おもてなしの三要素である「装い」「振る舞い」「設え」は人を思いやる繊細な心があればこそ。

 世界のサービス業がマニュアルを作って規格を統一しようと躍起になっている現代、マニュアルなどない、家族経営だけで1300年もの間やってきた宿泊文化は世界の他にはないのです。

 この「おもてなし」の心こそが日本を世界の大国にしました。モノを作るときにも物事を繊細に捕らえる力が他の国とは断然違います。

 ウォシュレットなんて、人のお尻の穴までもてなす心に満ち満ちているではありませんか(笑)。



    ※    ※    ※    ※


 ところがそんなすぐれた日本旅館を有する国ですが、この日本には旅するうえで大きな問題点もあると福永さんは言います。

 それは、①本物になかなかたどり着けない、②誰にコンタクトして良いか分からない、③著しく乏しい情報量…ということ。

 これはひとえにコンシェルジュの不在ということに外なりません。

 知り合いもいなくて情報がなく、真実に届くために超えられない壁があるのですが、これは旅だけではなく地域活性化に当たっての大きな問題です。


    ※     ※     ※     ※     ※


 ここはやはり、高い能力を持つプロの旅行業者やコンシェルジュを育てて、地域コンテンツとの繋がりを来客サービスに活かし、海外バイヤーとコンテンツを効果的に結びつけるコーディネーターが存在していることが必要です。

 海外ではこれを、デスティネーション・マネジメント・カンパニー=DMCと呼ばれる会社が担っています。

 海外に顔の見える優秀なDMCを育てることが、地域の魅力を世界に伝える近道と言えるでしょう。


    ※    ※    ※    ※



 さて、改めて国際的な富裕層旅行事業を行う本当の意義について確認をしておきましょう。

 その一つ目は『ニッチで語られるものはマス(大衆)にとっての憧れ』であるということ。

 すなわち、本物の価値を知る人が訪れる場所は上質な地域ブランドになり、地域の価値が増すと、様々な地域産業へと影響が波及してゆく効果があります。

 トップニッチに認められたブランドは憧れとなり、やがて全ての人がこぞって頻繁に訪れるようになる。

 そしてそのためには、誰がターゲットで、我々が世界から見てどう映っているか、どう映りたいか、そして世界の欲求を理解しているか、を常に問いかけて答えを出してゆかなくてはなりません。


    ※    ※    ※    ※

 福永さんは世界中を旅して、本当に世界が日本に憧れているということを実感したと言います。

 彼のキーワードは、こういうものです。


 世界一のおもてなしをかたろう、

 日本語でいらっしゃいませを言おう

 旅館のままでいこう

 敷居を高くしよう

 迎合は止めよう 

 一貫したメッセージを世界に送り続けよう


    ※    ※    ※    ※


 だから一人一人が我が国を語りましょう、語れるようになりましょう。そのためには勉強と努力が必要です。

 富裕層旅行への取り組みは、その国、地域をどう海外に届けるかの根本であり、観光産業のみならず全産業の浮沈を握るカギになるのです。



  ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 



 最後は情報発信というよりは、まず自分たちの意識を変えようという話になりました。

 しかし冒頭でも言ったように、ただお金を使うだけの成金富裕層のイメージではなく、真剣に日々を生きて本物に出会いたがっている真の富裕層の求めに答えられるようなサービスと情報を提供したいと思いました。

 真剣な魂には真剣に応えなくてはならないのです。

 釧路よ、道東よ、もっともっとがんばろう。



 【講師の福永さん】
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心を高める、運命を伸ばす

2012-09-24 23:47:28 | Weblog



 心を作る月刊誌「致知」10月号からの心に残る記事から。

【特集 心を高める 運命を伸ばす】より
 様々な世界でそれぞれの一道を切り拓いてこられた多くの方々の話は多岐にわたり魅力的です。

 その人たちが共通して言われることが、伸びる人の条件でした。

「どういう人が伸びますか」という質問に、職業のジャンルを超えて、その道の頂点を極めた人たちが一様に答えたのは、「素直な人が伸びる」というシンプルな言葉でした。

 すなわち、素直な人でなければ運命を伸ばすことはできないということなのです。



 上智大学の渡部昇一さんが『生き方の流儀』という出版記念会で語られた運についての言葉が残っています。

 渡部さんは運命を高めるための心得として、幸田露伴の説いた「惜福(せきふく)」を挙げられました。

 それは自分に舞い込んできた服を使い切ってしまわず一部を取っておくこと。そういう心掛けの人に幸運の女神は微笑む、ということです。

 露伴はこの「惜福」と共に、「分福(ぶんふく=自分の福を分ける)」、「植福(しょくふく=福を新たに植える)」を運命発展の三つの要諦と説いています。

 また同じく『生き方の流儀』の共著者である日本将棋連盟会長の米長邦夫さんは、運命を伸ばす核に心の在り方を置いておられました。

 氏は、「ねたむ、そねむ、ひがむ、うらむ、にくむ。そういう気持ちを持っている人に運はついてこない」と言います。

 道を究めた人の言葉には心を高め運命を伸ばす妙諦がありますね。


    ※     ※     ※     ※     ※


 今月号で横綱白鵬と対談をしている稲盛和夫さんについても書かれています。

 稲盛さんが一貫して説いてこられたことは、「心を高めない限り、経営は伸びない」ということでした。

 その哲学は、「才能を私物化してはならない」という一語に顕著です。才能は天から与えられたものだから公のために使うべきで、私のために使ってはならないということで、まさに稲盛経営哲学の真骨頂です。

 心の在り方ひとつで人生は大きく変わることでしょう。

 自らの心を高めるというのは簡単ではありませんが、良書を読み、良き先達の言葉に虚心坦懐に心を開くことではないでしょうか。

 心にも栄養が必要です。
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摩周で会いましゅう

2012-09-23 23:25:08 | Weblog
 釧網本線利活用推進協議会が企画した地域活性化イベント『摩周で会いましゅう』に参加しました。

 これは、昨年が釧網本線全通80周年という記念として、網走と釧路の鉄道ファンの団体が相互に協力し合う協定を結ぼうと昨年の春に行うことになっていたものです。

 企画は網走駅を出発した汽車と、釧路を出発した汽車が両方の中間地点となる摩周駅で合流してそれぞれの汽車に乗った乗客たちが弟子屈でひと時を過ごして懇親を深めようというもの。

 ところが昨年春の企画は東日本大震災のために中止されてしまいました。

 時期を10月にずらして再度実施されたときは汽車は出発したものの、今度は網走を出た汽車が落ち葉によるスリップで途中の坂を上れずに、両者が合流することができませんでした。

 今回は釧路からは「摩周で会いましゅう号」、網走からは「オホーツク食いだおれ号」として臨時列車が仕立てられて、三度目の正直でやっと釧網の両者が出会うことができました。






 【撮り鉄の姿も】


 摩周駅近くのJA摩周の三階ホールで開催された式典では、弟子屈の徳永町長の挨拶のあとで釧路臨港鉄道の会と網走のMOTレール倶楽部が互いに地域を振興するために協力するという協定書を締結しました。



 MOTレール倶楽部の顧問である近藤網走市議は、「我々のクラブは鉄道ファンはもちろんですが、鉄道ファンでなくても地域振興に熱意を持っている人も加入しています。鉄道ファンが鉄道にかける情熱を上手に利用すると大きな力になりますよ」と語ります。

「今回のバーベキュー電車も、食材を様々な企業に協賛していただき、相当お得な旅になったことと思います。肉や野菜の素材は十分ですし、やはり道東は鉄道ファンにとっては聖地にも近いレアな価値があります。これらをいかにもっと売り込むかという作戦が大事になってくると思います」

 鉄道ファンが鉄道振興にかける思いは大きなものがあるので、鉄道を一つの軸として連携が深まるのは素晴らしいことです。今後の連携活動の行く末が楽しみです。








    ※     ※     ※     ※     ※


 さて、釧路から乗り込んだ我々は式典が始まるまでの時間を利用して、今日弟子屈町で開催されていたばん馬大会を見学してきました。

 このばん馬大会は、もう長くこの季節の地元の楽しみとなっていて、専用のばん馬場には出店も出る中で多くの町民の方が、椅子をもちこんでレースを楽しんでいます。

 レースは小学生の男の子や女の子が鮮やかな手綱さばきで居並ぶ大人たちを尻目に快走して会場の大きな拍手を得ていました。







 遠くには山がそびえ、のどかな秋の一日。

 故郷をここから楽しむというのはこういうことなんだろうな、と思いました。

 二日連続で弟子屈町を訪れたのもなにかのご縁でしょうか。

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一人の客として観光地を見て気づいたこと

2012-09-22 23:45:24 | Weblog
 そろそろ涼しさを取り戻しつつある道東の休日。

 今日はせっかくなので阿寒湖畔周辺に釣りに行こうかと思ったのですが、どうも水温がいまだに高くてどうも釣果が芳しくない趣きとの情報が。

 ちょっと熊も怖かったので、今日は釣りはパスして急きょカヌーに目的を変更しました。


 【小さい子供はガイドさんの息子ね】


 ガイドをお願いしたのはナヌークさんというカヌーガイドショップ。大阪出身で、こちらに住んで16年というガイドのベテランです。


 行く先は、先日NHKの放送「あさイチ」のJapaナビでも放送された屈斜路湖の和琴半島。


 【NHK「あさイチ」の一場面】

 午前中の風も止んで、カヌーには絶好の天候です。

 半島の付け根の西側から出発して反時計回りに半島を一回り。

 放送では半島突端で熱い蒸気が噴出しているオヤコツ地獄で卵を茹でたりしていましたが、カヌーでたどりついてみると、ジェットスキーの一団がいて、ちょっと近寄りがたい雰囲気だったのは残念でした。


 【オヤコツ地獄、ちょっと入り込めませんでした】


 それでも湧き出るお湯を石積みで囲った湖面の温泉では私たちだけの独占で一休み。

 全部で二時間のコースは、ゆったり優雅な時間です。



 【今日は足湯だけでした】


    ※     ※     ※     ※     ※


 カヌーの跡は阿寒湖畔のアイヌシアター「イコロ」で人形劇を観ようと思い、車を走らせました。

 事前にネットで調べて、土曜の人形劇は夕方の16時半からと思ってシアターへ向かってみると、「今日は祝日なので祝日のプログラムで、人形劇は1時からでした。

 うーん、残念。

 ネットの情報をよく見ると、確かに『祝日』の公演プログラムは別に書き出されていましたが、今日が土曜日ながら祝日だとは気が付きませんでした。


 【土曜日の欄は見たけど、その下に気がつきませんでした…(涙)】


 私のドジはそれとして、それ以外のお客さんにはちゃんと誤解がなく伝わるような情報提供が必要かもしれません。

 ちなみに、その後に訪れたニュー阿寒ホテルには、『9月22日のイコロは祝日用のプログラムです』という情報提供がちゃんとなされていました。情報提供ってこうでなくては、という見本です。

 …というわけで、一人の客として観光地を見るといろいろなことが分かります。

 このことを責めるつもりはありませんが、ちょっとした気づかなかった細かな不足をどう修正してゆけるかが観光地の底力なのだと思います。

 頑張れ阿寒湖温泉、また行きますぞ。
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