北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

日本経済のこれからを勉強する

2013-09-30 23:01:19 | Weblog

 先実、道内の道銀地域総研で「不確実性高まる今後の景気展開と政策運営」という特別経済ゼミが開催され、夜の勉強会でしたが参加してきました。

 講師は、日銀から出向中の日本経済研究センター研究本部主任研究員である愛宕伸康さん。

 現在の日本経済やアベノミクスの背景、そして世界経済の動向などについて縦横にお話をしていただきました。

 まず講演のテーマの意味として、「日本経済は、12年度補正予算の効果や消費増税前の駆け込みにより、13年度中は高成長を続けるが、それらの反動が出る14年度はゼロ成長まで減速する。
そして、政府は追加補正で成長率維持を図ると見られるが、果たして消費増税に伴う物価上昇に日本経済は耐えられるのか?」ということを述べられています。

 日本政府がどのような世界的な景気環境の中で日本経済をどのように導こうとしているのか興味深いものです。

 

 まず「日本の景気と政策」については、安倍政権が誕生してからの金融政策をアベノミクスと呼んでいますが、具体的には、QQE(量的質的金融緩和)と呼ばれる大規模の金融緩和を行っていて、オリンピックの東京開催決定など、「安倍さんやはり何かを持っていると思う。経済学的な答えではないが、何かを持っているリーダーにはついて行った方が良い(笑)」と笑わせます。

 当面の日本経済は、①海外経済の持ち直しや円高修正を背景とする外需の回復、②12年度補正予算の押し上げ、③株高・円高修正を背景とするマインド改善、④消費税率引き上げ前の駆け込み、などから高成長となり、実質GDP成長率は2.7%と12年度の1.2%から大幅に拡大する見通しであること。

 しかし、14年度は上記②と④の反動が出るために、実質GDP成長率は0.2%に大幅に減速する。そのうえで、「平成14年度については不確実性が高い。消費税率引き上げの影響は、賃金が明確に上昇し『生産・所得・支出の好循環』が機能するかどうかで変わってくる」とやはり不透明感が否めません。
 
 問題は賃金だ、ということを理解している人は多いのですが、なかなか賃金水準が上がることは考えにくい、という 

 

【世界経済の見通し】

 世界経済は、アメリカが牽引する形で緩やかに持ち直して行く、と見ています。

 アメリカは、自動歳出削減、給与税減税の終了など、「財政の崖」の影響が徐々に薄れて行く中、住宅市場の回復が明確になり、シェール革命による生産性向上もあって、実質成長率は拡大して行くと予想しているのです。

 一方、ヨーロッパは、欧州債務問題への取り組みが着実に進む下で、13年後半に向け緩やかに回復して行くものと考えています。13年の実質成長率は小幅なマイナスを余儀なくされるが14年にはプラスに転じると予想されるとのこと。

 さて、中国ですが、「成長vs金融システム不安防止(シャドーバンキング規制)」という難しい舵取りの下で、当面景気減速が続き、実質成長率は政府目標である7.5%を下回るレベルまで下振れすると見ています。

 中国では成長率7%前半にソフトランディングさせようと、公務員に対して倹約令を出し贅沢な浪費を取り締まるなど当局は相当神経を使っているのだそう。

 ところでこの倹約令にはこんな笑い話があったそう。

 習近平総書記が出ていたパーティの映像で、習氏の前のテーブルに料理の皿が四皿並べられていたことから、「パーティでも四皿までは贅沢ではないらしい」という話が広まり、パーティでも皿の数は四皿になったのだそうですが、それではやはり足りないということで、目の前には四皿でも次々に取り替えて回転させることで、足りるような料理を出しているのだとか。それでもとにかく五皿以上出すと、倹約令で取り締まりを受けるかも知れないという恐怖が浸透しているのがいまの中国らしいです。


     ◆   

 
 全体を通じた議論の前提は、緩やかな円安・株高・長期金利高の三点セットが続くだろうとしていることですが、何もハプニングがなければそうなると読めるのでしょう。

 「ブラックスワン」という本を書いた、ニコラス・タレブという作家がいます。

 タレブ氏はウィリアム・シャイラーというジャーナリストが、今の歴史では第二次世界大戦中という時代に書いた「ベルリン日記:1934ー1941」を読んで、あることに気がつきました。

「…シャイラーの本に出会って、歴史の仕組みについて直感的に分かったことがある。第二次世界大戦の始まりの頃を生きた人たちは、何か大変なことが起こっていると書き留めていたに違いない、今の人はそう思うかも知れない。でも、まったくそんなことはなかった」

 何かが起きるときって予兆があるように思えますが、過去の歴史をさかのぼると、あれだけの世界大戦が起きようとしているときでも、人々は何かが起きているとは思わないようです。

 世界の情報にもっと敏感になっていないといけませんし、逆説的ですが、敏感になってもダメなときはだめなのかもしれないし。

 まあ精々勉強は続けておくことでしょうか。


     ◆   ◆  


 ところで、最後の質疑応答の時間に質問を一つしました。

「講師の愛宕さんとしては、消費税増税をすると景気が腰折れになるとお考えでしょうか。仮にそうだとしても、今消費税を上げないという選択肢があるとお考えでしょうか?」というもの。

 それに対する答えは、「ある人は消費税は最後は25%くらいにしないと国全体の富の再配分はできない、という人もいるくらいです。計算上はどうしても増税前の駆け込み需要とその反動が出てくるので、増税の年はGDPが下がります。しかし私はそれが消費税を上げない理由にはならないと思います。逆に、国として国民に対して『反動でGDPは下がるけれど、それは想定の範囲内である』として、冷静な対応と未来への覚悟を促すようなメッセージを発する方が良いのではないか、と思います」というもの。

 私もその意見には共感する部分が大きいと思いました。

 いずれにしても、公共事業に携わる者として経済の問題や国の財政や福祉などにも広範な興味と勉強は欠かせませんね。


 講師の愛宕さんは、割と早口で、専門用語をポンポン使ってそれを知っている前提でどんどんと話を進めるので、頭の中は情報を処理するのに必死に回転していました(笑)
 
 そして、こういう興奮は東京っぽいとも思いました。こういうテンポで情報が交換され人が繋がってゆくのが東京なのだ、と。

 久しぶりに東京を感じた反面、札幌の情報交換レベルの寂しさもちょっと残念に思いました。

 たまにこういう勉強会に出るのは良いものです。

 

 

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まだドライで出るとは!~北海道の幸せ

2013-09-29 22:15:07 | Weblog

「小松さん、9月でしょ、まだドライで出ますよ」と、釣り仲間のHさんから連絡がありました。

「今週末はちょっと仕事が空いたので一緒に釣りに行きませんか」と誘われて、断るわけがありません。

 フライ初心者の私の妻もご一緒させていただくことにして、三人で道央地域の川の源流部へと行ってみました。

 この時期、まだ暖かければ緩やかな流れの淵が終わって急流の瀬になる直前のたまり部分で魚たちのライズが見られることもあるのだそう。

 もうすっかりドライの時期は終わったと思い込んでいる私ですが、そう聞かされて気分は高揚。

 おまけに、まだ行ったことのない川へ連れて行ってもらえるというので、喜び勇んで知人の車に乗り込みました。

 
      ◆   


 着いた源流部はちょっと水量は多いものの、日も差してきて気温も上昇し、まずまずのコンディション。

 この季節でもまだ川面からは虫が飛び立って、魚たちの食欲をそそっている様子がうかがえます。

 早速いくつかのポイントを見つけてドライのフライを投入。

 ピチャッと食いに来る魚のいるポイントで、三人で交代でトライアルすること30分、ついに私の竿にイワナが一匹かかってくれました。

 久々の釣果に気分は最高。スタイルも色合いも美しいイワナです。

 そして同じ場所で妻にも何回も竿を入れさせていると、最初のうちはフライに食いついても対応ができなかったのが、最後にとうとう一匹を釣り上げました。

 妻が渓流で魚を釣り上げたのは初めてで、まぐれかもしれませんが、ポイントにフライを落とし込んでナチュラルドローができるようになった成果かと、こちらの感慨もひとしおです。

  
 その後はなんどか反応はあるものの釣り上げるには至らずに昼食タイム。

 渓流を眺めながら食べるセイコーマートのおにぎりは最高です。


      ◆   ◆ 


 午後も時間が経ったので場所を替えて、帰るまでの途中で別な川で道路から入りやすいポイントを教えてもらいがてら、ちょっと竿を入れてみることに。

 こちらの方は護岸工事ががっちりやられている川ですが、堰堤もまたちょっとした溜まりを作っていて狙えるポイントがいくつもあります。

(ここかなあ?)と思うポイントで何度もトライをして、反応を見るうちに食いつく魚が現れて、こちらでもイワナ一匹とヤマベ一匹を釣り上げることができました。

 久々の複数釣果も幸せな結果ですが、この季節での魚の習性とポイントの見方を教えてもらえたのが最大の収穫です。

 
 朝は寒かったのですが、日中はほどほどに暖かく爽やかな日差しの中で魚たちとの知恵比べ。

 渓流のせせらぎを聞きながら、北海道の自然を五感に感じて贅沢な一日を過ごすことができました。

 心地よい疲れと共に、北海道にいることの幸せを心から実感できた一日でした。

 

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「あまちゃん」が終わっちゃいました

2013-09-28 23:45:55 | Weblog

 「あまちゃん」が終わってしまいました。

 視聴率の数字がいいとか、「じぇじぇ」が流行語対象候補だとか、脚本を書いた宮藤官九郎クドカンの小ネタの数々に気が付いたとか、とにかく様々な話題を振りまいたテレビ小説。

 本当に今年の春から今まで、このドラマを見て元気をもらいました。

 「あまロス症候群」だとか「あま鬱」と言うのだそうですが、「あまちゃん」が終わってしまって、寂しくなってしまう人が続出だとか。

 本当に、楽しくて明るくて笑えるドラマに入り込めば入り込むほどに、それが終わってしまった時の寂しさもまたひとしおです。

 こんなことなら、こんなにのめり込むんじゃなかった、という恨み節さえ聞こえてきそうです。


   ◆   


 最終回直前に、薬師丸ひろ子演じる鈴鹿ひろ美が1980年代で時が止まった天野春子の部屋で当時のアルバムなどを見ながら「懐かしー!」と叫ぶシーンがありましたが、まさに80年代をリアルで生きていた自分としても、懐かしいアイテムが詰まっていました。

 そして、このドラマをリアルで見た全国のあまちゃんファンも、未来のいつかまた、"潮騒のメモリー"を聞いて、「懐かしー!」と叫ぶ日が来ることでしょう。

 ドラマにはいつか終りが来るもの。

 終わったことを嘆き悲しむよりも、ドラマの中の人たちのこれからの幸せを祈るような明るく前向きな気持ちでいたいものですね。

 

     ◆   ◆   ◆

 

 あまちゃんのお母さんである天野春子役を演じた小泉今日子が、独占インタビューに応じたという記事がネットに出ていました。

 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37036

 小泉今日子って、女性アイドルとして人気を博した割には実は男らしいところが多い方のよう。

 また、それほど仕事に飢えているわけでもないので、「最初に朝ドラという言葉だけ聞いたときは、めんどくさ、という気持ちになった」のだそう。

 ドラマを巡る裏話も語られています。


 さて、本当にこのドラマには半年間、楽しませてもらいました。

 脚本、演出、出演者の皆さんたちの演技、音楽と、優れた才能が集まって、一つの時代を刻む素晴らしいドラマに出会うことができました。

 良い仕事は人を幸せにします。

 ありがとうございました。

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今日のリーダー像

2013-09-27 23:45:39 | Weblog

 先日、あるところで管理職研修の機会があって話をさせてもらいました。

 「管理職」などと言いながら、職場はいまや「管理」するものではなく「マネジメント」をするのだ、ということがよく言われるようになりました。

 確かに、人材、組織、時間、予算などの資源の配分を考えながら、目標成果を上げるのが組織のマネジメントですが、言うは易く、それでいてなかなか何をすればよいのかがわかりにくいところです。

 
 私は組織のマネジメントを、「意志」×「能力」×「関係力」だと思っています。

 意志とは「やる気」のこと。心を奮い立たせて目標に向かって立ち向かう強い心をいかに養うかということ。

 能力とは、スキルや経験、判断力、人脈などの持っている資産・財産を高めるということ。これらは学習や経験によって身に着くものですが、それには長い時間がかかります。

 そして関係力とは、組織の中での互いの関係を良く保っているという状態のこと。

 これらの三つの力を自分自身がいかにつけ、部下や周りにいかにもってもらうか、ということが組織をマネジメントするうえで大切なのだと思うのです。

 

     ◆   


 管理職はチームのリーダーでもあるわけですが、リーダーとしての振る舞い方も問われます。

 かつては「俺に着いてこい」「着いてこない奴は置いてゆく」というような、管理・命令型の親分的なリーダー像が一般的でしたが、やがて共に悩み共に支え合う横並びのリーダー像が登場しましたが、さらに一歩進んで、アメリカのR・グリーンリーフ教授は「サーバントリーダー」というリーダー像を提唱しています。

 "サーバント"とは「召使い」という意味で、上からでも横からでもなく、「部下を支えるためにリーダーは存在する」と考えるあり方です。

 他者に対する思いやりの気持ちや奉仕の行動を念頭において、他者に奉仕することでチームの信頼を得て、目指す方向へ導きやすくするというリーダー像。

 実際にはこれらの三つのリーダー像を臨機応変に組み合わせながら組織運営を行うことになるのでしょうが、固まったリーダー像に固執しない方が良いと言えると思います。


     ◆   ◆   ◆


 さて、ここのところJR北海道での車両や保線の管理不行き届きが次々に明らかになって、世間の批判を招いていますが、その原因の一つに、民営化された当初に新規採用を抑制したために、若手がおらず現場管理のノウハウが継承されていないのではないか、という指摘があります。

 JR北海道における実際のところはさておき、それが私の職場も含めて問題だ、という意識が高まっています。

 国家公務員の世界も総人件費改革の流れの中で新規採用は抑制され、定年退職も配置転換などで補うとされて今日に至っています。

 新規採用の若手がいないとどういうことになるかというと、課の中の職員の一番年下でも皆部下のいない係長クラスと言うことになります。

 管理職の皆さんは口をそろえて、いまの仕事をする体制に不安はあまりない、と言います。

 それは、仕事を任せても大丈夫な人たちばかりだからという安心感である反面、自分の仕事はできるものの部下を育成した経験がない人たちばかりになるという不安もあります。

 今後10年後に今いる管理職クラスの経験者がどんどん退職していった後に、後輩を育成するだけの力が育っているのかどうかが不安です。

 しかし、それを現実のものとしないように、今から対策を考えておかなくてはなりません。

 組織運営の大変さは古今東西変わりませんね。

 

 

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江戸城天守閣は再建すべき?

2013-09-26 23:50:17 | Weblog

 東京オリンピックが決定して喜びに沸き立つ国内ですが、この機会に江戸城再建の話が持ち上がっているようです。


  ------【以下引用】--------
 
「五輪に向け江戸城再建」案に賛否
 
      http://bit.ly/18ZWj42          

 2020年の東京五輪に向けて、東京の歴史的ランドマークとして江戸城を再建するという案について、ネット上で議論が起きている。


 江戸城再建を提案するのは、認定NPO法人「江戸城天守を再建する会」の理事長を務める小竹直隆氏だ。『週刊朝日』2013年9月27日号で小竹氏は、

「2020年、東京五輪には内外から約1千万人が来訪するといわれています。ですが、東京には日本の歴史や文化を誇る建造物がない。今こそ、日本一壮大で美しい城だった江戸城天守を再建する好機です」(原文ママ)

 と江戸城再建を熱望しているのだ。

 同記事によると、再建場所は一般公開されている皇居東御苑の一角を想定。400億~500億円といわれる費用は、協賛する企業や個人から寄付を募るという。また、松沢成文参院議員が2012年の都知事選出馬の際に公約として江戸城天守再建を掲げていたほか、谷垣禎一・前自民党総裁もNPOとの意見交換会で関心を示していたなど、政界にも賛同者がいるようだ。

 現時点では具体的な動きがあるわけではないが、江戸城再建に対するネット上での関心は高い模様。9月19日に2ちゃんねるニュース速報+板に立てられた「【話題】東京五輪のために500億円かけて『江戸城を再現したい!』谷垣前総裁も関心」というスレッドは、20日までに7スレッドを消化し、以下のような意見が寄せられている。

「7年で計画から竣工までできて、インパクトがあるものってなかなかないな。まあ、一つのアイディアとしてはありなんじゃない?」
「500億円でできるならいいんじゃないかな、東京のビルの中に城が建つ光景はぜひ見てみたい」

 など、江戸城再建に期待する声がある一方で、

「さすがに無駄金。ホログラムで再建とかそういうのにしとけ」
「今の東京の景観を考えろ。悪趣味にもほどがある」

と、批判的な声も少なくない。特に500億円もの費用をかけるということに疑問を呈する意見が多く、

「そんなもんに金を注ぎ込むなら、オリンピックまでに福島を『完璧』に安全な状態にしようよ? そっちの方が正に『安全な日本』とか、『技術力の国、日本』ってアピール出来るじゃんか」
「いやいやいや、江戸城よりもっと金をかけてやらないといけないことがいっぱいあるだろw
首都高の老朽化を改修したり…」

と、別の部分にお金をかけるべきではないかと考えるネットユーザーが多かった。

あくまでも「NPOが寄付を募り、それを費用として江戸城を再建する」という提案で、税金が投入されるかどうかはわからないが、皇居内の一角に建てるとなれば、国家的な事業にならざるをえないはず。ネットユーザーたちにとっても、興味深い話題だったようだ。

 
  ---------【引用終わり】---------


 
 江戸城は、太田道灌が作ったと言われますが、太田道灌は永享4年(1432年)生まれ。

 江戸城が完成して居館を遷したのは、長禄元年4月8日(1457年5月1日)であったと言い伝えられていますから、徳川家康が入ってくる遙かに以前のことでした。

 徳川家康が豊臣秀吉から関八州を与えられて駿府(現在の静岡市)から江戸城に入城したのは天正18(1590)年のことでした。

 家康が転居してきた頃は、まだ太田道灌が築城したころの姿の残った小規模な城だったのですが、その後幕府を開くまでに、それまであった本丸に加えて御殿などを増築してゆきます。

 家康の改築の後、江戸城の本丸は、三度築かれていますが、寛永15(1638)年に完成させたわずか19年後の明暦3(1657)年に、後に振り袖火事と言われる明暦の大火によって天守を含めた建物の多くが焼失しました。


 【振袖火事の火元である本妙寺】

 ただちに最高のための協議がなされましたが、保科正之の箴言によって再建は中止されました。

 もはや城を守るのに天守閣が必要な時代ではなかったとも言えるのです。

 作家の中村彰彦氏はある対談で、「明暦の大火で正之は御用金七万両を支出して庶民の救済に当たったが、天守閣だけは作らせなかった。『ただ世間を観望致すのに便利というだけの代物なれば、さようなものの再建に財力と人力を費やすよりも、むしろ町屋の復旧に力を入れるべきであろう』という考えだった」と述べています。

 さて、このような経緯で再建がなされなかった江戸城天守閣、私も再建はしない方が良いと思います。

 それよりはなにもない石垣を見て、庶民の生活のために再建しなかった名君に思いをはせる方が上品なようにも思うのです。

 皇居東外苑にある天守閣の石垣へはどうぞ一度行ってみてください。

 東京という大都会のど真ん中に広い芝生と森が遠くに見えてその向こうに超高層のビル群が見えます。

 これこそ、これだけで現代日本を象徴するような空間のように私には思えます。


 

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アップル社のリンゴ

2013-09-25 23:27:44 | Weblog

 ときどき行くスーパーで、「旭」という品種のリンゴが売っていたので思わず手にしました。

 この旭という品種は、皮の赤さと同時に実が真っ白でその対比がまず美しいもの。

 また味は甘さと酸っぱさが程良くて、甘さと大きさを追及するリンゴの流行の中にあって、独自の地位を占めており、とても好きな品種なのです。

 ところが、病気に弱かったり落果が多く手間がかかること、さらに先に述べた甘さを追及する流れによって次第に市場の中で淘汰されてゆき、今では全くと言ってよいほど果物コーナーでも見かけることが少なくなってしまいましたが、久しぶりに売っていたのを見てとてもうれしくなりました。

 今でも根強いファンはいるのですが、果物の世界も流行り廃りが激しくて、見かけるのが難しくなり残念に思います。


 ところでこの「旭」は元々は19世紀初頭にカナダのJohn McIntoshさんによって偶発的に発見されたもので、"Mcintosh Red"として今でもアメリカやカナダでは人気のある主要な品種の一つに挙げられているポピュラーなリンゴです。

 後に、コンピューター技師のジェフ・ラスキンは、appleⅡで大成功を修めながらその後IBM系にシェアを奪われつつあった1979年にアップル社に入社しました。

 そして500ドルのパーソナルコンピューター(後に1000ドルに)というコンセプトの事業を始め、これをマッキントッシュ・プロジェクトと名付けました。

 このマッキントッシュこそ、市場で当たり前に売っているリンゴの旭のこと。
 
 スペルが本来のリンゴの品種とは少し変えてありますが、かじった跡のあるリンゴのマークはアップル社のシンボルです。


 新しいiphone5も発売が始まりました。

 まだスマホを持っていない私ですし、パソコンはwindows派の私ですが、リンゴだけはMacなのです、はい。

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危機管理力が試される

2013-09-24 23:45:01 | Weblog

 午前中に友人の課長を訪ねたところ、「滝野公園に熊が出てドタバタしています」とのこと。

 そういえば昨日、札幌市南区の滝野公園で熊の足跡が見つかったために臨時閉園をしたということがニュースになっていました。

 滝野公園は、札幌にある国営公園ですが、私も長く建設や管理に携わった思い出の公園です。

 実は私がこの滝野公園事務所長をしていた平成12年に、まだ未開園だった中心ゾーンに熊がいるのが見つかりました。

 このときも臨時閉園をしたのですが、なにしろ熊への対処は初めてだったので緊張するとともに、現状の正しい把握、対策方針の立案、それを関係者に説明してコンセンサスを得ること、対策の実施による再開園と、大変な騒動になりました。

 このときは熊の専門家であるM先生に本当にお世話になりましたが、印象的だったのが、「ヒグマには二通りいます。一つは人間の気配を感じると恐がって逃げる『非問題熊』、そしてもう一つは人間は食べ物や美味しいものをもたらす熊にとっての有益な存在だと思うようになってしまった『問題熊』です」という発言でした。

 人里で目撃されるだけならまだこのどちらかはわかりません。しかしその行動として、ゴミ箱を漁ったり、誰かが捨てた空き缶をなめたような痕跡が分かれば、これはもう人間社会を怖がらなくなってしまった問題熊となってしまいます。

 これを明確に区別して考えて、しっかりとした対処をしなくてはならず、感情的に打ち殺して目の前からいなくしてしまえばよい、という考えは持つべきではない、という当時のアドバイスが今でも蘇ります。

 さて、こうした予期せぬアクシデントに対する行動は「危機管理」と呼ばれます。

 本来は起きる前の備えが重要なのですが、起きてからはなお一層その危機に対する姿勢が問われます。

 現場は情報収集や対策の実行に大変でしょうけれど、一日も早く状況が安定して再開園の日が来ることを祈っています。


   ◆   ◆   ◆


 そしてもう一つ世間を騒がせているのが、JR北海道の線路補修放置事件です。

 線路の感覚が広がるのを放置しているというのは、専門家の間では「安全意識の欠落で、信じられない」という声が上がっていますが、まさに一般の市民にとっても信じられないというところだと思います。

 線路の幅が広がっているということは脱線の危険性を放置しているということだという印象を持ってしまいます。

 JR北海道はここのところ、火災や整備不良、脱線と様々な事故やアクシデントが頻発していますが、これもまた組織の危機管理が続いているということです。

 危機管理の状況ではマスコミ等にも注目されますが、ここで問われるのがまさに危機に対する姿勢と言えるでしょう。

 このときに資金や時間、手間を節約して最低限の対応をしたならば、仮にそれが再発した時に批判の声が倍返しで押し寄せてくることになります。

 逆に、資金や手間を惜しまずに「そこまでやりますかねえ」と言われるくらいに大胆な対策を打っておけば、後に何かあっても、「あれだけやってもそうですか」と世間は納得しやすくなるというわけ。

 かつて太平洋戦争中、ガダルカナル島で部隊が全滅しそこを奪還するために必要に見たない戦力を何度も投入してはことごとく撃破されるということがありました。

 これは「戦力の逐次投入」と言われて、兵法では愚策とされています。

 危機管理における対策は、大きく打っても打ち過ぎることはありません。まるでタバコの火を消すのに風呂桶一杯の水をかけるくらいの大胆さがあっても良いのです。

 
 どちらの事案も、一日も早い正常化を祈りたいところです。

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ひと夏の思い出~GPSロガーの整理

2013-09-23 23:45:16 | Weblog

 この夏記録した、GPSロガーをパソコンに取り込んで整理しました。

 それぞれの一日が、GPSロガーのスイッチを入れたときから切った時までの位置として記録されていて、専用のソフトで再生すると、どのような足取りで行動したのかが後からでもわかります。

 川で釣れない釣りをした足取りも分かりますし、撮影した写真と時間で連動させると、どの場所でどんな風景が取れたかも分かります。

 天塩中川へキャンプへ行って、知人にサロベツ原野を案内してもらったときも、どんな道のりをドライブしてどこを見せてもらったのかが、後から一目瞭然です。

 オオヒシクイを見せてもらったのはどこかな、と思えば全体の行程をゆっくりと再生すれば、ドライブ中に車を停めたところが分かりますし、写真の時間で連動させても分かります。


 【サロベツ原野を巡った軌跡】 

 日記やブログで、そのときの様子を頭に浮かべるというのも良いのですが、こうして地理情報の記録と連動させるとさらに良くわかりますし、後から再現させることもできます。

 胸のポケットに入れておくだけで、思い出が記録されるというのは面白いですね。

     ◆   

 ところがこの機能もちゃんとわかって使えば良いのですが、知らないうちに使われてしまうということもあります。

 最近はスマホで撮った写真には自分でチェックしないと、GPSの位置情報が記録されていることが多く、そのままフェイスブックやツイッターなどにアップすると、撮影者がいつどこにいたかが筒抜けになってしまうのだといいます。

 釣りでも、釣った魚の写真をアップするだけでどの川のどのポイントかがわかってしまったりして、自分だけの秘密のポイントと思っても、次の瞬間他の釣り人が入って来るということもあるのですから、写真のアップは慎重でなくてはなりません。

 便利な機能というものは、自分のコントロール下においてこそ有益に使えるものであって、知らないうちに被害をこうむるということではいけませんね。

 ストーカーもこうしたデータを使って追いかけまわしていることがあると言いますから、しっかりと自己責任と自己管理の範囲で行いましょう。

 でもやっぱり記録が残せるというのはありがたいことだと思います。

 科学技術で人生に彩りを添えましょう。

  

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ドライの季節の終わり

2013-09-22 23:45:50 | Weblog

 連休中日は浜益川へドライのフライでの最後のあがきの釣りへ行きました。

 浜益川は道路側には護岸がしてあるものの、全体としては渓相がとてもよく、岩盤の川底に瀬や淵のバランス、水量などが絶妙です。

 おまけに水も透明で綺麗ですが、逆にきれいすぎて餌がないのじゃないかと心配になるくらい。

 これで魚がいてさえくれれば最高なのですが、そうはうまくいきません。

 昨日よりも気温がぐっと下がったので、いよいよ活性も下がり、魚の出る気配は全くありません。

 せいぜい気の早い鮭が遡上していて、浅いところで突然バシャッと水を切って脅かしてくれるくらいです。

 もうドライの季節は終わりです。

 
 【バシャッと跳ねて脅かすなよ】


     ◆   


 さて、道東は今頃海にいるアメマスが産卵のために川へ戻って来ている頃でしょうか。

 沈めたり引っ張ったりと、様々なフライフィッシングのシステムを釧路で教えてもらったことがだいぶ記憶の引き出しの中にたまってきました。

 後半は少し沈めるフライでも挑戦してみましたが、そもそも魚影が見えません。

 自分がやれることは分かっても、魚がどんなところでどんな生態でいるのか、ということにはまだまだ眼力が足りません。

 釣れなくても釣れなくても、とにかく川へ出る回数を重ねて場数を踏むことが大切なのだと信じて、川へ出てみます。

 いや、良い川です。今度行くときは支流にも楽しみがありそうです。
 

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こんなところでブドウ狩り

2013-09-21 23:45:57 | Weblog

 孫を見せに、妻の実家の義父母を訪問。

 前回から大きく様子が変わったのは、一人で歩けるようになったことで、人様の子が育つのは早いことを改めて実感しながら笑いの多い時間となりました。

 義父母の家を出るときには、「お土産にブドウを持って行ってよ」と言われて、予期せぬぶどう狩りに。

 義母は畑仕事が好きで、庭の隅にブドウ棚を作ってデラウェアを植えているのです。

 一般的には種なしブドウとして知られているデラウェアですが、黙って育てる分にはちゃんと種ができます。

 これをジベレリンというホルモン薬品によって、無核処理という種ができないような処理をするのです。

 ところがこの時期というのが、「花が満開になる14日前と満開10日後に行う」とされています。

 10日後の方は数えればわかるとして、14日前というのはなかなか難しい。

 葉っぱの数を頼りにすると言われていますが、栽培面積の多い農業地域などでは農協や役場などで情報ていきょうをしているところもあるようです。

 
   ◆   ◆   ◆


 さて、そうやっていただいてきた大量のブドウ。

 種はあるものの、味は売っているものと遜色ありません。

 美味しい秋の味覚の季節となりました。

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