北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

釧路の津波防災訓練

2012-08-31 23:45:36 | Weblog
 昨日は防災訓練の一日でした。

 釧路では、北海道が行う津波避難訓練と共同で避難訓練を行いました。

 いくつかの町内会でも地域の小学校へ避難する訓練が行われましたが、私が視察で向かったのは高台にある釧路小学校。

 この日こちらでは地域の高齢者が数十人避難訓練に参加してくれました。




 地域の中で車いす利用者をどのように坂を上って高台までに連れてゆくかを検討する中で、一人で押すのでは無理だ、ということになり、「それなら紐を使って引っ張り上げる手伝いもしよう」ということになりました。




 実際にやってみるとこれが効果的でしたが、実際に誰が引っ張るのだろうと訊いてみました。

 すると、「坂の下までまずは援護者が連れて行けば、その坂を上って避難しようとする人に協力を求めれば誰もが助けてくれますよ」とのこと。

 いざというときの共助の心に期待できる地域社会です。


    ※     ※     ※     ※     ※


 午後は、耐震岸壁で釧路市の防災訓練です。

 こちらでは電気、ガス、水道などインフラを管理する事業者による災害時の復旧訓練に加え、さらに自衛隊、警察、消防の協力による合同の災害救助訓練も披露されました。




 アメリカなどでは非常災害時に対応するFEMAと呼ばれる組織が確立していますが、日本ではあくまでも既存組織の連携によって対応するのが原則。

 例えば、自衛隊が倒壊家屋の住民を救助したとしても、もし死亡していた場合は搬送ができません。あくまでも医師の確認が必要であり、こうした緊急時の役割の柔軟な対応がまだまだだと感じます。

 
 また、今回の防災訓練に参加するために寄港してくれている海上自衛隊の輸送艦「しもきた」による災害救助訓練も公開されました。

 訓練の想定は、釧路市を5mの津波が襲った二日後で、津波が引いた後の人命救助などの訓練というもの。

 「しもきた」には後部からLCAC(エルキャック)という強力ホバークラフトが出動できて、船が簡単に着けられないようなところにいる人たちの救助もできます。




 また、艦上にヘリコプターが発着できたり、トラックが乗り入れして物資の搬送もできます。






 さらに、いざとなれば艦内には約千人の人員を収容してシャワーを浴びたり寝泊りができるだけの備えがあります。

 水も一日80トンの海水を真水に変える能力を備えており、昨年の東日本大震災においても孤立した住民を一時収容して保護する海上宿泊所としても機能しました。

 強力なクレーンは20トンコンテナを艦上に釣り上げる能力もあります。

 この輸送艦が訓練の名のもとに釧路に寄港してくれて地域に対する状況を把握してくれているというのは実に心強いものです。

 輸送艦「しもきた」は「おおすみ型」と呼ばれるタイプで、こうした輸送艦は海上自衛隊にも三隻しかありません。

 三隻と言っても、一隻が整備や修理に入るとその間は二隻での運用にしかならないわけで、海洋国家日本としてはちょっと物足りなく感じられるのは私だけでしょうか。

 
 海上自衛官の皆さんにはこの機会にぜひ釧路の夜も楽しんでいただき、つかの間の休息を取っていただければ幸いです。

 
 
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釧路すえひろはしご酒大会

2012-08-30 23:45:16 | Weblog
 今日は釧路の繁華街末広界隈を舞台にしたイベント、『釧路すえひろはしご酒大会』が開かれました。

 このイベント、参加券を購入(前売り3千円、当日3千5百円)して、90分間に指定の五軒のお店を回ってくるというもの。

 参加するときには受付が十数カ所あって、受け付けたところで渡される参加証に場所とお店の名前が書いてあるのです。







 どの受付へ行くかで、回るよう指示されるお店が変わります。

 自分の好きなお店を回るのではなく、イベントの運命で今まで知らなかったお店を知ることになる、というのはとても面白い趣向です。

 90分間で指定の五軒を回るということで、一つの店であまり時間を費やしているわけには行きません。

 行くお店ではイベント参加者のために、ドリンク一杯と付け合せ一品を用意してあって、素早く回れるような工夫がされています。


    ※     ※     ※     ※     ※


 ところが、昨日は釧路を含む道東でロケを行った、中国映画「劇外人生」のクランクアップの歓迎行事があって、市長代理でそちらに参加していたためにスタートが少し遅れました。

 こちらの歓迎行事には出演した日本の女優中野良子さんも出席されて行事に花を添えておられました。

 中野良子さんと言えば、私にはNHKドラマ「天下御免」での美しさが印象的でしたが、今やエッセイが中国語に訳されて出版されるなど、中国でも大人気の女優さんなんだそうですよ。




    ※     ※     ※     ※     ※


 この遅れを取り戻すべく一軒での時間もそこそこになんとか回り終えました。

 主催者側では五箇条の参加心得を参加賞に書いています。

 その1、新しいお店、新しい仲間を見つけるべし

 その2、一軒8~10分が目安!混んでいるときは譲り合うべし!

 その3、90分間で回れるように時間配分すべし

 その4、気に入ったお店は必ずチェックすべし!

 その5、イベントが終了したら二次会に行くべし!

 お店によっては混んでいるところもありましたが、皆次に回るために回転はスムース。

 ちょっとせわしないけれど、新しい出会いもいろいろありましたし、釧路にこんなに人がいるのか、と思わせるくらいの賑わいに末広は活気づきました。


    ※     ※     ※     ※     ※




 五軒回った参加者にはじゃんけん大会や抽選会で豪華賞品が当たるというお楽しみも。

 これまた酔っぱらい客相手に大盛り上がりでした。

 
 さて、このすえひろはしご酒大会、開催はどんぱく花火大会の二日前と決まっています。

 明日からは釧路どんぱく祭り、いよいよ釧路の夏も終わります。

  
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ザリガニ漁は違法?

2012-08-29 22:44:35 | Weblog
 昨日、釧路川でザリガニを取って食べるおじさんの記事を書いたところ、「いいね!」と言ってくださる方が多かったのですが、その中の何人かから、「これって法律違反なのじゃないですか?」という指摘をいただきました。

 ウチダザリガニは特定外来種とされていて、在来の動植物に悪影響を与えるために処分をしないといけないのではないか、ということのよう。

 そこでまずは自然保護担当の職員にウチダザリガニの捕獲と取扱いについて訊ねてみました。

 すると答えは、「厳密にいうとまずいですね」とのこと。

 ウチダザリガニは元々が食用のために導入されくらいで、ヨーロッパでは高級食材。

 そのため、ちゃんと手続きをして捕獲したものは高級食材として活用されることもあります。

 しかし今やウチダザリガニは、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、いわゆる「外来生物法」に指定される、特定外来生物の一つとされています。

 特定外来生物とは、本来日本にいなかった外来生物のうち、生態系などに被害を及ぼすものを特定外来生物として指定するもの。

 これらは、『飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入』が原則として禁止されます。

 そして、上記のウチダザリガニを捕獲して、家で食べるというのは、『運搬』に違反しますし、泥抜きをするというのも『保管』にあたるために、法律違反になるのだそう。

 逆に、捕獲してその場で茹でて殺してしまうのなら良いのだそう。

 処分することは奨励されますし、食べることだってかまわないのですが、生きたまま移動させるということが原則禁止されているのです。





 環境省に所縁のある友人からは、許可の方法を教えてもらいました。。

 ウチダザリガニを捕獲して移動させようと思うと、①外来生物法の防除計画の申請と、②内水面漁業の「どう」使用申請が必要になる、とのこと。

 外来生物法では、許可なく生きたまま運んだ時点で違法になり、実際に「オオクチバス(ブラックバス)を釣って、彼女に見せようと思った」ということでクーラーボックスで運搬した人が警察に逮捕された事例もあるのだそうですよ。


 手続きは面倒ですが、小規模な捕獲を広く一般に認めるよりも、まずは入れない、捨てない、拡げないといった原則に沿うほうが良いということでこのような取り扱いになっているようです。


 ちなみに、阿寒湖ではウチダザリガニが
マリモを食べてしまうことが問題になっていますが、知人によると、今年になってこれまで分布していなかった(かつ自然分布が考えにくい)周辺湖沼にもウチダザリガニが侵入し、大きな水生植物の変化が起きているようなのだとか。


 食べるというモチベーションがあればこそ獲ろうという気にもなると思いますが、獲っても良いけれど動かすな、とは、法律は厳しいですね。


 ちなみに、竿で釣るのは、その場で殺処分すれば大丈夫だそうですが、捕まえたのなら元の所へ戻さないでほしい、とも。


 とにかくなんとかしないといけませんね。
 

 ↓ ここにパンフレットがありました。↓
 
【釧路自然環境事務所】
 http://hokkaido.env.go.jp/kushiro/wildlife/
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ザリガニも地域の食材

2012-08-28 23:45:57 | Weblog
 先日の日曜日、弟子屈の新そば祭りへ行った帰りに、カヌーの写真でも撮ろうかと思って、細岡のカヌー発着場へ行ってみました。

 写真を何枚か撮っていると、家族三代を乗せた車が一台やってきて、車の後ろからなにやら籠網を取り出しました。

 網の真ん中には魚の頭を入れるところがあって、そこを紐で閉じると、魚を足で潰し始めました。




 興味が湧いてきて、「何か獲るんですか?」と訊いてみると、「ん?これかい?ザリガニさ」とのこと。

「ザリガニ!?獲ってどうするんです?」
「茹でて食べるのさ、ロブスターと一緒で美味しいよ。食べたことない?釧路の人かい?」

「釧路ですし、ザリガニも食べたことがありますけど、川で獲ったものは泥臭くて食べられない、と聞いたものですから…」
「そんなことないよ。一日泥抜きをすれば食べられるよ」

「これはザリガニ専用の籠網なんですか?」
「これはねえ、ツブ用の籠だよ。ザリガニにはちょうどいいんだわ」


    ※     ※     ※     ※     ※


 年寄りのおじさんはそういうと、籠網を持って岸辺まで行くと、それをポーンと川の中へ放り込みました。




「本来は夜行性なんだけど、十分もすればすぐにザリガニが集まってくると思うよ」

 
 ここまで来たら最後まで見なくては。十分ほど経ったところで、「もうそろそろいかがですか?」と促します。

「どれどれ」





 おじさんが籠を引き上げてみると…、おお!巨大なザリガニがうじゃうじゃ入っています。これは大漁です。




「な?すごいだろ、はっはっは!」


 孫が持ってきたバケツに移してさらにザリガニ漁を続行。

「むかしはこの近くの川筋でもザリガニ釣りをよくやったもんだよ。イカの切れ端を糸につけてそっと垂らすとすぐにはさんでくる。落ちてもいいようにタモ網ですくってやるといくらでも釣れるよ」

 いやあ、なかなかワイルドな食料調達です。

 アメリカザリガニは外来種としてマリモを食ったりして問題になっていますから、これもまた環境保全活動の一つかもしれません。

 これも釧路ならではの食材になるのかなあ。 
 
 
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プロの頭の中はなかなか伝わらない

2012-08-27 23:46:28 | Weblog
 弟子屈の新そば祭りへ参加した話は昨日書いたところですが、蕎麦打ち名人の高橋さんが蕎麦を打つ所作を見て、改めて職人技について考えました。

 名人の蕎麦打ちには見物人も多く見入っていましたが、実際に蕎麦打ちについて悩んだり考えたりしている自分にとっては特に興味深いものがありました。

 それは、『名人がこの瞬間に今何を見て何を考えているか』が多少は想像できるからですが、それとても自分なら5秒くらい考えるだろうな、というところを1秒も考えずに作業に移しているような感覚。

 ちょっと専門的にいうと、玉から丸のしにするのに、丸のしがやたらに大きいのが特徴。そして丸のしから生地を四角くする角出しにした段階でもうほとんど生地の幅が決まっているというのが名人の技。





 素人は、小さい丸のしから小さ角出しをしてそこから調整をしてゆくのですが、それを一発でほぼ最終の大きさに持って行けるのが熟練の手業というわけです。

 この調整に一手間数秒、数分がかかるから素人は時間がかかるのですが、名人の蕎麦打ちはそこが一気にはしょられています。さすがに手早い。

 蕎麦打ちで伸す作業というのは、要は生地の厚さを均一な厚さの面積に変換する作業です。

 そしてどの段階でどれくらいの大きさや厚さになっていないとだめか、というセンサーの数と判断を繰り返す回数が圧倒的に多いというのが名人の打ち方を見ていて感じたことでした。


 蕎麦打ちに限らず、いわゆるプロと呼ばれる人たちにはその人の分野でこのセンサーの数と判断の細かさを持っていて、その判断の内容と理由などは簡単に説明などできるものではないとも思うのです。


    ※    ※    ※    ※


 よく医師が病気を見立てる時に『情報の偏在』という言い方をしますが、患者の様々な症状を把握して総合的に病気を診断するのが医学のプロである医師の仕事。

 それは医師の長年の経験とものすごい量の知識を総動員して形作られるもので、素人が「なぜそう診断したのか」を二言三言質問をして、説明を聞いたとしても理解をするのは実はとても難しいことなのです。

 最近はアカウンタビリティ(=説明責任)という名の下に、判断理由などをできるだけ分かりやすく説明する側の義務について語られますが、実は説明を聞いて理解をするためには受け手の側にもそれなりの素養が必要なはずで、基礎的な単語の意味を一から説明するのはアカウンタビリティとは言わないでしょう。

 真実に近づこうと思えば、受け手の側が自ら努力してより深い理解ができるように自らを高める必要があって、少しでも『情報の偏在』を解消出来るように努めるべきなのだと思います。


    ※    ※    ※    ※


 今はすっかり影をひそめてしまいましたが、現政権による事業仕分けが華々しく持ち上げられていたときに、居並ぶ役人が「それを説明出来ないあなたが悪い」と仕分け人達から罵倒されていたのを見てなんだか嫌な思いがしたのは、この受け手の側が不勉強なまま説明を聞いていたその態度に違和感があったのです。

 受け手の側も勉強が必要なのに、そこは棚に上げて理解出来ない自分ではなく、理解させることができない相手を避難するというのは実におかしな風景でした。

 まあいかにも「どうせ理解出来ないだろ?」とばかりにのらりくらりと説明らしきことをやっていけしゃあしゃあとしている説明者も見受けられるので、全てはケースバイケースですが、少しでも自分を高めておくことがまずは自分にできることではないでしょうか。

 そんなわけで、自分の目さえしっかりしていれば、高橋名人の蕎麦打ちからでも得られるものは大きいというお話。


 これからの季節、あちこちであるそば祭りにぜひご参加を。
 
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弟子屈町新そば祭り

2012-08-26 23:45:38 | Weblog



 弟子屈町で開かれている新そば祭りへ行ってきました。

 会場は弟子屈農協の敷地の中で、テーブルとイスがたくさん用意されていて、そこに三軒の蕎麦コーナーがありました。

 蕎麦コーナーは、蕎麦打ちの世界では最も有名な高橋名人が率いる「達磨『雪月山房』」と、釧路市内の松風庵、そして地元の摩周そば生産組合の三か所。






 現地に着いたのは丁度お昼頃で、蕎麦を待つ長蛇の列ができていました。

 地元弟子屈町の徳永町長さんをみつけて挨拶したり、道庁の知人などの姿も見えました。

 ここ弟子屈の新そば祭りは、幌加内町よりも一週間早く設定されていて、『日本で一番早い』というのが売り言葉。釧路代表の松風庵さんはここ弟子屈町産のキタワセという品種の粉を使っていることをアピール。

 摩周そば生産組合では同じく地元弟子屈産のキタノマシュウという品種の粉を使っているそうですよ。


    ※     ※     ※     ※     ※





 さて、達磨さんのコーナーではデモンストレーションのために高橋名人が自ら蕎麦を打っています。

 名人ともなると外科手術をする大学教授のような感じで、蕎麦粉を玉にするのは弟子の一人が専属で行っていて、蕎麦を切った後もそれを木の舟に収めるのも別のお弟子さんがやっています。

 それにしても、名人の蕎麦打ちを見るのは久しぶりでしたが相変わらず手際が良くて実に無駄がありません。

 特に、生地を重ねて厚くなったものを切るときに、垂直ではなく右上から左下へと斜めに切っていたのが印象的。

 なるほど、生地が厚いときは切った後に蕎麦が倒れる方が効率的なのですね。いや、多分簡単にはできないけれど勉強になりました。


 【左下にそぎ落とすように切る技】



    ※     ※     ※     ※     ※ 


 そのうえでまずはその高橋名人の蕎麦を試食。

 蕎麦は太からず細すぎず、汁はキリッと辛め仕立て。あっという間に二枚食べましたがさすがに美味いね。

 さらに摩周そば生産組合の冷やかけおろし蕎麦を一杯いただいて大満足。

 ちなみに、松風庵さんと摩周蕎麦生産組合さんが出す蕎麦は一枚600円でしたが、達磨さんは一枚700円と100円お高く設定されていました。

 これを高いとは思わずにそれでも食べてみたいという人が多かったのには感心しました。

 蕎麦打ちもパフォーマンスであると同時にそれ自体が立派なプレゼンテーションなのです。
   
 過去二年間、一度もこれずにいたのですが、やっぱり来て良かった。眼福、眼福。 


 
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『拡張現実(AR)』という機能の可能性~おもしろいわー

2012-08-25 23:45:02 | Weblog
 『ICTを活用した東北海道・地域活性化フォーラム』という勉強会にパネラーとして出席しました。

 『ICTを活用した…』というのは、今回は主にスマートホンの最新機能を使って、観光やビジネスにこんな貢献ができますが、どうでしょう?ということ。

 なかでも今日注目だったのは、AR(Augmented Reality=拡張現実)と呼ばれる技術です。

 これはGPS情報や外部の情報を連携させることで、スマホのカメラを通した画像に現実には見えない画像を張り付けて付加価値的な情報提供をしようというもの。

 冒頭紹介されて面白かったのは、現在国のモデル事業として実験中の「くしろARウォーカー」というアプリ。


 【こんなことができる!】


 【スマホって案外簡単ね】


 今日はNTTdocomoさんの全面協力によって、会場でスマホの貸し出しもやっていて、まだ持っていない私もこれを借りてARウォーカーをやってみました。

 デモソフトとしてわかりやすいところで『啄木の歌碑めぐり』を選択。


 【啄木の歌碑めぐりを選択】


 カメラで会場を写しながらぐるりと回ってみると、緑色の小さなゴミみたいなアイコンが出てきます。


 【矢印の先の小さな緑のアイコン】


 アイコン自身が啄木の歌碑の方向を表していて、大きさは距離を表しています。つまり近いと大きく写り遠いと小さく写るというわけ。

 アイコンをクリックしてみると啄木の歌碑が現れますが、さらにクリックを重ねてみると歌碑に刻まれた句が出てくるのはもちろん、周辺の動画も見ることができます。


 【周辺の動画もアップできてさらにわかりやすいのです】


 もちろん地図ソフトと連動させればそこまでの道順もナビのように表示してくれる優れもの。

 初めての土地で目的の観光スポットを探し当てるのが楽チンになるのはもちろんですし、より深い情報を与えようと思えば情報量を増やせばよいのです。

 見えている風景の奥にある情報を引き出せるという拡張現実の技術はいろいろな可能性がありそうです。


    ※     ※     ※     ※     ※


 特に、これを防災でも生かせないかという検討も始まっていて、例えば身近な津波避難ビルや一時避難施設などを表示させることで災害時にどこへ逃げたらよいかが瞬時に分かって、素早い避難行動に繋げられるのではないか、というのです。

 もちろん前提として津波の前兆である大きな地震があってもネット環境は生きているということが必要ですが、もしそうであればかなり便利な防災ツールになることでしょう。

 こうして可能性の芽を一つ一つ育てていけば、自分の生活の中で足りない能力を補ってくれる道具として情報機器の必要性が高まってゆき、ひいては新たなビジネスに繋がってゆくことでしょう。


 やっぱりそろそろスマホを買わないとだめかもしれませんねえ…。
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津波被災地の最前線~派遣の副市長会議

2012-08-24 23:42:54 | Weblog
 東京で、国土交通省から各都市で副市長として出向中の人たちによる会議が開かれました。

 この会議は年に二回行われて、霞ヶ関での動きを教えてもらうのと同時に、今地方で何が行われていて、どのように中央を見ているのか、について意見が交わされます。

 例えばまちづくりにしても、法律を作るのは霞ヶ関の仕事ですが、全国一律の法律が効果を現すのか、はたまたそういう効果が期待出来ないのかなどについても、現場の最前線で普段からいろいろと考えているので反応も早い。

 しかしそもそも一口に「市」といっても、人口100万人を超える政令指定都市から、人口1万人のところまであるわけですし、雪の降る北から熱帯の南まであるし、さらに面積だって15平方キロの中野区があれば我が釧路は1,360平方キロ。

 やらなくちゃ行けないことも当然変わりますわね。


    ※    ※    ※    ※


 こうした機会にお互いに親交を深めて仲良くなれるのももう一つの効果。

 会議後に懇親会をしていると、昔四国の小さな市で助役をしていた友達が参加してきました。

 実に久しぶりの再会ですが、すぐに昔話に花が咲きます。

 霞ヶ関の最大の資産は人であり、どれだけの人を知っているかもまた自分の資産価値です。


    ※    ※    ※    ※


 今回は若いながら津波被災地の大船渡市へ助役として赴任しているO君から地元の事情紹介のコーナーとして発言がありました。

「津波で被災したと言うことが世間的には風化しているのではないか、ということを憂いています。テレビを見ていても、全国ニュースでは復興の話がほとんど登場しなくなりました。地元ローカル放送でやっと、というところでしょうか」

「逆に『復興庁の予算が余っている』などという報道がされるにいたっては、余っているのではなくて『まだ使える状態にすらなっていない』というのが本当の気持ちです。たとえば事業をしようにも用地交渉ができる職員すら足りません。そうしたスキルを持った職員の応援がいよいよこれから必要なのです」

「ただ、自治体間での連携協力にはほのぼのしたところもあります。実は大船渡市は三陸町というところと合併したのですが、この三陸町は山形県最上市と姉妹都市関係にあり、さらにこの最上市と板橋区とは防災連携都市関係にありました」

「板橋区がどこかの自治体を支援したいと考えた時に、最上市→三陸町→大船渡市という連想ゲームのようにして、今大船渡では板橋区からの支援を受けています。こういう連携ができるのも自治体の面白さだと思います」

 自治体の苦労と面白さを味わいながら成長する後輩がいます。

 先輩としても頑張らなくては、ね。
 
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本当に怖いアルコール中毒

2012-08-23 23:47:25 | Weblog
 知人に断酒会に入っているという方がいます。

 『酒は百薬の長』と言いますが、度が過ぎるとこれは毒水に変わります。

 日本では1998年以降、自殺者が年間三万人以上となり社会問題となっていますが、アルコール依存症と自殺の関連は明瞭で、自殺者に占めるアルコール依存症の割合は、気分障害に次いで高いのだそう。

 特に、うつ病を合併した場合や別離、離婚、失業など負のライフイベント、大量飲酒、社会的サポートの欠如は自殺のリスクを高めるとされています。

 自殺者にうつ病が多いことは有名ですが、うつ病以外では依存症が最も頻度が高く、自殺者全体の15-56%にアルコール乱用または依存がみられたという報告もあるそうです。


 【アルコール依存症と自殺の関係】



 断酒会とは、アルコール依存症の人たち自身による自助グループのこと。

 ここで自助のグループとして、「家族にも言えない失敗を安心して正直に語れる場」という役回りを持っています。

 依存症からの回復には、自分に正直になれるような安全な場所が必要だと言い、ここでは自己の経験を体験談として語り合い、アルコール問題を抱えた仲間たちの共感を得ることができ、自信を取り戻すことができます。

 実際に何をしているかというと、酒害体験を聴く、そして話す 。「一日断酒」「例会出席」この繰り返しなのだそう。

 これを繰り返すことで皆と一体となった仲間意識が芽生え断酒を継続しようという意思が少しずつ強くなるのだと言います。

 
 しかし、せっかく断酒会に相談に来ても継続的に来なくなる人も多く、そういう方はいつしか亡くなっているとも。


 【地域の救いの輪を広げましょう】


    ※     ※     ※     ※     ※


 日本では自動販売機でお酒が買えますが、未成年者による飲酒が問題となり、全国小売酒販組合中央会は、平成7年5月の総会で従来型の酒類の屋外自動販売機の撤廃を決議し、自主的な撤廃を進めてきました。

 その後の自動販売機の推移は国税局が追跡調査を行っており、平成8年当時全国に18万6千台あった旧来型の誰でも買える自動販売機は、平成23年4月現在で、(大震災の影響で仙台国税局管内を除き)7,700台、年齢確認が必要となる新しい自動販売機は1万9000台となったそうです。

 しかしアルコール依存症は未成年者の問題ではなく、飲酒が認められている大人の問題である限り、未だに自由に酒が買える自販機をどう思うべきでしょうか。

 また、つい買ってしまうようなアルコール依存の人たちに対して、断酒会への認知を高め、そこへ導くような救いの手をもっと多くの人に知ってほしいものだ、と知人は語ります。

 
 つい口がさみしくて「一杯だけ」と飲むそのお酒、強い意志で、一日断酒がたまにでもできるでしょうか。

 アルコールとそれへの依存症が、実は相当に怖いものだと改めて知りました。

 肉体と精神の健康のためにも、気をつけなくてはいけませんね。


 注:文中の図は、社団法人全日本断酒連盟のパンフレットよりお借りしました。

【全日本断酒連盟HP】 http://bit.ly/PIZIJ4
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啄木驚きのエピソード

2012-08-22 23:45:07 | Weblog
 釧路啄木の会に招かれて講話を頼まれました。

 趣旨は、6月に盛岡市で行われた「啄木没後百年記念事業に参加した感想を聞かせてほしい」とのこと。

 会場は啄木がかつて働いた(旧)釧路新聞社を復元した港文館の二階展示場で、啄木の会の皆さん20人ほどが参加してくださいました。

 前半は私からの基調報告で、盛岡市の様子やイベントの様子、またゆかりの地サミットでの出席者の発言などを紹介しました。

 参加者の中には盛岡へ行ったことのある方も多く、紹介した写真も馴染みの深いもののようでした。

 私などよりはずっと啄木に関しては年季の入った参加者の皆さんです。


 【港文館で啄木に会いましょう】


    ※     ※     ※     ※     ※


 今日の趣向の二つ目は、啄木研究家にして釧路啄木会の会長である北畠立朴先生と私との対談。

 事前に説明も打ち合わせもない、ぶっつけ本番の対談です(笑)。

 しかし啄木に関しては何を聞いても答えてくださる北畠先生との問答は私も大いに楽しみでした。

 まず私からは「釧路は盛岡市に次いで啄木の碑が多いまちですが、どうしてなのですか、と訊かれて答えられませんでした。この点はいかがですか?」と質問。

 すると北畠先生は、「やはり丹波節郎さんのように情熱あふれる先人がいたということでしょうね。最初は歌碑を建てるのに寄付を求めると、『あんな奴のために寄付なんかできるか』といって、女遊びや遊郭にふける啄木というマイナスのイメージを持つ市民も多かったようですが、それも当時のことで、今年記念碑を作ろうという活動をしたときは、本当に話を聞いてくださる方ばかりでしたよ」とのこと。

 さらに、「当時は南大通りを管理している道庁さんも非常に協力的で、最初は16基の歌碑を作ろうという構想があったんですよ」
「16基もですか!」

「ええ、それでそういう依頼を受けて私も釧路ゆかりの歌から16首を選んでお渡しもしていたんです。ところがその後に阪神淡路大震災が起こって、8基になり結局4基だけできました」

 本当は釧路にはもっと歌碑があってもいいのかもしれません。


    ※     ※     ※     ※     ※


 私からの次の質問は、「それにしても、数多いる歌人の中からどうして啄木は一際世間で愛されているのでしょうか?」というもの。

「そうですね、やはり彼の天才性があるのではないでしょうか」
「天才性ですか」

「はい、なにしろ彼が釧路新聞で縦横に活躍したのは22歳の頃ですよ。それがまるで40歳や50歳くらいの印象の文章を平気で書いています。彼は新聞記事はこんなものだ、という人の文章を見ただけですぐに同じくらいに創ることができたんです」
「なるほど」

「特に彼の天才性が発揮されたのは、短歌づくりの世界です。釧路を離れて東京へ行った六月のことですが、彼は歌が次から次に頭に浮かんでたまらなくなったときがありました。なんと一晩で141首を読んだんですが、ほとんど頭に浮かんだ短歌をそのままノートに写したというノートが残っています。全く校正などした形跡はありません」
「全く直さずに一晩で141首ですか!」

「私もただただ141首を書き写してみましたが、それだけでも大変な時間がかかりました。『一握の砂』に残されている短歌の半分はこのときに詠まれた歌なんです」
「すごいですね!」

「やはりある種の天才性と、それにバランスするような欠陥性が同居しているようなところがあったんでしょうね。実際彼は行く先々で、最初は調子が良いのですが、やがて周りとケンカし始めます。そうしてその土地にいられなくなって飛び出すということを繰り返しています。こういうのも天才性の裏側なんでしょうねえ」


    ※     ※     ※     ※     ※


 久しぶりに北畠先生とフリートークができてとても楽しい時間でした。

 また啄木のエピソードも数多く知ることができました。

 釧路が啄木に縁のある土地であるということはブランドとしてとても価値の高いことです。

 もっと啄木を活かしたまちづくりをしたいですね。




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