北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

今日も家を出ず ~ 手作り餃子をたしなむ

2020-04-30 23:30:48 | フライフィッシング

 

 今日と明日は有給休暇を取って連休に突入しています。

 札幌は今日もコロナウィルスの感染者がたくさん出ました。

 特に病院やお年寄りの介護施設で集団感染が発生しているようで、27日から連続4日間25人以上の感染者が発生し、なかでも今日30日は今までで最多の27人の陽性が確認されました。

 札幌市の秋元市長と会談した北海道の鈴木知事は、「わが国では都市封鎖はできないが、それに相当する行動自粛をしてほしい」と道民に強く"家にいること"を求めました。

 私も昨日に続いて今日も家から意地で一歩もでない生活をしてみましたが、まあ日増しに日常がつまらなくなってゆきます。

 我が家は妻との二人暮らしなので気楽ですが、学校へ行けない子どもなどと一日中一緒に過ごしているような子育て世代真っ盛りの皆さんはさぞストレスがたまることでしょう。

 幼稚園に通っている年長の孫も運動会が中止になったそうで、母親である娘が「見たかったなー」と悔しがっておりました。


     ◆


 こんなときはいろいろ気分を変えてみようと、今日は手作り餃子にしました。

 種は妻が作って皮を担当するのは私。

 うどんを作れる中力粉200gをこねて棒状にしてから切って丸く延ばすのですが、今日は調子が悪くてなかなかうまくいきません。

「厚かったり薄かったり、大きさにもムラがある」と妻からは不評で、おまけに結構な粉まみれになって台所も汚しまくりです。

 それでもできてしまえば、市販の皮とは違ってもっちりしてプリプリして食感で美味しくいただきました。

 札幌も今日ソメイヨシノの開花日となりました。

 春を外の季節感ではなく、家の中に変化をつけてこの日常を乗り切りましょう。

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外へ出ない一日はビデオ総ざらえ ~ そうだ、峰不二子の番組があった

2020-04-29 23:28:27 | フライフィッシング

 

 いよいよゴールデンウィーク突入なのですが、今年はどうにも盛り上がらず。

 札幌はコロナ感染が治まらず、しかも天気が悪いし寒いしで、「もう今日は外には出ない!」と決めました。

 で、何をするか。

 とりあえずは録り溜めてあったビデオでも観て時間を過ごそうと、テレビとビデオレコーダーの録画記録を総ざらえ。

 我が家ではテレビで2チャンネル、ビデオレコーダーで3チャンネルを同時に録画できるので、録画番組が溜まる一方。

 観ては消すということに心がけてはいるものの、「まあとりあえず録っておくか」と思う程度のものはまず観ない。

 電子記録なので場所を取らないという点はまだマシなのですが、貧乏根性でなんでも取っておこうと思わずに、断捨離が必要なところです。


 そんな中、ようやく観ることにしたのが昨年9月21日放映BSプレミアムの「セカンドの美学 峰不二子」。

 これまでも力石徹やラオウなどを取り上げていたとのことですが(これらは観ていない)、今回は漫画「ルパン三世」に欠かせない女性キャラの峰不二子を深く掘り下げてくれました。

 番組スタッフはこのためにテレビシリーズ6723分、映画、スペシャル、スピンオフまで全327話を全て見たとのことで、かなり力が入っていました。

 お色気たっぷりで世の男性ばかりか女性からもファンの多い峰不二子。

 今は亡くなった原作者のモンキーパンチこと加藤一彦さんは道東の浜中町出身で北海道にもゆかりが深い方。

 番組では息子さんが登場して、峰不二子の名前の由来について「父が言っていたのは、カレンダーを見たら『霊峰富士』とあったので、その霊を取って下に"子"をつけて『峰不二子』にしたようです」と語られていました。

 世に多い女性アニメキャラのなかでも人気上位の峰不二子ですが、彼女の魅力をセクシーな切り口も含めて大胆に切り込んでくれました。


     ◆


 ルパン三世と言えば、モンキーパンチの加藤さんは浜中町出身という縁から切り込んで大きな話題になったのが、JR花咲線の「ルパン列車」を思い出します。

 ルパンのキャラクターの沿線地元自治体などの協力を取り付けてラッピング車両にして走らせたのは、当時のJR北海道釧路支社長の矢崎さんでした。
 
 困難をものともせず「面白いからやってみよう」という突破力には敬服すべきものがありました。

 当時は釧路市役所にいたので、この記念式典に参加するという幸運が舞い込んできましたが、式典には原作者の加藤さんご本人も来られて一緒に写真を撮ってもらいました。

 ルパンの映像の権利はもうご本人も手放されていると事でしたが、「こういう協力はできる範囲でやろうと思います」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 加藤さんも鬼籍に入られましたが、ルパンファミリーは生き続けてこれからもファンを楽しませてくれることでしょう。

 ビデオ録画総ざらえ、次は何が出てくることやら。

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ポケットの中で二つになるのは?

2020-04-28 23:13:00 | フライフィッシング

 

 先日、出勤の際にズボンの左ポケットに手を入れてびっくり。

 左ポケットから出てきたものは目薬。

 そろそろ花粉が舞う季節なので予防のために左ポケットに目薬を入れたのですが、出てきた目薬はなんと二個。

 この目薬、一か月ほど前に突然見当たらなくなり、探しに探したのですがとうとう見つからず、仕方なく2週間ほど前にもう一個買い足したのでした。

 買い足した方の目薬をポケットに入れたところ、そこに前の目薬も入っていたというわけです。

 童謡に「ポケットを叩くとビスケットが二つ♪」という曲がありましたが、叩いたわけでもないのに目薬が二つになりました。

 それにしても、前の目薬をなくしてからもこのズボンは何度も履いていただろうについぞ見つからなかったのはなぜか。

 目薬を探す場所なんてせいぜい身の回りの衣服や机周りに限られていて、何度も探したはずなのに今までは見つからずこの時に見つかったのはなぜなのでしょう。

 妻には「つまりは探し方が悪いのよ(笑)」とややクールに言われてしまいましたが、物っていくら探しても見つからないときには見つからないもの。

 まるで異次元にいってしまったのではないか、とおもうくらい周りから姿を消すことがあって、それがまた異次元から戻ってきたかのように見つかることがあるのです。

「不思議なことがあるものだ…」
「不思議じゃない!」

 これ、もう一回やるようなら危ないな…(笑)。

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手洗いから一歩進んだ感染対策 ~ 「足と腕」編

2020-04-27 23:11:38 | Weblog

 本日のコロナ感染者数。

 東京都が39人だったのに対して北海道は35人と人口規模に対してなかなか減少傾向がみられません。

 しかもそのうち26人は札幌で、一日あたり最多タイの感染確認者数です。

 専門家の中には「札幌は感染爆発一歩手前だ」と警鐘を鳴らす人もいて気が休まりません。

 医療施設や高齢者施設などでの複数感染はいかんともしがたいことがあるかもしれませんが、できる範囲でさらに人と接することを我慢したいところですね。

 さて、遅ればせながらわが社ではオフィス入り口に靴底を消毒する除菌マットを用意しました。

 オフィスへの出入りに、靴底をマットに浸して除菌しようというのです。

 日本のコロナ感染者数が人口比で少ないことの要因の一つが「玄関で靴を脱ぐ文化」ではないか、と言われています。

 もともと酪農業が盛んな北海道では、牛の口蹄疫感染防止のために消毒用マットを使うことはよく見る光景でした。

 各家庭でも、玄関の前に塩素水と雑巾の入った入れ物を用意すると良いかもしれません。

 さらに、ここまでくると他人が触ったものに後から触るのも気になってきます。

 職場の同僚に、「エレベーターの階数ボタンやドアノブ、ハンドルなどにも触るが嫌になってきた」というと、「ですよね。でもそこはアイディアで、手で触らなくても腕で開けられるドアノブもできているそうですよ」とのこと。

 なるほど、ネットで調べてみると、腕でドアを開けられるような工夫がいろいろあるようです。

【拡張ドアオープナー】https://bit.ly/2y6l0QP 

 やれることはとにかくやって、コロナ鎮静化に一人一人が参加、協力いたしましょう!
 

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食卓にちょっとした変化を

2020-04-26 23:31:12 | Weblog

 千葉県で飲食店を経営している大学時代の同級生(女性)がいるのですが、コロナ騒動で店内営業を自粛中とのこと。

 お店は千葉県船橋市にあるZUCCAMO(ツッカーモ)というところですが、経営支援の意味でお取り寄せをすることに。 http://zuccamo.flips.jp/ 

 キッシュ中心のお店ですが、都会の香りがする自慢の洋風お惣菜の数々で、家にこもる生活に嬉しい刺激が届きました。

 さて、その荷物がちょうど今日の午前に届いたのですが、同時に宅配便業者さんからもう一つ荷物を受け取りました。

「あれ?こっちは何だ?」と思って送り状を見るとそれは、結婚した次女から贈られた「母の日」用のワインでした。

 届いたのは栃木県足利市にある「ココ・ファーム・ワイナリー」のワインで、こちらは知的な障碍をもつ人たちのための「こころみ学園」が運営しているワイナリーなんだとか。

 【ココ・ファーム・ワイナリー】 https://cocowine.com

 世の中いろいろな食品やお酒が出回っていますが、一生の間に出会えるものなんてほんの一握りです。

 こんなときだからこそ心を尽くしていろいろなものに好奇心を持って多生の縁を求めてみるのも良いのでは。

 ツッカーモからの総菜詰め合わせには、特性の付録が入っていました。

 中身は今話題の妖怪アマビエとコロナウィルス退散の護符。

 アマビエ(注:アマエビではない)は、江戸時代末期に肥後に現れたとされる妖怪で「病が流行るから私の姿を映して人々に見せよ」といって海中に消えた、という伝承が残されています。

(もっともこれは、時代が先行して現れた『アマビコ』の書き写しミスではないか、という説もあるそう)

 付録に入っていた刷り物は、絵が得意だった後輩による消しゴムハンコ作品に違いありませんが、ちょっと鬱勃とした日々に潤いをもたらしてくれました。

 日常の暮らしにユーモアと笑いで潤いを。


  【送られてきた詰め合わせセット(1万円相当)】

 

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外出自粛で家周りの補修はいかが ~ アスファルトの隙間補修には「DRプレミアムジュニア」が最適

2020-04-25 22:13:37 | Weblog

 せっかくの土曜日なのですがどうも天気が悪そう。

 本当は晴れている日の方が良いのだけれど、家の車庫前の隙間をわが社の舗装補修材「DRプレミアムジュニア」で修理です。

 地元のホームセンターであるホーマックさんには、「水で固まるマイルドパッチ」を一押しで売っているのですが、実はあの製品にも得手不得手があります。

 駐車場などの広い場所で一定の大きさで穴が開いた場合の補修はマイルドパッチが得意。

 マイルドパッチはアスファルト成分とともに骨材に13ミリの小石が入っているので、ある程度の力がかかっても支えることができます。

 しかしその小石の大きさ以上の穴じゃないと入らず、それ以下の細い隙間には入りにくいということがあります。

 そんなアスファルトの隙間補修に最適なのが「DRプレミアムジュニア」という商品。

 この商品はアスファルト成分の他に含まれる骨材が砂だけで小石が入っていません。

 アスファルトが粘りはしますが、粘る砂が入るような隙間ならそれで補修ができるというわけです。

 さらに、マイルドパッチの時もそうですが、元のアスファルトへの付着をよくするためにワンタッチコートというスプレータイプの乳剤を噴霧しました。

 これで付着効果もばっちりです。

 今日は家の車庫前に発生していた隙間を補修したのですが、材料がたっぷり余っていたので、ついでに家の前の舗装道路のひび割れも補修してやりました。


         【直す前のひび割れ】


         【修理直後の状態】


【砂を押し込んで詰めたような感じ】

 ゴールデンウィークは外出自粛が続くので、家周りの修繕に力を入れましょうか。

 修理剤の購入は…不要不急の外出じゃないよね…。

 

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健康でなくちゃできないボランティア

2020-04-24 23:49:41 | Weblog

 

 女優でタレントの岡江久美子さんがコロナウィルスで亡くなったとの報道にショックを受けています。

 キュートで聡明な方で素敵な人だと思っていたので、あまりにも急なご逝去に言葉がありません。

 コロナって残酷だなあ。

 
 そんなことになるとはつゆ知らず、先日献血に行ってきました。

 外出自粛の風が吹き荒れても「献血は不要不急の外出じゃない」とのことで、こんなときだからこそ協力したいボランティアです。

 受付の方に「コロナ騒ぎで来られる方は減っているのですか?」と訊いてみたところ、まだそれほど減っている印象はない、とのことでした。

 これからもこういう形で支え続けられると良いのですが。


     ◆


 一方、こういうときだからこそセンター内でのコロナ対策は入念です。

 まず「マスクを着用していない方の入館はお断り」という張り紙があり、消毒液の用意に加え、入館者は非接触体温計で体温測定。

 献血後には「新型コロナウィルス感染症に関するお願い」という紙が配られて、『献血後4週間以内に新型コロナウィルス感染症またはその疑いと診断された場合は献血日、氏名、生年月日を血液センターに連絡してください』というお願いが書かれています。

 献血は自分が健康でなくてはできないボランティアです。

 まつは移されない、移さないということを念頭に置きながら自制的に過ごすしかありませんね。

 がんばろうがんばろう。

 

 

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コロナ対策の上で神頼み

2020-04-23 23:40:18 | Weblog

 いきつけの床屋さん。

 こちらも他人との接触でしかもマスクができない状況というのはちょっとドキドキしますが、さすがに3人いるスタッフは全員がマスクをしています。


「コロナ騒動の余波はなにかある?」
「うーん、さすがに少しお客さんが減っていますね。外出自粛で来にくいのかな」

「でも飲食店みたいに『営業しないでください』と言われたら日銭が入らないから大変だわ。理美容業は営業制限にならなかったし、飲食店のようにお客さんの側が『行くのを止めておこう』という業種じゃないからいいよね」
「いやあ、一瞬東京都が『規制対象にする』と言った時があって、そのときは電話が『お宅はやってるの?』って鳴りまくりでしたよ(笑)」

「ゴールデンウィークとか、臨時に休みを増やしたりはするの?」
「いいえ、普段の休業日どおりで特別に休む予定はありません。でも確かにこの期間休んでいるお店もあるんです。床屋ってお客さんの方もほとんど一度決めたら他のお店には早々行かないじゃないですか。だから馴染みのお客様はありがたいんですが、それでも休んじゃうと、『なんだやってないのか、じゃあ今月だけ他の店で刈ってもらうか』となって、それで他店に流れることがあるんじゃないか、とは不安ですよね」
 
 いよいよゴールデンウィークも近づいてきたので、今回はいつもよりも短めにカットしてもらいました。

 お店が終わった後は店内の消毒をしたりして、対応にもいろいろ苦労しているようです。

「お店からウィルスが出たら大変なことですから、できるだけの気を付けています」

 ポストコロナ社会は、気を付けながらの日常生活ということになるのかな。


     ◆


 床屋さんが終わった後で、近くにある神社へお参りをしてきました。

 もう雪解けも終わったので手水の水も出ているだろうと思ったところ、「新型コロナウィルス感染予防のためひしゃくを撤去します」という注意書きがありました。

 これもまた感染拡大の影響ですね。

 我慢我慢で乗り切りましょう。

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懐かしの「ドライブインシアター」

2020-04-22 22:33:17 | Weblog

 

 3月ころまではいろいろなテレビ番組で、ゲストとして出演した芸能人が最後に"番宣"と称して自分が出演する演劇やドラマ、映画などの宣伝をしていました。

 しかしコロナウィルスが蔓延し始めた頃から、番宣のセリフにかぶせて「この公演は中止となりました」というテロップが流されるようになりました。

 次第に多くの公演・演劇・会合が中止になり、そして映画までもが上映されなくなりました。

 映画館や配給会社さんの損害も甚大ですが、自粛要請が続く中で次第に広く国民も刺激のない日々への忍耐が辛くなってきています。

 
 結婚してすぐの頃だったのでもう30年くらい前の事だと思いますが、新札幌に「ドライブインシアター」というのがありました。

 屋外の広い駐車場に車を停めて遠くの巨大スクリーンに映される映画を観て音声は車のラジオから流れるというシステムです。

 お酒こそ飲めませんが、持ち込んだ食べ物を自由に食べながら家族だけの空間で映画を楽しむことができました。

 これだったら映画を身近な人たちだけで楽しめて、しかも周りの観客と接することはないのでコロナ対策と映画鑑賞が両立しそうです。

 私の記憶では確か小雨降る中、「平成狸合戦ぽんぽこ」を観た記憶があります。

 今調べてみたら、「平成狸合戦ぽんぽこ」が公開されたのは1994年とのことで、今から26年前のことでしたか。

 それなら子どもたちは小学生だったころです。もっと昔の事のように思っていましたが記憶なんて曖昧なものだなあ。


     ◆


 考えてみたら、かつてのドライブインシアターだった広場は今では大型ショッピングセンターになっていて、その事業が始まるまでの土地利用ビジネスだったのでしょうか。

 二人きりの姿を見られるのが恥ずかしいというようなカップルにも最適な気がします。

 でも今どきの若い人たちなら車をもっていない人も多そうだし、封切り映画よりも見放題ネット動画配信サービスを家で見る方を選ぶのかな。

 映画ビジネスのあり方も歴史ですね。

 

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経済を回せ ~ 需要の火を消さないで

2020-04-21 23:49:04 | Weblog

 

 職場の打ち合わせ中に東京の友人から突然電話がかかってきました。

「ごめん、今打ち合わせ中なのでかけ直すよ」
「あれ?そうだったの?てっきりもう在宅勤務に入って退屈しているんじゃないかと思いましてね」

「こちらは不定期の在宅勤務なので必ず家にいるとは限らないんですよ。それじゃあ後でまた」

 
 次に彼に電話をしたのはその日の夜のこと。

「で、東京はどうですか?」
「さっきはごめんね。でもこちらも家から出ないようにしているのであまり外のことは分からないんだけど、お金が動かないのでお店なんかは本当に大変だと思うよ。そっちは?」

「札幌はまだ甘いね。マーケットにも公園にも人がずいぶん出ている。でも飲食業なんかは『行かないで』だから経済が回らなくて参っちゃうな」

 すると彼は突然こんなことを言い出しました。

「小松さん、経済で言うとアダム・スミスの名前は知ってますよね」
「まあ『神の手と言った』くらいのことはね」

「でも彼は18世紀後半に生まれ、せいぜい19世紀前半を生きたくらいの人なんです。で、彼の時代の経済って、せいぜい今でいう1次産業と2次産業くらいが関の山で、実際のものを作る物的生産のことしか考えていなかったんです。
 現代の経済との圧倒的な違いは、今は付加価値が生産されて経済を動かしているという事なんですよ。

 彼の時代はいわゆる"生産性"も低かったから、生産性を上げて物を作ることが強く求められました。しかしその頑張りの結果、生産性が上がって需要が満たされたらどうなるでしょう。

 仮の話として世の中に人が1人しかいなければ、彼は食べるためのお米を生産し続けなくてはなりません。

 さてそこへもう1人が加わって、彼が鶏を飼い始めたとしましょう。アダム・スミスの『国富論』でいう『国の富』とはお米と鶏です、まあ卵もあるかな。で、この二人はそれぞれ米を食べつくしては駄目だし、鶏を食べてしまってはいけません。翌年のための米を残し、翌年のための鶏と卵を残します。これが貯蓄というわけです。

 スミスは、この米と鶏と卵を残せば残すほど翌年の収穫は増えるのでこれを資本とすると『資本を蓄積せよ』と言います。それが経済成長なのだというわけです」

「ほーー」
「で、ところがこの2人は真面目に働いたおかげで、1年に2人が食べるだけ以上の米と鶏を作れるようになったとします。そこに3人目としてお医者さんが登場したとします。彼は米も鶏も作りませんが、その代わりに2人が病気になったらそれを治してあげる約束をして米と鶏を手に入れて暮らすことができます。

 さあスミスが軽視した、必需品や便利な産品を作らない非生産労働者の登場です。スミスは、そうしたものを生産しないくせに消費だけする非生産労働者は社会の富を増やすうえで邪魔になるだけの"浪費家と同じだ"と考えます。

 そして有名な言葉ですが「浪費家は皆社会の敵であり、倹約家は社会の恩人である」と述べます。

 ところが実際には、この米農家も養鶏家も生産性が上がってくると働いてばかりいても2人では消費できないくらいの産物ができてしまいます。しかし2人だけでは消費してくれる人がいない。ならば、それを使って病気の面倒を見てくれる人がいたっていいし、何だったら退屈な日々を紛らわしてくれる物語を書いてくれる人がいてもいいし、なにかの芸で笑わせてくれる人がいてもいい。

 スミスのすぐ後に登場したマルサスという人は、まさにスミスが「非生産的労働だ」とした医者や小説家や芸能人は需要を創出してくれて社会を豊かにしてくれるという意味で経済的な活動なんだと考えました。そしてマルサスの考え方をその100年後にケインズが有効需要論の原型として位置づけることになる。
 
 実は経済学には初期のころから2つの前提がぶつかりあって今日に至っています。それは「経済を回すのは需要なのか供給なのか」というテーマです。

 「需要を創出すべきだ」という立場の経済学があれば、「供給を備えれば需要はついてくる」という立場の経済学もある。

 このどちらに立つかは、やがて公共事業をどう考えるかとか、社会保障をどう考えるか、という立場の違いになって表れてくるんですが…、まあ今日はここまでにしておきましょう」

「えー?面白くなってきたところなんですが」
「はは、でも今の世界経済をごらんなさい。コロナウィルスを封じ込めるために経済を回すことを我慢している。こうなると欲しくても欲しがらない、という需要を我慢することになってしまって経済は回らなくなるって話ですよ。

 国民だって対岸の火事と思っていてはいけません。テイクアウトだとかだぶついた商品を買ってあげるとか、できる範囲で経済を回して耐えてゆかないとその影響はいずれ自分に及ぶんですから。さて、では僕はこれから近くのイタリアンのテイクアウト総菜を買いに行ってきます。ではまた」

 経済は循環なので、自分だけが倹約をしていれば耐えられるという話ではありません。

 もちろん自分だけが頑張っても社会を救えるわけではありませんが、そういう気持ちを共有して社会を構成する一員として協力をする姿勢が大事なのだと彼は言いたかったのでしょう。


 さて、神の手と握手ができるように、家飲みばかりじゃなく、少しはテイクアウトも利用しましょうか。

 

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