北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

阿寒地熱発電をめぐって

2012-04-09 23:45:56 | Weblog
 先週の土曜日の北海道新聞に「釧路市長が阿寒の地熱発電に反対」という記事が掲載されました。

 まずこちらからどうぞ。


《釧路市長、阿寒地熱発電に反対表明 「自然環境守る」 開発は困難に》 http://bit.ly/IA61Hq 環境省の規制緩和を受けて石油資源開発(東京)が釧路市の阿寒国立公園内で建設を検討している地熱発電所について、同市の蝦名大也市長は6日、「阿寒の自然環境は地域資源で、しっかり守っていくことが次世代への責任だ。無理なことは無理だ」と反対を表明した。同日、開発反対の要望書を提出した地元のNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構と阿寒湖温泉旅館組合の役員に答えた。

 地元の自治体や関係団体が反対姿勢を明確した地域では環境省は開発許可を出さない方針で、阿寒地域での地熱開発は極めて困難となった。<北海道新聞4月7日朝刊掲載>


    ※     ※     ※     ※     ※


 この要望書提出の席には私も同席していましたが、阿寒湖畔関係者の懸念は、「温泉資源などにどのような影響が出るかが分かりません。さらに心配なのは、影響が出るのは何年も後になるのかもしれず、そうなると決断した我々が責任を取れることではなくなります。前田一歩園さんを始め、多くの先人が保全し残してくれたからこそ今があるのであって、これを何としても守ってほしい」ということでした。

 これに対して市長は上記の趣旨の発言をしたものです。

 記事からはかなりきついニュアンスも伝わってきますが、阿寒の皆さんとの会談は穏やかなものでした。

 しかし、釧路市がこの阿寒国立公園内での地熱発電開発に極めて消極的であることに変わりはありません。

 そもそも、以前から国立公園内での地熱発電開発は法律上は可能であって、それは「斜め掘り」という形で、「国立公園の外から国立公園内の熱源めがけてボーリングすることは個別の許可を認めていたもの。

 それが今回の改正で急に、「国立公園内での垂直ボーリングも認める」となったもので、どうやら霞が関内部での力関係のなかで、環境省としては白旗を上げ、「現地の許可さえ得られれば」という形で地元に下駄を預けた、という印象が強く感じられます。

 方やでマリモ群落の阿寒湖が世界自然遺産に向けた登録調査を始めようか、というときに、周辺環境が守られないという相反する動きになることは決してプラスにはなりません。

 阿寒湖の球状マリモ群落が守られているのも、湖の環境や温泉環境などが複雑に絡んだ偶然によって形成されているということもわかってきましたが、こうした自然環境の改変がどのような影響を長期にわたってもたらすのかは推し量ることができません。

 地元としても不安と懸念を抱くのは当然で、こうした声を行政が無視するわけには行きません。

 行政としては情報収集活動まで拒否するつもりはないので、開発主体の意見を聞くつもりは十分にありますが、地元を始めとした関係者は多数いるので、行政だけが聞き置くということにもなりません。

 関係者全体が情報を共有する場が必要になるかもしれません。

 
 既に日経などでは、「福島県に次いで、日本で二番目にポテンシャルの高い地域だ」などという記事が出ていますし、一部の情報によると、すでに今年度中の調査費もついているのだ、とか。

 こうした既成事実の積み重ねは、地元にとっては寝耳に水のことで、訝しく思うのも当然と言えるでしょう。

 この問題はこれからも注視してゆかなくてはなりません。
コメント (2)
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