北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

精鋭しか残れない

2006-05-31 23:59:46 | Weblog
 今日も小雨の降る一日でした。北海道には梅雨はないのですが、ライラックの咲く頃の天候不順をリラ冷えと言います。
 天候不順も言い方一つでロマンチックになりますよね。
 
【精鋭による信頼される仕事】
 いよいよあと日中韓の観光担当大臣会合まで一ヶ月となりました。

 日中韓の大臣が一堂に会するような大きな催しなのですが、これが釧路市阿寒町と旭川、そして札幌と移動しながら日程をこなすということで、準備が大変なのです。

 会合に参加される方の中には北側国土交通大臣を始め、警察による要警護対象者もいるわけで、見えないところでの準備にも気を遣わなくてはならないのです。

 この会合も、観光関係の事業という事で本来は運輸局の担当なのですが、準備期間の短さと現地でのサポートスタッフの数からいってもとても運輸局だけでは手が足りず、わが開発局も支援に回って準備のお手伝いをしているのです。

 開発局では釧路、旭川と現地の開発建設部に精鋭部隊がいますので、彼らと連絡を取りながら現地での警察、運輸支局との調整にあたってもらっているのです。

 やっと現地での要員数のイメージがあがってきたりと、作業的にはやきもきするシーンも多いのですが、一歩一歩確実に内容を詰めて行きましょう。

 政府の行革方針で、北海道開発局からは今年も含む今後五年間で1003人の定員の削減案を、政府の行政減量・効率化有識者会議(座長・飯田亮セコム最高顧問)が三十日にまとめる最終報告に盛り込む、という報道がされました。

 この数は定年などの自然退職者を不補充としただけでは達成出来ない数字ですので、組織の大幅な見直しも今後必要とされる事が予想されます。

 この広い面積を効率的に管理したり、適切に整備して行こうという気持ちからすると大きすぎる数字ですが、仕事の内容ややり方なども見直す事で質を落とすことなく、地域の皆さんの期待に応えたいものです。

 ますます一人一人のやる気と能力を向上してゆかなくてはなりません。

 ピンチはチャンスでもあります。しょぼくれて下を向いているばかりではなく、いよいよ精鋭によるしっかりした組織作りを目指したいものです。

 それはつまり指導する側の能力が試されているということでもあるのですから。
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カーナビで外国人観光客をおもてなし

2006-05-30 23:53:13 | Weblog
 毎日なんだかしょぼしょぼと雨の降るしょぼくれた日が続きます。からっと晴れないものですかねえ。
 
【外国語のカーナビ】
 シーニックバイウェイの会合で、ナビ機能のついたPDAというハンディタイプのパソコンを見せてもらいました。

 外国人の観光客にとっては北海道でのドライブ観光は案外面白いもののようで、我々もドライブを楽しむ外国人観光客が増える事を希望しているのですが、土地勘と言葉の障壁が心配なのです。

 土地勘とドライブルートについてはカーナビが発達していますので、目的地を入れればなんとか機械が案内をしてくれる時代にはなりましたが、言葉の方がやはり問題なのだろうと思います。

 国内で販売されているカーナビでは、外国人の利用がそれほど多くはないだろうということで外国語での案内対応がされていないのです。

 なんとかそこを充実させる事で外国人に旅しやすい北海道にしたいというのが、観光関係者の大きな課題の一つでもあるのです。

 今日見せていただいたパソコンは、車に搭載するタイプではなく、持ち運びが出来るものなのですが、日本語はあたりまえとして、日本地図が英語表記されて英語で案内してくれるモードと、日本語の漢字表記で中国語で案内されるモードの二つが備わっているのです。

 まだまだ大手のカーナビメーカーでは対応が追いついていない分野ですが、技術的にはこうした事はどんどん可能になっているのですね。

 携帯電話にももうすぐGPSが標準装備になるとか。科学技術は自分たちの知らないところで便利と安心を支えていてくれているのです。
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自転車で生活を変える~オーストラリアのビッグラン

2006-05-29 23:31:28 | Weblog
 太平洋側は記録的な大雨とか。日中も小雨のぱらつくすっきりしないお天気です。そろそろ初夏らしくなって欲しいものです。
 
【自転車で生活を変える】
 自転車で地域作りを進めてきた土屋朋子さんのお話を聴く機会がありました。

 土屋さんは、北海道で今年20回目となる自転車のツアーイベントであるツール・ド・北海道の立ち上げの際にも多大なご協力をいただき、その後も運営に対するアドバイスをいただきながら開催をサポートしてくださっている方です。

 今回はその土屋さんがオーストラリアで「ビッグ・ラン」という一般参加者によるゆったり型の自転車ツアーの旅をしてきた感動をお話ししてくださったのでした。

 ご本人は現在秋田県の田沢湖周辺を中心に、女性を対象としてロードレーサーに乗ってツアーの旅をする活動を続けていて、その参加者が既に千人を超えたのだそうです。
 そしてその経験から来る感想は「自転車の楽しみを知ってしまった人たちの多くがリピーターとして自転車に乗り続けてくれています。自転車はすばらしい」ということでした。
 掛川でのスローライフNPOの取り組みに実に似た活動をずっとされていたという気がしました。

    *   *   *   * 

 さて、オーストラリアで開かれたビッグランです。これはテント生活で9日間にわたり約500kmを走るというものです。一日の走行距離は約70kmくらいですが、これは自転車に乗る人からすると「極めて短くて、すぐに終わってしまう距離」なのです。

 食事は主催者側が朝と昼をキャンプ地で提供しながら旅を続けるというもので、1000人のツアー客をもてなすために、なんと250人のボランティアが参加しているのだそうです。

 キャンプ地は移動した先の小さな村には必ずある大きな原っぱで、そこにテント村が出来るのですが、その一行が来る事を村人が心待ちにしていて、そこが一日限りの交流の場になるのだそうです。

 テント村には主催者が移動用のトイレ車とシャワー車を用意し、清潔な旅を補償しています。土屋さんは「オーストラリアではこういうツアーを支える文化がビジネスにもなっているのです」と感心していました。

 一日の行程が70kmくらいだと、朝食事をしてテントを畳んで9時過ぎに出発しても、だいたい午後1時か2時くらいにはその日の目的地についてしまい、あとはその日の宿泊地である村を散歩したり交流したり、バーでお酒を飲んだりという、実にゆったりとした旅が楽しめるのだそうです。

「日本の自転車ツアーではとにかくスピードを競ったりして、楽しみ方の幅が狭い印象ですが、このビッグランに参加して初めて私が女性達を相手にしてやってきたことが正しかったんだ、と確信出来ました」と土屋さんは語ってくれました。

 とにかく1000人にもなる参加者全員がみな声を掛けあい、あるときは助け合いながらゆったりとした自転車の旅を続けて、行く先には宿泊地の村人達とのふれ合いと交流、そしてもてなしがある、という自転車ツアーのスタイルはいかがでしょうか。

 この9日間にわたる自転車ツアーの旅の参加費用は、飛行機代を別にして12万円だったそうです。これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれかも知れませんが、参加された土屋さんにとっては大満足の旅だったようです。

 質疑応答で、日本にそういうツアーがない理由を尋ねてみると「そのようなツアーを楽しみ、もてなすことができる人材が不足しているということでしょうか」ということでした。

 土屋さんは外国人を相手にして自転車ツアーを企画して国内を案内することも何度か行っていますが「日本を一週間の自転車ツアーで50万円払うという外国人がなんにんもいるんですよ」と言います。
 立派なビジネスであり、参加者にとっては自分自身が幸せになる旅があるということなのです。

 私は日本の公道では道が狭かったり交通量が多かったりして、このようなツアーは大変だろうな、と思ったのですが、オーストラリアの人たちに言わせると「日本はドライバーとのアイコンタクトができて、車がちゃんとよけてくれるから走りやすいよ」ということなのだそうです。オーストラリアの車ってどんな走り方をしているんでしょう?

 土屋さんもご自身がツアーを組むときには、どこで山を登ってどう下り、どこでゆったりした走りをして…というように、コース全体の組み立てをいろいろと考えるのだそうです。

 組み立てるコースによって参加者の感動も変わってくるのですね。そんなコースレイアウトを組み立てる技術や能力も含めて、自転車の旅に対する社会の目がもっと肥えてくれると良いのですが。

 土屋さんは、お年に言及するのは失礼かも知れませんが、現在67歳になられているのですがそれでも元気に自転車で走り回っている素晴らしい女性です。

 彼女はツール・ド・フランスを見て自転車を始めたということでしたが、ここにも自転車で生活が変わってしまった人がいたのか、という思いです。

 出会いは人生を変えるんですね。 
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普段からしておくと良いのだけれど

2006-05-28 23:15:16 | Weblog
 今日は昨日から一転して風と雨の強い一日。朝6時過ぎに運動会の開催を告げる花火があがったのですが、本当に開催出来たのでしょうか。
 なんとも残念な一日です。
 
【普段から普段から】
 父親の喜寿祝の際に一家で撮った写真ができあがっていたので、実家まで届けに行きました。

 父は午前中に行われた雨中の廃品回収で少々疲れ気味でしたが、その年でまだまだ十分に歩けるのは立派なものです。

「新年度から住民税が随分上がったんだよね」
 年寄りからも少子高齢化に対応する社会づくりのためには応分の負担をお願いしなくてはならないようです。

 そろそろ消費税率のアップが噂される昨今ですが、高所得者と低所得者を比べると、低所得者層の方が消費性向が強く、手にしたお金を使う割合が高いのです。

 つまり低所得者に多く所得を与える方が社会に回るお金は多くなるということで、そういう点からも消費税を上げる事は経済活性化の面から見ると不況の下では行うべきではない政策と言えます。

 しかし最近の日本はマクロで見ると既にバブルの後遺症からも脱出をしていて好況期に入りつつあるようで、そういうときには行っても良い政策なのかも知れません。

 しかし日本全体がマクロ経済的には上向きとはいえ、地域による偏りが大きいので、この影響を受けないところと大きく受けるところの差も大きくなる事でしょう。

 国(というよりも財務省)が、正しいタイミングでの増減税が国民の合意を得てやれればもっと好不況の波に対する財政運営がしやすくなるのですが、減税は良くても増税は簡単に認められないのが社会の現実でもあります。

 世の中には本当に正しくて辛い事が多くあるのですが、それを普段からどれだけ説明して納得させる事が出来るかという信頼を得る事が一番難しいのですね。

 経済の事象を、妬みや嫉妬の心に火をつけずに説明するにはどうしたらよいのでしょうか。

    *   *   *   * 

 今回の写真を見ていて、実家にあった16年前の家族写真と見比べてみると、弟が全く変わっていないのに気付いて爆笑しました。

 写真を見比べてみると、変わっているのも良いし変わっていないのも笑いの対象になるようです。

 そのときそのときの記録を残しておくという事は重要な事ですね。今日は二度と帰ってこないのですから。
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クラーク・ホースガーデン

2006-05-27 23:41:37 | Weblog
 久しぶりにこれ以上はないほどの快晴です。行楽日和であり運動会日和でもあります。
 明日は一転して天気が崩れるようで、今日の運動会は良かったけれど、明日は悩ましいことでしょう。
 
【クラーク・ホースガーデン】
 朝早起きをして旭川市の郊外にあるクラーク・ホースガーデンへと向かいました。

 ここはOさんという方が十年ほど前から始めた乗馬を中心とした観光牧場なのですが、最近ではNPOとしても活動の幅を広げているのです。

 こちらの気持ちは馬に乗る気満々で家族を連れて行ったのですが、今日はクラークさんのNPOがJTから受けた補助事業を子供と親と一緒に行う日で、それを脇で参加させてもらう形となりました。

 それでも馬の引き方の練習や、グルーミングという毛並みの手入れの仕方などを学び、さらに少し離れた放牧場でミズナラの木を植える作業を子供達と一緒に汗を流しながら楽しみました。

 農場主のOさんは「これまでに13回も転職をしたけれど、どれもお金をいただきながら人生経験や仕事の経験を積ませてもらえて良かったと思っているよ。人生が一つの仕事しかしないのだとしたら、案外つまらないんじゃないかな」と笑います。

「ここへはどんな人たちが来るのですか?」
「大体夏の期間がほとんどだけれど、東京や関西から旅雑誌やらホームページなどいろいろなチャンネルで僕のところで馬に乗れるという事を知って訪ねてきてくれますよ」

「地元からのお客さんは多いのですか?」
「地元からは本当に少ないですね。公務員を例にすると、一番来てくれるのは国家公務員、次が道庁職員、ほとんど来ないのが市役所職員という順番ですね」

「私も経験がありますけど、またいつか転勤をするかと思うと、地域のいろいろな事柄を味わったり勉強したりする気持ちが強いのじゃないですか。ずっと地元にいると、『いつでも行ける』という気持ちになりがちですしね」
「本当にその通りですよ。だから今日のこの親子のふれ合いイベントでも参加者の半分以上は内地からの転勤族ですよ」

「やっぱり」
「ここへ遊びに来てくれる人はやはり都会にない自然だとか動物とのふれ合いなどを求めて来てくれているんですよ。そして地元の人たちは地元にはない都会を求めて東京へと出てしまいます。僕なんかは、市役所の職員と東京の職員を人事交換して互いに期限を切って出向させれば、いる期間だけでもかなり必死になって互いの地域を遊び、味わうんだと思いますよ。そうすればもっと経済効果も上がるのにね」 

 ここでは馬に乗って河川の清掃をしたり林道を馬に乗ってパトロールしたりするボランティア活動も行っていますが、馬に乗ってボランティアができるかどうかはOさんが「こいつはもう馬に乗れる」と認めない限り出来ないのだそうです。

 Oさんはここに理想の村を作りたかったのだとか。
「ある先生が言っていたんだけれど、村にはコミュニティの場と芸術が必要なんだそうです。僕も本当にそう思って、コミュニティの場は元々の地主が残してくれた家を改造したレストランにして、芸術として今は離れたお隣さんの女性が植物画を描いてくれているので、いつかそれをギャラリーにしたいと思っているんですよ」
 
 いくつかある廃材を利用した手作りの家の中にはアコーディオンがあって、アメイジング・グレースを聴かせてくれました。音楽の面でも立派な芸術がもうあるようです。

 次は本当に馬に乗りに行きたいものです。せっかくそんな我々のために馬を飼ってくれているのですから。
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「現場」とはなにか~NPO連携調査から

2006-05-26 23:16:47 | Weblog
 アレルギー性鼻炎の薬を飲まずにいるとやはり目がかゆくなります。後少し我慢すればシラカバ花粉のピークも終わると聞いて、薬を我慢してみているのですが。
 
【現場とは何か】
 昨年度に行ったある調査で、「NPOと行政との連携はいかにあるべきか」というテーマを勉強しました。

 アンケートやヒアリングを行って、NPOの人たちや行政はお互いに対してどのような期待や不満を持っているのか、ということも調査しました。

 NPOの人たちが行政と連携することによるによる自分たちのメリットとして「対価をもらえる事で事業が可能になった」ことが一番多く、次いで「市民の理解や信用が得られた」「知名度が向上してPRになった」などと続きます。

 ところが行政の側ではNPOが感じるであろうメリットとして「資金支援」は同じだったものの、「活動が拡大するだろう」とか「情報発信が出来るだろう」といったことを考えていて、要するに互いの認識が異なっているのです。

 同じようにNPO側では、自分たちNPOと連携して仕事をする事で「行政側のコストが下がるだろう」とか「行政にはNPOの専門性が役に立つだろう」と思っているのに対して、行政の側では「住民との信頼や協調関係ができる」ということを一番に考えていて、次には「地元の意向がつかめる」、「日常から合意形成につながる」などといった答えが続きました。

 ここでも両者の認識は大きく食い違っているのでした。

 互いがなにを課題に考えていると思うか、という問いにもやはり双方で思惑が違う事が伺えました。

 行政とNPOとの連携は、一部にシーニックバイウェイのように先駆的な試みが見られますが、大きな流れにはなっていません。

 行政側がまだNPOを業者に出すよりも安い労働力である、などと思っているうちは連携など果たす事は出来ないでしょう。

 NPOの本質は彼らの「目標達成に向けた情熱」であり「活動を楽しみながらやっている」ということですが、当然安いにせよ一定の対価は必要なのであり、お金の事を考えない活動はボランティアではあっても、正当な対価で次の事業を回し続けるNPO活動とは一線を画すべきものなのです。

 行政側の職員意識も変わらなくてはなりません。コストに対する意識はその代表的なものです。

 その次にはおそらく職員の「現場とはなにか」という意識をもう一度改革する事が必要だと思うのです。

 我々のような技術屋が現場というと実際に工事をしている工事現場のことを思い起こすのですが、地域にあって地域に貢献し、地域を幸せにするために存在している自分という事に本当に思いが至れば、ありとあらゆる地元でのふれ合いや会話のシーンがまさしく「現場である」という事に気づくはずです。

 地域のお年よりの昔話を聞いているとき、方言の本を読んでいるとき、神社で宮司さんに神様の事を訊いているとき、祭りに出ているとき、郷土料理に舌鼓を打っているとき、地酒を味わっているとき…などなどです。

 決して工事現場で現場監督と工法をどうしようか、ということだけが現場なのではなく、我々が作るもの管理するものがどのようにして地域にとけ込み、あるいは地域から不満に思われているかを察知する事が求められていて、それを知るすべての機会こそが「現場」であるのです。

 NPOとの連携や協働やコミュニケーションなどという事柄も、この現場意識があれば当然必要な事だと分かるはずなのです。

 NPOとの連携といいながら、まだまだ双方にも問題や課題を抱えている事も事実です。その溝をコミュニケーションを通じて埋めながら協働で良い地域を作って行きたいものですね。

 
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中国のIT事情と日本の教育

2006-05-25 23:26:45 | Weblog
 今日も爽やかな晴天ですが気温はやはり上がりません。飲んで帰るときのタクシーの運転手さんが「山にまだ雪があるからでしょうかねえ」と言いましたが、「そんなことはないやろ~」と言いたくなりました。
 
【わたしまけましたわ】
 札幌市内でも指折りのITのスペシャリスト達と久しぶりにお会いして懇親を深めました。話題はITの世界での中国との関係です。

 相手のなかでもSさんという方は、札幌にあって中国のIT技術者との間でビジネスの橋渡しをしているその世界では有名な方なのですが、そのSさんが「わたし負けましたわ」と回文の発言をしたのです。

「何が負けたのですか?」
「いやあ、中国のIT技術者のすごさですよ。教えた事はどんどん吸収してしかも優秀で安いときていますからね。もうすぐ日本はかなわなくなりますよ」とのこと。

「ITのソフトなどは中国で下請けをしているのですね」
「もうアニメの世界がそうなっていますよね。アニメのセル画はもうかなりの部分を韓国に下請けしてもらっているのですが、その一部がもう中国へ孫請けになっています。いまに直接中国とのビジネスに転換するでしょう。」

「なるほど」
「東京ではオフ・ショア貿易などといって、海の向こうとの貿易は安いということで、札幌なども海の向こうとしてソフト製作などの仕事がくるのですが、その一部を中国に下請けしてもらえるように、現地のIT技術者の要請もしているのです。しかしもうすぐ東京は札幌を経由して中国に行っているなら直接中国を使うようになるでしょうね」

「ITというと、IT技術を身につけるという事もありますが、日本を相手に仕事をするという事は日本語も身につけなくてはならないでしょう。その点は難しくないのですか?」
「それが確実に自分の出世に繋がるという確信がありますから、彼らは本当に必死で勉強します。彼らが日本で学んだ修士論文などを読むと、『今の日本の学生はこれだけの日本語の文章は書けない!』と思うような素晴らしい語学力ですよ」

「なるほど、ITは確実に出世に繋がるのですね」
「農村部の学生が沿岸部に出てきて、しかもそこでお金が稼げて家族を呼べて、独立して億万長者になるにはITの資格を身につける事が一番なのです。そして大学では常に成績順位を発表して、そこで100番以内の学生は○○へ就職出来るし、月給は5万円、そして3年経ったら独立する事も出来るとして、政府ぐるみでそれを奨励しているのですよ」

「品質はどうなのですか?」
「日本よりも遙かに素晴らしくしっかりした仕事をします。会議では会話を全部議事録にして残し、それにハンコを押さない限り次の仕事に移りません。テレビ会議で意見交換しようと言うときなどは、ヘッドセットを一式送ってきた事もありました。『これで会議をしてください。そうすれば議事録を作って送りますから』というわけです。実はかつてNECが中国でソフト開発をしようとして20億円の損失を出したという事件があったのですが、今ではその時の教訓をテキストにして、二度とこういう事を起こさないという授業を日本語で行っているくらいですよ」

「いよいよ危ないですね。日本はどうしたらよいのですか」
「単純なプログラム作成はもうどうやっても勝てません。高品質で日本で作る値段の五分の一で作ってきますからね。ですからそれらをどう組み合わせて、顧客のニーズに合うようなソフトとして売り込めるかというワンランク上の営業力を身につけないといけないでしょうね」

 教育にもっと政府と社会がお金をかけないと日本は駄目になる、というのが今日の会合の結論のようでした。教育に対する自己負担率が西洋先進諸国に比べて圧倒的に高いのが日本の現状なのだとか。

「国際的な人権条約のなかにも教育に関して無償教育の漸進的導入について日本は留保付きで批准しているんです。教育に関しては日本は世界的レベルからは遅れているのじゃないでしょうか」

 まさに国のあり方が問われているのかも知れません。お金をかけるべきところにかけること。そしてお金をかけてもらっているという事を自覚する事。
 その両方が機能する事が必要なのですが。
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便利と自己責任

2006-05-24 23:34:36 | Weblog
 今日は爽やかな晴天ですが気温はあまり上がりません。涼しいと言うよりは暖かくならないなあ、という印象です。
 そろそろライラックの花が咲いてきました。
 
【情報社会】
 道内の地方部にいる後輩のA君が訪ねてきて四方山話になり、このブログで何度も紹介している「逝きし世の面影」の本の話になりました。

 実は私にこの本を紹介してくれたのはこのA君なのですが、彼自身がこの本を知ったのもごく最近の事なのでした。

 もう3ヶ月ほども前の事で、札幌に川勝平太先生をお招きしてシンポジウムを行ったときのことです。川勝先生が控え室に戻ろうとして非常階段を降りたところで目的階のドアを開けようとしたところ開かないで困っていたところに同じ階段で通りかかったのがA君だったのだそうです。

 そこで非常電話で従業員の方を呼んで開けてもらう事にして、それまでの数分の間に川勝先生から紹介をされたのがこの渡辺京二さんの「逝きし世の面影」だったのだそうです。

「あのときに階段で降りて、まごまごしている川勝先生と会わなければこの本など一生知る事がなかったと思います」とはA君の弁。
「そうするとあなたから僕が教えてもらう事もなかったんだよね。不思議な縁もあるものだけれど、そういう運命にあったと理解しますよ」

 人間どこにどんな縁が転がっているのか分かりませんが、その一瞬の出会いを運命と感じてその世界に飛び込むのかどうかで、いろいろな事が変わりそうです。要はそういう生き方を危なっかしいと思って嫌うか、面白い事になりそうだと思って好むか、という性向の問題なのかもしれませんが。

 みなさんはどちらですか。

    *   *   *   * 

 さて、この本を私はその後駅前の大型書店に注文したのですが、手元に届くまでには2週間を要したのでした。
「A君はどうやって注文したの?」
「私はインターネットのアマゾン・ドット・コムで注文しましたけど、3日後くらいにはもう届いていましたよ」

「すごく早いね。でも送料が高くつくのではないですか」
「それが一定の金額以上を購入すると送料はタダということなんですよ。田舎の書店が潰れるわけですね」

「なるほど」
「アマゾン・ドット・コムがすごいと思うのは、そうやって本を注文し続けて行くと、僕がどんな本を好むのか、ということを察知して、そんな興味を引く分野で新しい本が出たりするとメールで進めてくれるんですよ」
「それこそ個人情報の最たるものかも知れないよ」

「確かにそうかもしれません。でも数多ある本の数々の中から興味を引く本を探すのに時間をかけるのなら、そういうお節介をしてくれる事も便利なサービスかも知れないな、と思い始めていますよ」
「なるほどなあ、個人情報はサービス合戦のためのまさに宝の山なんだね」

 彼のような考え方が出来れば、自分にはこのような趣味の傾向があるとか興味を持つ分野などを知ってもらう事は良いサービスを勧めてもらえる条件を提示しているということになるのかもしれません。

 個人情報の漏洩をただ恐れているばかりではなく、自分で許せる範囲までを責任を持って開示する事でより便利なサービスに繋がるのだ、という現実を受け止める事が出来るかどうかはまさに自己責任の範囲なのでしょう。

 社会の中で生きるときの事故責任を生涯学習で真面目に考えたいものです。便利な社会を生きる自己責任とは何なのでしょうか。
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版画家藤倉英幸さんの個展を観る

2006-05-23 23:30:39 | Weblog
 今年の初夏は寒そうです。日照不足のために各地で農作物の生育に注意が呼びかけられています。
 天気も経済も、安定が一番なのですが。
 
【藤倉英幸さんと会う】
 知人を介して、ずっとファンだった版画家の藤倉英幸さんの個展に招いていただくことができました。個展の会場は市内の中心部のビルの4階のギャラリーです。

 藤倉さんは岩内町生まれの57歳。作品の数々はここで観ていただく事にいたしましょう。

 少し前まで道内のJRの車内誌の表紙を飾り、シルクスクリーンで描かれた北海道の暖かい風景は独特の世界を醸し出していて、今や北海道を代表する芸術家のお一人になられました。

 実は私は公務員に成り立ての頃に札幌市の南区にある滝野公園で公園作りをしていたのですが。その最後の年に係長をしていて、青少年山の家という子供達の宿泊研修施設を作っていたのでした。

 その施設は斜面に埋め込まれるように建設されたのですが、斜面の土を止めるために擁壁と呼ばれるコンクリートの壁をカーブさせながら作る必要がありました。

 そしてそれが8m×30mほどの大きな壁になる事から、なにか彫刻のような造形をしてはどうかという提案があって、そのときに持ち込まれたいくつかの原画の中に当時40歳の藤倉さんのものがあったのでした。

 当時はあまり深くは考えなかったものの、子供たちの研修施設にイメージが合うような優しげな図案に惹かれてその作品に決めたのでした。

 今思えば、既にある程度の活躍をされていた方だったはずなのですが深くは考えないままに作品と出会い、それが巡り巡って出世された事を人ごとのように思えず嬉しく思うのです。

 そうして、芸術に関係するような知人にそんなことを話しているうちにひょんなことから藤倉さんに近い方にお会いする事が出来、「いつか引き合わせてくださいよ」とお願いをしていたのですが、それが今日のこの日に「個展があって、道立近代美術館の水上館長さんとの掛け合いトークもあるみたいですよ」という連絡をいただき、それに出席をさせていただいたのでした。

 藤倉さんご自身は、学校を卒業後菓子メーカーに就職したのですが26歳の時に夏の青空を見上げて「なぜこんなに天気の良い日に自分は部屋の中で働かないといけないのだろう」と疑問に感じて、独立を決心して広告代理店やデザインの仕事を始め、そこから今に至ったのだそうです。
 なかなか度胸のいる話です。

 掛け合いトークの中でご本人は「私は『愛おしい風景』を表現してきたように思います。見る人が見るとみんな自分の故郷のように感じてくださる事が多くて嬉しく思います」とのことでした。

 藤倉さんの作品は原画が色画用紙の切り絵でできていて、それをプロのシルクスクリーンの刷り師さんがシルクの版画にして行くのだそうです。

「私の原画が切り絵という事もあって、その表現に一番近づけるのがシルクスクリーンなんですよ」とのことでした。
「昨年にはこの刷り師さん札幌市の芸術貢献で表彰を受けられましたよ。原画を作った私ではなくね」と藤倉さんは笑います。

 トークの会場は50人ほどのファンが集い、壁にはシルク作品はもちろん、切り絵による原画も展示されていて、原画をシルクがどのように表現して行くのかという事が伺えて大変興味深かったのでした。

 これからも北海道の風景を暖かいタッチで切り出していただきたいものです。

「人間、何が元気になるって、人を応援するときが一番元気になるものですよ」とは水上館長さんの言葉でした。

 この北海道を元気にするためにも、人を応援する気持ちを持ち続けたいものですね。

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花粉症を我慢出来ず

2006-05-22 23:43:25 | Weblog
 相変わらずシラカバの花粉症に悩む毎日です。今年こそは薬を飲まずにすごそうと決めていたのですが、鼻水と目のかゆさに耐えかねてついに病院の門を叩いてしまいました。ひー、つらい。
 
【惜しいねえ】
 今年はできるだけ薬を飲まずに、アレルギー性鼻炎を耐えてみようと思ったのですが、とうとう耐えかねて鼻炎についてかかりつけの病院へ行きました。待合室は子供達からお年寄りまで幅広い年齢で、相変わらず混んでいます。

 いつも診てもらっているS先生は、一目見て「ふーん、シラカバなんでしょう?」と一言。
「そうですね。今年は我慢し続けていたんですがとうとう耐えられなくなりました」

 すると先生は苦笑いして一言。
「うーん、言おうかどうしようか迷ったんだけど、今年はシラカバの花粉が飛ぶのもあと一週間なんだよね。もう少し我慢しても良かったんだけどね。まあ来年の事もあるから薬は多めに出しておきましょう」
「は、はあ…、そうなんですか」

 なんと今年の札幌におけるシラカバ花粉の飛散は、5月4日に始まって以降その量を増やして、先週がほぼピークだったのそうです。あと一週間を耐えきれば、病院にかからなくても楽になったかと思うと、なんとも情けなくなりました。

 考えてみればこの手のシラカバ花粉の飛散量データなどはインターネットでいくらでも入手出来る情報なのでした。情報がお金になるということを改めて身にしみて感じました。

「それでも今年はシラカバも遅いんですよ。去年の今頃はもう暇だったもの」とはS先生の言い訳なのでしょうか。

 北海道のアレルギー性鼻炎は本州とは違って杉がないものの、かわりにシラカバが猛威を振るいます。もちろんそれ以外にもブタクサやハンノキなどもアレルギー性鼻炎を引き起こす原因にはなるのですが、その飛散量に置いて、シラカバが圧倒的な量を占めるので、他が目立たないというわけです。

 それでも夏が近づくと今度はイネ科の植物が登場してきます。ひ弱な現代人には辛い時代です。

 さて今年の北海道はどうやら寒い傾向にあるという長期予報も出ました。良好な経済活動のためには、夏は暑く、冬は寒くあって欲しいものです。

 そうして今年という二度と来ない季節を楽しみたいものです。もっとも花粉の季節だけは願い下げですが。グシュ!あ~かゆい!
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