北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

揚げ出し豆腐

2008-08-31 23:52:23 | Weblog
 朝一番で娘を羽田空港まで送ってきました。電車を乗り継いで行くにはちょっと複雑だし、バスも乗り場や空港ターミナルを間違えると行けませんからね。

 朝は天気が回復したような感じだったのですが、夕方になるとまたどこかで雷がなっています。どうも落ち着かない天気が続きますね。

    ※    ※    ※    ※

 この週末は宿題があって、娘関係以外の外出はせずに家にこもってこつこつと作業をしていました。

 根を詰めていらいらするときはちょっと料理で気を紛らわします。今日は揚げ出し豆腐。

  

 三個で100円の豆腐を一個半使って、かたくり粉をまぶして油で焼き、出汁つゆにとろみをつけてかければできあがり。実に簡単に出来て、鰹節に薬味のネギとショウガを添えれば立派な一品に。材料費はたった100円です。

 実はこの出汁汁はナスの煮びたしの残り汁。ナスの煮びたしは冷蔵庫で冷やして冷製でいただくと、夏にぴったり。

 この残り汁をもったいないので揚げ出し豆腐で使い回しをしたのですが、どっちも美味しい~。

 気分転換でもう一作業するとしますか。 
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いつか来た道

2008-08-30 23:56:08 | Weblog
 川崎の我が家に泊まった娘を、友達との待ち合わせの渋谷まで送ってきました。なんでも、ネット上での趣味で知り合った東京在住の年上の女性と、さらに京都から来る女性と合流してから都内のイベント会場へ向かうのだそう。

 不思議な出会いの友人関係ですが、これも現代っ子のライフスタイルなのかも知れません。

    ※    ※    ※    ※

 夕方になって「今友達と新宿で別れたよ」という電話があったので、家まで来る私鉄に乗るように言いました。確かに乗ったのは良かったのですが、数駅手前で「今○○駅にいるよ」というメールが入ったので駅まで迎えに行ってみると電車から降りてきません。

 (もしや)と思ってメールと共に電話をかけてみると、案の定「寝ちゃって乗り越した…」とのこと。早めに気付いて良かったよ。本人は案外けろっとしているのですが、回りは結構振り回されています。

 「初めてのおつかい」という番組があって、子供本人は真剣で、それを回りが一生懸命サポートしている様子を面白おかしく見せて人気です。なんだかそれに近いような感じです。

 それでいて、きっと自分自身も子供の時はそうだったんだろうな。

 「子供叱るな来た道ぞ」ですかね。はは 
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空港にて

2008-08-29 23:58:07 | Weblog
 この週末に下の娘が東京へ遊びに来るとのこと。なんでもネット上の趣味のイベントが東京であるらしいのです。

 新千歳発最終の飛行機は、出発時から機材遅れだそうで、20時55分発のはずが数十分遅れで出発したよう。かくいう私は、雨での交通の乱れも心配しつつ、早めに空港へ。早めといっても、22時半頃に到着する飛行機を待つのに19時半にはもう空港にいたわけで…。さすがにちょっと早すぎたか。

 飛行機は出発の時も遅れたようですが、羽田空港回りでも着陸する飛行機が混雑しているようでなかなか到着しません。

 家の近くの私鉄駅まで行くバスが22時30分発なので、それに乗れば良いかと思っていたけれど到着の遅延で無理。しかも到着予想が22時55分になっていたのがさらに遅れて23時15分の到着予定に。だんだん家までの帰りの公共交通機関が心配になってきました。

 ついに23時15分になったのですが、電光掲示板の到着ランプがなかなかつきません。そのうち携帯電話が鳴って「今ついたんだけど…、3番ゲートに…」
 おやおや、掲示板がつかなかっただけだったか。

    ※    ※    ※    ※

 しかしその時点で23時20分過ぎ。こんな時間で公共交通機関に頼ろうと思うと、都内中心部に戻るのが一番。縁辺部ほど最終電車が早く終わるのです。

 結局モノレール、山手線外回り、小田急線と乗り継いで我が家へ向かいましたが、どれも雨のために遅れがち。やっとの思いで家に着いたのは夜中の1時半でした。ふー。

 やっぱり迎えに行って良かった。ちょっとタイミングを間違えると、タクシーで帰る羽目になるところでした。でもその方が疲れなかったかな。

 まあ心配なんですよね。
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サービサイジング…?

2008-08-28 23:47:51 | Weblog
 「サービサイジング」という単語をご存知でしょうか。

 サービス(=Service)に、「・・・化する」という意味の”ize”をつけたもので、Servicizingと書きます。日本語に訳せば「サービス化する」ということになります。では何をサービス化するのでしょうか。ここでは「所有をサービス化すること」という意味で使われています。最近注目されつつあるライフスタイルです。

 我々はなにか新しい便利や喜びを得ようと思うと、それをもたらしてくれるモノを持つことでそれを実現してきました。

 洗濯を簡単にしようと思って電気洗濯機を買いました。
 いつでもどこかに出かけられるようになるために自動車を買いました。

 音楽を楽しもうと思ってCDを買いました。
 家には照明を買ってつけてあります。便利な暮らしをしようと思えばモノを持たなくてはなりません・・・でした。

 しかしよく考えると、これらの便利な生活のためには本当にモノを持たなくてはならないかというと、洗濯機がなくても洗濯ができればよい、車を持たなくてもいつでも安く車が使えればよい、本屋さんに行かなくても楽譜が手に入ればよい、照明だって自分のものでなくても良い・・・と考えれば、全く違った生活スタイルが展開されます。

 洗濯だったらコインランドリーもありますが、家に置いておくのでも誰かから借りておけばよい。自動車もいつも使わないのなら、何人かで数台を所有して使える状態になっていればよい。
 音楽はネットでダウンロードできるようになりました。

 おかげでCO2の排出も削減できるようになり、こうした所有からサービスの享受へという流れの中で特に環境に効果があるものをグリーン・サービサイジングということもあります。

   *   *   *   *   *

 モノを所有すると、税金がかかったり壊れたら修繕したり、古くなったら廃棄処分をしなくてはなりません。そうしたことが手間や負担だと思って一定の負担を我慢できるようだったら、そこにビジネスのチャンスがあります。

 洗濯機は業者さんの所有ということにして、我が家で借りて使った分だけお金を払うということにします。
 自動車も家から少し離れたところに駐車場があって、あらかじめの利用者登録と使いたいときに事前予約をして、使うときは1時間○○円を支払うようにすれば、家に車庫も要らないしあまり乗らないのに高い税金や保険料を払う必要もありません。音楽はネット配信でCDを自動車で輸送する必要がなくなりました。

 面白いのは照明のサービスです。古い工場や建物にはいまだに電球など効率の悪い照明施設がそのまま使われているところがあります。これを電気設備会社が新たな照明設備を自らの負担で持ち込んで、電気使用効率の高い照明設備に変えてしまいます。
 当然電気代が安くなりますが、その安くなった分を工場の持ち主と電気設備会社でお互いに折半しようというEXCOというビジネスが成立しています。事業者も電気代が安くなっておまけに電気設備が新しくなり省エネになり、そのうえで電気設備会社もビジネスになるのですから、まさに「三法良し」というわけです。

 いろいろな中古市場も少しずつ成立してきました。古本や中古車は昔からありますが、最近では衣服の中古市場や厨房施設の中古市場なども立派なビジネスになりつつあります。

 自分にとってはもうあまり価値を感じないものでも、他の人ならもっと価値を感じるということもあるでしょう。それを市場が仲介できればビジネスになるというわけです。

 使うときだけ借りればよい、というドライな考えに対して、まだまだ日本人は所有欲が強いといわれます。やっぱり自分のものを使いたい、という素朴な感情です。

 しかし持っていたいという思いが、家の中でもうあまり使わなくなったものにか困られる生活をもたらしているかと思うと、ここはすっきりと割り切るライフスタイルもありかもしれません。

 さて、サービサイジングという言葉は流行るでしょうか?
 
 
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結束を固めるのだ

2008-08-27 23:29:00 | Weblog
 知人のWさんという日本在住の中国人の方と会いました。話題は当然オリンピックのことに。

「中国は随分オリンピックで頑張りましたね。テレビは見ましたか」
「おかげさまで、でもテレビはあまり見ませんでしたね」

「オリンピックのシンクロナイズドスイミングで、日本の井村コーチが中国チームを育てて銅メダルを獲得しました。中国ネットでは井村コーチを賞賛する一方で、中国人でありながらアメリカのバレーボールチームをコーチした郎平を非難している聞きましたが」
「『郎平は中国人じゃない』とかね。でもどうですか?日本ではその井村コーチを売国奴と非難していると、中国のネットでは流れていましたが・・・」

「私自身は日本人が井村コーチを非難しているとは感じていません。一部にそういう声はあるかもしれませんが、ネットでもそんな声が大きくなっているとはとても思いません」

   *   *   *   *   *

 ネットを見ていたら、朝鮮日報で「北京五輪野球:星野ジャパンにバッシングの嵐」というタイトルの記事がありました。 

 こちら → http://www.chosunonline.com/article/20080827000038

 記事そのものは国内での星野監督に対する批判的な記事を取り上げているだけのものですが、日本国内で内輪もめが起きている様子を面白く取り上げている印象です。

 ライバルの国や嫌いな国の中で内輪もめが起きているのを見るのを気味が良いように思う気持ちはどこにでもあるようです。『敵の敵は味方』ということでしょうか。

 狭い世界での内輪もめは所詮コップの中の嵐。過ぎたことを反省して次に生かそうと逆に結束を固めてくる相手は手ごわいけれど、単なる内輪の批判を繰り返しているだけならば結束を緩めることにしかならないもの。ちょっと外から見てみると良く分かります。

 少し冷静になって、結束を固めたいものです。

    ※    ※    ※    ※

 アフガニスタンで掛川出身の伊藤さんが誘拐されて、この夜に亡くなったという報道がテレビで流れていました。

 イスラム過激派のテロとは言いながら、何とも残念な限りです。しかしここで逃げてしまっては亡くなった伊藤さんの志も果たせなくなります。勇気を持って結束を固めなくては。 
 伊藤さんのご冥福を心からお祈りします。   
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人と問題の分離

2008-08-26 23:32:11 | Weblog
 交渉学について書いたところ、読者のある方から「知人がある国際間の交渉の通訳をしていたところ、片方が突然怒り出してびっくりしたという話を聞きました」というコメントをいただきました。

 昨日は「感情を抑制することが大事」と書きましたが、上手なやり方によって感情を出させないようにするということも大切なのかも知れません。

 交渉の場でよくありがちなのが、何かこちらが主張をした際に「お前はそういうことを言う奴だったのか!」と言われること。主張そのものは正論だったとしても、その正論を言ったお前が許せない、という風に、本当の問題点とそれを指摘した人間を重なって気にくわなく思うのです。

 こんなときこそ「人間と問題の分離」を図りましょう。問題は問題、それを言った私個人の人格とは別問題ということです。

 そのこと自体は正しいのですが、それを相手の目を見て言ったりすると一対一のケンカのように身構えられてしまいます。

 そこでぜひ用意したいのがホワイトボードです。相対で話してケンカになりそうなときは、問題点や課題を相手に背を向けてホワイトボードに書くのです。

   

 そしてなにかの問題で相手が怒ったときも、相手に背を向けて、ホワイトボードに書かれたその問題を指さしながら、「そう、これが問題なんですねえ」と叫ぶのです。『相手に背を向ける』ということがポイント。

 その瞬間、私も相手も同じ方向を向いて議論をしていることになり、共通の敵を相手にしているかのような感じがします。

 向かい合ってやると、「なんだ、やるのか!?」とけんか腰になるような問題も、共通の敵として同じ方向を向くことで共同して解決する同志になれる(かも)というわけですね。これも交渉上の知恵なのだそうです。

    ※    ※    ※    ※

 人間は興奮してくると、だんだん自分自身のコントロールが出来なくなります。

 交渉学の田村先生ご自身も、交渉に臨むときは手帳に「二分法の罠」とか「人と問題の分離」と書いて、それを見ながら話をするのだとか。そんな冷静さがあるうちは大丈夫でしょうけれど。

 繰り返しになりますが、交渉というのは、相手を言い負かして勝って喜ぶのではなく、自分の満足と相手の満足を最大にするように納得し合える合意点を探るということに尽きます。

 かつての近江商人には自分良し、相手良し、世間良しの「三方良し」という言葉がありました。日本人も交渉の知恵は心得ていたのですね。

 歴史を経た知恵は素晴らしいですね。温故知新と行きますか。
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感情を抑えること

2008-08-25 22:55:17 | Weblog
 昨日受けた交渉学の授業からもう一つのネタを。

 普段我々が誰かに何かを納得してもらう行為が「交渉」ということなのですが、しばしばそれは交渉をされる側にも立つということを意味します。お願いしたりお願いされたりということです。

 そんなときに、双方がしばしば感情的になることがあります。あるいは、もともと一定の感情をもって交渉に臨むことも。そうなるともう先に答えは決まっています。「いやなものはいや!」で決まりです。理性的な対応ができなくなるからです。
 「ダメなものはダメ!」そう言って選挙をした政党もありましたね。こうなると交渉で双方が利益を最大にするどころか、交渉のテーブルに着くことさえ難しくなるでしょう。

   *   *   *   *   *

 たとえば公共事業などにもいろいろな反対運動がありますが、運動を広めようとする人たちは世の中の反対の感情を惹起しようとして情報提供をします。「そりゃひどいじゃないか!」という世間の感情がわき上がれば成功です。冷静になるのにはしばしば時間がかかるでしょう。

 逆に、「ステキ!」という感情を喚起出来れば新しいアイドルが誕生します。前回の選挙では「郵政改革、イエスかノーか!?」と問題が提起されて「イエス!大いにやれー!」「反対だ?ふざけるな」という感情が燃え上がって、小泉チルドレンが誕生し自民党が大勝しました。
 私個人は郵政改革は必要だったと思っていますが、そのテーマで国民感情を盛り立てた小泉さんはやはり世論の感情コントロールが上手だったのでしょうね。

   *   *   *   *   *

 ちょっと話がそれましたが、ですから交渉を行う上ではこの「(自分の)感情をコントロールする」、「(相手の)感情をコントロールする」ということが交渉の現場では大変重要になります。

 我々は「仕事の上で相手と交渉をするときは感情的になってはいけない」と教え込まれます。こちらが感情的になってうまく行くことはないことが分かっているからです。

 しかししばしば交渉相手が感情的になっていることがあります。もう始まる前から高いハードルがあるのです。

 そんな難しい交渉をうまく導くために効果的な方法の一つが、交渉のための議題をどうしようかと意見交換する『アジェンダ交渉』というものです。

 そもそも議題が気に入らない、ということにならないように、お互いが重要だと思っている事柄やその優先度、さらには価値観を共有できる部分があるか、というようなことを出し合うのがこのアジェンダ交渉というわけ。

 交渉をうまく進めるコツとしては、お互い同士の二者間だけではなく、双方に交渉の専門家を帯同させたり、あるいは双方が信頼できる第三者を立てて交通整理をしてもらうというような方法もあります。
 落語の世界ならば夫婦喧嘩をしたときでも近くのご隠居さんや長屋の大家さんが出てきて、「まあまあ、二人とも落ち着きなさい」などととりなす場面がよくあるものです。落語にだって交渉をうまく進める知恵が散りばめられています。

 そうやって、お互いに「このままではいけない」と思うようになりさえすれば、交渉のハードルは一つ越えられるのですがね。

   *   *   *   *   *   

 交渉が始まってもなかなか進まない場合もあります。そんなときにはすぐにこちらの立場を説明したり反論するのは却って逆効果で、まず相手の言い分を聞いてそのまま繰り返すということもあるそうです。
 「なるほど、○○をして欲しいということですか・・・」「××が許せないというわけですね・・・」

 ときにはそうやって相手の言い分をひたすら聞いているうちに、向こうの感情がおさまってくることで自ら解決方法を発見したり、「さっきはああ言ったけど、その意味は△△ということで・・・」と発言を修正してきたりすることもあったりするそうです。

 交渉も場数を踏むといろいろなことに出会うのでしょうね。

   *   *   *   *   *

 「交渉には感情を出さないのが鉄則」と言いましたが、実はその逆説もあって、ある程度感情を出すことも必要なのではないか、という考えもあるのだそう。

 「結婚なんて、感情が入らなくて理詰めの損得だけでは絶対飛び込まない世界ですよね」とは交渉学を教えている田村先生の弁。
 
 原則には必ず例外があるのです。 
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交渉学を学ぶ(その2)

2008-08-24 23:58:58 | Weblog
 田村先生の交渉学の続き。お次はロールプレイの演習です。

 ロールプレイというのは、ある状況を想定してその状況のなかの役割を演じる演習です。午前に学んだ交渉学を早速活かしてみようという練習をするのです。

  

    ※    ※    ※    ※

 最初の演題は「日本画をめぐる交渉」です。このロールプレイモデルでは、一人が海外流出した価値の高い日本の障壁画を手に入れた画商になり、もう一人が美術館の理事長を演じます。

 画商の側は、自分の絵を相手にできるだけ高く売りたいのはもちろんですが、これをきっかけに美術館と近づいて中期的なメリットを得たいと考えています。
 また美術館の理事長側は、用意できるお金には限界がありますが少しは調整の余地もあり、できるだけ安く買いたいとは思いつつも海外の日本美術を集めたいという思惑もあります。

 双方には互いが知っている共通情報の紙と、片方だけしか知らない秘密が書かれた紙の二枚が配られます。それを熟読してから双方の立場を演じるのです。

 交渉を始めてみると、相手の思惑がどこにあるのかを探るのに結構時間がかかります。どうしても高くふっかける画商に対して、絵を欲しいと思いながらも「そんなにお金はありませんよ」と牽制するという交渉が続きます。たかがゲームなのですが、結構真剣に立場を守ろうとしてしまいます。

 私は美術館の理事長の役をやりましたが、結局交渉は時間内に合意できませんでした。互いに「相手がどこまで本気なのかが結局読めなかった」という意見で、ゲーム終了後に互いの秘密の紙を見せ合って、それぞれの発言の裏情報を得てみると、相手の立場がよく分かります。
 本当に真剣になるものですね。

    ※    ※    ※    ※

 ロールプレイモデルの二つ目は「三国間人質交渉」という演題です。これは登場人物が三人でそれぞれ日、仏、米の交渉担当者という立場を演じます。

 事態は、政情不安定のA国で、日、仏、米の大使がパーティを開いているところへA国の反政府ゲリラが押し入り、三カ国の大使が人質になってしまったという状況を想定しています。

 ゲリラはアメリカに拘束されている仲間の釈放や人質の身代金、アメリカによるA国への軍事援助の停止などを求めていましたが、突然「1時間以内に建設的な回答がなければフランス大使を殺害する」と脅しをかけてきます。

 そのため、三カ国の代表が集まって、実際に45分以内に互いの立場を考えながら合意をするということが求められるというものです。

 テロには屈しないという原則を掲げすぐに軍の突入を主張するアメリカと、金は出しても武力行使には参加できず血は流して欲しくない日本、それにアメリカに主導権を渡さずに大使の命を助けたいフランスの思惑が複雑に絡みながらも、とにかく45分で三人が合意できる形にたどり着かなくてはなりません。これまた真剣になってしまいます。

 これもまた共通情報と、各国だけの秘密の紙が配られてそれぞれの立場を主張しながらどこまで妥協が出来るのか、というシミュレーションをしました。

 私はフランスの担当者役でしたが、あるときは日本と協調してアメリカの軍事突入を押さえ込み、またあるときはアメリカと協調して事態が膠着したときにはテロを許さないという原則の下に、軍事突入の可能性があることや身代金支払いを日本に納得させたりする主張を繰り返しました。

 こうしたモデルを演じてみると、使える手段を多様に持っているところが強かったり、三カ国の合意が絶対に必要と言うことになると、案外お金を出すことしかできない日本にも立場を尊重しなくてはならず、日本の発言力が合意のための鍵を握っていることなどが分かってきます。

 これもそれぞれの秘密をあとで知ると、予想だったり予想を裏切るような事実も明らかになります。

 これらには正しい答えはないので、お互いがどういう形で納得をしたか、ということが鍵になります。改めて自分の主張だけでは3人を納得させてまとめることが出来ないとよく分かります。

 これもまた力が入りました。

    ※    ※    ※    ※

 田村先生はこのような講義やロールプレイを行う6つのカリキュラムを備えたコースも指導されていて、今日はそのミニ版と言ったところ。

 そういう意味ではあくまでも入門編なのですが、その雰囲気の一端はよく伝わってきました。

 ハーバード大学などではビジネスコースとして教えていたりもしていますが、実に興味深い世界があったものです。これを機会にこの分野も少し勉強を深めてみたくなりました。

 目からウロコの一日でした。
 
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「交渉学」を学ぶ(その1)

2008-08-24 23:32:11 | Weblog
 交渉学の勉強をしてきました。

 講師は、情報戦略企業のIB●さんが伊豆で開催してくださる「夏富士会議」のメンバーで、交渉学を教えていらっしゃる慶応大学の田村次朗教授。
 田村先生の話に興味を持った富士会議の幹事が、「交渉学を勉強してみたい」と講師を田村先生に、また場所提供をI●Mさんに【交渉】し、今日の開催となったものです。

  

    ※    ※    ※    ※

 一口に交渉学と言いますが、ただ自分の言い分だけを通すのが交渉ではありません。実は交渉のポイントは、①勝ち負けにこだわらずに、②自己利益と相手の利益の最大化を目指す、というところにあります。
 自分の利益だけでは相手が納得しなくて、交渉は成立しないことになります。これでは得るものも得られないことになるからね。

 また交渉上重要な単語としては、「二分法の罠」と「合意バイアス」からの脱却ということを教わりました。

 「二分法の罠」とは、「値段を○○円に下げてくれれば買うよ、さあどうする?」という問いかけをされて、自分の判断が「値段を下げて売るか、下げずに売れなくてもかまわないか」という「イエスかノーか」という二つに一つの判断状況に陥ることを言います。
 値段だけではなく、サービスをつけるとか支払い方法を変えるとか、値段を下げること以外に相手の求めるものになにがあるのか、ということをもっとたくさんの会話の中から探るべきで、結論を単純化しすぎないことが重要なのだそう。

  

 また「合意バイアス」とは「とにかく何が何でも交渉をまとめなくてはまずいのではないか」という感情のことで、日本人は特に強いらしく、そのために内心で自分勝手な理屈をつけたりしがち。そういう意味で外国では日本人は与しやすいとみられがちなのだそうですよ、ご用心。

    ※    ※    ※    ※

 そうした交渉上の罠から脱出するためには、相手に対してけんか腰ではなく情報を得るための質問をして、相手の思惑を聞き出す習慣をつけるのが良いとのこと。相手に質問をすると気分を害するのではないか、などと思わずに、相手の情報を得つつ、こちらの言い分の正当性や裏付けを伝えることこそ交渉の基礎なんです。

 そしてさらに交渉を踏み込んだものにするためには、自分の主張が必ずしも全て通らなかったときにどこまでなら我慢できるか、という代替案を常にもつことが大切なのだそう。これを英語で”Best Altenative To a Negotiated Agreement”と言い、頭文字を取ってBATNAと言います。これを日本語に訳すと、「交渉が決裂した時の対処策として最も良い案」というような意味で、常に駄目だったときに対策は用意をしておくことが交渉を有利に働かせます。
 自分が勝つしか結論はない!などというのは下手な交渉の典型だということ。交渉に対する考え方が大きく変わりました。

 交渉とは相手に勝つためのものではなく、互いの利益を最大にするためにどこまでこちらも妥協できるか、ということを探るコミュニケーションの場だと考えるべきなのです。

 こうした講義を午前中に受けて午後はそれを実践的な例題で演習を行いました。

 短時間の講義ですぐに実践に移せるとは思いませんが、よく考えると自分が交渉をするときに何気なく使っていることにも思い当たります。学問として体系的に整理されると、頭に入りやすくなりますね。

 本当はもっと盛りだくさんだったのですが、情報量が多すぎて全部は書き切れません。交渉学というものがある、ということを覚えて、あとは自分で勉強するのも良いかもしれませんよ。  
 
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「寒い」と「お寒い」

2008-08-23 23:15:53 | Weblog
 終盤とはいえ、まだ子供達は夏休みなのに今日の関東は寒い寒い。東京の最高気温も24℃だったとかで、「まだ8月なんですけど…」というところ。

 お寒いと言えば、オリンピックの野球も冴えませんでした。勝ち負けは紙一重とは言え、弱かったと言うよりは精彩がなかったという印象。

 王監督が率いて、イチローがはしゃぎまくったワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のときのような高揚感やわくわくする感じが伝わってこなかったのはなぜでしょう。

 WBCで優勝をしたことで、世界一という称号の守りに入ったのかな。なんにせよ、なんだか盛り上がりに欠ける結末になってしまって残念至極です。

    ※    ※    ※    ※

 もう一つ残念だったのはシンクロナイズドスイミングでの日本チームの5位。中国に負けてしまってメダル奪取がならず、これまた残念です。

 この中国チームを率いたのが、それまで日本チームを指導していた井村コーチだというわけで、シンクロも世界化したものです。

 中国国内では女子バレーボールでアメリカを指導して中国よりも良い成績になった郎平を「売国奴」とののしる一方で、井村コーチを「プロ精神に敬意を表する」とネット上で早くもダブルスタンダードな発言が押し寄せているとか。

 卓球男子にも韓陽(かんよう)選手という中国から日本に帰化した選手もいたりしました。コーチの国籍はどうでも良いとして、やはり選手自身はその国の国籍を有しなければ国の代表として出場が出来ないというところに、オリンピックはやはり国対抗のスポーツ大会なのだと再認識したのでした。

 わくわくハラハラしたオリンピックもいよいよ明日が最終日。マラソンでまた一人出場を棄権する選手が出たということですが、選手の自己管理やチーム管理も問われそうです。
 
 北京オリンピックは明日が最終日かも知れませんが、そこからまた次が始まるのですね。さて明日のマラソンは頑張って欲しいものです。
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