北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

国土地理院の3D地図サービス

2014-03-31 23:45:12 | Weblog

 いよいよ年度末最後の1日。

 多くの人事異動は明日の4月1日付けということが多いのですが、中には他の期間への出向などの場合、今日付けで辞職して明日付けで採用ということもあります。

 この場合はあくまでも形式的ですが、本人から辞職届を提出してそれを当局が受領するという形を取ります。そしてこの場合の辞令には、「辞職を承認する。ただし退職金は支給しない」と書かれています。

 私も過去に、掛川市、独法都市再生機構、釧路市へ向かう際に三度辞職を経験しています。

 今はそのようなことはないようですが、相当昔の頃には「一身上の都合により辞職します」と書かされたようで、「人事異動でいけと言われているのに、『一身上の都合』はないよな」と苦笑いしている先輩もいました。


 そうした辞職の他に、本当にこの時期退職をされる人たちもいて、明日付けの人事異動も併せると今日から二、三日は挨拶の人の波が多くなることでしょう。

 
     ◆     


 さてそんな中、知り合いの国土地理院の方が挨拶に見えて、やはり「今度筑波へ転勤になります」という異動のご挨拶。

 続いて、「置き土産と言っては何ですが、最近こういうことを始めたのでお知らせします」と、国土地理院が始めた3D地図情報の紹介ペーパーを置いていってくれました。

【地理院地図3D】
 http://cyberjapandata.gsi.go.jp/3d/index.html

 
 早速国土地理院のホームページを見てみると、売り文句は「『誰でも・簡単に・日本全国どこでも』地理院地図を3次元で見ることができます。3Dプリンターで印刷(または、民間の3Dプリントサービスを利用)することもできます」というもの。

 パソコンのブラウザによっては見られるものと見られないものがあるようなので注意が必要です。

 しかしなんとこの3Dデータを活用すれば、今流行の3Dプリンターで立体モデルを作ることも出来るというのです。

 3次元の地形図は、地形や地表の状況を直感的に理解しやすく、防災事業や学校教育などでも幅広く活用できるものでまた一つ世の中が便利になりました。

 例えば、茨城県の筑波山を見ると平面地図ではこんな感じ。

それが3Dで表示すると…

さらに、縦の倍率を大きくすると…

 

 …とまあこんな感じ。いろいろなところを3Dで見てみたいものです。


      ◆ 

 
 かつて長野県の国営アルプスあづみの公園で公園事務所長をしていたときには、北アルプスを中心とする周辺の地形が分かりにくく、逆にそれを伝えることが北部長野県を地域ガイドする一つのコンテンツになると考えて、テーマ展示館の中央に安曇野の立体模型を置きました。

 これがあることで、常念岳の向こうに槍ヶ岳があることや、槍ヶ岳と穂高連峰そして上高地などの位置関係も分かりやすくなりました。

 当時はそれなりのお金をかけたはずですが、これが簡単に手に入る時代になったのかと感慨無量です。

 憧れの土地やわが故郷の地形理解が深まる国土地理院の地図3Dサービス。

 いろいろと活用してみてはいかがでしょうか。

【国営アルプスあづみの公園 堀金・穂高地区】
 http://www.azumino.go.jp/horigane_hotaka/map/exhibition/hole.html

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春のアメ

2014-03-30 22:27:00 | Weblog

 そろそろ春めいてきて、キャンプやフライフィッシングなどアウトドアの季節が近づきつつあります。

 道央周辺ではいつからどこで何が釣れるのか、といった釣り情報をそろそろ仕入れておこうと思って、知り合いに声をかけてみたところ、余市の友達から『小松さん、なに、釣り情報だって?』と連絡が届きました。

「そうなの、そろそろいつ頃どこで釣れますかね」
「それだったらちょっと前まで、余市川でもアメマスが釣れていたんですけど、ちょうど昨日あたりから"雪代(ゆきしろ)"が入っちゃってダメになっちゃったんですよ」

「え~!そうだったのかぁ、失敗したなあ」
「惜しかったですね、でもまだこの時期水は冷たいし大変ですよ」

「そうですか、今はアメマスですか」
「余市川では鮭稚魚の放流をしていますからね。アメが鮭の稚魚を追いかけながら海に下る途中を狙います」

「残念!来年はきっと良い時期に狙ってみますよ」
「小松さん、川は雪代が入りますけど、それだったら漁港あたりで海にいるアメマスをねらうってのもありだと思います。道南あたりがそろそろだと思いますので情報を仕入れておきますよ」

「すんません、よろしくね」


    ◆   


 北海道はこの時期、雪解け水が出て川の環境はなかなか安定しません。

 川から虫が羽化して川魚の活性が上がるのは5月末から6月とのことですが、待ち遠しい限りです。

 が、しかし! 友達情報の網をもっと広げておけばよかったなあ。
 
 今年の春は海アメに出会えるでしょうか。


  【昨年、釧路にて】

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人には会える時に会っておこう、というお話

2014-03-29 23:49:26 | Weblog

 私の父には6歳年上の兄、すなわち私にとっての伯父が道東の地方都市にいます。

 私もしばらく会っていないのですが、父も同じようにもう数年は会っていないはず。

 伯父も父も高齢になりつつあるので、前回実家を訪ねた際に、両親に「ゴールデンウィークあたり、一泊で旅行がてら伯父さんに会いに行かないかい」と提案をしてみました。

 もうあまり旅行にも出なくなった父も、「そうだなあ、ちょうどそんなことを考えていたところなんだ。じゃあ兄貴の都合を訊いてみるよ」と珍しく前向きな様子。

 返事が来たら、宿の予約をしようと思っていたところ、今日になって父から電話が来ました。

「やあ、兄貴を訪ねる件なんだがなあ…」
「はいはい、いつになった?」

「それが兄が消極的なんだ。義姉さんの調子もあまり良くないのは知っていたけど、『お茶も出せないしなあ』ってな調子で、とうとう会おうとは言ってくれなかったよ」
「うーん、そうなの…」

「だから、今回の旅行はなしにしよう。ま、向こうさんにも事情があるんだろう。いろいろとありがとうな」
「わかりました。そういうことなら仕方がないね」

 

 兄弟でも年月が過ぎそれぞれの生活が長くなると、互いの都合を合わせるのもなかなか難しくなっていくようです。

 こちらが会いたいと思っても、会えないときは会えないものです。

 逆に言えば、普段当たり前に会えていることがいかに貴重なことであるかを改めて感じます。

 久しぶりの友や知人だけが一期一会ではなく、まさにその一瞬一瞬が一期一会なんですね。

 会いたい人には会える時に会っておきましょうね、というお話。

 

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雪は災害なのか、それともそうじゃないのか

2014-03-28 23:13:12 | Weblog

 ある大学の先生の所へ、除雪機械の現状について説明に伺いました。

 良く考えたら、我々の除雪機械に関して研究をしてアドバイザーになってくれたり、学問的なバックアップをしてくれる大学の先生っていなかった、ということに気が付き、少しでも理解していただけそうな先生をあたってみようということにしたものです。

 今日訪ねたA先生は、そうした趣旨を事前にお伝えしたところ、「ぜひ教えてください」と乗り気になってくださった方で、まずは現状のデータ集を持って説明に上がりました。

 全道で1,030台の除雪車を保有してこれを業者さんに官貸して除雪をしてもらっていますが、除雪予算が年々削減されたことで機械の更新が進まなくなり老朽化が著しくなっていること。

 それに伴って故障率が増加の一途をたどっていること、そしてそれを少しでも食い止めようと、予防整備や効率的な配置、さらに一台で二種類の作業を行う多機能化などの努力をしていることなどをお伝えしました。

 基本的には共感を持っていただけて、話は大いに盛り上がりました。

 A先生の関心は除雪全般に及んでいて、様々な会議の場などにも出られているので知識も豊富でこちらも感心することが多い意見交換となりました。

 A先生は、「除雪というと、札幌では年間200億円ほど投入していますが、札幌の市民でも『なんでそんな融ける雪のために200億円も投入するのか、もったいない』という人がいるのに驚きです」と言います。

 私が「北海道では雪が降ることは災害ではない、と思っている人が多いのですが、私に言わせればこれだけ都市の機能を低下させている事象なのだから逆に"毎年必ず来る災害"だと思った方が良いのではないか、ということ。また、雪だって北海道の10センチは災害でないにせよ、暴風を伴ったり一晩で50センチも降るようならやはり災害だ、と思うべきではないでしょうか」と言うと、「そのとおりです」とおっしゃって下さいました。

A先生「そもそも、雪が降ることで都市の便益は明らかに急速におちるわけです。その落ち方というのはまさに災害級と言えるもので、その低下する便益を支えるために200億円を投下していると言えるわけで、私もそのうち、200億円という資本投下がどれだけの便益の低下を防いでいるのか、というような経済的なアプローチをしてみたいと思っているんです」

 ぜひそうした研究をお願いしたいと思います。


     ◆   


 話は次に、暴風雪の際に国道などを通行止めにすることの是非に及びました。

私「昔は、何としても止めるな!という価値観が大勢でしたが、コスト縮減の流れや悪天候の中に飛び込んで行った車を救出することの大変さが分かってきたこと、さらには、山梨での豪雪でもそうでしたが、早く止めた方が被害が少なく復旧が早くなるということが知られてきたように思います」

A先生「それは間違いありませんね。早く止めるオペレーションをいち早く取り入れたのはやはりしょっちゅう悪天候に見舞われる北海道で、やはり経験がものをいっている感じがします」
私「ありがとうございます」

A先生「ただ、懸念するのは止めれば管理は楽なのですが、やはり物流などを止めると地域経済にはそれなりに大きな影響を与えます。道路は止められると大変だ、ということが物流に携わる人たちの中からもっと大きな声になっても良いと思います」

私「酪農地帯では牛乳を毎日運ぶ必要があって死活問題です」

A先生「それもありますがやはり電気の復旧だとか、急病人で命に係わるといいったことは切実ではないでしょうか。噂ではそうしたときには緊急の事案の車を除雪車が先導して走らせているとも聞きます。ただ、どんな状況の時にどんな車は通して、それ以外は断固として止めるという基準やルールがまだできていないと感じていて、こういうことは平時にしっかりと議論してコンセンサスを得ておくような取り組みが必要だと思います」

私「おっしゃるとおりです。現場で通行止めを監視する最前線を守る業者さんでも一番大変なのは、『なぜ止める、損害をどうしてくれる』という怒りだと聞きます」

A先生「そうでしょう。そのときにふと見ると通行している車があると『俺も通してくれ』となりますよね。やはり平時にしっかりとルールを定めておくことが大切なような気がします」

 
    ◆   


 そんなわけで充実した意見交換ができた一日となりました。

 いつでもおにぎりのあるコンビニは、道路が通れるということを前提としたサービスシステムです。

 道路がいつでも通れるためにどれくらいの機械力をどれくらいのコストで整備しておくことが妥当なのか、という議論がもっとあって良いように思います。

 雪国に生きる市民としての生涯学習として。 

 

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この時期、路上の雪をどうしたらいい?

2014-03-27 22:58:27 | Weblog

 札幌はここ数日、日中の最高気温が10℃を超える天気の良い日が続いています。

 この冬は半月ほど前に暖かい日が続いたのですが、その時期に道路の氷割りをしていたようなところでは、一気に道路上の雪や氷が融けて舗装路面が出ています。

 道民の多くは、(これもあと二週間ばかりの我慢だ)と、気持ち的に希望の春が近づいているそんな今日この頃です。

 その一方で、この時期は除雪で舗道上に積み上げられた雪塊は泥に汚れていささか見苦しい季節。

 血管が詰まる脳梗塞も同じようなものですが、道路のような線形のインフラは、たった一カ所が詰まっただけで全体として機能の低下を招きます。

 除雪による道路上の雪塊は舗道上を埋め尽くし、歩道からはみ出してなお車道上に積み重なっているものは車線を狭めているところが目立つようになります。

 少し雪割りをしてあげれば車道の一車線が使えるようになり、道路混雑も緩和されるのになあ、と思うのですが、ではだれがそれをやるか、となるとこれが難しい問題です。

 本来は道路管理者でしょ、と言われるのはごもっともですが、もうそんなことにわざわざお金をかけることはないので道路管理者は消極的。

 ではそこに面した地先の地主さんはどうでしょう。商店街などであれば、夏の間は商店や気の利いた金融機関などが店舗に面した舗道上の掃除やゴミ拾いなどを地域貢献の一環として実施しているところが多くあります。

 朝早くにそんな風景を見ると、日本社会の一つの約束事であったり美徳のように思います。

 私の家では、向かいに住む高齢のご主人とともに、家の前の市道の雪は道路に溜めておかずに自宅の敷地に運び入れたり、融雪槽で融かしたりして道路が狭くならないようにしています。
 
 そのご主人は、「やっぱり救急車や消防車がいつ入っても良いように、と思うと、私はこれができないようになったら、申し訳ないのでもうここには住めないと思っています。もしそうなったら施設に行こうと決めています」などと言って笑いますが、雪国だったらそれくらいの気持ちでいる人は多いはず。
 
 そんなわけで、この時期の道路もぜひ面する店舗や会社の方が雪割りに参加して少しでも雪解けを早めてもらえると良いのになあ、と思うのです。

 もちろん義務などではありませんが、地域を自ら美しくする社会参加であり、今で言う企業CSR(=corporate social responsibility:企業の社会的責任)の実践というもの。

 何もNPOに対してお金を寄付することだけが企業CSRなのではなくて、所在する地域を良くしようという活動が本来のはずです。

 あとは、一般の住宅やアパートなどでもそうした対応をしていただけないものか、と思います。

 個人住宅ならまだしも、アパートでは管理会社の姿勢が問われます。

 いろいろな人たちの関わりを増やすことで、少しでも税金を使わずにより良い地域社会を営めると良いのですが。

 地域の協力で春を少しでも早く呼びたいですね。


 

 

 

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離れられない消耗品ビジネス~消費者心理を手玉に

2014-03-26 23:28:37 | Weblog

 職場の同僚が、「安い電動ヒゲ剃り器を買ったら、消耗品の替え刃が結構高くて、買おうかどうしようか迷っている」と話していました。

「本体がそれほど高くはないので、替え刃だけ買うか、それとも新しい本体ごと買うかでも迷っている」とのこと。

 そういう迷い方もあるのか、と思いましたが、良く考えると似たようなことが私にもありました。 

 それはもうずいぶん昔ですが、街を歩いていたらある外国メーカーの髭剃りの本体が無料で配られていたのです。

 そのときは本体は買えば5百円くらいはするはず、と思って喜んで受け取りしばらく使っていましたが、やがて刃がダメになると替え刃を買わなくてはなりません。

 替え刃は二枚刃で確かに切れ味は良いのですが、買えば10個入りで千五百円くらいで結構な出費です。

 つまりは、本体をタダで配ってもそれを使うことで消耗品を買い続けることでちゃんとビジネスになるというやり方。

 まあすっかり当時はすっかりその手に乗ってしまいました。
 
     ◆   

 似たようなところでは、パソコンのプリンターなどもそうです。

 最近はプリンターの本体価格がどんどん安くなって買いやすくなっていますが、結局は消耗品のインクカートリッジを買わなくてはならず、そこでちゃんと儲かっているというわけです。

 賢い利用者は、インクが無くなったら純正ではないけれど安い交換インクを買って、カートリッジにインクを入れて再利用しようとします。

 ところがカートリッジにはICチップが二個入っていて、一つはインクの残量や印刷枚数を計り、もう一つは空になったことを判断するセンサーになっています。

 一度空になるとこのチップが働いて"空のカートリッジ"と判断されますが、こうなるとただインクを入れただけでは空であるという判断が変わりません。

 そこで今度はそのために空のICチップを書き換える道具というのも売り出されています。

 百円ショップにもあるそうですが、純正品で儲けたいメーカーと少しでも安く済ませたい消費者ニーズを捕えた隙間商法との熾烈な戦いが見て取れます。

 消費者心理が実によく考えられていますね。


     ◆   

 
 ちょっと話は変わりますが、テレビを見ていると健康食品を一か月分タダで差し上げます、などというコマーシャルを見かけますが、ただでプレゼントしてもそのうちの何割かはリピーターになり買ってくれるようになるというデータがあるのでしょう。

 消費者心理は随分奥まで読まれていて、それがビジネスを成立させる根拠になっているとはさすがです。

 買い物を巡る消費者心理って、勉強すると面白い世界かもしれません。 

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至らぬ部下に至らぬ上司あり~自戒と反省を込めて

2014-03-25 22:47:07 | Weblog

 仕事で大切な「ホウ・レン・ソウ」と言えば、「報告・連絡・相談」の頭を取った「報・連・相」のこと。野菜のほうれん草ではありません。

 最近職場などで話題になることが多いのは、職員同士のコミュニケーションの問題です。

 私のような古参の者が集まると、「最近は若い職員のコミュニケーション能力が不足している。もっと報・連・相ができるように研修などでトレーニングできないか」というような話題になり、「そうだそうだ」で話は終わります。

 若い人たちはネットやメールでの連絡手段の使い方には長けていても、どんな情報をどのタイミングで「報告・連絡・相談」するかということへの判断力が劣っているというのが上司から見た部下の見立てなのです。

 しかし若干の反省も込めて言えば、こういう言い方にはいくつかの誤解があります。

 一つ目は、「報連相の能力は研修で鍛えることのできる能力だ」ということ。

 自分の部下の能力低下を嘆くのだとしたら、なぜ普段の仕事の中で「報・連・相」の大切さをもっと伝えないのか。「報・連・相」の中身やタイミングが悪かったとしたら、どこがどう悪くてどうすべきだったのかをちゃんと指導しているのでしょうか。

 一年間でたった半日の研修よりも、一日八時間を過ごす職場の中でこそ様々な背景情報や大切な価値感、具体的なスキルを伝えられるはずです。
 
 他人の部下の能力を問う前に、まず自分が指導できる範囲の人たちだけでも立派にして送り出すというのが求められている仕事なのではないか、と思うのです。

 こうした、職場での仕事を通じて一人ひとりを鍛えることを、OJT(=on the job training=仕事をしながらの訓練)と言いますが、「報・連・相」のやり方が分からない部下がいるということは、OJTで部下を十分に鍛えられるということが分かっていない、またはそのやり方がわからない上司が多くなったのではないか、という疑念もあります。
 研修が必要なのは上司の方なのかもしれません。


    ◆   


 二つ目は、「報連相をさせる雰囲気を上司が作っていないのではないか、という反省が足りないこと」。

 部下が報・連・相をしないのは、それを素直に受け入れる体制が上司の側や周りにできていないのではないか、という、我が身を省みることが必要ではないでしょうか。

 何か言って来ても足りない点ばかりをあげつらったり、不機嫌そうにしていたり、威厳というと聞こえは良いですが近寄りがたい雰囲気を出していないでしょうか。

 そんな風に、受け入れようという雰囲気をつくらないでいながら、「言ってこない方が悪い」というのもまた考えものです。

 
 …というわけで、至らぬ部下に至らぬ上司あり、という反省を自戒を込めて書きとどめておこうと思います。

 偉い人ならぬ「エラい人」にはなりたくないものです。

 

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更科蕎麦が食べたい ~ なら打ちましょう

2014-03-24 22:48:24 | Weblog

 急に更科(さらしな)蕎麦が食べたくなり、近くの更科の蕎麦屋さんで粉を買ってきました。

 普段は田舎蕎麦を美味しいと思っているのですが、たまにはただツルンとした更科蕎麦も良いものです。

 更科蕎麦もそば粉は蕎麦の実を挽いてつくるのは同じなのですが、蕎麦の実を挽いた時の取れ方が違います。

 蕎麦の実は臼や機械で挽くときは一度に細かくならないので何度も篩(ふるい)にかけていきます。

 この過程で細かくなった粉は取り出して、まだ割れていない残りは又機械にかけるということを繰り返します。

 そうやって何度か挽く度に出てくる粉を、花粉(はなこ)、一番粉(さらしな粉)、二番粉、三番粉…、という風に呼びますが、最初の粉は色が白くてまったく粘り気がなく繋がりにくく、二番粉、三番粉になってくるとお馴染みの緑色が濃くなってきて田舎蕎麦風の粉が取れてくるのです。

 そんなわけで、この一番粉と呼ばれる粉を使って打つのが更科蕎麦なのですが、これを打つのは実に難しい。

 田舎蕎麦は重量比43%ほどの水を入れれば比較的簡単に繋がってくれますが、更科粉では必要な水分量も違うし熱湯を使ったりつなぎ粉を入れるタイミングがあるなど、蕎麦打ちの技術が高くないと記事がぼろぼろに割れてしまったりしてなかなか上手な蕎麦ができあがりません。

 幸い私は、中央区役所の近くに店を構え"レモン蕎麦"で有名な『志の家』さんのご主人から手ほどきを受けたことがあって、なんとか更科蕎麦を打つことが出来ます。

 更科蕎麦は、風味らしい風味はなくて、コシのある感じをのどごしで楽しむものですが、一手間加えるとすればここにゆずの皮や梅、シソ、抹茶などを練り込んで変わり蕎麦として楽しむことが出来ます。

 残念ながらもうゆずの季節も終わってしまいましたが、ほのかなゆずの香りを添えると、たかが蕎麦も高級料理に早変わり。

 
 汁は作り置いて冷凍してあるのがあったので、妻と二人でお腹一杯食べて、そば粉だけなら4百円たらずとはなんというコストパフォーマンスの良さでしょう。

 手業って良いですね。

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「今、ここ」を生きる~人生の時間資源

2014-03-23 22:10:54 | Weblog

 お彼岸ということで、旅行のお土産を持参して妻と私の実家を訪問してきました。

 私の実家の方で他愛もない世間話をしていると、「いやあ私の友達の調子が悪くって…」と言い出しました。

 母の幼友達は道南に住んでいて、昨年末にご主人を亡くしたのですが、そのときはすぐに喪中ハガキを送ってくれるほど気丈だったとのこと。

「それでその後元気かな、と思って電話してみたのよ。そうしたら娘さんが電話に出たので、『友人の小松です』って言うと、私のことを覚えていて、『あ、はいはい、お母さん、お友達の小松さんから』っていうんだけど、電話口で『え…、誰それ…、知らない…』って言っているの」

「ええ?なにそれ、惚けちゃったの?」
「電話口では娘さんが『ほれ、知ってるでしょ』って言っているんだけどだめなのさ。そしたら娘さんが、『すみません…母が痴呆になっちゃって…』っていうのよ」

 ちょっと涙ぐむ母。
「いつも電話してくると話し好きで一時間以上も話しこんじゃう人だったんだけどねえ」

 人が老いるのは仕方ないとしても、それを心穏やかに迎えるにはいろいろな準備が必要になります。

 私も娘が二人で、上がすでに結婚し、次女もやがてご縁に恵まれれば小松という名の家守りはいなくなるのかもしれません。

「お墓はどうしようかね」というのが悩みのタネですが、早晩決断していかないと行けません。時間資源にも限りがあるのです。


     ◆  


 父方には北見にそろそろ九十歳になろうかという兄、つまり私にとっては伯父がいます。

「ゴールデンウィークに北見方面に旅行して伯父さんに会いに行かないかい?」と誘うと、「いやあ、ちょうどそれを考えていたんだ。もうなかなか旅もできないししばらく会っていないからなあ」

 こちらの都合と伯父さんの都合を合わせて日程を決めてもらうように話して帰ってきました。

 私自身の身が札幌にいるということすら偶然で、これもまた条件がそろっているという資源の一つです。

 人は「今、ここで」しか行動を起こすことはできません。

 いつまでも同じような日々が続くことはありません。持っている資源を大切に、そして有効に使いましょう。 

 

 

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山の水族館は大人の水族館 ~ 道の駅「おんねゆ温泉」

2014-03-22 23:54:45 | Weblog

 温根湯温泉に泊まって今日は、道の駅おんね湯温泉とそこに昨年リニューアルされた「山の水族館」を訪ねました。

 事前に知人を介して現地のご案内を頼んでいて、道の駅「おんねゆ温泉」の管理運営のマネージャーをされている菅原さんと水族館の飼育員の山内さんが案内をしてくれました。

 山の水族館は、元々淡水魚の魚を展示する水族館として現在の敷地の奥に昭和53年から設置されていたものですが、年々利用者が減少したことから平成24年にリニューアルを行い、今の土地に新しく建てられたものです。

 プロデュースを水族館プロデューサーの中村元(なかむら・はじめ)氏にダメ元でお願いに行ったところ、低予算にもかかわらず快諾していただけた、とのことですが、これがこの水族館の運命を大きく変えた第一歩でした。

 中村さんは、「水塊(すいかい)」という単語にこだわっていて、これは水の存在感や水中感など、魚という対象物だけではなく水そのものとの一体感の中で見せることを非常に重要に考えているのだそう。

 また菅原マネージャーは、「中村さんは、施設のコンセプトに重要なアドバイスをしてくれましたが、それをまた中央のメディアに伝えるのも上手で、実に多くのテレビや新聞でも取り上げていただけました」

 さらに、「利用者を見ても、普通の水族館ならファミリー、それも子供が中心の利用が多いところを、この施設は大人の利用が8割を占めていて、またリピーターも多いのです。それは大人が水に癒されているからじゃないか、と私は思っています」と述べられます。

 こちらでは年間パスポートを千円で販売していますが、帯広在住で旭川に実家があるという方が、『帰省の時に利用するために買いました』という利用者からの声があるなど、何回も立ち寄りたいという声が大きいのだそう。

 年間パスポートについては、「地域住民も買ってくれていて、それはよそから来るお客さんを案内するのに、自分は最小限の出費で済むからです(笑)。でもそれだけ余所の人がここへ来て『案内してほしい』という声が多いということの現れだと思います」とも。

 最近ではこの3月号の「るるぶ」でも記事として大きく取り上げられています。

「国道39号線はかつては主要な道路でしたが、高規格道路が白滝~丸瀬布、さらに足寄から北上するルートにせよ、この39号線を上下に挟む形でできあがります。この39号線沿いには力のある観光地がここ以外にはほとんどないのです」と笑う菅原さんは、「それでもここへ立ち寄ってから網走や知床へ行くという方が多いようで、ありがたいことです」ととりあえずの現状を喜んでいます。


    ◆  


 さて、ここ「山の水族館」を訪ねて直接お話を聞きたかった私の問題意識は、まず「淡水魚は釣りをしないような人にはあまり区別もつかず、どこにそれほど人を呼ぶ面白さがあるのか」という点でした。

 「では」ということで、水族館の方に連れて行ってもらい、そこからは飼育員の山内さんのガイドです。

 山内さんは、新潟県ご出身で山梨の大学で水生動物について学び、こうした仕事がしたいと思った時にこちらの水族館での募集があってそれが縁でこちらへくることになった、小柄で若くて可愛らしい女性でした。

 もう立派な社会人も自分の娘の世代となったのだと感慨深いものがありました。


     ◆   


 さて、まず入り口を入るとすぐに出てくるのが「滝つぼ水槽」です。これは、湾曲して水の真下に入ることができる水槽を作ることで、滝の真下にいるかのように水と魚の様子を見ることができる仕掛けです。

 ここではポンプを二台使って、上からの水流と横へという二つの水の流れを作っているそうです。

 ここで見られる魚は、大体20センチ前後のヤマベ、アメマス、オショロコマ、ウグイとなっていますが、アメマスという言い方はイワナが大きくなって40センチ以上にもなったものと理解していた私には不思議な感じがしましたが、これで良いのだそうです。

 次は「冬に凍る川の水槽」。こちらはさすがにこの季節はもう氷が融けていましたが、厳冬期には10センチほどの氷が張っていたそうです。

 もちろん魚たちは餌も与えられず、三か月間じっと耐える日々とのこと。しかし、氷が張った水の中を見られる水槽というのは屋外の気候を利用した画期的なアイディアですね。


    ◆   


 その次はいよいよ巨大イトウの大水槽。こちらでは40頭以上が飼われているそうで、体長が1m以上ある見事なイトウの大群です。

 水槽は楕円状になっているのですが、これは平面だと顔を強くぶつけて傷めてしまうことが多かったのが、局面にしたことでそれがなくなったそうで、実に綺麗な顔のイトウが見られます。

 山内さんは「サケ科の魚で頭部にまで斑点があるのは唯一イトウだけでそれで区別できます。オスメスの区別は、オスが下あごが出てくるのと、春のこの時期は雌に赤い婚姻色が出てくるのと、胸ビレ下が卵を抱いてふっくらしてくるので分かるようになりますね」と説明してくれました。

 この水槽で一番大きいものは1.2m以上あるのだそうで、おそらくイトウを見る上では日本で最大の水槽でしょう。

 
 そのお隣には、「ヤマベのジャンプする姿が見られる水槽」もありました。

 川魚の中では最も積極的に遡上するのがヤマベだとのことですが、段上に作られた水槽で、水位を変化させると、今の水位のたまりにいることに危機感を感じた個体がより上のたまりに向かって遡上する性質を見事に展示しています。

 水位を最も高くした状態からゆっくりと下げていくと、私たちの見ている前でも一匹が飛び上がってどんどん遡上してゆき、見ている人から拍手を受けていました。

 そこから先には世界の淡水魚ということで、熱帯の魚なども展示されていて、子供たちが興味深げに見て回っていました。

 

 そこで私が感じたのは、ここは単にきれいな魚を見せるだけではなく、まさに旭山動物園で成功した"生態展示"だということが分かりました。

 川魚が水の流れにいかに全体として調和しているかや、それぞれの魚の生態を水と一体になった形で見せて、ただ魚を見せるだけの水族館とは一線を画したコンセプトとなっていることがよくわかりました。

 そんなコンセプトの一つとして、魚展示のところにはほとんど解説板がありません。

 解説版を見ることで納得するよりも、感じてもらいたいという気持ちがそこに出ています。

 でもどうしても魚の事がもっと知りたい、という方のために入口のところに『解説シート』を入れてある箱がありました。

 説明が知りたければ、ここでシートを借りてそれを見ながら魚を見ればよいのです。

 「山の水族館」は、子供ではなく、大人のための水族館なのだ、とそう思いました。

 道東方面を旅するなら、まず見ておくべき施設の一つに違いありませんぞ。

 

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