北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

【巷論】人生は梅の花のように~2013/01/08

2013-01-08 23:27:15 | 巷論
 今朝の釧路新聞巷論欄に、私の拙文が掲載されました。

 先日ブログでも紹介したお話ですが、少しブラッシュアップ。

 万葉集に良い句があったので添えました。お正月らしくまとめてみました。





   ◆   ◆   ◆

【全文】
 新年の休みの間に、知人に新年会に誘われて、夜遅くまで酒を酌み交わした。

 酔った勢いで、人生の大先輩に向かって、「長年釧路に住まわれて、釧路のまちをどのようにしたら良いと思いますか」と不躾な質問をぶつけてみた。するとその大先輩は、「江戸時代に梅の盆栽が流行ったのを知っていますか」と言う。

「樹木と言えば、大木になるものこそが良木だと思っている人が多いでしょう。梅は大きくならない灌木です。しかし灌木には灌木なりの良さというものがあるのです」

「梅はすぐに枝が伸びますが、これは上手に剪定をして小さな鉢に収まる盆栽にします。そして冬の風雪に耐えて、春になると一番に可憐な花を咲かせ、しかも香りもすばらしいのです」
「なるほど…」

「釧路市民も、一人一人が大木を目指すことはありません。自分の伸びるところを伸ばし、増長してしまうようなところは剪定をするように自分を律する。そうして風雪に耐えて、あたりに芳香を振りまくように花を咲かせる。そういう市民の姿になればいいと思うのですよ」

    ◆   

 梅は『好文木(こうぶんぼく)』とも言われ学問のシンボルでもある。それは昔、晋の武帝が学問に親しむと梅の花が開き、学問をやめると花が開かなかったという故事に由来する物語からのことだという。

 大きくなることを目指すことだけが良いわけではなく、風雪に耐えて花開き、例え身は小さくとも納まるべきところに納まる。そして学問を好み、周りを芳香で潤すのが梅の花。

 一人一人がそんな凛とした生き方で明日の釧路を支え合うそんな姿を理想としてはどうだろうか、という大先輩の教えだ。

 正月(むつき)立ち春の来らばかくしこそ梅を招きつつ楽しき終へめ(万葉集)

今年もどうぞよろしくお願いいたします。 

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釧路新聞「巷論」欄 ~ 逆転の発想、鮭の逆襲

2012-05-23 15:25:33 | 巷論
 本日付の釧路新聞「巷論」欄に、拙文を掲載して頂きました。

 タイトルは「逆転の発想、サケの逆襲~人の心を動かすサムシング」です。

 以前書いたブログのリライトですが、本文は以下の通りです。


    ※    ※    ※    ※


 ゴールデンウィークに摩周湖展望台へ行った際に木彫り風の熊のお土産を買った。

 以前に知床の友人から「鮭をくわえた木彫りの熊はよくありますけど、その逆で鮭に逆襲されている熊の置物があるんですよ」と教えられていたのだが、まさにそれが売っていたのでつい買い求めてしまったのだ。

『犬が人をかんでもニュースにはならず、人が犬をかめばニュースになる』と言うが、まさに逆転の発想で、巨大な鮭にかじりつかれて情けない顔をしている熊の像とは面白い。

 木彫りの熊と言えばアイヌ工芸品としてかつては数多く売れたものだが、いつしか熊が鮭を食うというテーマそのものが当たり前になってしまい、物珍しさが失せてしまったようだ。

 土産物として今まで熊に食われ続けた鮭が逆襲して熊を襲うという突拍子もない発想の転換は、見る者の関心をひきつけるとても気になる商品になった。
 
 さらに一見木彫りのようなこの熊の像は、実は木彫りではなくて型に流し込んで固めて作られた代物なのだが、表面が竹炭でできているので、消臭効果という実用性もあるとか。

 単に置物として飾るだけなら飽きてしまうかもしれないが、消臭効果という実用性によって、買ったとしても部屋に置き続ける理由が一つ加わった。

 家に帰ってきて、改めて鮭の逆襲像を買った理由を振り返ると理由は三つあった。

 一つ目は「デザインの斬新さと面白さ」、二つ目は「竹炭による消臭という実用性への期待」、そして三つ目は「知人からの口コミ」というわけだ。

 これらの理由が重なった結果、つい買う気になったのだが、どれか一つだけの理由だとおそらく買わなかったに違いない。

 消費者の固い財布の紐を緩めさせるには様々な工夫が必要だが、買い手が求めているのはモノではなくて、モノを買うことで得られる幸せだ。

 人の心を動かすサムシングとは何か、改めて考える良い機会になった。

小松正明(釧路市副市長、ガールスカウト評議員)


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【おまけ】釧路新聞(H.24.3.4)「巷論」~湿原からの贈り物

2012-03-08 12:25:52 | 巷論
 ちょっと遅くなりましたが、3月4日(日)付けの釧路新聞、「巷論」欄に掲載された拙文を載せておきます。

 以前このブログの、2月21日付け記事で書いた「湿原のワイズユース」(http://bit.ly/ydI74H)を元にリライトして「湿原からの贈り物」とした記事です。

 ブログは「です・ます」調で書いているのに対して、「巷論」は「だ・である」調で書いているところが違うのですが、その断定的なものいいの方が格調は高くなるような気がします。

 このブログも、「だ・である」調にしようかなあ。



  【平成24年3月4日付け釧路新聞「巷論」】
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