北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

故郷への狂おしいほどの懐かしさ

2012-04-20 23:48:24 | Weblog
 月に一、二度エッセイを載せていただいている釧路新聞の『巷論』欄。

 四月最初の投稿は、「『僕等がいた』を見に行こう」というタイトルで、釧路っ子は皆で映画『僕等がいた』を見に行こうではないか、という主張です。

 人気だった前篇に引き続いて、いよいよ明日21日からは『僕等がいた』の後篇が始まります。

 釧路を舞台にした前篇は、釧路では上映回数を減らしながらこの週末ならばまだ観られるとのことですが、後篇が始まれば話題はそちらに移るので、そろそろ銀幕では観られなくなる日も近いことでしょう。

 市役所の中でも、私があちこちで騒ぎ立てるものだから辟易して見に行った人も多いかもしれませんが、行った人たちは案外気に入っていて、「いやあ、行って良かった!はまりました」という声が多いのです。

 せっかく釧路を宣伝してくれるこうした機会を外からの応援と捕えて感謝し、釧路が皆で盛り上げなくては映画制作関係者に対しても失礼だし、もったいない限り。

 この週末を最後のチャンスとして、ぜひ観に行ってほしいというのは、私からの檄文です。



    ※     ※     ※     ※     ※



 この文章が今朝の釧路新聞に掲載されるや否や、某協会の役員の方が用事のついでに秘書課を訪ねて来てくださって、「おお小松さん、今朝の記事を見たよ。余所からの方は発想が違うね」と賛辞を寄せてくださいました。

 そして、「私も釧路に住んで長いものだから、釧路にいない人の気持ちってなかなか分からなくなるんですよ」とのこと。

「釧路を出た方が懐かしがってこの映画を観ているようで、懐かしいという声がよく聞かれますよ」と私。
「そうでしょうねえ。釧路を離れた人がそんなに釧路を懐かしがっているというのが私も最近分かりましたよ」

「ははあ、何かありましたか?」
「先日卒業した高校の同窓会があって、釧路の外に出た人に釧路に集まってもらって会おう、という話になったんですよ。そこで、この辺りで美味しい料理を食べて夜は阿寒湖畔の良いホテルでもてなそう、などと計画を立てたんです」

「ええ、どうでした」
「それが、釧路へ来る人たちから文句が出ました。『今更おいしい料理だとか、温泉で一泊なんていいよ。それよりも、学生のときに通った道やその周辺を見学させてほしい』って言うんですよ」

「なるほど」
「皆、釧路へ来たときは、『ああ、ここはこうだった』とか『あれ~、あのお店が無くなっていた』と言っては懐かしがっていました。実は故郷が遠くにいる人をもてなす、というのはそうしたノスタルジーにひたることなんだなあ、と良くわかったんです。だから今日のあなたの文章には共感できるところが多かったですよ」


 故郷を離れた者にとって、故郷の風景はいつも思い出の中にあります。

 もしかしたらそれが変わってしまった姿を見るのは思い出を壊してしまうのかもしれません。

 しかしそれでも思い出の中の故郷はいつもそこへ戻りたくなるような狂おしい思いを胸に呼び起こすのです。


 皆さんの戻りたくなるあの頃の故郷はどこですか?


 【今日の釧路新聞『巷論』欄】
コメント
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