北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

弟子屈町の廃ホテル除却事業 ~ 次世代に負債を残すまい

2024-06-30 23:11:59 | Weblog

 今回の道東旅で感銘を受けたことの一つが弟子屈町での廃ホテルの除去事業でした。

 これは弟子屈町の徳永町長に挨拶をする機会があって、そのときに「おう、久しぶりだね」ということから会話が進み、最近の弟子屈町での話題を伺った時に町長から聞かされた話です。

 今弟子屈町ではおよそ70億円のふるさと納税が集まっているそうです。

 返礼品としての水産加工品に人気が出ているそうなのですが、弟子屈町って内陸で海がないのに水産加工品とはちょっと不思議です。

「なぜ弟子屈で水産加工品なんでしょうか?」と訊くと町長は、「川湯温泉には年間100万人が泊まった時代があって、そのときに一日3千人のお客に料理をださなくちゃならない。そこで川湯温泉にオホーツクからも太平洋からも魚を調達できるという加藤水産が会社を立ち上げ、こちらの質の高い商品が今大人気になったというわけですよ」とのこと。

 地元に品質の高い品物を出せる企業がある、というのはふるさと納税の世界では大変な財産ですね。

 そしてこのことにより集まったふるさと納税ですが、これが地元の古いホテルを解体して撤去する事業に使われているのだと。

「何かを始めるのじゃなくて、今あるものを壊すんですか?」
「川湯温泉はホテルの老朽化と時代の流れの中で来客数が減少して、ホテルや民宿ががどんどん廃業に追い込まれた。しかしそれをそのまま放っておいたのでは、これからの世代にとっての負債になるだろう。誰かがいつかやらなくちゃいけないと分かっているんだから、ふるさと納税みたいなあぶく銭があるうちにやってしまうべきでしょう」

 ホテルは既に4棟の所有権を取得して解体して更地にしています。

 今年もこれから3棟を解体する予定にしていてさらに来年以降も続けるとのこと。

 そしてそうして更地にしたところに進出を計画してくれたのが星野リゾートです。

 これから川湯温泉には新しい現代的なホテルが建ち面目も一新されることが期待されますが、そのための露払いとして古い時代の建物を除却して一度リセットするという一大事業が静かに先行しています。

 ふるさと納税の使い道って、案外自治体が何をしているのか見えないところがありますが、このような素晴らしい事業が行われていると分かれば、ふるさと納税寄付の一つもしたくなるというものです。

 次世代のために今我々がやるべきことはなにか、今の負債のリセットなのではないか。

 それも理想を唱えるだけではなく、予算を使って実践する。

 道東の小さな町の、次世代のための大きな挑戦です。

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