先日の原野キャンプでの一コマ。
持参したシュラフについて、一緒に行った知人から「それって耐寒度が弱いんじゃない?それじゃ今夜は寒いと思うよ」とニヤニヤしながら脅かされました。
「えー?『マイナス二度まで耐えられる』とのことでしたけど」
「その表示温度って『死なない限界』じゃない。もうワンランク上の方がいいね」
「ゴアのシュラフカバーもあるんですけど」
「どうかなー、きっと寒いよー。ウフフ」
散々脅かされた原野の夜は銀マットを敷いても手足の先が冷たくて、昼間の忠告が強く思い出されました。
翌朝、「確かに寒かったですけど何とか耐えられました」と多少強がって言うと、横からガイドさんが「これありますよ」と、用意してくれていた使い捨てカイロを渡してくれました。
「あー、ありがとうございます」
喜んでそれを受け取ると、知人はそれを見て「なんだー、僕はそれは好きじゃないな」とちょっと渋い顔。
ちょっとだけ後ろめたい気がして「まずいですかね」と言うと彼は、「うん、まあ寒いからしょうがないけど、やっぱり"使い捨て"はこの場に似合わないでしょ」
せっかくここまで来て何もない自然の原野を堪能しているのに、そこで文明の利器を使ってしまうのが残念なんだと。
「白金カイロならいいかな。そうだ、今回は持ってこなかったんですけど家に小さな湯たんぽがありますよ」
「湯たんぽならいいんじゃないですか。やっぱり道具勝負になるけれど、使い捨てずに今を快適に過ごす工夫って大事だと思うな」
その日の夜はとりあえず使い捨てカイロのおかげで快適に過ごせましたが、今度から寒い時期のキャンプは湯たんぽ持参で行こうと思います。
「キャンプは暖かく寝られるためのマットとシュラフ、それに雨対策のレインギアが大事ですね。そうしたらあと日中は野遊びと行きましょう」
そう、キャンプの目的は野遊びでした。
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現代人は野遊びをして魂を洗濯しないとどんどん汚れがたまってしまいそう。
釣りは釣れても楽しいけれど、魚を待つ間の会話もまた豊かな野遊びの時間。オートキャンプなどが成熟してきた今日、ステージアップするキーワードは『野遊び』に違いない。
そのスキルは人生や社会を豊かで意味あるものにします。