北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

柚子蕎麦の作り方【完全伝授版】

2014-11-30 23:52:14 | Weblog

 冬が近づきそろそろ柚子が店頭に並び始めたので久々に「柚子蕎麦」を打ってみることにしました。

 釣り仲間の忘年会でも「ちょっと打ってみてよ」と言われているのですが、蕎麦粉に対してどれくらいの分量をいれるかをすっかり忘れてしまったので、まずは予行練習というわけです。

 柚子蕎麦にするのは田舎蕎麦ではなく更科蕎麦。更科蕎麦は蕎麦らしい青臭い風味がなく食感を楽しむ蕎麦ですが、強い風味がない分、香りのある素材を練り込んだ変わり蕎麦を楽しむことができるのです。


 まずは柚子をすりおろします。とりあえず一個の半分ほどの皮をすりおろして5gのゆずおろしを作りました。

 続いては更科蕎麦を打ちます。

 更科蕎麦って更科蕎麦の蕎麦屋さんくらいしか小売していないので物好きしか買わないでしょうし、打ち方も田舎蕎麦よりもちょっと打ち方が難しい。水(湯)の量や加減もだいぶ違います。


       ◆   


 今回は妻と二人なので更科蕎麦粉450gにつなぎの小麦粉150gという割合で打ちます。二八よりはちょっとつなぎの割合を増やしてあります。

 更科蕎麦を打つときに使うのは水ではなくチンチンに沸かした熱湯。お湯の割合は全体量の60%。普通の田舎蕎麦は43%くらいなのでだいぶ多いですね。

 これをつなぎ粉を混ぜる前の更科粉にまず三分の一投入。全体600gなので120ccを入れます。熱いので混ぜるのは箸でやります。

 これでいちど全体に均等に散らしてもう一度120ccを投入。これも全体に散らしてだいぶしっとりしてきましたが、ここで初めてつなぎ粉を投入、同時に柚子を入れます。

 最後に残りのお湯120ccを入れてあとはまとめにかかり、ここからは普通の蕎麦打ちと一緒。玉にしてのして切るだけです。

 
       ◆  

 


 普通の蕎麦打ちと一緒、と言っても粉自身に繋がる力が弱いので油断するとすぐに生地が破れてしまいます。

 ごまかしごまかししながらも、できるだけ薄く伸して長い麺として切ります。更科蕎麦の醍醐味は細く長い蕎麦で生きるのです。

 
 蕎麦待ちの今日のお酒はキリンの黒ビール。ちょっと一息つきましょう。


 さて茹で上がった柚子蕎麦の出来栄えは…。

「う…ん、柚子の香りが…、弱いね」と妻。「ん~?どれどれ、あれ、本当だ」

 どうやら柚子の分量が少なかったようで柚子の香りが思ったほどには強く出てきません。噛みしめてみてやっと少し口の中に柚子の香りがでてきましたが、これでは柚子蕎麦としてはちょっと寂しいものに。
 うーん、反省ですが、柚子を混ぜる分量のイメージが湧きました。


 今回はあまりに優しい感じの柚子蕎麦となってしまいましたが、次はちゃんとできることでしょう。

 冬になると一度は食べてみたい和食ですよ。
 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小麦もお米も工業製品?

2014-11-29 23:45:27 | Weblog

 

 先日報徳の飲み会で、農業に詳しい方から聞いた話。

「小麦って早くから工業製品なんですよ」
「小麦が工業製品だ、というのはどういうことですか?」

「それは品質が一定のものとしてメーカーに供給される原材料だ、という意味です。大手のパン屋さんが自動機械で大量にパンを焼いてスーパーなどに送り込むときには、小麦粉の品質にムラがあると、まったく同じように焼けないんです。だからタンパク質の割合などを一定の範囲に収まったものとして集め、供給するんです」
「ははあ、なるほど」

「で、最近はお米もそういう風になってきました。自主流通米だから好きなところに売ればよい、という農家の方もいて、それで安定的に買ってくれるつながりが作れれば良いですが、大量消費のメーカーだとそうはいかないわけです。コンビニのおにぎりなんかは大量に炊き上げますが、ここでもお米の品質にムラがあると、焦げたり微妙に柔らかかったりして出来上がりの違いになって表れます。メーカーはとにかくそれを嫌うんです」
「なるほどそうですか」農作物も大変です。


「お米と言えば、実は私は川崎に住んでいた時に近くにスーパーで『おぼろづき』という品種のお米が売られていて、私は知っていたのですが、そのスーパーの方が『そのお米、北海道だけど美味しいよ』と言われて、とても嬉しかったのを思い出しました」
「お米の中に、『八十九』というブランドのお米があるんです。今度見てみてください。これはお米を育てるのに米という感じを分解して『八十八の手間がかかる』という言い方をしているのに、『もうひと手間かけて八十九の手間』という意味で八十九というブランド名にして売っているんです」

「ははあ、今度見てみます」
「そのブランドを付けたお米は品質が一定以下のものは出さないようにしています。おぼろ月が出たての頃には、苗がおぼろづきだということで出来の悪いものもそのブランド名で売っていたことがあって、評判を落としたことがありました。その反省を込めて品質管理に力を入れて売っているんです」

 
 農産物もできあがりをしっかり検査されて品質基準に合格したモノだけが選別されて売られる時代だということが良くわかりました。

 農家さんの苦労が偲ばれます。農業ももっと勉強しないといけませんね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

報徳と言わずに精神を語る

2014-11-28 22:39:36 | Weblog

 

 水産関係の報徳について勉強しようとマリンバンク信漁連をお訪ねしたところ、会話をする中で報徳の関係者で集まって一度飲みませんか、という話になりました。

「それはいいですね」ということで先日待望の報徳懇談会を開催。水産業と農業それぞれの報徳活動に詳しい方と私の三人で大いに盛り上がりました。

 つい先日も、「二宮尊徳と北海道開発」というタイトルでミニ講演をした私ですが、感想の一つとして「あまり報徳、報徳と言わない方が良いのではないか」という思いがありました。

 確かに戦中戦後の疲弊した北海道のなかで、皆で協力しながら頑張っていこうという精神的支柱の一つとなったのが報徳活動でした。

 それが明治の後半にドイツの例に倣って産業組合法(1948年に個別組合法の施行にともなって廃止された)という画期的な法律が作られたときにも、報徳が参考になったと言われます。

 その結果協同組合運動が盛んになった頃に、小林篤一はホクレンをつくり、黒澤酉蔵は雪印乳業の前進である酪連を作り、安藤孝俊は水産業振興に力を尽くしました。

 皆報徳の思想を胸に抱きながらも、彼らは「報徳」という言葉は使わずにその精神を自分なりの言葉で言い表しています。

 報徳に影響を受けた企業家として知られる松下幸之助、豊田佐吉なども報徳とは言わずにその精神を企業理念に組み込んでいます。

「これからは、報徳という単語を使わずにその理念を今日的に伝えられるような伝え方が必要ですし、それに共感して理解できる人材をいかに育てて行くかが課題だと思うようになりました」と私が言うと、水産の方が「おっしゃるとおりだと思いますね。安藤孝俊も、制度を作ることよりも人材教育だというようなことを言っていますし」と賛同してくれました。

 
        ◆    


「現代で言うと、報徳的経営者の代表は稲盛和夫さんですね」と農業に詳しい方が言います。

「彼も『報徳』とは一言も言いませんが、話を聞いたり本を読んだりしているとその実践的な中身は報徳の精神に満ちていることが実によく分かります」
「なるほど」

「最近は中国でも稲盛さんが主催する稲盛塾が盛んだそうですよ。現地にいる日本人ではなくて、稲盛さんの本が中国語に訳されて、中国人の経営者たちがそれを読んで現地に中国版稲盛塾ができているんです」
「私も掛川にいたときに、今の拝金主義を改めるような理念として報徳を学びたいという北京大学の教授が榛村市長を訪ねてきましたよ」

「そうですか。今中国では現地の企業の社員の離職率がものすごく高いんだそうです。ちょっと働いてもすぐにやめて別な会社に移ってしまう。それが稲盛塾で学んだ人たちが経営すると離職率が下がっているんだそうです。報徳の精神のこもった稲盛流で経営をすると社員の心にも通じるものがあるのだと思います」

「うーむ、それは逆に恐ろしい話です。中国国民が感化されて精神的な力をつけると本当に日本も危ういかも知れませんね」
「ははは、でも『中国はまだまだだ』と稲盛さんが言っていましたよ」

「へえ、それはどうしてですか」
「講演が終わった後に稲盛さんの本のサイン会があったそうですが、順番に並んでいられなくて次々に本を差し出してくるんだそうです。これだけ話を聞いた経営者クラスでさえ順番を待つくらいの実践ができないようではまだまだだと思われたようですよ(笑)」


 報徳と言わずに報徳の精神でまちづくりや社会づくりをする。

 迂遠ですが、なにか方策を考えたいものです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【後篇】おもてなしを科学する

2014-11-27 21:41:11 | Weblog

 

 おもてなしを科学する後篇です。いましばらくお付き合いください。

 

 回転寿司ではない普通のカウンターがあるお寿司やでは、まさに寿司に対してあるいはその寿司屋に於いて了解しておくべき暗黙の前提がある中で店主とお客との対話が始まります。

 実際に寿司屋をインタビュー調査した際にある寿司屋の店長が言った言葉に注目しました。

 「だいたい最初の注文でどんな客かわかりますね。勝負です。のむか、のまれるか」
 お客の背景を読み取ってそれに沿ったサービスをするというのが寿司屋の心構えというわけです。

店主「お飲み物は?」
客「ヱビス、生で」

 この一言で、この客はお店にヱビスビールがあって自分の好みはヱビスの生ビールであることを伝え、この店になれた客であることが示されます。

 これに対して、
店主「お飲み物は?」
客「えっと…何がありますか(店の中に酒の銘柄が書いてないか見回す)」

店主「ビールか日本酒か」
客「お酒は何が…?」

店主「○○か△△が今は旨いですよ」
客「うーん、焼酎はありますか…」…

 となると、(この客はこの店には慣れていない)ということを察したうえで、助け船を出して客の品定めをし、対応の仕方を変化させるというわけです。

 客の側は、このような場数を踏むことで寿司屋での振る舞い方を少しずつ身につけて、質の高い客になろうと努力を重ねること自体が寿司屋文化の素養を身につける楽しみになりうるのです。 
 しかしこれを面倒くさいと思うならば、寿司屋ではなく、「当店のご利用は初めてですか?」と訊いてくるファミリーレストランに行く方がよいでしょう。


        ◆    

【日本型クリエイティブ・サービスの三つの特徴】
 日本型クリエイティブ・サービスには、三つの特徴があると言われます。

 一つ目は、「知識獲得・活用プロセスの重視」ということで、おもてなしを通じて自然、歴史、文化、生活など様々な要素を含んだ「物語」を演出して客に訴求し、客はそれを次第に分かってくる過程が大切なのだ、ということです。

 付け出しの器がこれからの季節の花をあしらったもので、そこに花に見立てた料理が出てくる。それが分かれば、料理人の謎かけを解いた気持ちになれるというわけ。


 二つ目は、そうは言ってもやはり気がつかない場面も多く、それにはさりげなく「季節が春ですので、もうすぐ○○が咲きますね」などと情報提供をすることで、客のリテラシー向上に努めるということ。
 サービス提供側が客に向上してもらうことでよい客になってくれることを期待するのです。

 そして三つ目が「変化と持続の重層性」ということ。これは、伝統を重んじながら変化を恐れず常に革新を加え続けることで文化の完成という終わりはない状態を常に保つと言うこと。

 価値は完成してしまった瞬間に誰かに真似され陳腐化して安くなり価値が下がりますが、茶道の家元制度などでは常に新しい発想が生み出されているといいます。しかし新しい発想もただ家元が良いと思うだけではダメで、新しい変化を回りが共感することで支持が広がり、写しとしてどんどん広がっていく。究極の姿などなく最初から完成を求めていないために、終わりのない向上の旅路が続き陳腐化することがない。だからこそいつまでも家元制度は続くのです。

  

        ◆ 


 本書では、グローバルな世界に飛び出した日本企業の現地での取り組みが紹介されています。

 それはお茶を世界に向けて売ろうという伊藤園の取り組み、二つ目はお香の世界をアメリカに広げる松榮堂、そして日本のウィスキーを世界に認めさせたサントリーの三つ。  

 これらの企業がじわじわと日本のものづくりによって生まれた製品を世界に認めさせてきた過程を見てきて、日本型クリエイティブ・サービスの三つの展望を示しています。


 一つ目は、価値を共に作り上げる共創のプロセスについて。これは、モノをつくる上で事前に顧客のニーズを想定せずに、むしろ客自身も自ら求めるものをまだ知らないという前提に立って、刺激を与えその反応をフィードバックすることで求めるものを顕在化させ価値を作り上げていくというプロセスが重要だろうということ。
 本書ではこのプロセスを「切磋琢磨の価値共創」と名づけています。

 二つ目は、生み出す価値とその目的について。これは、最終的にモノを売ることを目的にして売れさえすれば良いという価値感を成功した企業は持っていないように見えます。
 目先の利に頓着せず、営利よりもさながら「道」を追求し、さしたる根拠も無しにそれが将来の繁栄につながると信じているような振る舞いが共通してみられるのです。将来の利を求めると言うよりは、「善の追求といえるのかもしれない」と著者は表現しています。
 売れて利益を得ると言うことよりも、道を究めて自分自身が満足する生き方を貫くというのは日本人なら大概分かる感覚ではないでしょうか。そしてこれは世界に打って出るときも大変重要だというのです。


 三つ目は、価値の源泉となるコンテクストをしっかりと伝達しようと言うこと。高いコンテクストをもつ製品やサービスを別のコンテクストを有する地域に移転できるかどうかは、ひとえにコンテクスト伝達の良し悪しに依ると言っても過言ではありません。

 海外展開した製造部門において、物事を全体で捉え暫定的な解決策を少しずつ完成させていこうという日本人監督者の「高コンテクスト」な思惑と、物事は単純でとにかく今の確定的な解決策を求めがちな海外の工場スタッフの間には、情報の断絶が起きて対立が起きやすかったのです。

 これを、問題を全体として捉え、複雑な因果関係に思いを寄せ、歴史にまで配慮するような捕まえ方で暫定的なトライアルを積み重ねて改善に向かうという高コンテクストなアプローチがかなり有効なのではないか、と著者は分析しします。

 そしてこのアプローチこそ、欧米的経営科学には欠けていてかつ日本人が得意とするところであり、目先の効率は悪いかも知れないけれども、日本型クリエイティブ・サービスをグローバル展開する上で最も確実性の高い取り組みなのでしょう。

 

        ◆     ◆  


 全体を通じて、日本人であるが故に見えない物事に対する当たりまえなアプローチは、互いの文化背景を共有し、相手を慮る精神構造から作り上げられた国民性ゆえにできることなのだと思うようになりました。

 おもてなしとは、このような要素と背景を有する場に思いを込めた人がいるからこそできあがるパフォーマンスだということをあらためて研究によって明らかにすることで、日本型おもてなしの精神をサービスでもものづくりにおいても遺憾なく発揮すれば、改めて"クール・ジャパン"として世界の目を刮目させることができるでしょう。

 本書を読んでいて自信が湧き、日本人で良かった、と思う反面、少しでも日本をもっと伝えるお手伝いをしたいものだと思いました。

 「お・も・て・な・し」はたった五文字ですが、奥の深い文化的背景とこれからの意味を感じ取れる一冊でした。
  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おもてなしを科学する(前篇)

2014-11-26 22:21:12 | Weblog

 

 「おもてなし」を科学的に観察してもっと活用できるようにしよう、という「日本型クリエイティブ・サービスの時代」という本を読みました。副題として「『おもてなし』への科学的接近」と書かれていて、おもてなしとは何かが面白く書かれています。

 難解な大学論文的なところもありますが、おもてなしの現場を研究することでその空間と時間の中で何が行われているかが分析されていて興味深く読めました。

 ちょっと長くなるので、二回に分けてお届けします。今日は前篇です。

 

       ◆     ◆     ◆   

 

 "クール・ジャパン"と言われて、今年の訪日外国人数は過去最高。

この"クール"とは「カッコイイ」という意味で、世界中の他にはどこにもない日本独自の風景や歴史、文化、食べ物、国柄をカッコイイという訪日客が増えています。かっこよさにもいろいろありますが、中でも日本式の「おもてなし」に感動している人も多くいるようです。
 
 日本はこれまで「ものづくりの国」として世界に存在を認められてきましたが、先端技術はどんどん新興国に追いつかれコモディティ化して安くなり、一方世界標準化に出遅れているうちに「ガラパゴス化」などと言われてやや自信を失いかけているかも知れません。それがここにきて、文化や伝統を大切にしながら変化・革新を続ける「おもてなしの国」としての評価が高まっていると言えるでしょう。

 

 ところでこの「おもてなし」とは何なのか、と言われると案外これを説明するのは難しい。日本人ならあまり考えずに常識だと思っていても、それを外国人が感じたりその良さを真に理解できるかというとちょっと意識差がありますね。

 だからこそまずは日本人自身が、おもてなしとはどういうことなのかをちゃんと理解しておくことが重要だと私は思います。


        ◆ 


 さて、おもてなしの心は「高コンテクスト文化が背景にある」と言われます。目の前の売り物それ自身はコンテンツと言われますが、コンテクストとは「文脈」と訳されてその背景や歴史など目先のモノだけではなく、コンテンツにまつわる様々な知識や曰く因縁を知って感じることを面白いと思う文化が、高コンテクスト文化というわけです。

 日本人はできあがったコンテンツだけよりも、それができあがる過程をも楽しみに感じる民族。だから、K-popの完成されたアーティストよりも、AKB48がファンの支持によって成長する過程の方がビジネスになるのだ、という分析も紹介されていて(なるほど、そうかも)と納得です。

 もてなすということは、一方的にこちらの持っているものを相手のことを考えずに提供することではありません。

 世界資本のハンバーガーショップでは、どこの国でも同じレベルのサービスを提供できるようにと従業員マニュアルを整備し、にっこり笑って「ご注文をどうぞ。ドリンクはいかがですか。ポテトのセットはいかがですか」という標準的なやりとりサービスが安定的に行えるように訓練していますね。

 これはこれで最低限のサービス品質を保つことに寄与していますが、想定外の臨機の対応ができなかったり、相手との会話を楽しんだりするようなことはありません。あくまでも売り物はハンバーガーやそのサイドメニューを売ることが目的で、その過程が心地よいかどうかはビジネスとしては関心がないのです。

 これに対する日本型おもてなしの一つの具体例として、日本旅館の女将の対応が本書の中で挙げられています。

   …客が自分自身の欲求を明確に自覚していなければホテルは
  反応しない。コンセルジュも、自分が何をしたいのかと尋ねる
  顧客に対しては対応困難である。旅館ではサービスリーダーで
  ある女将が客に働きかけ、顕在的潜在的な欲求を引き出して、
  それに対応する。明確に自分のしたいことを自覚している客に
  は過度にかまうことをしない。
   旅館の顧客対応は基本的には客をかまうか、あまりかまわな
  いかという区分から始まる。新婚旅行の客をあれこれかまう必
  要はない。しかし、中年のカップルについては、その客が夫婦
  なのか、不倫カップルなのか瞬時に見極めて対応を変えていく
  必要がある。ベテランの女将や仲居であれば、容易にそれを見
  極める。放っておかれる方がよいという客か、かまってほしい
  客かの見極めは、一人旅であればかなり難しい。外見だけでは
  判断が付かない。
   さらに、客自身に自覚がなく、自分がどのような時間を過ご
  すかについて明確な意識をもっていないことも少なくない。こ
  のような客に対して、仲居/女将は可能な選択肢を提示する。
  それは旅館内だけではなく、旅館近くの、例えば近辺の飲食店
  や農家などをサービス資源としてその場で新規のサービスを提
  供することがなされる。
   相手がどのようなコンテクストにあるのかの自覚がなくとも、
  それを察してサービスに反映させることが為される。これが
  「以て」「為す」状態であり、これをサービス価値の共創であ
  ると考えることができる。


 ここには「以て」「為す」という心構えが説明されています。しかし具体的にその場面で何をどう話して接遇をするか、というところは定まっていません。

 それは一人ひとりのプレイヤーに託されていて、プレイヤーが日々の対話の中から研鑽を積んで力量を増さなくてはなりません。どこか求道的なところがあるのも、日本人らしいかもしれませんね。


 (後篇に続く)

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

亡き友に影膳を

2014-11-25 23:45:36 | Weblog

 かつて同じ課で一緒だった仲間が集まって懇親会をしました。

 これまでの社会人生活の中でいくつも職場を渡り歩きましたが、この時の課はイベントや課題が多かったのですが、それを皆のチームワークでこなして乗り切ったという一体感が強くて、今でも一声かければ集まろうという機運に充ちているのです。

 今日は八人が集まって会を始めようとしましたが、かつての同僚の一人が今日ここには来られません。それは彼が不幸な形でこの夏にこの世を去ったからです。

「彼は飲んでカラオケ行ったらズボンを脱ぐんだよな~」
「すぐに脱いじゃう三人衆の一人だったよね」

 思い出話に花を咲かせて宴会が始まります。

「御飲み物は何になさいますか」とお店の女性が注文を取りに来ました。

「ビール7つとウーロン茶が一つ。それと小さなコップ一杯にビール入れて来てください」
「あ、はい…」

 お店の女性は不思議そうな顔をしながらも、お願いした通りの飲み物を持ってきてくれました。

 
 全員が揃ったところで私から皆さんに提案が一つ。「今日来てほしかったけれど残念ながら来られない彼のために黙祷をしようじゃありませんか」
 もちろん全員賛成。

 コップ一杯のビールを影膳にして集まった皆で彼の冥福を祈りました。

 生きている我々はこれからも一生懸命に生きていこうと思います。
 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

思い立ったらすぐにしてしまう掃除のためのコツ

2014-11-24 23:45:13 | Weblog

 「もしかしてだけど~、もしかしてだけど~」と、男の妄想を歌うお笑い芸人さんがいますが、ある仮説をおくにはこの「もしかしてだけど」という発想が必要です。

 そろそろ年末も近づいてきて、この一年の汚れを落とす大掃除の時期になってきましたが、私は普通の人は掃除がそんなに嫌いじゃないのではないか、という仮説を持っています。

 もちろんやり慣れた人と慣れていない人で、掃除に対する取り組みやすさはだいぶ違うでしょうが、それでも掃除に慣れていない人でも、そんなに掃除が嫌でたまらない、という人はほとんどいないはず。

 しかしそんな人がやっぱり掃除をしないでいるというのは、「さすがに汚いな。少しは掃除をしようかな」と汚れに気が付いた瞬間に、「しかし道具を出すのが面倒くさいなあ」という掃除の準備をすることへの億劫さがあってその心理的ハードルを越えられないうちに時間が経ってしまい、やっぱりやらずにいてしまう、ということになるのではないか、と思うのです。

 そんな私が最近家の掃除をする際に愛用しているのが、別に花王の回し者ではありませんが、『クイックルワイパー ハンディ 本体伸び縮みタイプ』。

 この商品、吸着性が高い使い捨てのファイバーが細い隙間に入って効率的に誇りを吸着してくれるのですが、本体が三段の伸び縮み式になっていて高いところにも楽にヘッドが届きます。

 さらにヘッドは角度を四段階に変えられるため、より効率的に面を捕えることができます。床の埃をさっさっと掃き取っても良いし、天井の照明の上部の汚れにも手が届き重宝なのです。

 
 で、私が上で述べたような「掃除道具が手元にないために掃除が億劫になる」仮設の対偶は、「掃除が億劫にならないのは、掃除道具が手元にあるから」というもの。

 道具が手元近くにとにかくあれば、掃除が億劫にならないのではないか、と思うのです。

 クイックルワイパーには持つところが短いものもありますが、とにかくそれほどの値段ではないので、いくつも買っておいて、「ここは汚れがち」と思うところのすぐ近くに置いてあれば、拭き掃除くらいちょっとしたついでにやるのではないでしょうか。

 わが家ではまず一階と二階にこの伸び縮みタイプを一つずつ置いてみて、どれくらいマメに掃除をするかを実験中。いまのところ、気が付けばホイホイと掃除しやすくなったと思いますが、しばしば本体を見失ってチャンスを逃します。

 トイレや脱衣場、玄関など、もう三つくらいはあっても良さそうですが、とりあえずは二本でもう少し実験してみます。


 「掃除道具は身近なところに数多く」

 これって実践的掃除スキルになると思うのですがいかがでしょう。
 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

余市港で初めてのマメイカ釣りを堪能

2014-11-23 23:16:07 | Weblog

 

 釣りの仲間から「余市でマメイカが釣れているみたいですよ。行きませんか」というお誘いを受けて、勇躍余市へ。

 とはいえ、マメイカ釣りの道具も何ももっていないので、「まあ見学でもいいか」ととりあえず妻と一緒に待ち合わせ場所へ向かいました。

 余市では現地の知人の金ちゃんがいて、「なに、道具ないのかい。分かった、先に行ってて」と先に余市の港へ。先に着いたは良いけれど、余市港の午前中は冷たい風が吹きすさんで寒くて寒くてたまりません。


  【午前中は寒かった!】

 金ちゃんが追っかけ使える釣竿一式を貸してくれて、「マメイカの釣れ頃は夕方の3時くらいからだからまあ練習しておいて」とのこと。

 マメイカ釣りは、餌木(エギ)という魚に似せてつくられた針を岸壁からルアーの様にして投げ入れるのですが、「イカは餌木がすーっと沈むときに餌木に抱き着きますから、ときどき引っ張ってはまた沈むようにするのがコツですよ」と教えてくれました。

 最初は餌木を投げ入れても何の反応もないままにリールを巻き取っていましたが、そのうちにぐっと何か思い感触が手に来ます。

 (お?)と恐る恐るリールを巻いていくと、餌木に体長20センチほどのイカが目玉をギョロっとさせながら引っかかっています。

「やったー!」 初のマメイカ釣りに喜びと感動もひとしおです。


       ◆  


   【うちの奥さんも一杯ゲット】


 うちの妻もチャレンジしてなんとか一パイだけ釣り上げて格好がつきました。

 少しずつ釣りのコツをつかむうちに夕方が近づき、かかる確率も上がって投げ入れれば釣れるという面白いほど釣れ始めました。

 一緒に行った知人は、「帰ってから裁くのが面倒くさいからここで沖漬けにしちゃうんですよ」とジップロックに沖漬けの汁を入れて、釣れたイカを直接ここに入れてしまいます。
 帰ってから墨を絞り出すそうですが、「凍らせてシャリシャリで食べるとまた美味いんですよ」とのこと。は~、食べ物の世界恐るべし。


   【ジップロックで直接沖漬けに】
       ◆  


「小松さん、何匹釣れた?」「15ハイくらいかな」「いかったっしょ。俺の釣った分もなんぼか持って行ってね」

 金ちゃんが釣れたイカを何ハイもくれたので、ビニール袋に入れてありがたくいただいてきました。

 家に戻ってみると沖漬けにした以外にも全部で30パイ以上もあったので、まずは小さいながらもイカ刺しと、定番のイカメシ、それにゲソを使ったバター炒めにイカメシづくりで余ったお米でイタリアントマトピラフと今夜はイカ料理三昧。


   【マメイカ10パイ分、美味かった!】


   【イカゲソでトマトピラフ】


   【これまた最高】

 

 どこで誰が獲ったか分からない食材ではなく、自分自身や仲間たちが目の前で釣ったイカですから出自もはっきりしていて鮮度も抜群。

  どれも最高に美味しくて、自然も食材も友達も、全部全部北海道を心行くまで味わいました。 

 妻にイカのさばき方を教えてもらって、イカ料理が楽しくなりました。やれば分かるけれど、やらなくては絶対にわからない楽しみがありますね。


   【定番のイカメシ、小さくてご飯があまりはいらない(笑)】


   【味は最高ですね】


       ◆ 

 
「後はホッケ釣りとイワシですかね。こうやっているとすぐに春が来てまたフライが始まりますよ(笑)」

 うーん、海釣りの扉を開けてしまったのか…(笑)


   【余市港の夕暮れ】

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

麻雀で人格形成を

2014-11-22 22:06:41 | Weblog

 

 最近小学生の甥っ子が麻雀を覚えて、楽しくて仕方がないらしい。

 普段の日は家で、「プロ麻雀 極(きわめ)」で腕を磨いていて、点数も数えられるし、まあとにかく麻雀の魅力に取りつかれてしまったらしいのです。

 そして実家の両親が近所の老人クラブで週に一回麻雀大会をしていると聞いて、週末になると弟と二人で家に押しかけて麻雀三昧なのだそう。

 まだ腕は粗削りながら、上がり方は知っているしときには役満も狙い、来始めの頃に二日連続で役満を上がったと言って自慢する有様。

 振り込んだ弟も面目なさげに、「まああれは失敗だったよ(苦笑)」と失敗を認めながらも面白がって毎週実家を訪ねています。

 今日は面白がって「俺も入れろよ」と言って、弟にわが家まで迎えに来させて、実家で父、弟、甥とともに四人で雀卓を囲みました。

 
 勝負は時の運で、しばしば甥っ子が勝つシーンもあるのですが、今日は大人三人が勝って甥っ子一人がマイナスという一人負け。ところが負けた甥っ子は気分屋で、負けが込むと不機嫌になり罵詈雑言の毒を吐き始める始末。
 悔しさと無念さをまだコントロールしきれないのです。

 しかしそれもいつものことと周りはよく知っているので、逆にこれを生活指導の好機とばかりに「そこで悪態をつくようならもうやってやらないぞ」とか、「負けが込んだ時にこそセルフコントロールが大事なんだ」などと言って反省を促し、時におだてて根気よく態度を戒めています。

 いくらふて腐れても、どうせ一週間のうちにはまたやりたくてたまらなくなり、「言うことを聞くからお願いします」と電話で実家の週末の予約を入れる甥っ子。

 ただ口で諭す以上に、大事なものを取り上げられる弱みと引き換えの人格形成塾に入ったようなものです。


 勝負はガチンコですが、対局中は大人たちがアイコンタクトで振る舞い方を見守っています。まさか麻雀で人格形成をするとは思いませんでした。

 このニンジン、いつまで使えるかな(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

頭の中は酒でいっぱい

2014-11-21 23:45:00 | Weblog

 食事の支度をしていた妻との会話。

 私に「食べる前に一杯やる?それとも飲む?」と訊いてきました。

「あはは、それって言い方が違うだけでいずれにしても飲むんだね。どうしても飲みたいんだな(笑)」と二人で爆笑。
「あーーー(汗)、(今日は日本酒かな)と頭に浮かんでいたんだよね(笑)」

 ここのところパ酒ポートで酒蔵巡りをした際に買い求めた各種のお酒がだいぶ溜まっています。頭にあることはつい口に出てしまいますね。


       ◆  


 日本語の言葉遊びは五文字と七文字の組み合わせだと実に調子が良くて、五七五七七だと和歌、五七五だと俳句や川柳ですが、七七七五だとこれが都都逸(どどいつ)。

 元は音曲師が寄席やお座敷で演じる出し物だったのが江戸時代後期に完成した口語による定型詩。主として男と女の情愛を歌ったり世間を面白おかしく揶揄するようなことを題材にしています。

 お酒なども良く登場して、美味い作品が多いのです。

    お酒飲む人 花なら蕾 今日も咲け咲け明日も咲け(酒)

    論語孟子を 読んではみたが 酒を飲むなと書いてない

    朝と晩では 目の色違う 飲むから生きてる灯がともる

    腹が立つときゃ 茶碗で酒を 飲んで暫く寝りゃなおる

 お後がよろしいようで。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする