釧路にある王子マテリア(株)の段ボール工場を見学してきました。
製紙工場は合併が頻繁に行われる業種ですが、こちらは昭和34年に本州製紙(株)の釧路工場として操業を開始しました。
その後平成8(1996)年に新王子製紙(株)と本州製紙(株)が合併して王子製紙(株)釧路工場になり、今では段ボール原紙で年間36万トンの1ラインだけの操業を行っています。
かつては豊富な原材料に支えられたこの地域の製紙工場ですが、今では原料のかなりの部分を古紙に頼るようになっているそうです。
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さて、こちらで製造している段ボールの使用先ですが、50%は農産品などの食品なのだそう。
家電製品用の梱包資材としては、かつては20%ほどあったそうですが、今では7%にまで低下してしまったそう。
こういうところにも、家電流通の苦しさが分かります。
さて、 マテリアさんの段ボール工場の隣には製品を製造する王子コンテナ(株)の工場もあって、こちらで箱ものなどの製造を行っています。
段ボールの梱包資材となると、大きさや形も千差万別で同時に印刷もそれぞれ独自の図柄となります。
こちらにはそんなお得意さんから受注する段ボールの抜型や印刷の版下などもたくさん保管されていて、様々なオーダーに素早く応えています。
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そんな様々な段ボールの利用先としてこちらが今注目しているのが、災害時の緊急用資材としての段ボール。
災害で避難した避難所が求めるのは、「一に食料、二に段ボールですから」と言うのは、藤村工場長さん。
緊急用資材として一押しなのが、段ボールベッドです。
体育館などの避難所では、床からの冷たさが特にお年寄りなど体力のない人には辛い環境ですし、床にべったり寝ていることで立ち上がるのも大変。
それに対して段ボールでベッドにすることで、床からの冷たさを防ぐと同時に、この高さならば立ち上がるのにも負担が少なくて済むというわけ。
箱の中には補強用のカスガイ役の紙を一枚入れるのがコツだそうで、これで段ボールの強度がぐんと増します。
敷き詰めた段ボールは、ちょっとした荷物入れにも使えて、とても便利です。
何個の段ボールを組み合わせるかや、現実的なサイズをどれくらいにするかなどまだまだ工夫の余地はありますが、ベッドの外、プライバシーを守る衝立も段ボールでできるので、こうした資材を備蓄しておくことが極めて有効だと考えられます。
実際、大人が数人乗るくらいでは全く潰れません。実に良いものです。
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そしてもう一つ、緊急用資材として必要とされるのがトイレ。
地震などで水や電気の供給が途絶えた時のトイレの問題は重要で、それを段ボールによる組み立て便器と、ビニール袋に消臭剤と凝固剤を全部含めたセットにすることで、トイレの問題を解決することが可能になります。
問題は備蓄しておく際の体積ですが、これもある一定の量を備蓄しておきつつ、こちらのみならず他地区も含めて工場さえ動くようだったらそこで製造して輸送することだって可能です。
避難生活の環境改善のために、緊急輸送物資としての段ボール資材をもっと真剣に考えたいものですね。