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「壺石文」 上 7 (旧)六月十三日(続き)

(庭のシラン)

孫たちは浜岡原発の見学に行った。何を感じてきただろう。

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「壺石文 上」の解読を続ける。

寺にたち帰り、簀の子に尻掛けて、涼みつゝ、主(あるじ)大徳(だいとこ)と物語りす。六十路ばかりならんかし。
※ 簀の子(すのこ)- 簀の子張りの床または縁。
※ 大徳(だいとこ)-(一般に)僧侶。法師。「だいとく」とも。
※ 六十路(むそじ)- 六〇歳。(原文は「むつじ」とあるが間違い)


宿りを立ちて、思い河を渡りて、三里ばかり来て、杤木という町の、三悦坊とかいうなる人を訪(とぶら)いけるに、飛弾(飛騨)にか、湯浴みにものせしとて、在らざりければ、こゝを立ちて、鹿沼を指して(ゆ)く。夕日のくだちきおいて、やゝ涼しくなりにければなりけり。
※ 杤木(とちぎ)- 栃木とも。日光例幣使街道の宿場町。現、栃木市。
※ くだち(降ち)- 日が傾くこと。また、そのころ。
※ きおい(競い)- 張り合うこと。競争すること。


夜になりて、空うす曇りぬれば、ものゝ文目も見え分かず、たどりつゝ行くに、商人(あきんど)ならんかし、年老いたるが追い来て語らい付きてけり。すこし心行く心地して、足も進み行く心地す。宵過ぎぬる頃おいに、金崎という宿に至りて、この男(おのこ)は別れにけり。
※ 文目も分かず(あやめもわかず)- 暗くて物の模様や区別がはっきりしないさま。
※ 頃おい(ころおい)- ころ。その時分。


やほちにや、べんくしにや、色黒く腰太き女の、門ごとに装い立ち居て、旅人にておわさば、泊り給いてよと言うも、東(あづま)だみたる声音(こわね)なりけりと、鄙びにたりと聞きさし、片方(かたえ)、見て過れば、月影に透かし見て、また言うものか。無下がちにて、難しげなる旅人の後ろ手かな。かかるを、いかでを、など、かたみに突きしろいさえずるめれど、舌疾にてようも分かたれず、
※ やほち - 夜、辻などに立って客を引き 売春した女。
※ べんくし - 紅櫛? やほちと同類のものだろう。
※ 聞きさす(ききさす)- 聞くのを途中でやめる。
※ 無下がち(むげがち)- 無駄になることが多い。
※ 後ろ手(うしろで)- 後ろ姿。
※ かたみに - 互いに。かわるがわる。
※ 突きしろう(つきしろう)- 互いにひざや肩などをつつき合う。また、相手をつゝいて合図をする。
※ さえずる - 口数多く早口でしゃべるのを軽蔑していう。ぺちゃくちゃしゃべる。
※ 舌疾(したど)- 早口。


   仮寝せん 足も渚(なぎさ)に 夜を過ぎぬ
        難波の海士(あま)の 何かさえずる


など、獨りごちつゝ過るも、ようのものなりけりと覚えて、我ながら、おこがましうなん、善しや、悪しや。
※ ようのもの - その様なもの。
※ おこがましい - いかにもばかばかしい。ばかげている。


読書:「レスキュードック・ストーリーズ」樋口明雄 著
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