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「壺石文」 上 11 (旧)六月十九日

(庭のオルレア・ホワイトレース)

苗を頂いたオルレア・ホワイトレースである。花の付き方がレースを連想させるから、そんな命名がされたのだろう。

夕方、SH氏の弟さんのお通夜に出た。ご両親とSH氏ご夫妻にお悔やみを述べた。享年38歳、逆縁は何とも辛い。まだまだこれからという時に、死ななければならなかった本人が、誰よりも悔しかっただろうと思う。

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「壺石文 上」の解読を続ける。

十九日、つとめて(早朝)(あるじ)の翁(中臣ノ真龍)とわくご(長良)とを道しるべにて、石裂(オザク)山に登る。龍ヶ瀧という瀧を見て、
※ わくご(若子)- 年少の男子。また、若い男子を敬っていう語。

   落ちたぎつ 間無く時無く 白波の
        たつが瀧てふ 名こそ知るけれ

※ 落ちたぎつ(おちたぎつ)- 水が高い所から流れ落ちて、激しく泡立つ。おちたぎる。
※ てふ - という。(「と言ふ」の変化したもの)


小雲の瀧と名付けたるも下津瀬にありき。
※ 下津瀬(しもつせ)- 川の下流の瀬。

   (みなもと)を 訪ねてみれば 小雲てふ(という)
        たぎりの親は 龍にぞありける

このわたり(あたり)はすべて苔路、なめらかに、岩角高き山陰にて、杉群(むら)麗しう立てり。

   御手洗(みたらし)の 川音清(きよ)み 加蘇の山
        過ぎがてに行く 水無月の頃

※ 御手洗(みたらし)- 神社や寺院で、参拝者が手や口を洗って清める場のこと。
※ 過ぎがてに(すぎがてに)- 通り過ぎることができなくて。素通りできずに。


こゝは加蘇山と言えばなり。千本桂とて、根は一本にて、幹の数々生え立てるあり。
※ 千本桂(せんぼんかつら)- 加蘇山の千本かつらは、栃木県鹿沼市にある加蘇山神社の奥の宮への参道に並んでいる、樹高約30メートル・推定樹齢1000年と700年の2本からなる、県内最大の桂の古木である。栃木県の天然記念物に指定。

   一本(ひともと)の 月だに夏は 涼しきを
        千本
(ちもと)桂の 蔭や如何なる

岩ヶ根に足をそばだて、木の根を力草にとりて、岨路を伝い/\て、やゝ奥深く、登り登れば、畳なわる斎つ岩群の、雫(しずく)の洞の中に、ささやかなる御殿(みあらか)立てり。
※ そばだてる - 一端をあげて傾ける。
※ 力草(ちからぐさ)-(「力種」とも書く)頼りになるもの。力と頼むもの。
※ 岨路(そばみち)- けわしい山道。
※ 畳なわる(たたなわる)- 幾重にも重なる。
※ 斎つ(ゆつ)- 神聖な。清浄な。
※ 岩群(いわむら)- 岩の群れ。岩や石がごろごろしている所。
※ 御殿(みあらか)- 社殿。やしろ。
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