ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

日韓併合百年の首相談話を許すな

2010-08-05 10:55:35 | 時事
 今月29日、日韓併合100年を迎える。これに合わせて菅首相が「談話」を準備していると報じられてきた。昨日の国家参議院予算委員会で、山本一太氏(自民党)が首相に「談話は出すんですか、出さないんですか」と迫ったが、首相はイエスともノーとも回答しなかった。
 談話作成の中心になっているのは、仙谷官房長官である。仙谷長官は山本議員の質問に対し、談話については「慎重に検討する」と回答し、明言を避けた。先日仙石長官は戦後補償問題について再検討が必要だという趣旨の発言をした。山本氏は、その発言を報じる新聞記事を示しながら、仙谷氏の発言は「官房長官としての発言か、個人の発言か」と問い詰めた。仙谷氏はこれも直接答えなかった。
 私はたまたま昨日昼の休憩時間に、テレビの国会中継で上記のようなやり取りを見たのだが、菅首相・仙谷長官ののらりくらりと質問を交わす姿勢は、国民に対してまったく不誠実だった。その一方、韓国の国民には配慮する姿勢を示すというのは、一体どこの国の政府か、どこの国のための政治家か、と怒りを感じた。
 ここ数週間の流れから見て、菅首相・仙谷長官が日韓100年で首相談話を発表するつもりでいるに違いないと私は思う。しかし、国民に中身を知らせず、国会で議論もせずに、一国の首相が韓国に向けて談話を発表することは、断じて許されない。

 以下は報道のクリップ。

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●産経新聞 平成22年8月5日

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100805/plc1008050119002-n1.htm
日韓併合首相談話「植民地支配の謝罪」盛る、「村山談話」を踏襲、哨戒艦事件にも言及
2010.8.5 01:18

 29日の日韓併合100年に先立ち、菅直人首相が発表する予定の首相談話の骨格が4日、分かった。日本による植民地支配と侵略への謝罪を盛り込むことで、平成7年の「村山談話」を踏襲。北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈事件に触れて韓国側への配慮を示す。外交面で問題のある村山談話をベースにした新たな謝罪談話の発表には民主党内に異論がある。
 「菅談話」は終戦65年となる15日か、その直前に発表する方向で調整している。戦後50年にあたる7年8月の自社さ政権時代の村山富市首相による「村山談話」に基づき、日本による植民地支配と侵略の歴史を認めた上で、「痛切な反省と心からのおわび」の意を表明する。
 自公政権時代を含め村山氏以後の歴代首相は、国会答弁などで村山談話を引き継ぐ考えを示してきた。菅首相は、村山談話を踏み越えない内容であれば、批判を回避できると判断した。
 同時に、哨戒艦事件に言及することで北朝鮮に対する強硬姿勢を強調する。朝鮮半島の平和と安定に貢献する未来志向の姿勢を強調する狙いがある。
 日韓併合100年に合わせた談話の検討は、7月に仙谷由人官房長官が記者会見で表明した。官房長官談話も検討したが「日本のトップとしておわびはせざるを得ない」(政府筋)と首相談話の形に傾いた。
 併合100年を前に出すため、韓国側で日本による新たな賠償や謝罪への期待が高まる可能性がある。
 村山談話は、社会党トップだった村山氏の思想・信条を色濃く反映し、歴史問題に対し綿密な史実検証を行わずに発表された。その後、韓国や中国がそれに乗じて、日本の「侵略」を認めるよう求める場面が繰り返された。
 民主党の松原仁衆院議員が2日の衆院予算委員会で「さまざまな談話で日本外交に大きな問題が出た」と指摘するなど、新談話への党内の慎重論は根強い。
 仙谷官房長官は4日の記者会見で、日韓併合について「植民地支配の過酷さは言葉を奪い、文化を奪い、韓国の方々に言わせれば土地を奪うという実態もあった。直視して考えていかなければいけない」と述べたが、談話については「声明などを出す必要があるかないかを含めて、慎重に検討している」と述べるにとどめた。

■村山談話 戦後50年にあたる平成7年8月15日の終戦記念日に当時の村山富市首相が発表、閣議決定した談話。「わが国は遠くない過去の一時期、国策を誤り、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのおわびの気持ちを表明いたします」との内容。戦後60年の17年8月15日には小泉純一郎首相が村山談話を踏襲した「小泉談話」を発表した。

●産経新聞 平成22年8月4日

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100804/plc1008041942012-n1.htm
ぶち切れた官房長官 ごまかしも 日韓基本条約の認識で
2010.8.4 19:36

 耳をかっぽじって…。仙谷由人官房長官は4日の参院予算委員会で、自民党の西田昌司氏に1965(昭和40)年の日韓基本条約に対する認識を問われると逆ギレし、国会での政府答弁としては異例の俗語を使って反論した。事実と異なる強弁で過去の発言をごまかすこともした。
 予算委で西田氏は、仙谷氏が7月7日の記者会見で「法律的に正当性があると言って、それだけで物事は済むのか。当時の韓国は軍政下だった」と述べた問題を取り上げ、「基本条約が有効ではないかのような発言だ」と指摘。仙谷氏は激高し、「耳をかっぽじって刮(かつ)目(もく)してお聞きいただきたい。有効でないような発言はいつしたんですか」とまくし立てた。
 また、仙谷氏が6月16日、西田氏を念頭に「罵(ば)詈(り)雑言を投げつける質問をした参院の人がいた。国会でなければ名誉棄損の告訴状が3本も4本も出ざるを得ない」と述べたことを問われると、「私の記者会見などの正式な発言ではなく、そういう非公式な雑談が書かれたとすれば、西田さんに迷惑をかけた」と報道側の問題にすり替えた。
 西田氏はほこを収めたが、発言は正式な記者会見でのものだった。意図してかどうかはともかく、仙谷氏は国会答弁をうそで乗り切った形だ。

●産経新聞 平成22年8月5日

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100805/plc1008050308007-n1.htm
【主張】日韓併合100年 いまさらなぜ首相談話か
2010.8.5 03:08

 8月29日の日韓併合100年に向けた首相談話について、菅直人首相と仙谷由人官房長官は「慎重に検討する」との答弁を繰り返している。国民に中身を知らせず、議論も尽くさないままの談話発表は許されない。
 日韓併合をめぐる両国間の大きな対立点は、100年前の明治43(1910)年に結ばれた併合条約の法的効力をめぐる争いだ。
 昭和40(1965)年の日韓基本条約で、第2条の「もはや無効である」との解釈をめぐり、日本側は「併合条約そのものは有効に結ばれた」と主張した。これに対し、韓国側は「日本の不当な圧力によるもので、締結時から無効だった」と主張した。
 この対立は現在も尾を引いている。3月に発表された第2期日韓歴史共同研究の報告書でも、「明治政府の強制はあったが、日韓併合条約は有効だった」とする日本側学者の見方と、「大韓帝国の皇帝(高宗)の署名がなく、無効」とする韓国側の主張は、ほとんどかみ合っていない。
 だが、2001年、米国での国際学術会議で、欧米の国際法学者らは「日韓併合条約は国際法上は不法なものではなかった」などと韓国の学者の一方的な見解を批判した。日本側の見解が国際的に受け入れられている。
 韓国が首相談話に何を期待し、菅内閣が何を盛り込もうとしているかは分からないが、仮に、併合条約を「当初から無効」とする韓国側の主張に同調するような内容であれば、重大な禍根を残す。
 単なる“謝罪談話”で終わるにしても、韓国は内容を不満として強く抗議してくることが予想される。それでもなお、首相談話を発表する必要性があるのか、極めて疑問である。
 日本の「植民地支配と侵略」を謝罪した平成7年の村山富市首相談話は、事前に有力閣僚や与党幹部に詳しい説明が行われず、終戦記念日の8月15日の閣議で、半ば唐突に出された。
 昭和57年夏の教科書騒動はマスコミの誤報が発端だったにもかかわらず、官房長官談話で「記述是正」を中韓両国に約束した。平成5年の慰安婦に関する官房長官談話は、根拠なしに慰安婦の“強制連行”を認めた内容だった。
 国民のことを少しも考えず、ただ近隣諸国に配慮するだけの首相談話などは不要である。
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関連掲示
・拙稿「仙谷長官の『危うい思想背景』」http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20100801