ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

給食費払わぬ親をどうする3

2007-01-18 10:02:20 | 教育
●教育改革は、親のあり方をこそ問うべき

 現在、改正教育基本法のもと、教育再生会議がさまざまな方策を検討している。ゆとり教育の見直し、授業時間数の増加、全国一斉学力テストの完全実施、教育委員会の改革、教員免許の更新制度、教職員給与の見直し等、どれも必要な方策だと私は思う。しかし、こうした教育制度・教育内容を変えること以上に重要なことがある。親のあり方を変えることである。
 親は大人である。また有権者である。その親に自覚や責任を問えば、反発を買う。政治家や官僚は、やりたくないだろう。良く言えば遠慮、悪く言えば逃げである。しかし、給食費の未納問題は、親の問題を避けていては、解決しない。同時に、教育改革は親の問題を抜きには、なしえないことを示している。

 産経の記事は、経済的理由がなく給食費を払わない親について、次のようなことを書いていた。「保護者のモラルの問題」「規範意識の問題」「保護者の責任感の欠如」「親に社会性がなくなってきている」「子供を教育する立場にある親の、子供以下の振る舞い」「自分たちの都合を過度に優先する非常識な親が“増殖”しつつある」等々。
 正当な理由なく給食費を払わないのは、子供に「食い逃げ」をさせているようなものである。普通の道徳心や社会常識を持っている人間であれば、学校から未納を指摘されたり、先生が立て替えていると告げられたりすれば、自らの行いを恥じて詫び、支払いをするだろう。
 ところが、未納者の中には、理不尽な言葉を返して支払おうとしない者がいるという。この態度は、もはや道徳の問題という範囲を超えている。学校や自治体が法的措置を取るのは、当然である。PTAの一角をなす保護者会も、保護者を集めて未納問題を話し合い、学校や自治体の対応を支持して、未納者に対して納入を促してほしい。
 これ以上、身勝手な未納者を出さないように、学校・自治体・保護者会は、厳しく対処すべきである。それをやっても未納者の増加を防げなければ、残念だが、支払方法や給食制度の見直しをせざるをえないだろう。
 親のあり方の問題は、給食費の未納に限らない。いじめ自殺や不登校、三歳児崩壊、少女売春や未成年の麻薬の蔓延、引き篭もりやニート等の諸問題には、親の自覚と責任が深く関係している。教育改革は、親のあり方をこそ問うべきである。

●喫緊に「親学」の振興を

 近年、わが国の公共道徳は、急速に崩壊しつつある。戦後約60年、個人の自由と権利を強調して責任と義務を軽視した現行憲法と、その憲法の精神に基づく教育を行うための旧教育基本法のもとで、わが国の教育は道徳教育を欠いたままきてしまった。
 青少年の道徳心・公共心を育てることを怠ってきた結果、自己中心・利己主義が横行している。私利私欲が自由や人権という言葉で粉飾される。そういう世代が親となり、まともな子育てができずに周囲に迷惑をかけるのみならず、子供が食べている給食費を支払わずに、開き直っている。その大人の態度がまた他の純真な子供たちに悪影響を及ぼす。

 日本を立て直すには、憲法の改正と、教育全体の改革が急務である。それを大前提として、私は、もっと直接的な方策を親に対して実行しないと、現状は改善されないと考える。
 ここで私が喫緊に振興すべきだと考えるのは、「親学(おやがく)」である。つまり親となり、親として子育てをするための学問・教育である。
 子供の問題のほとんどは、親に問題がある。子育てに自信がなく、子育てがうまくできない。または子供をつくることに関心が無く、育てることにも関心のない若い人たちが増えている。 学校教育・社会教育を挙げて、「親学」の振興を真剣に行なうことが、日本の教育の改革、そして日本国の再建に欠かせない。

 改正教育基本法の第2項は、「保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策」と記しており、私の趣旨に通じるものがあるが、さらに教育基本法を再改正して、「親学(おやがく)」の振興を盛り込むことを、私は提案している。

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◆教育基本法の再改正のためのほそかわ私案(抜粋)

(家庭教育)
第六条 教育の原点は家庭にあり、親は子の教育について第一義的責任を有する。父母その他の保護者は、人生最初の教師であることを自覚し、自らが保護する子供に、しつけを行い、生活のために必要な習慣を身に付けさせ、自立心を育成し、心身の調和の取れた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家族の絆を育成及び強化し、家庭教育の充実を図るため適切な支援を行う責務を有する。
3 国及び地方公共団体は、国民の家庭の形成と家庭教育を支援するため、親となり、子育てをするための学問及び教育を振興することに努めるものとする。
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 第3項に「親となり、子育てをするための学問及び教育」とあるのが、「親学」を意味する。

 次回に続く。