ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

憲法改正~財産権と納税

2005-11-28 10:46:02 | 憲法
 財産権について、自民党案では、次のようになっている。

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●自民党案

(財産権)
第二十九条 財産権は、侵してはならない。
2 財産権の内容は、公益及び公の秩序に適合するように、法律で定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
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 昭和憲法との違いは、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」と言い換えただけである。財産をめぐっては、個人の権利と公共の利益との間に、利害の対立を生じる。これは、重要な問題である。憲法には、個人と全体、個人と政府の間の権利と義務を定める役目があるのだから、財産権に関する条項は、もう少し踏み込んだ内容にすべきだと思う。
 憲法の条項には、相当数が国民の財産権にかかわる。そもそも統治権という最も基本的な権利は、国土の占有・利用に関わるものである。また、国家の安全保障や非常事態においては、国民個人の財産権に制限が課される場合が想定される。環境の保守においても、持続可能な開発の実現に努め、良好な自然環境を守り、かつ将来の世代にそれを引き継いでいくためには、国土とその自然の開発・利用に、一定の制限が課されよう。
 この点に関して、日本会議は「新憲法の大綱」改訂版で、以下のような提案をしている。

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●日本会議案

 財産権については、国土の公共性を明らかにするとともに、国民の財産権と、国土の利用及び自然環境の保護との調和をはかることを明記する。
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 私は、この提案を重要なものと考える。以下に私案を示す。

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●ほそかわ案

(財産権)
第五十一条 財産権は、これを保障する。
2 財産権の内容は、公共の利益に適合するように、法律で定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる。
4 わが国の国土は、自然の恵みとして享受する公共の財産である。国民は、第四十五条1項の定めにより、個人の財産としての土地利用と、国民全体の財産としての土地利用との調和に配慮しなければならない。
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 国家の安全保障や非常事態に関する場合は、第3項に含まれると考え、あえてここでは明記していない。

 次に、財産権と関連する納税については、納税の目的を明記したいと思う。税は、国に金銭を取られるのではなく、国民が共同で公共の利益を実現するための出資である。また、だからこそ、税金が有効に使われるよう、国民は協議や監視をしなければならないのである。以下のように定めることを提案したい。

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●ほそかわ案

(納税の義務)
第五十ニ条 国民は、公共の利益の実現のため、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。
2 国民は、税金が有効に利用されるように求める権利を有する。国は、国民の付託に応え、税金を有効かつ適正に使うよう努めねばならない。
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