ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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憲法改正~信教の自由の1

2005-11-12 08:39:14 | 憲法
 昭和憲法は、第十九条に「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と定めている。いかなる思想も道徳的価値観も、個人がその心の中で持つことは、自由である。ただし、それが表現や社会的な行動に移されるときには、表現の自由等との関係が出てくる。この点については、その項目のところで述べたい。また、自分の良心に反する信念や行動を強制されることのないことを、憲法は保障することが必要である。
 この条項は、昭和憲法のままでよいと思う。

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●ほそかわ案

(思想及び良心の自由)
第三十一条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
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 次は、思想および良心の自由と関係の深い、信教の自由についてである。信教の自由とは、どのような宗教を信じることも、また信じないことも自由であることである。思想及び良心の自由との違いは、宗教を対象とする点である。そして、宗教の場合、ここに国家と宗教、政府と宗教団体の関係という問題が出てくる。

 国家と宗教、政府と宗教団体の関係については、一般に「政教分離」ということがいわれる。昭和憲法には「政教分離」という言葉は使われていない。国家と宗教、政府と宗教団体の関係についての条項の内容を集約して言っているものである。
 昭和憲法で、国家と宗教の関係を定めているとされるのは、第二十条とともに第八十九条である。

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●昭和憲法

第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
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 これらの条文の規定を合わせて、一般に「政教分離規定」という。政教分離とは、第二十条の冒頭に明らかなように、信教の自由の保障を目的とする制度である。その手段として、国家と宗教団体との過度の関わりを排するものである。
 昭和憲法に定める政教分離とは、国家と宗教の分離ではない。つまり、国家と宗教を厳密に分離して国家が宗教と一切の関係を持たないということを定めているのではない。国家が特定の宗教団体に対して援助・助長、又は圧迫してはならないということを定めたものである。

 この問題は重要であり、わが国における政教関係について、新憲法では、より明確にする必要があると思う。その際、欧米諸国との比較のなかで、わが国固有の伝統や慣習が尊重されなければならない。続きを次回書く。