ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

文化革命型の「白い共産主義」の脅威1

2018-11-13 09:36:37 | 日本精神
 11月11日、私は東京・渋谷で行った講演で、文化革命型の「白い共産主義」の脅威に関して述べた。その概要を3回に分けて掲載する。

●共産主義とは

 今年は、明治維新から150年であり、平成の御世の最後の年でもある。来年5月、日本は新しい時代に入る。しかし、いま日本では、知らぬ間に伝統文化の破壊が進み、家庭・社会・国家の全般に深刻な問題が広がっている。その背後には、新たな共産主義の存在がある。
 平成3年(1991年)にソ連が崩壊した。その後、共産主義は世界的に退潮になっている。しかし、共産主義は死んではいない。
 共産主義の元祖は、マルクス、エンゲルスである。共産主義は、私有財産制を廃止し、生産手段を社会の共有にして、貧富の格差を解消することを目標とする。それによって階級支配がなく、自由な個人の結合による社会を目指すものである。そのために、共産主義者は、階級闘争を通して、革命を起こそうとする。
 革命は、1917年にロシアで初めて成功した。以後、多くの国が共産化され、一時は世界人口の3分の1が共産主義の勢力下に置かれた。
 ところが、ソ連は、革命の理想とは程遠く、共産党官僚が労働者・農民を支配する官僚支配の国家だった。自由と権利は抑圧され、生産性が低く、生活水準は上がらなかった。
 ついにソ連は革命の70年後に共産主義体制を放棄するにいたった。相前後して東欧諸国も共産主義を捨て、共産主義は世界的に大きく後退した。
 だが、東アジアでは現在も中国が共産党の支配下にある。そして、我が国では、今なお先進国で唯一、共産党を名乗る政党が存在し、堂々と政治活動を行っている。
 共産主義には、二つの種類がある。一つは、ロシア革命のように、武力によって革命を起こし、政権を奪取するものである。もう一つは、伝統的な文化を破壊し、人々の意識を変えることで、社会を共産化していくものである。前者は武力革命型、後者は文化革命型である。前者を「赤い共産主義」、後者を「白い共産主義」とも呼ぶ。
 ソ連の解体後、先進国では、武力による革命を目指す「赤い共産主義」は、大きく後退している。しかし、その一方、伝統文化の破壊による文化革命を目指す「白い共産主義」が、教育・マスコミ等に深く浸透し、知らずしらずに日本の家庭や社会が蝕まれている。

●恐るべき破壊の思想

 マルクス、エンゲルスは、社会の諸悪の根源を私有制と階級支配に見ていた。彼らは、その見方で家族をとらえた。彼らは、近代の家族は、ブルジョワ的私有に基礎づけられており、私有制を廃止すれば、家族は消滅する。女性の解放は、私有制の廃止によって、初めて実現すると考えた。そして、結婚という制度を廃止し、家族を解体することを図った。
 マルクス、エンゲルスは、家族を解体するための方法として、男性が婦人を共有することを打ち出した。彼らは『共産党宣言』で、次のように宣言した。「共産主義者は、公認の、公然たる婦人の共有を取り入れようとする」「共産主義者は自由、正義などの永遠の真理を廃棄する。道徳を廃棄する」と。
 これは、従来の性道徳や家庭道徳を真っ向から否定するものである。目指すのは、性の自由化がされたフリーセックスの社会である。家族が解体されると、すべての人間は、夫婦・親子の関係すらない個人としてバラバラに分解される。そうした個人を改めて集合した社会が、マルクス、エンゲルスの考えた共産主義社会なのである。
 レーニンは、ソ連でマルクス=エンゲルスの家族廃止論を実践し、発展させた。家族を解体するために、1927年に登録された結婚と未登録の結婚を同等とし、重婚さえも合法とした。また女性を家庭から出して労働者とし、育児の社会化を進めた。その結果、どうなったか。家庭が乱れ、少年犯罪や非行、離婚が激増し、社会に混乱が広がったのである。
 そこで、スターリンは、政策を根本的に見直し、逆に家族を「社会の柱」とする方針に切り替えた。憲法に家族尊重と母性保護を規定し、未登録結婚の制度を廃止して、嫡出子と庶子との差別を復活させ、子供の保育・教育における親の責任を重くした。レーニンの政策は、大失敗に終わったのである。ところが、この失敗を認めず、今も家族解体を進めようとしているのが、文化革命型の「白い共産主義」である。

 次回に続く。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿