ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

衆院選の結果~自民が単独で絶対安定多数を維持、立憲は惨敗、維新が躍進

2021-11-01 12:10:05 | 時事
 第49回衆議院選挙は、10月31日で投開票が行われました。各紙・各誌の直前予想では、自民党は単独過半数(233議席)の維持は微妙または困難という見方がほとんどでしたが、結果は自民党が261議席を獲得。単独過半数を超え、絶対安定多数(261議席)を確保しました。
 絶対安定多数は、衆院の全常任委員会で委員長ポストを独占し、全委員会で過半数の委員を確保し、安定した国会運営が可能となる議席数です。議席を公示前から15議席を減らしたとはいえ、絶対安定多数を維持したのは、誰も予想しなかったほどの大健闘です。

 以下が、各党の議席数。カッコ内は公示前の数字。
 自民261(276)、立憲96(110)、維新41(11)、公明32(29)、国民11(8)、共産10(12)、無所属10、れいわ3、社民1、N裁党0.諸派0。合計465議席

 自公を合わせると与党は、293議席、公示前の305議席より、12議席減。憲法改正の発議には3分の2以上となる310議席が必要ですが、これには17議席不足。維新・国民が賛同すれば、手の届く数字。
 日本維新の会は4倍近くに増やし、公明党を抜いて第3党に躍り出ました。私個人としては、自民党が公明党・創価学会と手を切り、維新と組むという道が開けつつあると感じ、維新の躍進を歓迎します。字。
 多くのメディアや専門家が議席増と見ていた立憲民主党は、共産党などと野党共闘が振るわず、公示前(110議席)を大きく下回る96議席で惨敗。かつてない左派野党の候補を一本化する戦略は不成功に終わりました。この結果は、今後もこの方法ではうまくいかないことを示しています。立憲は、旧社会党左派に近いものに左傾して共産党と組んだために、リベラル左派の支持を減らしたのでしょう。
 立憲や共産など野党5党が統一候補を擁立した213選挙区のうち、自民・公明等の与党系候補は、約65%にあたる139選挙区で勝利。これに対し、左派野党の統一候補は約28%の59選挙区でしか勝てず、野党共闘は目論見倒れだったことが分かります。国民の良識が働いたものと思います。

 候補別にみると、自民の甘利明幹事長は、自身が立候補した神奈川13区で敗北。議席減の責任と合わせて幹事長を辞任する意向を岸田首相に伝えた模様。現職の同党幹事長が小選挙区で敗れたのは初めて。金銭授受疑惑で攻められる甘利氏を幹事長にしていなければ、自民党はもっと議席を確保できていたでしょう。また甘利氏を傷つけずに、別の立場で彼の能力を発揮してもらうことができたはず。岸田首相の人選ミスです。
 自民の石原伸晃元幹事長は、東京8区で負け、比例で復活できず、落選。
 立憲の辻元清美党副代表は、大阪10区で維新の新人に負け、比例で復活できず、落選。
 立憲の小沢一郎氏は、岩手3区で負け、「小沢王国」が陥落。比例で復活当選。

●接戦・苦戦を伝えられた自民党の候補者の結果

◆閣僚、首相補佐官、党役員

#小選挙区で当選
・山際大志郎・経済再生担当相 神奈川18区
・西銘恒三郎・復興相 沖縄4区 
・村井英樹・首相補佐官 埼玉1区
・遠藤利明・選挙対策委員長 山形1区

#比例復活で当然
・若宮健嗣・万博担当相 東京5区
・甘利明・幹事長 神奈川13区

◆閣僚経験者

#小選挙区で当選
・金田勝年・元法相 秋田2区
・柴山昌彦・元文科相 埼玉8区
・林幹雄・元経済産業相 千葉10区
・井上信治・元万博相 東京25区
・北村誠吾・元地方創生相 長崎4区
・衛藤征士郎・元防衛庁長官 大分2区

#比例復活で当選
・桜田義孝・元五輪担当相 千葉8区
・塩谷立・元文部科学相 静岡8区 

#落選
・石原伸晃・元環境相&元幹事長 東京8区
・平井卓也・前デジタル相 香川1区
・原田義昭和・元環境相 福岡5区
・山本幸三・地方創生相 福岡10区

◆その他

#小選挙区で当選
・高木宏壽氏 北海道3区
・黄川田仁志氏 埼玉3区
・山田美樹氏 東京1区
・小田原潔氏 東京21区
・小倉将信氏 東京23区

#比例復活で当選
・義家弘介氏 神奈川16区
・越智隆雄氏 東京6区
・長島昭久氏 東京18区
・松本洋平氏 東京19区
・高鳥修一氏 新潟6区

#比例単独で当選
・杉田水脈氏 中国ブロック

#落選
・船橋利実氏 北海道1区
・大西宏幸氏 大阪1区
・長尾敬氏 大阪14区

●各種予想の結果比較

 私のブログで紹介した各種予想の結果を比較してみましょう。
 朝日新聞 2021.10.25 付は、「自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い」「立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい」と予想。
 産気新聞 2021.10.25 付は、自民党は「単独で過半数(233議席)を維持しそうで、連立を組む公明党とあわせれば過半数はほぼ確実な情勢」、立憲民主党は「公示前(110議席)を大きく上回り、140議席台をうかがう」と予想。
 週刊文春は、11月4日号(10月28日発売)で、自民党は公示前の276議席から231議席で単独過半数(233議席)を割り込む、立憲民主党は110議席から27議席増の137議席と予想しました。

◆朝日の予想
 自民 (公示前276)⇒下限251、上限279
 立憲 (公示前109)⇒下限 94、上限120
◆産経の予想
 自民 (公示前276)⇒下限218、上限246
 立憲 (公示前110)⇒下限126、上限151
◆週刊文春の予想
 自民 (公示前276)⇒231で単独過半数(233)を割り込む
 立憲 (公示前110)⇒137

 結果は、自民261、立憲96ゆえ、朝日の予想がほぼ当たり、産経・文春は大外れでした。
 なお、直前予想ではありませんが、夕刊フジ 2021.10.14 付は、選挙プランナーの松田馨氏の情勢分析を掲載。中盤戦の段階で、自民は単独過半数(233議席)を維持して、244議席。公明は29議席。自公与党は273議席で絶対安定多数(261議席)を上回ると予想。立憲は共産との共闘路線で議席を伸ばし、128議席と予測しました。与党で絶対安定多数は当たったものの、立憲の惨敗を予想することができていませんでした。
 今回の衆院選に関しては、朝日新聞の予想が優れていたと言えます。意外です。まぐれかな。
 ところで、 NHK は、31日午後8時開票直後、自民は212~253、立憲は99~141と予想。当日の出口調査と、事前の取材や地域情勢を考慮して弾き出した数字だと解説。ところが、結果は自民261、立憲96。自民、立憲ともに予想に40もの幅を持たせたにもかかわらず、結果は自民は予想の上限を超え、立憲は予想の下限を下回りました。日本最大のメディアも大外れだったのです。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

************************************