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ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

日本の大黒柱・安倍元首相が殺害される2

2022-07-14 19:03:18 | 時事
●安倍氏の死への世界の反応

20220709
<報道>
 NHKのニュースより。一部編集。

―――――
安倍元首相死去 各国の反応
2022年7月9日 14時47分

 演説中に銃で撃たれた安倍晋三元総理大臣は、治療を受けていた奈良県橿原市内の病院で亡くなりました。海外メディアも速報で伝えているほか、親交のあった各国の首脳や要人が相次いで声明を発表しています。

中国 習主席「両国関係の改善に向けて努力し 有益な貢献」
 中国外務省によりますと、安倍元総理大臣が死去したことを受けて、習近平国家主席は9日、岸田総理大臣に弔電を送り、深い哀悼の意を示しました。
 この中で習主席は「安倍元総理大臣は任期中に両国関係の改善に向けて努力し有益な貢献を行った。突然の死去を深く悲しみ残念に思う」としています。
 そのうえで「岸田総理大臣とともに、これまでの政治文書の原則にもとづき、両国の善隣友好や協力の関係を引き続き発展させていきたい」としています。

米 トランプ前大統領「全世界にとって衝撃的な損失だ」
 在任中、安倍元総理大臣と親交が深かったアメリカのトランプ前大統領は8日、西部ラスベガスで行った演説の冒頭で安倍氏が銃撃を受けて死去したことに言及し「非道な残虐行為であるだけでなく、全世界にとって衝撃的な損失だ」と述べ、犯行を非難するとともに哀悼の意を示しました。
また「安倍元総理大臣は私の友人であり、同盟相手で、すばらしい愛国者だった。彼は平和と自由、そしてアメリカと日本のかけがえのない絆のために力を尽くすことを惜しまなかった」と述べて功績をたたえました。
 ・・・トランプ前大統領は安倍氏の死去を受けて日本時間の午後7時半ごろソーシャルメディアへの投稿で「世界にとってとても悪いニュースだ。歴史は彼がどれだけすばらしい人物でリーダーであったかを教えてくれるだろう。彼は皆を一つにまとめられるまたとない人物であるが、なによりも偉大な日本という国を愛した人物だった。彼のような人は二度と現れないだろう」と追悼しています。

クアッド首脳 連名で追悼声明「心を一つにしている」
 安倍元総理大臣が創設に深く関わった日米豪印の4か国の枠組み、クアッドのうちアメリカとオーストラリア、それにインドの3か国の首脳は連名で追悼の声明を発表しました。
 その中では「安倍元総理大臣はクアッドのパートナーシップの創設に重要な役割を果たし、自由で開かれたインド太平洋という共通のビジョンを推進するために努力を惜しまなかった」とその功績をたたえました。
 そして「この悲しみの瞬間、私たちは日本の国民や岸田総理大臣と心を一つにしている。平和で豊かな地域の実現に向けた取り組みをさらに進めることで安倍元総理大臣に敬意を表していく」としています。

米バイデン大統領が日本大使館を弔問「世界の損失」
 アメリカのバイデン大統領は安倍元総理大臣の死去を受けて8日、首都ワシントンの日本大使公邸を弔問に訪れ、「日本国民だけでなく世界にとっての損失だ」と記帳し、哀悼の意を示しました。
 安倍元総理大臣の死去を受けてアメリカのバイデン大統領は8日、首都ワシントンにある日本大使公邸を弔問に訪れました。バイデン大統領は持参した花束を安倍元総理大臣の遺影が飾られた机に置き、その後、記帳を行いました。
 この中で「バイデン一家とアメリカを代表して安倍氏の家族と日本の国民に心よりお見舞い申し上げる。彼の死は妻や家族、そして日本国民だけでなく世界にとっての損失だ。平和の人であり、判断力のある人物だった。彼の死は惜しまれるだろう」などと書き込み、哀悼の意を示しました。
 記帳は4分近くにおよびバイデン大統領は時折、顔をあげて遺影を見ながら書き記していました。
 また、バイデン大統領は弔意を示すため、ホワイトハウスなどの政府機関の建物で今月10日の日没まで半旗を掲げるよう指示しました。(略)

 アメリカのバイデン大統領は日本時間の午後10時前、声明を発表し「日本にとって、そして彼を知るすべての人にとっての悲劇だ。安倍氏は日米同盟と日米両国の国民の友情を深めた人物だった。日本の首相として最も長く在職した彼の、自由で開かれたインド太平洋を築くというビジョンは今後も続くだろう」とその功績をたたえました。
 そのうえで、「襲撃された瞬間も安倍氏は民主主義のもとで取り組んでいた。暴力的な攻撃は決して容認できるものではなく、銃による暴力は常に地域社会に深い傷痕を残すことをわれわれは知っている。アメリカは悲しみの瞬間にある日本とともにある。安倍氏の家族に深い哀悼の意を表する」として追悼しました。・・・

海外メディア 電子版の特設ページなどで詳報
 ・・・アメリカのCNNテレビは安倍元総理大臣について「最も在任期間の長い総理大臣で、世界の舞台でも目立つ存在だった。トランプ前大統領と個人的な関係を築こうと努力し、トランプ氏にとっては大統領選挙に勝利したあと初めての外国の首脳との会談となった」などと紹介しています。
 そして、「世界中の政治家から安倍氏への追悼のメッセージが次々と寄せられ、彼の死にショックを受けている」としています。
 イギリスの公共放送BBCは、安倍元総理大臣について「日本で今も大きな影響力を持ち、おそらく過去30年間で最も知名度の高い日本の政治家だ」としたうえで、「この事件は、銃規制が厳しく、銃器による暴力が非常に少ないことで知られる日本に衝撃を与えた」などと驚きをもって伝えています。
 一方、アメリカの有力紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、電子版の記事で、安倍元総理大臣がデフレからの脱却に向けて推進した「アベノミクス」について解説しています。
 この中では、安倍元総理大臣が経済の発展のために果たした役割を称賛するコメントが日銀の黒田総裁からも出されているとして、「アベノミクス」を高く評価する声があることを伝えています。
 一方で、「『アベノミクスが格差の拡大を招いた』という批判もある」としていて、アベノミクスをめぐって賛否両論があったことにも触れています。(略)

ドイツ ショルツ首相「深い悲しみ ドイツは日本に寄り添う」
 ドイツのショルツ首相は8日、ツイッターに「安倍元総理大臣が暗殺されたことに衝撃を受け、深い悲しみをおぼえる。安倍元総理大臣の遺族、私の同僚の岸田総理大臣、そして日本の友人たちにお悔やみを申し上げる。このような困難なときにドイツは日本のそばに寄り添う」と投稿し、哀悼の意を表しました。

イタリア ドラギ首相「革新的な精神 偉大なリーダーだった」
 イタリアのドラギ首相は声明を発表し「安倍元総理大臣の死去に対し、政府として、そして個人として深い哀悼の意を表する。今回の事件にイタリアは大きな衝撃を受けている。安倍氏はその革新的な精神と改革的なビジョンにより、日本そして国際政治において偉大なリーダーだった」と追悼しました。

フランス大統領府「日本国民および政府との連帯を表明」
 フランス大統領府は、声明を発表し「マクロン大統領と安倍氏は、インド太平洋地域の安定と繁栄などグローバルな課題において協力関係を強化してきた。また、両国の文化面における豊かで活力のある関係を生かし結びつきを強めることに努めた」とマクロン大統領と安倍元総理大臣の関係を振り返りました。
 そのうえで「フランスは日本の国民および政府との連帯を表明する」として追悼の意を表しました。

英 エリザベス女王 天皇陛下に弔意を伝える
 イギリス王室は8日、声明を発表し、安倍元総理大臣が亡くなったことを受けて、エリザベス女王が天皇陛下に弔意を伝えたことを明らかにしました。
 エリザベス女王は、「2016年に安倍夫妻とイギリスでお会いしたことは懐かしい思い出です。日本への愛、そしてイギリスとの絆をますます緊密にしようとする思いをはっきりと感じました」などとするメッセージを送ったということです。

イギリス ジョンソン首相「信じられないほど悲しい」
 イギリスのジョンソン首相は自身のツイッターへの投稿で「信じられないほど悲しいニュースだ。彼のリーダーシップは多くの人の記憶に残るだろう。彼の家族、友人、そして日本の国民と思いは一緒だ。イギリスはこの暗く悲しい時にあなたたちとともにある」とコメントしました。
 また、イギリスの首相官邸は公式のツイッターで「イギリスにとってすばらしい友人だった安倍元総理大臣の悲劇的な死去を悼んでいる」というコメントとともに、安倍元総理大臣と、現在のジョンソン首相、メイ前首相、そしてキャメロン元首相が握手している写真を投稿しました。

インド モディ首相「ことばにできないほどの衝撃と悲しみ」
 安倍元総理大臣の在任中、互いに訪問を繰り返し親交を深めてきたインドのモディ首相はみずからのツイッターに投稿し、「最も親しい友人の1人である安倍元総理大臣の悲劇的な死去に私はことばにできないほどの衝撃と悲しみを受けている。安倍氏は世界有数の政治家であり、卓越したリーダーだった。彼は日本と世界をより良い場所にするために人生を捧げた」としています。
 そのうえで、「きょう、インド全体が日本とともに悲しみ、私たちはこの困難なときに日本の人たちと連帯します」として哀悼の意を示しました。
 また、モディ首相は8日首都ニューデリーで行われた演説の冒頭で、「私にとって取り返しのつかない喪失と耐えがたい痛みの日だ。私の親友で元総理大臣の安倍氏はもういない。安倍氏の在任中、両国の政治的関係は新たな高みに達した。安倍氏はインドの人々の心の中に残り続ける」と述べ、安倍元総理大臣を追悼しました。
 モディ首相は、9日を、国を挙げて喪に服す日とするとしています。

ロシア プーチン大統領「偉大な政治家の命が奪われた」
 ロシアのプーチン大統領は、安倍元総理大臣が亡くなったことを受けてコメントを発表しました。
 このなかでプーチン大統領は哀悼の意を示したうえで「日本政府を長く率い両国の善隣関係の発展に尽くした偉大な政治家の命が犯罪者の手によって奪われた」としています。そのうえで、安倍元総理大臣について「その記憶は彼を知るすべての人々の心の中に永遠に残るだろう」としています。・・・

中国大使館「安倍氏 両国関係の改善と発展に貢献」
 東京にある中国大使館は8日、報道官がコメントを発表し「安倍氏は、総理大臣の在任中、両国関係の改善と発展に貢献した。訃報に接し、哀悼の意を表すとともに、ご遺族にお悔やみ申し上げる」としています。
 また中国外務省は8日、趙立堅報道官の談話を発表し「中国は今回の事件に衝撃を受けている。安倍元総理大臣は、両国関係の改善と発展に貢献した。哀悼の意を表すとともに、ご遺族にお悔やみ申し上げる」としています。

韓国 ユン大統領「遺族と日本国民に哀悼の意を伝える」
 韓国の大統領府は、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が安倍元総理大臣の妻の昭恵さんにあてて弔電を送ったと発表しました。弔電では「日本の憲政史上最長の在任期間の総理であり、尊敬される政治家を失った遺族と日本国民に哀悼の意を伝える」としています。
 また、大統領府によりますと、ユン大統領は事件について「容認できない犯罪行為だ」と非難し、深い悲しみを示したということです。

台湾 蔡英文総統「言葉にならないほどのショック」
 台湾の蔡英文総統はツイッターに日本語で「言葉にならないほどのショックを受けています。生前、台湾に実に多くのご支援とご配慮をくださいました。私たちはこのことを決して忘れません」と投稿しました。
 総統府の報道官は「蔡英文総統は知らせを聞いてひどく心を痛め、最も深い哀悼の意を表している。蔡総統は、国際社会が重要なリーダーを失い、台湾も重要な親友を失ったと考えている」というコメントを発表しました。

インドネシア ルトノ外相「早すぎる死去 心から哀悼の意表す」
 G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのルトノ外相は、8日「安倍元総理大臣の早すぎる死去にあたり、この悲しみの時にインドネシア政府は、日本政府、日本の人たちに心から哀悼の意を表します。彼が国と人々に奉仕するため身をささげたことは、すべての人たちに記憶されるだろう」と述べました。

トルコ エルドアン大統領「いまわしい攻撃をした人物を非難」
 トルコのエルドアン大統領はツイッターで「大切な同志である安倍元総理大臣が銃撃で命を落としたことを深い悲しみをもって知った。いまわしい攻撃をした人物を非難する。安倍氏の家族と愛する人たち、それにすべての日本国民と政府にお悔やみ申し上げます」と投稿しました。

フィリピン マルコス大統領「ご遺族と日本国民に深い哀悼の意」
 フィリピンのマルコス大統領は9日、声明を発表し、「安倍氏が亡くなったことに衝撃と深い悲しみを感じました。彼のリーダーシップのもとで両国の関係は真に繁栄しました。ご遺族と日本国民に深い哀悼の意を捧げます」と追悼しました。
 一方で、ドゥテルテ前大統領も8日夜に声明を発表し、「安倍氏は誠実なよき友人であり、私の政権の強固な支援者だった。彼の思いやりに満ちた支援と卓越したリーダーシップを忘れない。世界で最も影響力のあるリーダーの一人だった」と追悼しました。

フィジー バイニマラマ首相「とても悲しいこと」
 南太平洋の島国フィジーのバイニマラマ首相は、日本と太平洋の島しょ国の首脳などが3年ごとに日本に集まる「太平洋・島サミット」に出席するため、2015年と2018年に来日し、当時の安倍総理大臣と会談を行っています。
 バイニマラマ首相は、安倍元総理大臣の死去について「とても悲しいことだ。誰も日本でこんなことが起きるとは予想していなかった。日本の(林外務)大臣に哀悼の意を伝えた」と話し、バリ島で行われていたG20=主要20か国の外相会合の会場で林外務大臣に哀悼の意を伝えたことを明らかにしました。

イスラエル ラピド首相「イスラエルとの関係率いた」
 中東イスラエルのラピド首相は、「安倍元総理の悲劇の死に際し日本の国民と政府に哀悼の意を表する」と声明を出しました。
 そして、在任中にイスラエルを訪問したことがある安倍氏について、「現代の日本における重要なリーダーの1人で、成長と繁栄のためイスラエルとの関係を率いてくれた」と振り返りました。
 一方、パレスチナ暫定自治政府も、「安倍元総理は日本に貢献するとともに、国際法や人権を守り、パレスチナの友人であること示し、パレスチナ人の自由への権利と国連決議に則ったパレスチナ国家の創設を支持してくれた」と 述べました。

ウクライナ ゼレンスキー大統領「暴力行為に言い訳の余地ない」
 ウクライナのゼレンスキー大統領は自身のツイッターに投稿し、「安倍元総理大臣が殺害されたという恐ろしいニュースについて、安倍氏の家族と日本の皆様に深い哀悼の意を表する。この凶悪な暴力行為に言い訳の余地はない」としています。

ブラジル ボルソナロ大統領「激しい怒りと悲しみ抱いている」
 ブラジルのボルソナロ大統領は8日、みずからのツイッターで「激しい怒りと悲しみを抱いている。安倍氏は輝かしいリーダーであり、ブラジルにとってのとても大切な友人だった」と述べました。そのうえで「日本の人々への敬意と安倍氏への友情、そして不当な残虐行為に対する連帯を示すため、ブラジル全土に3日間、追悼するよう命じた。私たちは日本とともにある」としています。

NATO事務総長「凶悪な事件に深く悲しんでいる」
 NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長はツイッターに投稿し「安倍氏が殺害されるという凶悪な事件に、深く悲しんでいる。安倍氏は、民主主義の擁護者であるとともに、私の友人であり、長年の同僚でもあった。NATOのパートナーである日本の人々にお悔やみを申し上げたい」とコメントしました。

EU委員長「多国間の協調を擁護 すばらしい人物」
 EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は声明で「多国間の協調を擁護したすばらしい人物だった。彼の家族、友人、そして、すべての日本の人々とともに哀悼の意を表します」としたうえで「安倍氏に対する残忍で卑劣な犯罪は、全世界に衝撃を与えている」と事件を厳しく非難しました。

国連 グテーレス事務総長「いつまでも忘れない」
 国連のグテーレス事務総長は8日、自身のツイッターに投稿し、「深い悲しみに包まれている。わたしは何年にもわたり安倍氏と交流する機会に恵まれ、安倍氏の協調性と多国間主義へのコミットメントをいつまでも忘れない。ご遺族、日本の人々と政府に哀悼の意を表する」と追悼しました。

WHO テドロス事務局長「悲劇的な死を深く悲しんでいる」
 WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は自身のツイッターに「安倍氏の悲劇的な死を深く悲しんでいる。彼のご家族と日本の皆様に心からお悔やみを申し上げる」とコメントしました。

20220713
<報道>
 ZAKZAK 八木秀次氏の寄稿より。

―――――
「日本や世界から指導者を奪った」安倍元首相の暗殺死 「言論の自由の封殺」「民主主義への挑戦」は見当違い 高く評価された「インド太平洋」構想

 安倍晋三元首相の暗殺死について、「言論の自由の封殺」「民主主義への挑戦」との指摘があるが、見当違いだ。他の政治家やジャーナリスト、言論人を狙ったのなら、そうした抽象的な指摘も成り立とうが、他ならぬ安倍氏をこの世からなき者にした犯行だ。
 「日本や世界から指導者を奪った蛮行」というべきなのだ。ここにも安倍氏の存在を軽く認識していたことが表れている。
 しかし、世界の認識は違う。
 安倍氏の死について、ジョー・バイデン米大統領は「世界にとっての損失」と述べ、アントニー・ブリンケン米国務長官も「世界的なリーダーとして称賛された」と述べた。インドのナレンドラ・モディ首相は「世界的な政治家であり、卓越したリーダーだった」と述べた。これらはお世辞ではない。文字通りの評価なのだ。
 米国は10日の日没までの間、ホワイトハウスをはじめすべての連邦政府庁舎や在外公館、国内外の米軍施設などで半旗を揚げた。インドも「安倍氏に深い敬意を表し、9日は全国的に喪に服す」と発表した。ブラジルも8日から全土で3日間の服喪を行った。
台湾も「最も深い哀悼と感謝」を示すために当局機関や公立学校で11日に半旗を掲揚した。当の日本には服喪や半旗掲揚の予定はない。
 安倍氏の功績の中で「自由で開かれたインド太平洋」構想を発案し、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」につなげたことは世界でも高く評価されている。第1次政権時の2007年にインド国会の演説で原型を発表し、第2次政権時の16年にアフリカ開発会議で本格的に提唱した。
 元米NSCアジア上級部長のマイケル・グリーン氏は、安倍氏が原型を発表したとき、「当時は、世界の多くの識者は彼が挑発的で危険だと考えていた」(朝日新聞7月10日付)と振り返っている。まだ、中国の覇権への警戒心がなく、安倍氏が逆に危険視されたのだ。
 米外交問題評議会上級研究員のシーラ・スミス氏も、安倍氏について「日米同盟のために必要なことをしただけでなく、日本の利益がなんであるかを米国に伝えた。中国が日本やアジアの他の国々への軍事的、経済的な圧力を増すなかで、安倍氏は(自由で開かれた)インド太平洋の構想を考案した。これはバイデン政権が完全に取り入れているものだ。日本が新たな戦略的構想の考案をリードしたのは初めてのことだった」(朝日新聞7月10日付)と評価している。
 その先見性と構想力、そして実現力によって、安倍氏は世界における日本の地位を塗り替え、国際秩序を形成する主要プレーヤーとしたのだ。
―――――

 次回に続く。

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日本の大黒柱・安倍元首相が殺害される1

2022-07-10 13:45:33 | 時事
●事件の発生

20220708
<報道>
共同通信: 安倍元首相、襲われ心肺停止か 背後から散弾銃で撃たれる 奈良市で街頭演説中に
2022年7月8日 12:05

 8日午前11時半ごろ、奈良市内の路上で街頭演説をしていた自民党の安倍晋三元首相が、不審な男に背後から襲われた。奈良県警が男を取り押さえた。捜査関係者によると、安倍氏は背後から散弾銃で撃たれた。奈良市消防局によれば意識不明で心肺停止とみられる。安倍氏が襲われた際、取材していた共同通信記者が2発の銃声のような音を聞いた。

20220708
<報道>
ハフティングポスト: 自民党の安倍晋三元首相(67)が7月8日午前11時半ごろ、奈良市内で演説中に銃で撃たれ、その後、搬送先の奈良県立医科大付属病院で死亡が確認された。

<ほそかわ>
 なんということか・・・残念でなりません。日本にとって、また世界にとって大きな損失です。

<FBからの取り込み>
佐竹敏彦氏(高知県中土佐町議会議員)

 残念でならない、安倍総理の死亡。日本だけでなく世界の損失でもある。テロ行為の結果だが、警察の警備ミス、責任問題は免れない。だが、深層は、安倍ガーと一方的に安倍が悪いと煽った共産党や朝日新聞などのマスコミ、悪質な誹謗中傷行為を排除した警察行為を違法と判決した札幌地裁の判決ではないか。被疑者は、安倍総理に政治信条の恨みではなく、不満があり殺そうと思ったという事で、挙げて標的して来た風潮にテロ行為の原因がある。綺麗事では済まされない、一人の政治家が平和ボケのツケで犠牲になったのだ。民主主義の基本の言論の自由を守るためにも、要人の警護は特に厳重でなければならない。テロ行為規制法など法整備が喫緊の課題だ。

<FBからの取り込み>
八幡和郎氏(評論家)

 反アベなら何言っても無罪のアベガー、なんでもアベのせいにするアベノセイダーズ、さまざまな組織にアベは操られているとデマ流す(いくつもの団体に操られているというだけで馬鹿だが)の存在がつくった空気が下手人である。とくに国会では何言っても罪に問われないという法律をつかって暗殺教唆まがいの誹謗中傷をした。そういう議員は明日の選挙で選ばれるべきでないといったら、慎重に判断すべきだという人もいるが、発言の数々は公の場でなされたものであって、検証も何もない。彼らが選ばれるべきでないし、万歳三唱するのを見たくないと言って何が悪い。

<ほそかわ>
 一部の政治家やマスメディアが安倍氏への襲撃をよしとする風潮を作ったことは、絶対許せません。殺人願望を持つ人間に対しては、教唆扇動の効果を生むでしょう。事件が起こったら、暴力で言論を封じるのは「民主主義への挑戦」だと言って、自分の党や番組には、何の責任もないような態度を取っていることも、許せません。

20220710
<FBからの取り込み>
織田邦男(元空将)

 テロ行為は絶対許してはならない。過去の要人暗殺や銃撃事件についての糾弾をテレビでやっている。その通りで全く異論はない。
 だがメディアの報道ぶりに、違和感を感じるのは僕だけか?
 これまでの安倍総理に対する某大学教授の「叩き切ってやる」発言や、反安倍派による「あべ死ね」「殺せ」と言った発言。「安倍の葬式はうちが出す」と言った大新聞もある。こう言ったテロもどき発言については、番組では取り上げなし、一切非難もしない。テロもどき発言は、左翼が言えば表現の自由になるの?そうじゃないと思うよ・・・
 そしてまた、もう一つ。
 テロは厳しく非難しながら、先日のテロリスト重信房子の出所については、とても好意的な報道をしていたメディア。覚えてますよ!・・・
 いつものようにダブスタのメディア。これじゃあメディアを誰も信用しなくなろ。
 いずれにしろテロは許してはならない!

●犯人像と犯行の動機

20220708
<ほそかわ>
 主要メディアは、早くから防衛省関係者の情報として、山上容疑者を元海自隊員と報道していますが、海自を辞めて(懲戒免職処分?)から17年も経っており、その後は、様々な仕事を転々とし、現在は職業不詳の模様。それなのに海自を強調するのは、なぜか。元自衛隊員イコール危険人物というイメージ操作か。
 また、あるテレビ番組で、ベテランの政治記者が今回の事件は五・一五事件を思わせると語っていましたが、武装した現役の海軍軍人グループが官邸を襲い、現役の総理大臣を殺害した事件とは、大きな違いあり。連想が雑すぎます。
 メディアの質の低さをあらためて感じています。

<ほそかわ>
 報道は山上容疑者が自ら特定の宗教団体に恨みを持ち、安倍氏がその団体と関係が深いから犯行に及んだ旨を語っていると伝えています。またその団体の幹部を殺害しようとしたと語ったとも報じられています。強い思い込みや精神的な混乱がうかがわれます。

20220708
<FBからの取り込み>
島田裕巳氏(宗教学者)

 安倍元首相が狙撃事件で亡くなった。・・・今回の事件に関して、宗教団体のことが話題になっている。犯人は、母親がある団体に多額の献金をし、それで家庭が崩壊したのを恨みに思っていたという。これは、近所の人も証言しているようだ。
 しかし、その団体の幹部を殺そうとしたが、それができないので、団体と関係が深い安倍元首相を狙ったという。その点では、政治的な意図はないということだ。
 警察が、「特定の宗教団体」としか発表していないので、いろいろと憶測を呼んでいるようだが、多額の献金が行われ、団体にトップがいて、安倍元首相と関係が深いという、連立方程式の解になるものは、どうも見当たらない。そこには、犯人の思い込みという部分が含まれているので、はっきりとは分からないが、これから特定の団体も特定されるだろう。そこにどれだけの真実が含まれるのか。これは、なかなか難しそうで、現段階で警察が団体名を発表しないのは当然のことだろう。

<ほそかわ>
 FBF の Fuyutake Fujii さんの情報によると、「母はある宗教団体に所属していて、山上容疑者もその影響を受けて会員となりましたが、ほどなくして脱会。その後、山上容疑者は母の宗教団体の分派の団体に所属していたようですが、母が所属する団体を恨んで対立が生まれたようです。母が所属していた団体は安倍元首相ともつながりが濃いとされる団体で、それを理由に安倍首相を敵視するようになった可能性があります。」(文春オンライン)
 この「ある宗教団体」が統一教会で、その分派団体がサンクチュアリ教会のようです。
 安倍さんには、「統一教会とだけは関わらない方がよい、あなたの最大の汚点になる」と忠告したことがあるのですが、反応はありませんでした。統一教会がらみが事実だとすれば、そのようなことでの落命は、誠に残念です。祖父の岸信介氏譲りの誤りです。

20220709
<FBからの取り込み>
高乗正臣氏(憲法学者)
 
 どちらにしても、今回の事案は政治的信条に基づくテロ行為という類いではなく、相当程度の低い個人的怨恨の線が見えます。テロ行為の場合には100パーセント民主主義への挑戦、民主制の危機といえますが、個人的怨恨のレベルだとすると、議論の次元が少しずれるような気がしますが、どうですか。

<ほそかわ>
 高乗正臣先生、まだ背後関係があるのかわからない段階ですので、断定的なことは言えませんが、個人的怨恨と病的な思い込みによる犯行の可能性が高いと思われます。ただし、私としては、山上容疑者が所属しているらしいサンクチュアリ教会で、安倍氏殺害を教唆するような指導をしていなかったか、その教会指導層に反日的な外国勢力とのつながりはないかが、気になる点です。

●使われた銃

20220709
<報道>
読売新聞: 奈良県警は9日、安倍氏の司法解剖の結果を発表した。左上腕部から体内に入った銃弾が、左右の鎖骨下にある動脈を損傷したことが致命傷になった。死因は失血死だった。・・・
 現場で撮影された複数の動画によると、安倍氏は1回目の銃声の後、左回りに振り返り、2回目の銃声がして倒れた。この際、左上腕部に銃弾が命中したとみられる。
 県警によると、安倍氏の首にも2か所の傷があり、1か所は原因を特定できなかったが、もう1か所は銃弾による傷だった。県警は、2発目の発射時に、安倍氏が左上腕部と同時に首も撃たれた可能性があるとみている。・・・

<報道>
読売新聞: ・・・逮捕された元海上自衛官の無職山上徹也容疑者(41)が、事件で使った手製銃について「一度に6個の弾丸を発射する仕組みだった」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。散弾銃のような構造とみられ、自宅から同様の手製銃が数丁見つかった。奈良県警は山上容疑者が試作を重ね、殺傷能力が高いものを選んで事件に及んだとみている。・・・
 捜査関係者によると、現場で押収された手製の銃は長さ約40センチ、高さ約20センチ。山上容疑者の供述では、金属製の筒を2本束ね、木製の板やテープで固定。筒にはカプセルのようなものが入っており、カプセルの中に6個の弾丸を込めることが可能で、一度の発射で1本の筒から6個の弾丸が飛び出る仕組みだったという。
 現場で撮影された映像によると、山上容疑者は、安倍氏の背後6~7メートルの位置から発砲していた。県警が安倍氏から約20メートル先の道路沿いに止まっていた選挙カーの車体を調べたところ、弾痕とみられる穴が看板部分に複数確認された。県警は流れ弾とみており、飛距離などから相当の威力があった可能性がある。
 県警は8日、奈良市内の山上容疑者の自宅を捜索し、事件で使われたものと似た構造の手製銃を数丁見つけた。いずれも複数の金属製の筒が粘着テープで束ねられており、9本束ねられた大型のものもあった。また、発火用とみられる電気コードが接続されていた。
 これらについて、山上容疑者は「インターネットで火薬を購入し、空の薬きょうも手に入れ、自分で詰めた」と供述。「最初は爆弾を作ろうとしたが、うまくいかなかったので銃を作ることにした」とも話しているという。
 県警は山上容疑者が自宅で銃を製造していたとみており、部品の入手経路などを調べている。

●警察の落ち度と日本の現状

20220709
<報道>
産経新聞: 安倍晋三元首相が奈良市での街頭演説中に銃撃され死亡した事件では、背後にも広いスペースがある場所が演説会場となり、近づく男を警察官が制止できず至近距離での発砲を許した。1発目の発砲直後に安倍氏をかばおうとする姿もうかがえなかった。・・・
 要人警護に詳しい警察幹部は「360度を見渡せるような演説会場は狙われやすい。不審者を早く発見するため、要人の背後を含め警護要員を張り巡らせないといけない。簡単に接近を許すとは、一体どうなっていたのか」と批判する。
 発砲とともに白煙が広がったが、この時点で安倍氏自身が大きな傷を負っていたようには見えない。複数の警護担当者が山上容疑者の方を振り向いて防弾用のケースを掲げた一方、安倍氏を身をていしてかばうことはなかった。安倍氏も振り向くと2発目の銃声が響いた。1発目と2発目の間隔は2秒半程度。駆け出した警察官数人が山上容疑者を取り押さえたが安倍氏は崩れるようにして倒れた。
 この状況に、警察幹部は「1発目の直後に警護担当者は安倍氏をかばわないといけなかった。現場からすぐに安倍氏を退避させるべきだった」と指摘し、2発目まで2秒以上の時間がありながら最悪の事態を防げなかったことを嘆く。・・・

●安倍氏への評価

20220708
<報道>
時事通信: 安倍元首相が死去、67歳 最長政権樹立、非業の死 アベノミクス、安保法制を推進
7/8(金) 17:53配信

 自民党の安倍晋三(あべ・しんぞう)元首相が8日、銃撃を受け死去した。
 67歳だった。首相に2度就任し、在職期間は連続2822日、通算3188日と、いずれも憲政史上最長を更新。大規模金融緩和を柱とする経済政策「アベノミクス」の推進や、集団的自衛権の限定行使を認める安全保障法制の整備など、内政・外交両面で大きな足跡を残した。退陣後も、党内最大派閥のトップとして影響力を保持してきたが、参院選の遊説中に非業の死を遂げた。
 祖父は岸信介元首相、父は安倍晋太郎元外相。1993年の衆院選に旧山口1区から自民党公認で出馬し、初当選。連続10回当選した。
 小泉純一郎元首相の政権下、北朝鮮による日本人拉致問題への取り組みで頭角を現し、党幹事長や官房長官を歴任。2006年9月に戦後最年少の52歳で首相に就任した。しかし、「消えた年金」問題などの影響で07年の参院選に大敗。持病の潰瘍性大腸炎の悪化もあり、わずか1年で退陣した。 自民党が野党時代の12年9月に党総裁に返り咲くと、同年12月の衆院選で旧民主党から政権奪還。これを含め、衆参両院の国政選挙で6連勝し、首相官邸主導の「安倍1強」体制を確立した。
 在任中は、消費税率の10%への引き上げを実現。19年5月の令和改元や、21年に開催された東京五輪・パラリンピックの招致にも携わった。
 首脳外交も積極的に展開した。米国のトランプ前大統領、ロシアのプーチン大統領と緊密な関係を築くなど、国際舞台で存在感を発揮。ただ、政権の最重要課題と位置付けた拉致問題や、ロシアとの北方領土問題は、進展を果たせなかった。
 一方、政権の長期化に伴い、森友・加計学園問題など不祥事も続発。野党から「権力の私物化」と追及を受けた。
 20年9月、新型コロナウイルス対策に追われる中、持病の再発などを理由に2度目の退陣。その後は、安倍派の会長として、経済や外交・安保で積極的な発言を繰り返し、岸田文雄首相の政権運営にも影響を与えていた。 

<報道>
産経新聞: 安倍氏「戦後レジーム」から脱却、世界の主要プレーヤーに
7/8(金) 21:39配信

 安倍晋三元首相が展開した外交は、国際秩序を形成する主要プレーヤーとして日本を位置づけた点で記憶されることになるだろう。現行秩序に不満を持つ中国に対処するため、日米同盟を強化するとともに「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を掲げた。日本が国際秩序を理念的に主導する稀有な例といえ、受動的な脇役に徹する「戦後レジーム」から脱却したのが安倍外交だった。
 「日本を取り戻す」をスローガンに掲げて平成24年12月に首相の座に返り咲いた安倍氏は「取り戻す」どころか、今まで日本の首相が経験したことがなかった役割を果たすことになる。
 「法の支配」や「航行の自由」のもとに同志国の連携を呼びかけるFOIPには米国や欧州諸国が同調した。日米豪印の枠組み「クアッド」の基礎ともなった。トランプ米政権が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱すると、残る11カ国をまとめて自由貿易秩序を担った。
 安倍氏が令和2年8月に辞意を表明した後、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のハムレ所長は「永遠に感謝する」「進歩的な西側の価値の旗振り役だった」と評価した。トランプ大統領(当時)が「米国第一」を掲げて国際秩序の維持に関心を示さない中で、安倍氏が孤塁を守ったという評価は広く共有されている。
 安倍氏が最初にFOIPを掲げたのは平成28年8月だったが、第1次安倍政権でも似たような外交構想を掲げていた。志半ばで頓挫した外交構想が第2次政権で結実したのは、中国の台頭やトランプ氏の登場だけが理由ではない。
 27年の米議会演説や戦後70年首相談話で「和解」を演出し、同年9月には集団的自衛権行使を認める安全保障関連法が成立している。歴史問題の克服や安保関連法は国論を二分し、支持率の悪化を恐れる歴代政権が回避した課題だった。「敗戦国」として抑制的な役割に甘んじてきた戦後日本の宿痾(しゅくあ)を克服したことで、その後のFOIPに基づく外交を準備したといえる。(杉本康士)

20220708
<報道>
産経新聞: 改憲、防衛力強化…推進力失う恐れ 安倍氏死去
7/8(金) 21:49配信

 ・・・自民党の安倍晋三元首相は令和2年9月の首相辞任後も党内最大派閥の領袖として岸田文雄政権の後ろ盾となり、憲法改正や外交・安全保障政策などで積極的な発信を続けてきた。岸田首相自身、外交などで助言を求めることもあったが、安倍氏の不在は、改憲や防衛力強化に向けた推進力を失うことになりかねない。(田村龍彦)
 首相周辺は今回の銃撃について「日本にとっても岸田政権にとっても大きな損失だ」と語った。
 「地球儀を俯瞰する外交」を掲げた安倍氏は今や日本の外交方針となった「自由で開かれたインド太平洋」や、日米豪印4カ国(クアッド)の枠組みの礎を築いた。
 かつてないほど良好とされる日米同盟も、安倍政権下で集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法や特定秘密保護法を成立させ、当時のトランプ米大統領と深い関係を築いたことが大きい。
 首相と安倍氏は当選同期で、こうした外交方針を受け継ぐだけでなく、事あるごとに助言を求めてきた。首相が官邸主導の外交に力を入れているのも、安倍氏の影響がある。
 昨秋の岸田政権発足後、安倍氏が北京冬季五輪の外交的ボイコットなど中国や韓国への対応をめぐって、政府側に注文を付ける場面も目立った。ただ、それは党内の保守派議員や支持層の声を代弁するものでもあった。
 政府は今年の経済財政運営の指針「骨太の方針」で防衛力を5年以内に抜本的に強化すると明記したが、安倍氏の意向を踏まえたものだ。
 軍拡を進める中国や台湾危機への対応が迫られる中、政府は防衛力強化に向け、年末までに防衛計画の大綱など戦略3文書の改定を行う。党側の議論を主導してきた安倍氏不在の影響は大きい。
 また、首相は総裁任期中の改憲実現を掲げ、国会の議論と同時に、国民の理解や世論喚起の重要性をかねて指摘してきた。安倍氏は党憲法改正実現本部の最高顧問を務め、今回の参院選でも応援演説では、憲法9条への自衛隊明記など、自身の悲願である改憲の実現を重ねて訴えていた。
 首相は防衛力強化や改憲に向け、一層のリーダーシップが求められることになる。

●今後の取り組み

20220708
<報道>
産経新聞: 櫻井よしこ氏、涙の訴え 「安倍氏の『遺産』の実現を」
2022/7/8 23:13

 民間シンクタンクの公益財団法人「国家基本問題研究所」の櫻井よしこ理事長は8日夜、街頭演説中に銃撃された安倍晋三元首相が死亡したことを受けたインターネット番組「言論テレビ」の緊急特番に出演し、「世界が激変し、日本の運命がかかっているこの時期に、安倍(元)総理がテロで倒されてしまった。心から憤っている」と述べた。「対象が保守でも、リベラルでも、どのような人、組織に対しても、テロは許されない」などとも訴えた。
 櫻井氏は安倍氏について「どんなに摩擦が起きても、たたかれても、蹴飛ばされても、はじき出されても、自分が選んだ道だとして流れに逆らい、問題提起をされてきた」とした上で「これまで多くの犠牲を払ってきた。今回はとうとう暗殺された」と声を落とした。
 さらに「安倍さんの政策が日本の中長期の国益にかなっていることは明らかだ。志を同じくする言論人として、憲法改正や外交防衛政策で、安倍さんのアイデア、国家戦略を一つ一つ、私たちの力で実現しないといけない。日本国のために、安倍さんの遺産を実現しないといけない。今回の信じがたい死を受けて、改めて決意した」と涙ながらに訴えた。

20220709
<FBからの取り込み>
島田洋一氏(福井県立大学教授)

 党議員の大半はとてつもなく愚か。自民党も機会主義者が多い。
 方向感覚の定まった安倍氏がいなければ、悪夢の民主党政権の後、無節操な石破政権、石原ジュニア政権、河野グレタ郎政権などと続いただろう。
 安倍氏なき日本はそうした漂流時代に入る。
 有志の努力で何とか座礁を避けつつ、しかるべきリーダーの出現を待つしかない。

20220710
<ほそかわ>
 安倍氏の警護・警備に当たっていた警察は、なにをやっていたんだ! 油断しきってる。隙がありすぎる。
 私には、奈良県警、警視庁SPの無様な状態が、中国・ロシア・北朝鮮に包囲・浸食された今の日本全体の姿と重なり合って見えます。
 この日本を何とかしようと懸命に奮闘した安倍晋三氏は、建国の祖・神武天皇の御陵の近くで凶弾に倒れ、逝去しました。現代の日本を象徴するような出来事だと思います。
 しばしば大きな不祥事は、普段ありえないような不運や不都合が重なり合い、また思考や感情がマヒしたような状態の時に起こるもの。「どうかしていた」とか「魔が差す」とか「呪われている」とかいった言葉は、その事情の一端を表わしています。
 本年2月、ロシアがウクライナに侵攻して、核兵器を使用する第3次世界大戦の危機が高まり、その後、ロシアが中国と連携して北海道に軍事的な圧力を強めて、「北の脅威」が再来するなか、今度は、日本の大黒柱だったともいえる安倍元総理大臣が殺害されました。
 ただならないことが次々に起こっています。日本人が目覚め、日本の再建を断行しなければ、日本と世界は危機から抜け出せなくなっていくだろうと、私は心底から懸念しています。
 ここで日本人が正気に返らないと、また何か想像し得ないような不祥事が起こるかも知れません。「はっと我に返る」「自分を取り戻す」という目覚めが必要です。目覚めよ、日本人!!

 以後、随時掲載。

今年の10大ニュース(令和3年、2021年)

2021-12-28 10:14:20 | 時事
 本年は、新型コロナウイルスの世界的な蔓延と米中の緊張関係の継続が、最も大きな二つの出来事でした。
 世界の新型コロナウイルス感染者は、11月初旬に累計で2億5000万人を超え、死者は500万人を上回りました。インド由来のデルタ株が猛威を振るい、ようやく感染状況の落ち着いた国が出てきたところに、南アフリカ由来のオミクロン株が登場しました。デルタ株よりも感染力が強く、今後の世界的な感染拡大が懸念されています。
 米国では、昨年11月の大統領選挙で勝利した民主党のジョー・バイデンが1月20日、第46代大統領に就任しました。バイデンは、トランプ前大統領の「米国第一主義」から国際協調路線に転換しました。しかし、失政が続き、政権の支持率は急に速低下しています。来年の中間選挙で民主党は劣勢が予想されます。また、3年後の2024年(令和6年)の大統領選挙では、共和党の政権に戻る可能性が大きくなりつつあります。
 バイデンの失政の一つは、20年に及ぶアフガニスタン戦争を終結させ、8月にアフガニスタン駐留米軍を完全撤収した際、大きな混乱を生じたことです。そのうえ、タリバンが8月15日に首都カブールを陥落し、全土をほぼ掌握し、政権に復帰しました。米国の衰退を隠しおおせない事態となっています。
 米中関係は、バイデン政権のもとでも緊張状態が続いています。特に台湾情勢は、中国による侵攻の危機が迫っています。これに対し、米国を中心に日本・オーストラリア・イギリス・フランス・ドイツ等の国々が連携して、抑止力の強化を図っています。中国と連携を強めているロシアは、ウクライナ国境付近に、9万人以上の軍隊を配備し、米国・EUとの間で厳しい交渉が行われています。バイデンは、中国・「民主主義対専制主義」という対立構図を打ち出し、12月9~10日に「民主主義サミット」を開催しましたが、専制主義として中露を名指しせず、専制主義に打ち勝つための理論も戦略も欠いていることが目立ちました。来年2~3月に行われる北京冬季五輪に対して、バイデン政権は、新疆ウイグル自治区などでの人権侵害を理由に「外交ボイコット」を決定しましたが、賛同する国は一部に限られている状態です。
 地球環境問題では、10月31日から11月13日にかけて英グラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開かれました。成果文書「グラスゴー気候合意」を採択し、産業革命前からの世界の気温上昇を1.5度に抑える方向性が初めて明確化されました。しかし、中国は何一つ譲らず、完全に独り勝ちの結果となりました。その一方、米国をはじめとする先進各国は脱炭素で自滅する恐れがあります。
 わが国では、菅義偉首相が9月3日、自民党総裁選に出馬せず、退陣する意向を表明しました。同党総裁となった岸田文雄氏が10月4日召集の臨時国会で首相に就任し、その直後に衆議院を解散しました。10月31日の総選挙の結果、自民党が国会を絶対安定多数の261議席を得ました。また、いわゆる改憲勢力が3分の2以上を占め、憲法改正への取り組みが動き出しつつあります。
 わが国の中心である皇室に関する問題では、秋篠宮家の長女眞子氏が10月26日、皇室を離脱して小室圭氏と結婚し、米ニューヨークで新生活を開始しました。皇位継承に関する有識者会議は、安定的な皇位継承のための方策を検討し、女性皇族が結婚後も皇室に残る案と、皇族の養子縁組を可能にして旧宮家の男系男子を皇籍復帰させる案の2案を中心に政府に報告すると見られます。来年は、この報告を受けて、国会での議論が行われるでしょう。
 わが国は、引き続きコロナ禍への対処と社会経済活動の維持を行いつつ、憲法の改正と皇位の安定的な継承策の確立を進めねばなりません。日本の再建を進めるために最も必要なものは、日本精神の復興です。日本人は日本精神を取り戻し、団結・協力して、危機の時代を生き延びねばなりません。
 
 次に、時事通信社の今年の10大ニュースを掲載します。
 来年も、どうぞよろしくお願いいたします。皆様、よい年をお迎えください。

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時事通信社が選ぶ10大ニュース(2021年)特集
https://www.jiji.com/jc/d4?p=jtn221&d=d4_oldnews

<国内>

【1位】 東京五輪・パラ、1年延期で開催

 新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期された東京五輪・パラリンピックが、7月から9月にかけて行われた。追加費用を多額の公費で賄い、コロナ禍が収束しない中での開催。世論の反対が高まり、会場は原則無観客という異例の大会だった。一方、競技が始まると、日本勢の活躍に人々は熱狂。五輪は史上最多のメダル58個(金27)を獲得し、酷暑の下でパラも混乱なく終わった。
 2月には大会組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言で辞任し、橋本聖子氏に交代。開閉会式の責任者も問題発言で去るなど、運営側の不手際が目立った。開催地に大きな負担を強いる国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢、インターネット交流サイト(SNS)での選手の誹謗(ひぼう)中傷被害など、祭典の暗部も指摘された。
 
【2位 コロナ長期化、進むワクチン接種

 新型コロナウイルスは、2021年も猛威を振るった。より感染力の強い変異株が世界中で次々と現れ、国内では年初から繰り返し感染拡大の波に襲われた。インドで初確認されたデルタ株は東京五輪期間中の「第5波」を引き起こし、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)で入院できずに自宅で死亡するケースが相次いだ。政府は新たに出現したオミクロン株による感染再拡大に警戒を強めている。
 国内では、2月から医療従事者へのワクチン接種を開始し、4月以降は高齢者らに対象が広がった。スタートは海外と比べ出遅れたものの、その後、急ピッチで進み、全国民の約8割が2回接種を完了。接種率は先進7カ国(G7)でトップとなった。12月には医療従事者への3回目接種が始まり、年明けから高齢者へも行われる見通しだ。

【3位】 菅首相1年で退陣、後継は岸田氏

 菅義偉首相は9月3日、自民党総裁選に出馬せず、退陣する意向を表明した。官房長官として支えた安倍政権を引き継ぎ昨年9月に就任。デジタル庁設置や地球温暖化対策、携帯電話料金値下げなどに取り組んだが、新型コロナウイルス対応で「後手」批判を浴び、内閣支持率は低迷。党内の求心力も失い、出馬断念に追い込まれた。
 後継を争う党総裁選は、2度目の挑戦となった岸田文雄前政調会長が、河野太郎規制改革担当相らを破った。10月4日召集の臨時国会で首相に就任すると、直後に衆院解散・総選挙に踏み切り、勝利した。「成長と分配の好循環」を掲げる岸田政権は、新型コロナ対策と経済再生の両立に向け、過去最大規模の2021年度補正予算案を編成。「新しい資本主義」の実現なども目指している。

【4位】 衆院選で自民絶対安定多数

 第49回衆院選が10月31日に投開票され、自民党が国会を安定的に運営できる絶対安定多数の261議席を得て、岸田文雄首相(同党総裁)の続投が決まった。共産党など野党と共闘して政権交代を目指した立憲民主党は公示前の110議席から96議席に減らし、枝野幸男代表が辞任。11月の代表選で泉健太氏を選出した。
 首相は10月4日の就任から11日目で衆院を解散。解散から投開票まで17日間という戦後最短の短期決戦となった。公明党は公示前の29議席を32議席に伸ばした。立民は共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党と213選挙区で候補者を一本化して臨んだが、敗北した。野党共闘と距離を置いた日本維新の会は公示前の11議席から4倍近い41議席を獲得、第3党に躍進した。

【5位】 熱海市で土石流、死者・不明27人

 7月3日午前10時半ごろ、静岡県熱海市伊豆山で大規模な土石流が発生。26人が死亡、1人が行方不明になり、約130棟が被害を受けた。気象庁によると、現場付近では3日未明から朝にかけて大雨が降った。一方、土石流の起点となった場所には大規模な盛り土があり、崩落していた。
 静岡県は崩落した土砂は約5万5500立方メートルに上るとの推計を公表し、多くは盛り土と考えられるとの見解を示した。熱海市が2011年、盛り土を造成した業者に向け、県と相談の上で安全対策を強制的に行わせる「措置命令」の文書を作成しながら、命令を見送ったことも判明した。遺族の告訴を受け、県警は10月、盛り土がされた土地の現旧所有者の男性2人の関係先を業務上過失致死容疑などで家宅捜索。現在も捜査を続けている。

【6位】 眞子さん結婚、NYで新生活

 秋篠宮ご夫妻の長女眞子さん(30)は10月26日、大学時代から交際していた小室圭さん(30)と結婚し、民間人となった。小室さんの母親と元婚約者の金銭トラブルが発覚し、婚約内定から4年が経過。延期されていた結婚式や関連儀式は行わず、皇室を離れる際の一時金も眞子さんの意向で支給が見送られた。女性皇族の結婚は戦後9人目だが、初めて儀式や一時金がない異例の形となった。
 婚姻届提出後、東京都内のホテルでそろって記者会見し、眞子さんは「二人で力を合わせて共に歩いていきたい」と話した。体調を考慮し、口頭での質疑応答から文書回答になった。夫妻は11月、小室さんの勤務先がある米ニューヨークで新生活を開始。小室さんは出発直前に母親の元婚約者と面会し、解決金を渡すことで合意した。

【7位】 真鍋淑郎さんにノーベル物理学賞

 2021年のノーベル物理学賞は、コンピューターを使った地球温暖化などの予測手法を確立した米プリンストン大の真鍋淑郎上席研究員(90)が受賞した。日本人のノーベル賞受賞は19年に吉野彰・旭化成名誉フェローが化学賞を受賞して以来で、米国籍取得者を含め28人目となった。
 真鍋氏は愛媛県出身。1958年に渡米し、米海洋大気局などで研究を続け、75年に米国籍を取得した。60年代から、さまざまな要素が複雑に絡み合う気候変動について、コンピューター上でシミュレーションを可能にする「気候モデル」の基礎を確立。大気中の二酸化炭素の濃度上昇が、温暖化につながることを示した。研究成果は国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が90年に公表した第1次評価報告書にも引用された。

【8位】 将棋の藤井聡太が最年少四冠

 将棋棋士の藤井聡太(19)が今年、四つのタイトルを保持する四冠に駆け上がった。昨年、棋聖と王位の二冠を獲得。今年は双方を防衛した上で、新たに叡王と将棋界最高峰の竜王を奪取した。19歳3カ月での四冠達成は、羽生善治九段(51)が持つ22歳9カ月を28年ぶりに大幅更新する最年少記録。10代での達成は史上初だ。
 藤井四冠は、最高段位の九段までの昇段(18歳11カ月)をはじめ、初タイトルから二冠、三冠、四冠の獲得すべてで最年少記録を塗り替えてきた。来年1月開幕の王将戦7番勝負でも、史上初の10代での五冠達成を懸けて渡辺明三冠(37)に挑戦する。羽生九段がかつての七大タイトルを同時制覇したように、藤井四冠が現在の八大タイトルを独占する可能性も見えてきている。

【9位】 温室ガス、46%削減の新目標

 菅義偉首相は4月22日、米国主催の気候変動サミット(首脳会議)で、国内の温室効果ガス排出量を2030年度に13年度比で46%削減する新目標を表明した。従来目標は同26%減で、大幅に引き上げた。産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えるには、世界全体で30年に排出量を半減させることが必要とされており、これに沿った形となった。
 政府は10月22日の持ち回り閣議で、46%削減の裏付けとなる新たな「エネルギー基本計画」を決定。30年度の電源構成について、再生可能エネルギーの比率を19年度実績の18%から36~38%に拡大させる一方、火力の割合を76%から41%に減らす方針を示した。ただ、残り8年しかない中で達成へのハードルは高く、実現の見通しは立っていない。
 
【10位】 みずほ銀でシステム障害相次ぐ

 みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ銀行で2月、現金自動預払機(ATM)にキャッシュカードや預金通帳5244件が取り込まれるシステム障害が発生した。同行では9月末までに計8回も障害を引き起こし、顧客は多大な不便を強いられた。
 金融庁は9月と11月の2度にわたり、みずほFGと銀行に対し業務改善命令を出し、「日本の決済システムに対する信頼性を損ねた」と厳しく批判。9月末の障害時対応をめぐっては、外為法が定める送金時の確認手続きを怠ったとして、財務省も是正措置を命じた。一連の障害を受け、FGの会長と社長、銀行頭取の3トップが来年4月にそろって退任する異例の事態となった。みずほには経営陣刷新で、再発防止と企業改革を成し遂げられるかが問われる。

<海外>

【1位】 新型コロナ、世界の死者500万人超

 世界の新型コロナウイルス感染者は11月初旬に累計で2億5000万人を超え、死者は500万人を上回った。インド由来の変異株「デルタ株」が猛威を振るった。一方、多くの国でワクチン接種が進んだほか、11月には米メルクが開発した飲み薬が初めて英国で承認され、抗体カクテル療法などと共に重症化を防ぐ治療の選択肢が増えた。
 感染状況が落ち着いた国では、移動や経済活動への制限措置が緩和された。ロックダウン(都市封鎖)などの厳しい対策で打撃を受けた景気は、急速に回復した。しかし、世界保健機関(WHO)が11月下旬、「懸念される変異株」に新たに指定した「オミクロン株」は、デルタ株よりも感染力が強いとされる。各国が水際対策を再び強化するなど、警戒態勢を取っている。

【2位】 米アフガン撤収、タリバン政権発足

 アフガニスタン駐留米軍が8月、完全撤収し、20年に及ぶアフガン戦争に終止符が打たれた。2001年の米同時テロを首謀した国際テロ組織アルカイダのビンラディン容疑者を保護したとして、イスラム主義組織タリバン政権を攻撃し、崩壊させた米国は、山岳地帯に逃げ込んだタリバンとの戦闘を継続。「米史上最長の戦争」となったが、1月に就任したバイデン大統領が撤収を決断した。戦争では米兵2300人以上が死亡、約8250億ドル(約93兆円)が投じられた。
 一方、タリバンは米軍撤収の意向が伝えられると、隙を突くように各地を制圧、8月15日には首都カブールを陥落させ、権力を再び掌握した。だが、暫定政権発足後も対立する武装勢力のテロが続き、治安回復のめどは立っていない。
 
【3位】 米大統領にバイデン氏就任

 トランプ前政権下で社会の分断が加速した米国の結束や、新型コロナウイルス禍の克服を訴え、大統領選に勝利した民主党のジョー・バイデン氏が1月20日、第46代大統領に就任した。就任初日から地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」復帰や世界保健機関(WHO)脱退取り下げに動きだし、トランプ前大統領の「米国第一主義」から国際協調路線に転換する姿勢を鮮明にした。
 しかし、国内では新型コロナのワクチン接種率が低迷し、流行収束が依然見通せていない。さらに物価上昇や民主党内の対立に伴う看板政策の予算交渉紛糾から政権の支持率は低下した。自身の「信任投票」になる来年の中間選挙は苦戦が予想されており、大統領として歴代最高齢79歳のバイデン氏の政権運営は厳しさを増している。

【4位】 ミャンマーでクーデター

 ミャンマーで2月1日、国軍がクーデターを強行し、アウンサンスーチー氏ら当時の政権幹部を拘束、全権掌握した。国軍は、国民民主連盟(NLD)が圧勝して政権維持した2020年の総選挙で不正があったと主張し、選挙結果を無効に。暫定首相となった軍トップのミンアウンフライン総司令官は、23年8月までの再選挙を表明した。
 3本指を掲げる反軍政デモは弾圧され、ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会によれば、1300人以上が死亡。日本人記者も一時拘束された。国際社会は非難を強め、欧米は制裁を発動。しかし国軍は、事態打開を担う東南アジア諸国連合(ASEAN)の特使を受け入れず、国際会議を欠席し続けた。12月にはスーチー氏に禁錮刑が言い渡され、国軍の民主派排除が鮮明となった。

【5位】 二刀流大谷、満票でMVP

 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手が投打の「二刀流」で躍動した。記者投票の満票でア・リーグ最優秀選手(MVP)に選出。46本塁打を放ってタイトル争いを演じ、投げてもチーム最多の9勝。登板前後に休養日を設けず計158試合に出場し、メジャー4年目で初めて投打同時出場の「リアル二刀流」を披露するなどフル稼働した。7月のオールスター戦には、先発投手と指名打者を兼ねて出場した。
 メジャーで本格的な二刀流は1910年代終盤のベーブ・ルース以来。歴史的な活躍で、日本選手では2001年のイチロー以来2人目のMVPを手にした。他にコミッショナー特別表彰、選手が選ぶ年間最優秀選手なども受賞。日本では「リアル二刀流/ショータイム」が新語・流行語大賞の年間大賞に選ばれた。

【6位】 国際課税見直しで歴史的合意

 経済協力開発機構(OECD)が10月に開いた交渉会合で、多国籍企業の税逃れを防ぐ新たな国際課税ルールについて、130超の国・地域が最終合意した。法人税の最低税率を15%に設定。巨大IT企業などに対するデジタル課税を導入する。課税原則を約100年ぶりに見直す歴史的合意で、各国・地域は2022年に条約の締結や法改正を進め、23年から導入する。
 最低税率の導入で、企業が税率の低い国にある子会社に利益を移し、課税を逃れるのを防ぐ。自国に企業を誘致するための法人税率引き下げ競争に歯止めをかける狙いもある。また、現在は国内に工場などの拠点がないと課税できないが、デジタル課税では、拠点がなくても巨大IT企業などのサービス利用者がいる国・地域が利益の一部に課税できるようにする。

【7位】 米中、続く緊張関係

 米中対立が「新冷戦」と称される中、バイデン米大統領と中国の習近平国家主席の初の首脳会談が11月15日(米東部時間)、オンライン形式で行われた。「民主主義対専制主義」(バイデン氏)の競争が衝突に発展しないよう、双方は「危機管理」が必要との立場を確認。中国の核兵器増強を踏まえ、軍縮などに関する対話を進めることでも一致した。
 会談では、習氏がバイデン氏を「古い友人」と呼んで融和ムードを演出。激しい応酬となった3月の米中高官協議とは様変わりした。ただ、台湾など中国が譲れない問題で立場の隔たりも露呈。バイデン政権は、新疆ウイグル自治区などでの人権侵害を理由に北京冬季五輪に高官らを派遣しない「外交ボイコット」を決定しており、緊張緩和は見通せない。

【8位】 COP26でグラスゴー合意

 10月31日から11月13日にかけて英北部グラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開かれ、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択した。産業革命前からの世界の気温上昇を1.5度に抑える方向性を初めて明確化。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は「1.5度」を努力目標に掲げているが、より強い決意で推進する姿勢を打ち出した。
 温室効果ガスの排出削減対策を講じていない石炭火力発電の削減や、化石燃料の無駄な消費を助長する非効率な補助金の段階的廃止に向けた努力を加速することも盛り込んだ。化石燃料の利用が温暖化の原因だと初めて位置付けた格好で、石炭火力を今後も使い続ける方針の日本に対し、国際社会での風当たりが強まる恐れがある。

【9位】 独メルケル首相が引退

 ドイツ首相として16年に及ぶ長期政権を築いたアンゲラ・メルケル氏が12月8日、社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ氏を首相とする新たな連立政権発足を受け、政界を引退した。欧州債務危機など数々の難題に安定した手腕で対処し、「欧州の顔」として活躍。退任式典では「政治的にも人間的にも多くを求められたが、常に充実していた」と振り返った。
 2000年からキリスト教民主同盟(CDU)の党首を務め、05年に首相に就任した。脱原発政策の決定やウクライナ問題での仲介で指導力を発揮する一方、難民への寛容な政策が批判を浴びたこともあった。国際協調を重視し、先進7カ国首脳会議(G7サミット)などの国際会議では米国第一主義を掲げるトランプ前米大統領とたびたび対立した。

【10位】 ゴルフ・マスターズで松山優勝

 ゴルフの祭典マスターズ・トーナメントで、松山英樹が夢をかなえた。4月に米ジョージア州オーガスタで開催された伝統の大会でアジア勢初優勝。日本選手が男子のメジャー大会を初めて制覇した。2017年の全米オープン選手権で2位、全米プロ選手権で5位とメジャー制覇に迫りながら、なかなか勝てなかった松山が出場10度目、29歳にして宿願を達成。勝者の証し、グリーンジャケットに袖を通し、「日本人はできないんじゃないか、というのを覆すことができたと思う」と喜びを語った。
 6月には全米女子オープン選手権で当時19歳の笹生優花が、畑岡奈紗との日本勢同士のプレーオフを制して初優勝。日本女子のメジャー制覇は史上3人目となり、21年は海外メジャーで日本勢の快挙が続いた。
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「令和3年衆院選の予想と結果」をアップ

2021-11-04 10:30:59 | 時事
 私はこの度の衆院選に当たり、10月中旬より選挙予想の記事をブログに5回掲載しました。それらの記事と結果をまとめて、マイサイトに掲載しました。まとめてお読みになりたい方は、下記へどうぞ。

■令和3年衆院選の予想と結果
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13-07.htm

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衆院選の結果~自民が単独で絶対安定多数を維持、立憲は惨敗、維新が躍進

2021-11-01 12:10:05 | 時事
 第49回衆議院選挙は、10月31日で投開票が行われました。各紙・各誌の直前予想では、自民党は単独過半数(233議席)の維持は微妙または困難という見方がほとんどでしたが、結果は自民党が261議席を獲得。単独過半数を超え、絶対安定多数(261議席)を確保しました。
 絶対安定多数は、衆院の全常任委員会で委員長ポストを独占し、全委員会で過半数の委員を確保し、安定した国会運営が可能となる議席数です。議席を公示前から15議席を減らしたとはいえ、絶対安定多数を維持したのは、誰も予想しなかったほどの大健闘です。

 以下が、各党の議席数。カッコ内は公示前の数字。
 自民261(276)、立憲96(110)、維新41(11)、公明32(29)、国民11(8)、共産10(12)、無所属10、れいわ3、社民1、N裁党0.諸派0。合計465議席

 自公を合わせると与党は、293議席、公示前の305議席より、12議席減。憲法改正の発議には3分の2以上となる310議席が必要ですが、これには17議席不足。維新・国民が賛同すれば、手の届く数字。
 日本維新の会は4倍近くに増やし、公明党を抜いて第3党に躍り出ました。私個人としては、自民党が公明党・創価学会と手を切り、維新と組むという道が開けつつあると感じ、維新の躍進を歓迎します。字。
 多くのメディアや専門家が議席増と見ていた立憲民主党は、共産党などと野党共闘が振るわず、公示前(110議席)を大きく下回る96議席で惨敗。かつてない左派野党の候補を一本化する戦略は不成功に終わりました。この結果は、今後もこの方法ではうまくいかないことを示しています。立憲は、旧社会党左派に近いものに左傾して共産党と組んだために、リベラル左派の支持を減らしたのでしょう。
 立憲や共産など野党5党が統一候補を擁立した213選挙区のうち、自民・公明等の与党系候補は、約65%にあたる139選挙区で勝利。これに対し、左派野党の統一候補は約28%の59選挙区でしか勝てず、野党共闘は目論見倒れだったことが分かります。国民の良識が働いたものと思います。

 候補別にみると、自民の甘利明幹事長は、自身が立候補した神奈川13区で敗北。議席減の責任と合わせて幹事長を辞任する意向を岸田首相に伝えた模様。現職の同党幹事長が小選挙区で敗れたのは初めて。金銭授受疑惑で攻められる甘利氏を幹事長にしていなければ、自民党はもっと議席を確保できていたでしょう。また甘利氏を傷つけずに、別の立場で彼の能力を発揮してもらうことができたはず。岸田首相の人選ミスです。
 自民の石原伸晃元幹事長は、東京8区で負け、比例で復活できず、落選。
 立憲の辻元清美党副代表は、大阪10区で維新の新人に負け、比例で復活できず、落選。
 立憲の小沢一郎氏は、岩手3区で負け、「小沢王国」が陥落。比例で復活当選。

●接戦・苦戦を伝えられた自民党の候補者の結果

◆閣僚、首相補佐官、党役員

#小選挙区で当選
・山際大志郎・経済再生担当相 神奈川18区
・西銘恒三郎・復興相 沖縄4区 
・村井英樹・首相補佐官 埼玉1区
・遠藤利明・選挙対策委員長 山形1区

#比例復活で当然
・若宮健嗣・万博担当相 東京5区
・甘利明・幹事長 神奈川13区

◆閣僚経験者

#小選挙区で当選
・金田勝年・元法相 秋田2区
・柴山昌彦・元文科相 埼玉8区
・林幹雄・元経済産業相 千葉10区
・井上信治・元万博相 東京25区
・北村誠吾・元地方創生相 長崎4区
・衛藤征士郎・元防衛庁長官 大分2区

#比例復活で当選
・桜田義孝・元五輪担当相 千葉8区
・塩谷立・元文部科学相 静岡8区 

#落選
・石原伸晃・元環境相&元幹事長 東京8区
・平井卓也・前デジタル相 香川1区
・原田義昭和・元環境相 福岡5区
・山本幸三・地方創生相 福岡10区

◆その他

#小選挙区で当選
・高木宏壽氏 北海道3区
・黄川田仁志氏 埼玉3区
・山田美樹氏 東京1区
・小田原潔氏 東京21区
・小倉将信氏 東京23区

#比例復活で当選
・義家弘介氏 神奈川16区
・越智隆雄氏 東京6区
・長島昭久氏 東京18区
・松本洋平氏 東京19区
・高鳥修一氏 新潟6区

#比例単独で当選
・杉田水脈氏 中国ブロック

#落選
・船橋利実氏 北海道1区
・大西宏幸氏 大阪1区
・長尾敬氏 大阪14区

●各種予想の結果比較

 私のブログで紹介した各種予想の結果を比較してみましょう。
 朝日新聞 2021.10.25 付は、「自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い」「立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい」と予想。
 産気新聞 2021.10.25 付は、自民党は「単独で過半数(233議席)を維持しそうで、連立を組む公明党とあわせれば過半数はほぼ確実な情勢」、立憲民主党は「公示前(110議席)を大きく上回り、140議席台をうかがう」と予想。
 週刊文春は、11月4日号(10月28日発売)で、自民党は公示前の276議席から231議席で単独過半数(233議席)を割り込む、立憲民主党は110議席から27議席増の137議席と予想しました。

◆朝日の予想
 自民 (公示前276)⇒下限251、上限279
 立憲 (公示前109)⇒下限 94、上限120
◆産経の予想
 自民 (公示前276)⇒下限218、上限246
 立憲 (公示前110)⇒下限126、上限151
◆週刊文春の予想
 自民 (公示前276)⇒231で単独過半数(233)を割り込む
 立憲 (公示前110)⇒137

 結果は、自民261、立憲96ゆえ、朝日の予想がほぼ当たり、産経・文春は大外れでした。
 なお、直前予想ではありませんが、夕刊フジ 2021.10.14 付は、選挙プランナーの松田馨氏の情勢分析を掲載。中盤戦の段階で、自民は単独過半数(233議席)を維持して、244議席。公明は29議席。自公与党は273議席で絶対安定多数(261議席)を上回ると予想。立憲は共産との共闘路線で議席を伸ばし、128議席と予測しました。与党で絶対安定多数は当たったものの、立憲の惨敗を予想することができていませんでした。
 今回の衆院選に関しては、朝日新聞の予想が優れていたと言えます。意外です。まぐれかな。
 ところで、 NHK は、31日午後8時開票直後、自民は212~253、立憲は99~141と予想。当日の出口調査と、事前の取材や地域情勢を考慮して弾き出した数字だと解説。ところが、結果は自民261、立憲96。自民、立憲ともに予想に40もの幅を持たせたにもかかわらず、結果は自民は予想の上限を超え、立憲は予想の下限を下回りました。日本最大のメディアも大外れだったのです。

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衆院選予測5~投開票日直前、文春は自民の過半数割れを予想

2021-10-29 10:18:41 | 時事
 私は、10月14日掲示した拙稿「衆院選予測1~自民党は単独過半数を維持か割るか」で、週刊文春 10月21日号の予想記事を紹介しました。
 この予測記事は、政治広報システム研究所代表の久保田正志氏と同誌編集部が情報分析を行ったもの。
 議席数の予想は、自民党は現有の276議席から32議席減の244議席。単独過半数(465議席中の233議席)は辛うじて上回るというもの。
 ただし、久保田氏は「4年前の選挙では激戦区が70程度でしたが、今回は120と一気に増えました。復党問題への対応や閣僚の失言など一歩間違えば、激戦区はひっくり返る。そうなると単独過半数割れも現実味を帯びてきます」とも予想しました。
 公明党は、現有29議席から4議席増やして33議席。自公の与党で、合計277議席と予想。仮に自民が単独過半数割れになっても、自公では過半数を維持できるという予想です。
 立憲民主党については、現有の110議席から5議席増やして115議席。自民が減らす分、共産が12⇒17、維新が10⇒26、国民が8⇒12などと野党が増加との予想でした。

 さて、週刊文春は、衆院選直前の「最終当落」予想を11月4日号に掲載しました(10月28日発売)
 今回の記事は、編集部が各党・各紙が取りまとめた選挙区別の情勢調査を入手し、さらに選対関係者への取材や独自の現地調査なども踏まえて予測したものとのこと。
 自民党・公明党の与党候補が当選確実なのは113選挙区のみ。残る176選挙区が激戦区となっていると分析。
 議席数の予想は、自民党は公示前の276議席から231議席で単独過半数(233議席)を割り込むというもの。10月21日号では、244議席で単独過半数を辛うじて上回るという予想でしたが、今回の記事は自民党の「失速」を指摘しています。「とりわけ、野党の一本化が加速した激戦区では苦しい戦いを強いられ、176選挙区のうち勝利するのはわずか52議席にとどまる」としています。
 公明党は、前回の予想と同じく、4議席増の33議席と予想。
 与党は、自民党231、公明党33で264議席との見方です。与党が過半数を維持ゆえ、政権交代は起こらない。しかし、政権内では、自民党が単独過半数を割り、公明党に配慮せざるを得ず、公明党の影響力が増すということになりそうです。
 対する野党は、立憲民主党が110議席から27議席増の137議席。前回の予想が115議席でしたから、さらに22議席増えるというもの。
 共産は12議席から2議席増の14議席で、前回予想の17議席までは伸びない。国民は8議席で変わらず、前回予想のような議席増はなし。維新は10議席から18議席増の28議席。前回予想の26議席より、さらに2議席増。
 いよいよ10月31日は投開票日。どのような結果になるか。いずれにせよ、日本の針路を大きく左右する重要な選挙になることは間違いありません。

関連掲示
・拙稿「衆院選予測1~自民党は単独過半数を維持か割るか」 2021.10.14
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/46a0fd16e330e431059effb772706bc2
・拙稿「衆院選予測2~自公で絶対安定多数を上回るという予測も」 2021.10.15
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/4428df7a1d90a39ddaff99848685f92c
・拙稿「衆院選予測3~『1対1』の小選挙区で帰趨が決まる」 2021.10.22
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/28bbce863696620c0e8de8f20905defc
・拙稿「衆院選予測4~朝日と産経が対照的な予想」 2021.10.27
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/ae987115dcdc9414565aef8eb9d134c5

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衆院選予測4~朝日と産経が対照的な予想

2021-10-27 10:23:09 | 時事
 朝日新聞 2021.10.25付は、意外な予想を載せました。「自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い」「立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい」「小沢一郎氏や安住淳氏、野党の大物が思わぬ接戦」「枝野幸男氏と牧原秀樹氏が互角」んどと伝えました。

朝日新聞の記事より 2021.10.25
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 31日投開票の衆院選(定数465)について、朝日新聞社は23、24日、全国約38万人の有権者を対象に電話とインターネットによる調査を実施し、全国の取材網の情報も加えて、選挙戦中盤の情勢を探った。現時点では、①自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い②立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい――などの情勢になっている。・・・
 調査時点で投票態度を明らかにしていない人が、選挙区は4割、比例区は3割おり、今後、情勢が大きく変わる可能性もある。・・・
 自民は、選挙区では公示前の210議席に届かないものの、161の選挙区で優位に立ち、190議席に迫る勢いをみせている。比例区は堅調で、公示前の66議席を上回り、70議席をうかがう。
 自民は、政権を奪還した2012年の衆院選以降、国会を安定的に運営できる絶対安定多数(261議席)を確保してきた。接戦となっている74の選挙区の勝敗次第では、今回もこれを獲得できる。・・・
 立憲は、選挙区では公示前の48議席を上回る公算が大きい。競り合っている65の選挙区が、議席を上積みできるかどうかの焦点。枝野幸男代表(埼玉5区)も自民前職と接戦となっている。一方、比例区は勢いに欠け、公示前の61議席を10議席以上、下回りそうだ。・・・
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 朝日と対照的なのは、産気新聞の予想。産経新聞社は、FNNと合同で行った衆院選情勢調査(10月23、24両日実施)に取材を加味し、31日の投開票に向けた終盤情勢を報道しました。 2021.10.25付けの記事は、次のように分析しています。

自民党: 単独で過半数(233議席)を維持しそうで、連立を組む公明党とあわせれば過半数はほぼ確実な情勢。
 全289選挙区のうち130前後で優位に戦いを進めているが、約2割の60程度の選挙区で立民などと接戦になっている。競り負けが増えれば単独過半数を維持できない可能性があり、情勢は予断を許さない。全体では公示前から30議席以上は減らしそうだ。
 接戦は都市部で多く、閣僚経験者の苦戦も目立つ。東京都では前回、自公が25選挙区中20を制したが、今回は16で野党側が優位か、接戦となっている。

公明党: 選挙区の前職9人全員の当選が目標だが、危うくなっており、比例とあわせて公示前(29議席)の維持が焦点となりそうだ。

左派野党: 立民、共産党などが候補者を一本化した213選挙区のうち、約半数でリードするか、接戦に持ち込んでおり、共闘の成果が出ているとみられる。

立憲民主党: 公示前(110議席)を大きく上回り、140議席台をうかがう。

共産党: 公示前の12議席から20議席近くまで伸ばす可能性がある。

日本維新の会: 公示前(11議席)から躍進し30議席に達する勢いをみせている。

●比較

産経の予想
 自民(公示前276)
  下限218、上限246
 立憲(公示前110)
  下限126、上限151
朝日の予想
 自民(公示前276)
  下限251、上限279
 立憲(公示前109)
  下限 94、上限120

 自民の予想で産経の上限246より、朝日の下限251が上回る。立憲の予想で産経の下限126より、朝日の上限120が下回る。
 えらく対照的ですね。特に朝日の記事は、客観的な予測なのか、有権者への影響を狙った政治的な意図によるものか疑われます。

●接戦・苦戦を伝えられる自民党の候補者

◆閣僚、首相補佐官、党役員
・山際大志郎・経済再生担当相 神奈川18区 苦戦中。
・若宮健嗣・万博担当相 東京5区 立憲候補にやや劣勢。
・西銘恒三郎・復興相 沖縄4区 立憲の新人、金城徹氏と大接戦。
・首相補佐官に抜擢された村井英樹氏 埼玉1区 立憲候補と横一線。
・遠藤利明・選挙対策委員長 山形1区 立憲の原田和広氏とデッドヒートを展開。

◆閣僚経験者
・金田勝年・元法相 秋田2区 立憲の緑川貴士氏と一騎打ちで、両氏の支持率の差は0.5ポイント未満の僅差。
・柴山昌彦・元文科相 埼玉8区 野党系無所属の小野塚勝俊氏と差が4ポイント程度しかない。
・桜田義孝・元五輪担当相 千葉8区 立憲の新人・本庄知史氏に10ポイント以上の大差をつけられている。
・林幹雄・元経済産業相 千葉10区 二階俊博前幹事長の最側近とされるが、立憲の谷田川元氏にリードを許している。
・石原伸晃・元環境相&元幹事長 東京8区 立憲の吉田晴美氏と横一線の戦い。
・塩谷立・元文部科学相 静岡8区 立憲の源馬謙太郎氏としのぎを削る。
・平井卓也・前デジタル相 香川1区 立憲候補に後れを取る。
・原田義昭和・元環境相 福岡5区 苦戦中。
・山本幸三・地方創生相 福岡10区 立憲候補と互角の戦い。
・北村誠吾・元地方創生相 長崎4区 立憲候補に後れを取る。
・衛藤征士郎・元防衛庁長官 大分2区 立憲の吉川元氏を追っている。

◆その他
・船橋利実氏 北海道1区 立憲候補に劣勢。
・高木宏壽氏 北海道3区 立憲候補にやや劣勢。
・黄川田仁志氏 埼玉3区 立憲候補にやや劣勢。
・義家弘介氏 神奈川16区 立憲候補にやや劣勢。
・山田美樹氏 東京1区 立憲の海江田万里氏にやや劣勢。
・越智隆雄氏 東京6区 立憲候補にやや劣勢。
・長島昭久氏 東京18区 立憲の菅直人氏にやや劣勢。
・松本洋平氏 東京19区 立憲候補にやや劣勢。
・小田原潔氏 東京21区 立憲候補にやや劣勢。
・小倉将信氏 東京23区 立憲候補にやや劣勢。
・高鳥修一氏 新潟6区 高市早苗氏を総裁選で支持。苦戦中。
・大西宏幸氏 大阪1区 維新候補にやや劣勢。
・長尾敬氏 大阪14区 維新候補に劣勢。
・杉田水脈氏 中国ブロック比例単独 比例の順位低く、非常に不利。
・武井俊輔氏 宮崎1区 苦戦中。
  
 以下随時掲載。

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新型コロナウイルス、油断せず、次への備えを

2021-10-22 11:12:50 | 時事
 ロイターの集計によると、10月21日新型コロナウイルスの感染者は世界全体で2億4198万人を超え、死者は512万5166人となりました。
 わが国では、第5波が収まり、時短営業の解除等が行われつつあります。欧米より遅れていたワクチン接種が急速に進んで来たことと、マスクの着用、三密の回避、時短営業等の衛生技術的な方策の実施の複合的な効果によるものと見られます。
 しかし、ワクチンの効果は限定的で、各国で2回接種した後に、3回目の接種が推奨されています。早くからワクチン接種を大々的に進め、わが国では出来ないロックダウンも断行して感染拡大を押さえ込んできたイギリスでは、感染の再拡大が目立ち、8月に2万~3万人台だった新規感染者数は徐々に増加傾向が強まり、10月中旬以降は4万人台が常態化。21日には5万人を超えました。
 わが国も油断できません。第6波の到来と新たな変異種の流行に備えなければなりません。
 ちなみに、ロシアでは、デルタ株よりも感染力が強いとみられる新型コロナウイルス変異株「AY.4.2」の感染が複数確認されたとのことです。
 政府当局の上級研究員カミル・カフィゾフは、この新たな変異種が広く流行することもあり得るとし、最終的にデルタ株に取って代わる可能性があるが、時間がかかる公算が大きいと述べた、とロイターの記事が伝えています。

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衆院選予測3~「1対1」の小選挙区で帰趨が決まる

2021-10-22 09:03:49 | 時事
 衆院選の時はいつもそうですが、今回も極端に違う予想が出ています。片や自民党が大きく議席を減らし、単独過半数割れもという予想があり、逆に自公で絶対安定多数、さらに維新を加えると憲法改正の発議に必要な3分の2を超えるという予想もあります。データに基づ予測なのか、政治的な信条による願望なのか。

週刊朝日 2021.10.29日号の記事より
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 本誌は政治ジャーナリストの野上氏(註 忠興氏)と角谷浩一氏に、各政党の獲得議席数と全選挙区の当落予測を依頼した。
 その結果、自民は「37議席減」(野上氏)、「33議席減」(角谷氏)と、いずれも大きく議席を減らす予想となった。
 「コロナ禍で行われる今回の選挙は、集会が行えるかなど通常と条件がかなり異なる。それだけ、予想外の結果が出る可能性があります」(角谷氏)
 今後の情勢次第では40議席減、よもやの単独過半数(233議席)割れも視野に入る。・・・
 一方の野党は、立憲民主が議席を伸ばし、「27議席増」(野上、角谷両氏)となった。野党共闘のために多くの選挙区での独自候補の擁立を見送った共産は比例区で議席増が見込まれそうだ。日本維新の会は大阪を中心に自民と互角以上に戦い、議席を大きく増やしそうだ。・・・
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スポーツ報知 2021.10.18 付けの記事より
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 堅調な予測に定評のある選挙プランナーの三浦博史氏(70)は各党の情勢を徹底分析。政権与党の自公は305議席から293議席へと若干減らすとしたが、岸田文雄首相(64)が勝敗ラインと位置づけた過半数(233議席)を大幅に上回るとの見通しを示した。・・・
 各選挙区の情勢を詳しく分析した三浦氏が指摘する。
 「自民は18の小選挙区で落としますが、比例は69と若干上乗せします。また、連立を組む公明も小選挙区で1議席増、比例では2議席増の計23議席、自公では293議席になります。では、自民が減った分はどこに行くか。“革新”には入れない、“棄権”したくない層の受け皿として日本維新の会が上積みして15議席を増やし、25議席になるでしょう。“保守勢力”という観点から見れば、負けない選挙です」
 全ての衆院常任委員会で委員長ポストを独占し、全委員会で過半数の委員を与党が確保できる状態を「絶対安定多数」と呼ぶ。つまり、野党が反対しても法案の可決ができる。その議席数は「261」で、自公が「293」なら上回ることになる。そこに維新の25議席を加えると「318」。憲法改正の発議に必要な3分の2(310)を8議席上回る。岸田首相は憲法改正で必要な“3分の2”の議席確保について「選挙だけでは無理がある」と述べているが、議席数をより上積みすることで、改正に向けた動きが加速する可能性もある。・・・
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 さて、私が今回、最も注目するのは、自公と左派野党の「1対1」の戦いになった小選挙区の動向です。立民の源流の旧民主党が政権を取った平成21年(2009年)は、民主、共産、社民、国民新党が130余りの選挙区で候補者を一本化し、野党・無所属は得票率60%で議席の79%を得ました。今回は21年を超えるペースで、反自民勢力の競合回避が進んできました。その結果、野党間の調整により、自公候補と事実上の一騎打ちに持ち込んだ小選挙区は132。全体の半数に迫ります。かつてなかったことです。
 日刊ゲンダイの記事の分析によると、一騎打ちの選挙区で相手に10ポイント以上の差をつけ、当選が有力な候補は43人(自公37、立憲16)。一騎打ちの実現により、票差が縮まり、「自公vs立憲」候補が10ポイント差の範囲で競り合っているのは57選挙区に上ると見られます。

日刊ゲンダイ 2021.10.21 付け
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自公vs立憲で一騎打ち激戦「57選挙区」 政権選択の勝負はここで決まる!
公開日:2021/10/21 13:55 更新日:2021/10/21 14:30

 今回の総選挙で雌雄を決するのは与野党一騎打ちをどちらが制するのかだ。「自公vs立憲」の構図に持ち込んだ選挙区の情勢を調査すると、どちらが勝ってもおかしくない接戦区が大半を占める。31日の投票日までギリギリの攻防を繰り広げる激戦になりそうだ。
 野党間の調整が土壇場で進み、自公候補と事実上の一騎打ちに持ち込んだ小選挙区は132。全体の半数に迫る。うち、立憲と自公候補の直接対決は110選挙区。立憲が「一本化」候補と説明する野党系無所属の福島伸享氏(茨城1区)、小野塚勝俊氏(埼玉8区)、米山隆一氏(新潟5区)も含まれる。

野党共闘の威力でオセロゲームの可能性
 野党共闘の威力を見せつけているのが福島4区と千葉8区だ。
 福島4区は前回、希望、共産、社民と野党候補が乱立。希望の小熊慎司氏はわずか1200票差で自民・菅家一郎氏に敗れたが、今回は、立憲から出馬の小熊氏に一本化され、菅家氏とは10ポイント以上の差をつけて優位に立つ。自民の桜田義孝氏が3連勝中の千葉8区も、野党統一候補の立憲新人、本庄知史氏が桜田氏に現状では大差をつけている。
 一騎打ちの選挙区で相手に10ポイント以上の差をつけ、当選が有力な候補は43人(自公37、立憲16)。一騎打ちの実現により、票差が縮まり、「自公vs立憲」候補が10ポイント差の範囲で競り合っているのは57選挙区に上る。このうち、前回、野党候補が敗れた選挙区は39もあり、与野党逆転のオセロゲームの可能性も十分あり得る。
 例えば、小選挙区制導入以降、8回の選挙で自民が議席を独占してきた東京25区。前回は自民の井上信治氏がダブルスコアで圧勝したが、野党一本化で状況は一変。井上氏と立憲の島田幸成氏が横一線で並ぶ展開になっている。
 与野党一騎打ちとなった香川2区の玉木雄一郎氏(国民民主)は圧勝、沖縄1区も赤嶺政賢氏(共産)が当選圏だ。
 立憲が57選挙区を次々と制すれば、まさかの政権交代も夢ではなくなる。
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 記事は、最後に「立憲が57選挙区を次々と制すれば、まさかの政権交代も夢ではなくなる」と書いています。比例区の予想議席数を書いていないので、最後の一文はゲンダイらしいいい加減なまとめですが、「1対1」の小選挙区の結果が今回の選挙戦の帰趨を決めるのは確かです。
 小選挙区での「1対1」の対決では、大衆の政府与党への不満が野党への投票という行動に現れやすいです。特に無党派層・支持政党なしの有権者の心理がどう現れるかが重要です。
 左派野党の背後には、日本共産党と小沢一郎氏の謀略があります。日本を破壊しようとする謀略に負けてはなりません。

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衆院選予測2~自公で絶対安定多数を上回るという予測も

2021-10-15 08:40:34 | 時事
 分析に定評のある選挙プランナーの松田馨氏が現時点の情勢を分析。夕刊フジ 2021.10.14 付けの記事より。
 自民党は議席を減らすが単独過半数(233議席)を維持して、244議席。公明党は29議席。自公与党は273議席となり、衆院の全常任委員会で委員長ポストを独占し、全委員会で過半数の委員を確保し、安定した国会運営が可能となる絶対安定多数(261議席)を上回ると予想。
 立憲民主党と共産党は共闘路線で議席を伸ばし、立民128議席、共産17議席と予測しています。

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●夕刊フジ 2021.10.14

最新、衆院選「議席予測」 自公273「絶対安定多数」確保へ 立民128、共産17と共闘路線で一定の伸び “短期決戦”自力が勝敗の分かれ目に
10/14(木) 16:56配信

 岸田文雄首相は14日午後、衆院を解散する。4年ぶりの「政権選択選挙」(19日公示-31日投開票)は、新型コロナウイルス対策や、日本経済を復活させる経済政策、少子高齢化に対応する社会保障政策、中国共産党政権の軍事的覇権拡大に対峙(たいじ)する外交・安全保障政策などが問われる。与野党の選挙公約が出そろうなか、各党の獲得議席はどうなりそうか。選挙分析に定評のある選挙プランナーの松田馨氏が現時点の情勢を分析したところ、自民党は議席を減らすが単独過半数(233議席)を何とか維持し、立憲民主党と共産党は共闘路線で議席を伸ばしそうだ。
 「大変厳粛な気持ちで、今日を迎えた。これまで新しい内閣が何をするかを説明してきた。これからも、われわれが何を目指していくかをしっかりと訴えていきたい。気持ちは充実している」
 岸田首相は14日朝、官邸で記者団にこう語った。自民党は、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」や「経済安全保障」を訴えている。
 一方、立憲民主党の枝野幸男代表は13日の記者会見で、「1億総中流社会の復活」を掲げ、「ぶれ続ける岸田氏を選ぶか、(主張が)一貫している枝野を選ぶか」と対決姿勢をあらわにした。
 衆院選は、全国の小選挙区289議席、比例代表176議席の計465議席を争う。
 松田氏は、最新の世論調査や各選挙区の最新情勢、過去の選挙データなどを踏まえ、14日時点の獲得議席を予測した。
 岸田首相は総裁選直後の記者会見(9月29日)で、勝敗ラインを「与党で過半数(233議席)」と答えていたが、今回の予測では自民党で「244議席」となった。
 松田氏は「ワクチン接種が進み、新型コロナウイルスの感染者数が激減したことで政府のコロナ対策への評価が上昇した。岸田政権に代わったことで、内閣への不支持率も減少した。最近の世論は、経済対策への関心が高まっている。岸田政権の『分厚い中間層』向けの経済対策は野党と差がなく、『それならば比例投票先は自民党を選ぼう』という傾向が強まりそうだ。北海道や愛知など旧民主党が強いエリアでは苦戦するが、単独過半数はクリアする」と分析した。
 菅義偉政権末期、松田氏は「自民党は72~73議席減」と分析していただけに、大きく回復した。
 山口那津男代表の公明党は、マニフェスト「日本再生へ新たな挑戦」を掲げ、「9つの小選挙区での全勝と、比例代表での800万票獲得」を目指す。全国で緊急事態宣言が解除され、対面での選挙活動も行えることから、予測は「29議席」。
 この分析通りなら、自公与党は273議席となり、衆院の全常任委員会で委員長ポストを独占し、全委員会で過半数の委員を確保し、安定した国会運営が可能となる「絶対安定多数(261議席)」を上回る。
 これに対し、立憲民主党と共産党、社民党、れいわ新選組の左派野党は候補者の一本化を進め、与党と「1対1の構図」に持ち込む作戦だ。
 立憲民主党の枝野氏は9月末、共産党の志位和夫委員長と会談し、立憲民主党が政権を獲得した場合、共産党から「限定的な閣外からの協力」を得ることで合意した。共産党は13日、競合する約70選挙区のうち22選挙区で候補者を取り下げる方針を発表した。
 松田氏は「こうした共闘路線に、支持団体である連合の足が止まるとの見方もあるが、小選挙区では効果が大きい」として、立憲民主党は「128議席」、共産党は「17議席」と予測した。
 玉木雄一郎代表の国民民主党は「積極財政への転換」などを訴え、25人程度を擁立する予定だ。現実的な保守中道路線で、共産党とは距離を置きながら、立憲民主党とのすみ分けを図るが、「10議席」との分析だ。

◆大きな争点なく自力が勝敗の分かれ目

 松井一郎代表(大阪市長)率いる日本維新の会は「真の改革政党」を掲げ、第3極を目指して90人前後を擁立する。松田氏は「7月時点の予測では『現有の3倍以上獲得し、大躍進する』とみていたが、自民党の復調でもう一歩伸びない」として、「27議席」と見る。
 福島瑞穂党首の社民党は「命と暮らしと人権を守る」として、「消費税を3年間限定でゼロ」などを訴える。松田氏の分析では「1議席」。
 れいわ新選組の山本太郎代表は、マニフェスト「れいわニューディール」を掲げて20人強を擁立する構え。山本氏自身は東京8区からの出馬を一度表明したが、立憲民主党の候補に配慮して撤回した。山本氏がどの選挙区で立候補するかにもよるが、比例で「1議席」との予測だ。
 東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は今月初め、国政進出に向けた新党「ファーストの会」を設立した。松田氏は「小池氏の出馬はないとみられるが、選挙応援に入る可能性はある。一定数の候補者を擁立し、都民ファーストの会の都議との連携で集票できる」として、「1議席」。
 岸田首相の指名から10日後に衆院解散、1カ月足らずで投開票という「短期決戦」。今後、大きな変化はありそうか。
 松田氏は「現状では、70選挙区以上が与野党の接戦区だ。無党派層の動きがカギになるが、世論調査では『支持政党なし』で必ず投票に行く人は5割に届かない。与党は低投票率であれば、経済対策を丁寧に訴え、支持層の票を着実に積み上げれば勝てる。逆に、野党側は各党間でどれだけ共闘できるかがポイントだ。大きな争点はないため、最後は各候補者の自力が勝敗の分かれ目になる」と語っている。
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