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●漫画・・ 「男一匹ガキ大将」

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 集英社の児童漫画誌、週刊少年ジャンプの創刊時は月二回発行の隔週刊雑誌で、創刊第1号発売は1968年の7月でした。僕は創刊当時は続けて「少年ジャンプ」を購読していたものです。「少年ジャンプ」が週刊誌化されて「週刊少年ジャンプ」になるのが、69年10月です。本宮ひろ志氏の漫画「男一匹ガキ大将」の連載開始が創刊第11号からですから、68年の暮れ近くからですね。そして約10ヶ月間隔週連載で、ジャンプ週刊誌化と共に毎週連載で(当たり前ですが)、1973年まで人気沸騰の内に連載が続く。週刊少年ジャンプを最初に、一気に大発行部数の大人気雑誌に押し上げたのは、この「男一匹ガキ大将」と永井豪氏の「ハレンチ学園」の初期二大連載です。まあ、週刊少年ジャンプはその後に、講談社の週刊少年マガジンから雑誌王座を奪う訳ですが。「男一匹ガキ大将」は熱血漫画だけど、後は何て呼べば良いんだろう(?)。感動漫画というのも、ちょっと違うという気がする。まあ、熱血感動味もあるでしょけど。少年同士の喧嘩が中心にあるから「格闘漫画」といえば、まあ、そうなんだけど。「学園漫画」というのもちょっと違うし。戦国時代の武将さながらに、自分の陣地を拡げて行く、というストーリーですよね。主人公・戸川万吉は登場した最初は中学生だけど、まあ、言ってみれば、小さなヤクザ組織が抗争を重ねて行って、自分とこの勢力図を拡げて行く話の、少年・学校版、だな。それも、小さな田舎町の学校から日本全国規模に、いわゆる「番長」の勢力をどんどん拡大して行き、そして学園的に日本を支配する、という話かな。まあ、要するに、日本全国規模の「番長」トーナメントがあって、関東の片隅の田舎町の、一つの学校の一人の番長が、次々と他の強敵番長を倒して勝ち上がって行き、最後に「不良少年たち」の学園全国制覇する、という話か。不良少年の全国統一と、その頂点に君臨するまでのドラマ、だろうか。あれ、中学だったんだっけ(?)。高校だったんだっけか(?)。舞台は中学生不良世界、か。関東の田舎町、って、関東だったっけか? 西海、だっけ。海沿いの町か。作者、本宮ひろ志氏は千葉県出身だから、西海とは、千葉県の海沿いの町だろうか(?)。

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 作者の本宮ひろ志さんは、一応、貸本出身で、僕は貸本末期の日の丸文庫発行の短編誌、「オッス!」の中で、短編作品を読んだ記憶があります。本宮ひろしさんは1947年生まれだから、団塊世代ですね。貸本に居たのはほんの短い間で、貸本でも劇画調の絵ではなく、当時はほのぼのとした絵柄だったと思う。日の丸文庫編集の「オッス!」は、学園漫画とか青春漫画系作品集でしたからね。「少年ジャンプ」創刊時のラインナップには新人というか、メジャー誌ではあまり名前の知られていない漫画家の起用が多く、例えばジャンプ創刊時の看板漫画に、貸本出身の梅本さちお氏の「くじら大吾」を持って来たりしてた。梅本さちおさんも日の丸文庫の「オッス!」などで、よく短編を描いてた漫画家ですね。貸本では、長編も描いてたけど、ほとんど日の丸文庫ですね。「オッス!」の青春ものとは、中学生くらいの主人公たちの生活を描く、さわやか感動ものとかが多かったという、記憶がある。ジャンプで地味に始まり、最初はたいして話題にもならなかった「男一匹ガキ大将」は、その内、見る見る読者人気を得て来る。どんどん人気が上がり、ジャンプが週刊化された頃には、その当時のマガジンの「あしたのジョー」に負けないくらいの、爆発的な少年漫画人気を誇っていたんじゃないかな。「あしたのジョー」と「男一匹ガキ大将」では若干、読者層に違いがあったかも知れないが。主人公・戸川万吉が少年院に入所して、院内抗争を繰り広げるエピソードの頃には、ジャンプで人気沸騰だったろう。「男一匹ガキ大将」って漫画は、それまでに少年漫画の熱血少年ものジャンルで、独占的に人気を獲得していた梶原一騎の、スポ根もの、熱血学園もの、格闘ものの、梶原一騎(高森朝雄)世界観とはまた違う、独特な味を出して、爆発的な少年人気を得ていた。少年人気というか、少年から青年層までの読者人気。「男一匹ガキ大将」の面白さはもう、“力ワザ”でしたね。ど迫力パワーの“力ワザ”で、怒涛の勢いで、連載を推し進めて行き、大人気を勝ち取る、という連載漫画だったように思う。ストーリーの面白さというよりも、やっぱり、凄いパワーの勢いで物語進行して、世の少年・青年層の血を熱くたぎらせて、大人気長編連載した熱血コミック。

 本宮ひろしさんは、Wikipediaで見ると、デビューは1965年で、貸本の日の丸文庫発刊のオムニバス誌、「きみとぼく」所収になってますね。貸本時代は、その後も日の丸文庫の短編誌、「きみとぼく」と「中学生諸君」掲載となっている。「オッス!」のことは書かれていない。僕の記憶としては、貸本時代の本宮ひろし漫画は「オッス!」で読んだと思うんだが、記憶違いなのか(?)。まあ、「オッス!」も「きみとぼく」「中学生諸君」も、収録作品は似たような漫画の編集オムニバス誌ですからね。三誌とも、当時の日の丸文庫の編集・発刊貸本漫画なんだし。また、梅本さちお先生も本宮ひろ志先生も、貸本時代は日の丸文庫で描いていたのは事実として間違いない。

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 週刊少年ジャンプ連載の「男一匹ガキ大将」が1969年か70年頃、最初にコミックス化され、ジャンプコミックスで発刊された初期の巻で、巻末の解説ページに、当時の、第一級銀幕スターの映画俳優、勝新太郎さんからの寄稿文が掲載されてあって、漫画「男一匹ガキ大将」を読んだ感想が載っていたのを、僕は憶えている。無論、詳細は忘れているが、その内容の中には、自分(勝新太郎)が主役を演じた大ヒット映画、当時の大映製作の「悪名」のスト-リーとよく似たプロットだということで、漫画をとても面白く読ませてもらった、というようなことが書き込まれていた、と思う。「悪名」は、一時は参議院議員、後に中尊寺貫主などを勤める高僧となった作家、今東光の大衆小説分野の代表的作品ですね。小説「悪名」の週刊誌初出掲載が1960年で、大映映画化が61年で、映画は大ヒットしてシリーズ化して60年代前半に何本も作られているから、世代的に、漫画家・本宮ひろ志氏が映画を見て作風に影響を受けている可能性は大きいですね。

 「悪名」の作者、今東光氏は、僕が十代末から20歳そこそこの頃の、集英社の週刊プレイボーイの人生相談コーナーで、「極道辻説法」という連載をやっていて、若者読者の悩み相談に回答して大きな反響を得ていました。僕は、この連載がメチャメチャ面白くて好きで、正直、毎週の「極道辻説法」読みたさに、あの当時の僕は毎号、週刊プレイボーイを買っていたようなものでした。まあ、当時の僕は年頃だし、プレイボーイ掲載のグラビア写真見たさも勿論、あったでしょうが。と、いうか、当時の可愛い娘ちゃんの水着グラビアと、毎号僅か3ページだけの「極道辻説法」お目当てで、毎週毎週プレイボーイ購読してた。当時、芥川賞取って颯爽とデビューした村上龍と、今東光のグラビアページ対談特集なんか、ワクワクしながら読みましたねえ。当時は、新進芥川賞作家・村上龍は、僕ら若者世代を代表してくれる、カッコ良い、若きスーパーヒーローのように映ってた。誌上人生相談で、あの時代の普通の一般若者の悩みを、一刀両断にぶった切って、「馬鹿野郎!」と叱り飛ばす、今東光大僧正の回答は、毎回痛快この上なく、読むのが楽しくて仕方がなかったな。当時既に、七十代の今東光も、爺さんなのにカッコ良いヒーローに映ってましたね。でも僕は、直木賞作家でもある、今東光の作品を読んだことはありません。読んだのは、連載の「極道辻説法」をまとめた集英社の単行本、「極道辻説法」全3巻だけです。でも面白く、ある意味勉強になった。

 僕が高校生の時の、何か教科のある先生が、自分(先生)が今までいっぱい本を読んで来て、読む度に「うんうん、良く解る」と、著者の言いたいことを理解し吸収して来たので、とてもタメになった。だから君たちもこれからうんと本を読んで行きなさい、みたいなことを言ってたんだけど、この言葉も覚えてたんだけど、今東光の「極道辻説法」の中で、とある一節に、「本を読んでも、書いてあることを、そうかそうか、と肯定ばかりして読んでちゃ駄目だ。本を読むときは、この本にはこう書いてあるが俺はこう思う、といつでも本の著者と対決するような姿勢で、読まないと駄目なんだ」というようなことが書いてあり、僕は「ああ、そうなんだ。成程」と思って、これは肝に銘じた。つまり、常に本の著者と対論せよ、ということですね。何でも鵜呑みにせずに疑って掛かれ、つまり、考えながら読め、ということでしょうね。これはこの当時、この時、目から鱗、でした。また僕が若い時分、就職して、初めて配属された部署の上司になったSさんが言った言葉。「読んだ本が、自分の血となり肉とならなければ、何にもならねえじゃねえか」という言葉は、これは今東光が「極道辻説法」の中で書いてた一行に通ずる言葉だと思って、何十年経っても忘れえぬ一言です。

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 「男一匹ガキ大将」は、1968年連載開始から73年まで続いた漫画作品ですが、「Kenの漫画読み日記。」中カテゴリ分けは一応、「70年代漫画作品」としました。「男一匹ガキ大将」は中学生の頃までは少年ジャンプ掲載で読んで、後にジャンプコミックスで再読してますけど、僕は、最後まで全部は読んでないですね。ジャンプコミックスで全20巻か。途中までは読んでますけど、最後は、物語をどう締め括ったのか、は解らず終いです。中学三年生の頃はクラスメートで仲の良かったK君と、よく教室で、「虹をよぶ拳」や「男一匹ガキ大将」の話をしてましたね。主人公・戸川万吉が少年院を出所して、全国の不良たちの統一制覇へ向かい、九州鹿児島の大番長のところまで行く、トコくらいまではジャンプ掲載で読んだかな。後は、何やら全国の何万人というホームレスを束ねる、乞食の総大将みたいな髯面のオッツアンが出て来たり、敵か味方か“水戸のオババ”とかと、ひと悶着あったりと‥。「男一匹ガキ大将」という漫画は、全国規模の番長トーナメント戦を勝ち抜き、全国の不良少年を統一した頂点に立つ、という現代昭和版の、戦国時代合戦天下取りストーリー(前半エピソードかも知れないけど)に、「任侠道」的な男心に男が惚れる男気ロマン味付けをして、全開パワー の“力ワザ”で物語進行して、若き男性読者たちの心を熱くたぎらせた、当時の大人気コミック、だったんじゃないのかな、と僕は思うんだけど。1969年から70年までの半年間に渡り、アニメ放送してるんですけどねえ、これは僕は、ほとんど見たことないですねえ。放送形態が、月曜から土曜までの毎日、夕方の10分間で、短い放送の毎日連続だったんですけどね。放送されてるのは当時知ってたけど、何故か、見なかったなあ。

 

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