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「貸本マンガReturns -リターンズ-」

459109191001  前回の、お題「三丁目の夕日」のトコで、長々「ちびまる子ちゃん」を語りましたが、知りませんでしたけど、著者さくらももこ氏の自伝的エッセイ漫画「ちびまる子ちゃん」の続編となる、「ひとりずもう」が小学館の「週刊スピリッツ」に連載されていました。ここでは、主人公さくらももこは、高校生になっています。親友タマちゃんとも同じ高校に通い、同じクラブ活動の物理部に属して、友情が続いています。この漫画「ひとりずもう」は、同じ小学館から出ているスペシャルブックスで、書き下ろしのエッセイ集「ひとりずもう」が原作で、この連載は珍しい、エッセイ本著者本人によるコミカライズなんですね。「スピリッツ」では、まだ「美味しんぼ」が連載されています。すごいっ!いったい何年続いているんだ!?(1983年からビッグスピリッツに連載。時折ある程度の長期休載もあり。コミックスは現在94巻まで刊行。累計販売部数1億部突破。すごいっ!)

 え~、このブログ記事書いてるKen-Mortimaは、美少女子役タレントや若いおねえちゃんのコトしか頭に無い、マンガばかり読んでいるノータリンなアホ者だ、と思われるのも何ですので(まあ、当たっているトコロもなきにしもあらず‥みたいな事も何ですけども‥)、活字の本だって読んではいるんだぞ、と見え張りで書き込む事にしました。まあその、これは読んだ漫画がメインの「漫画読み日記。」ですけども、一応、日記なのですから漫画外の事柄も‥。はい。


 え~と、最近、僕が読んだ本。「国家の品格」新潮新書-藤原正彦著。「貸本マンガReturns」ポプラ社-貸本マンガ史研究会著。この2冊は読了で、読み掛けが、「Web進化論」ちくま新書-梅田望夫著。「国家の品格」は理学系学者の書いた、思想書ですが、固いお題を優しくていねいに解説してあるので、実に読みやすくて、根っから遅読の僕にもラクに、比較的早く読めた本。「貸本マンガReturns」はもう、僕のホームグラウンドテーマみたいなもので、ああ~んノスタルジー!と嬉しい泣き叫びを上げながら読んで行った、楽しい楽しい本。「Web進化論」は、まだまだ第4章「ブログと総表現社会」と最初の方しか読んでません。ちょっと難しいかな‥、とは思ったが言いたい事は解ります。

B9f1b2c8a4cec9cab3ca  「国家の品格」は、戦後、日本人が失った従来、日本人の持っていた思想、理念、日本人の心、というものを説き明かしている本です。良い意味での武士道に代表される思想、観念、道徳心。日に日に進む、社会の荒廃と、失われて行く国家の品格。今こそもう一度考えて、昔の日本人の持っていた、日本人の本来の心を取り戻そうと訴えた、いわば思想書ですね。固いテーマを本当に優しく説明しています。賛否両論あるでしょうが、成程と考えさせられもする本ですね。アメリカを代表とする西欧主義を追随してやまぬ、現日本の姿を憂いて投げかける、現在日本の社会・文化批判。ですね。良い本です。ノンフィクションのベストセラー書ですよね。

448006285809  梅田望夫さんの「Web進化論」も現在、ベストセラー書の1冊ですね。「国家の品格」程までは伸びてませんけど、勿論、本の価値は内容で、販売部数ではありません。書店や出版社にとっては、大きな問題でしょうけど。特に、この「Web進化論」出してる筑摩書房は漫画誌やコミックスはあんまし出していないでしょうから。勿論、出版社には、どこそこなりの、誇りと理念があるのでしょうけど。大出版社の、漫画誌やコミックスが莫大な額、稼いでくれるから、販売部数のあまり望めない、専門書や学術書等の難しい本も出せる、というのはあるでしょうからね。でも、中堅や弱小出版社が、そこなりの専門書や専門雑誌を一生懸命出版してくれてるのは、一般購読者にすれば嬉しい限りですよね。
 「Web進化論」はさっきもいったように、一部しか読んでいないので、しっかりと読後感想などは書けないんですけど、言いたい事であろう、Webの進化が社会構造を変える、というのは解ります。ああ、そすうか、成程なあ、と。僕が読んだブロックの「ブログと総表現社会」の章では、ネットでブログをやっている人が1千万人の大台にまで行き、総表現社会になってしまうと、玉石混交状態ではあるが、面白い価値ある記事は百人に一人は居る、という事実があり、その上澄みの玉の部分をすくい取る、グーグル他の検索機構が進化すれば、メディア権威の支配構造を根底から揺るがす、事になるやも知れぬ(なるであろう)、というこれも社会構造を変える一因となる、と説明しています。


 こう書いても、ちょっと解りづらいでしょうけど、要するに、今現在、メディアという権威が認めた、ほんの一握りの表現者=プロしか居ないのが、ネットの充実で、誰もが参加出来る総表現時代になった。増えるブログは限りなく1千万にも近づいている。優れたアマチュア表現者が、プロ表現者やそれを認定する権威のメディアを脅かす、ということです。後は、検索エンジンの技術進歩ばかりだと。

 いや、面白いです、「Web進化論」。ちょっと難しいけど。この著者の梅田先生は、ちょっと前のテレビ東京の深夜経済番組に出演していて、こういう事も言ってました。今の、CP関係の若い人達が、脳が繋がっていると表現している事象。これは、一人の会社員に上司が頼んだ事柄がその会社員の能力の範疇に無い内容でも、ネットの向こうに居る友人知人なりの専門家に訊けば、その仕事は解決できる、と。つまり、ネットを介していろいろな人と繋がる事により、知識や情報が、あっと言う間に自分のものに出来る、ということです。まあ、実際、もっと単純な事柄ですが、たいていの簡単な事はネットで検索すれば、ワザワザ分厚く重い大百科事典で調べなくとも、すぐに解る。この、脳が繋がる、から発展して、ネットで作られている大百科事典Wikipediaの事実。素人万人が自分の知識を持ち寄り、ジグゾーパズルかロゴ模型のように少しずつ、万人の知識を積み重ねて作られる、構築ネット上大百科事典。まだまだ、ネット社会は、思いもよらぬように未来社会を形作って行くのかも。
 「Web進化論」とは関係ないけど、携帯電話の進化もありますよねえ。携帯の企業はこれからは、ケータイのカード化に力を入れて行くようですし。オサイフケータイの充実。自販機対応。カード代わりの支払い機能。ローンやキャッシング。IDカードにもなりそうだし。ケータイは超小型パソコン化して、TVから音楽から、何でも出来るようになっているし。

408747451809  後はねえ、小説だと読みかけは、集英社文庫のミステリで、真保裕一氏の「ボーダーライン」はだいぶ長いこと間開けとるなあ。アメリカ舞台の日本人探偵の人捜しもの、ハードボイルドタッチで面白かったんだけど、しばらく置いてしまった。僕もド近眼が近頃の急激な目の衰えで、ますますの遅読状態になり‥。いかんともしがたい。やっぱ、最近の読了は「貸本マンガRiturns -リターンズ-」ですね。


 ああ、やっと本文に来ました。え~と、漫画の事柄です。今回は純粋に漫画作品1品ではありません。番外編で、いわば漫画評論本です。「貸本マンガReturns -リターンズ-」。貸本マンガ史研究会の諸氏の研究成果の評論エッセイ集。読みやすくて、戦後の貸本文化とその歴史がよく解る、エッセイ調で綴る面白い評論。挿絵になる図版も充実していて最高です。

 僕が幼少時には、まだ貸本は存在してました。小学校低学年の僕は、毎日夕方、近所にあった貸本屋へ通っていました。50年代初頭に始まった貸本文化は、もうその頃は最後期・末期でした。大手出版社が出していた月間少年漫画誌数誌、59年から刊行され始めたサンデー・マガジンの2大週刊誌。これがメジャーであり、裏街道の貸本は、マイナーであり、いわばアングラ文化みたいなものでした。貸本を取り扱っていたのはほとんどが中小企業の弱小出版社です。出版社といっても、夫婦だけに毛の生えた程度の規模だとか、大きくても数人でやっているような会社だったようです。後に、貸本向け漫画を描いている漫画家そのものがプロダクションを作って、編集・出版をもやり出したりしていた。全盛時、貸本屋さんは全国に3万軒あったと言われますが、独自の流通経路を持つ、ごくごく小さな規模の会社組織や小売業者の集まりで作られた世界のようですね。便宜上、小売業者と言いましたが、1泊2日1冊10円15円の、小さな貸本店ですね。僕は10歳くらいまでは、ここに毎日通って育った。

 「貸本マンガリターンズ」という書物には、当時の貸本文化の全てが紹介されています。貸本の流通経路などの仕組みから、貸本の歴史、貸本漫画のさまざまな種類と内容。時代による内容の傾向。インディー・マイナー世界の中でも、ベストセラー作品、スター漫画家。などなどと、50年代初頭に始まり、60年代末に終焉を迎えた貸本漫画文化の全てを網羅、これ1冊読めば全部解ります。

459109191001_1  子供の頃、僕が憧れ慣れ親しんだ貸本漫画世界のヒーロー達。思いつくままに、懐かしい憧れのヒーロー達の名前だけを挙げて行くと、「ジャンプ獅子」「独眼探偵」「ファイトメン」「爆弾野郎」「サタンボーイ」「渡り鳥」「ジャガー」「影男」「台風五郎」「トップ屋ジョー」「パクリ屋お六」「タックル猛牛」「アイアンマッスル」「万能屋錠」…。夢中で読んだ世界、貸本短編誌。「鉄人」「青春」「17歳」「オッス」「怪談」「オール怪談」「ゴリラマガジン」「刑事」「忍法秘話」など。ああ、思い出すと涙が出て来そうなくらい懐かしい、ああんノスタルジー!の世界ですねえ。何しろ、毎日2冊、絶対借りてたからねえ。読むのが無くなったら一度読んだの、また借りてた。子供の頃、小学校に雑誌を持って来て見せる子供達は一様に、大手出版社の月刊漫画誌か、小学館の学習雑誌を学校に持って来ていた。そしてその雑誌の事ばかりを話題にしていた。僕の知っている限りは、当時の僕の周りで、貸本屋に通う小学生はごくごく少数派でした。僕はみんなの知らぬ「劇画」という言葉を使う事を得意に思っていました。こいつら、漫画しか知らねえ、劇画を知らねえんだ、と。何か自分しか知らない世界、自分しか知らないヒーロー達が居る、という事が一種選良意識で嬉しかった。

 まあ、この書物をありがたがるのは、もうけっこういい年齢の人になりますけどね。でもま、甘いノスタルジーの世界へと誘ってくれて嬉しかったですよねえ。よく知らなかった貸本漫画界の事情とか、どうして何処から生まれて来たのか、衰退原因とか詳しいことがよく解ったし、短い期間であった貸本文化の歴史がよく解って、読めて良かった本でした。オールド漫画ファンには、なかなか嬉しい良い本ですよ。もうここでは、思い出に残る個々の漫画作品は取り上げない事にします。

 で、上記の「Web進化論」の続き文になるんですけど、あの本読むと、ブログで自作小説等を発表されている方が、もしメディア権威の人の目に付き、拾い上げてもらいやがては自分もプロ側に‥、などという野心を持っているならば、それは極めて希望の薄いものなんだ、という気持ちになりますよ。直言でそういう事が書いてある訳ではないんですけど、そう思わせる内容でもあります。メディア権威に認めてもらい、プロを目指すなら、やはり昔ながらの応募・投稿が良いように思えますね。ブログ本というものが出版されてますけど、極めてごく少数だし、特殊な内容の日記本ですしね。今のところ、軽い内容で簡単文化の読みやすい生活話題本で、似たような内容の本は二冊といらない感じだしね。何だか、あの本読んだら、ブログはブログというネット上の独自の世界として、膨れ上がり成長し、進化して行きそうなものに思えて来ます。そこからある程度の収益を得ようというのはちょっと難しい、自己表現の媒体という…。

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コメント
 
 
 
貸本漫画、リターンズは本屋で見かけて、気にはな... (まんがふぁん)
2006-04-24 04:51:37
貸本漫画、リターンズは本屋で見かけて、気にはなっています。安い本ではないので、財布と相談したら、却下されました。私は、所謂、貸本の世代ではありません。田舎育ちなので、小さな本屋があるだけで、大半の本は見かけることも無く過ごしてきました。そもそも本を貸す、レンタルする文化があることを成人するまで知りませんでした。レンタルビデオですら、です。私にとって、漫画とはジャンプであり、コロコロコミックなのですね。貸本文化の無い地域、世界で過ごしてきたので、原体験が全く無いのです。だから、私は貸本を持っていますが、懐かしいから持っているわけではなく、漫画が好きなので、資料として集めているといった所です。結果として、私はテレビっ子であり、漫画はあまり読んではいなかったことになります。欲しがらず、手にも入らないという感じで。ほどよく、スーパーカーやアイドルがムーブメントになり、ますます漫画から離れる事になります。私にとって、漫画とは、アニメであり特撮であったと言えるわけで、現在の私はまるで捏造されたかのような漫画ファンぶりでもあります。
で、何が言いたいのか、といえば、貸本屋を原体験している事が羨ましく思う。ということでしょうか。知っている事と体験する事は全く違う事ですから。
 
 
 
まんがファン様。 (Ken)
2006-04-25 03:53:05
まんがファン様。
コメントご意見、どうもありがとうございます。
僕も、30代頃は、昔読んだ漫画がもう一度読みたくて、欲しくてたまりませんでしたが、今は昔の漫画が手元に欲しい気持ちは、そう強くもないです。
でも、けっこう、朝日ソノラマとか中央公論社とかから出た愛蔵復刻版とか、持ってますよ。貸本は持ちませんけど。
僕にとって、子供時代に読んだたくさんの漫画は、大きな大きなものとしてあります。自分の過去を振り返って、郷愁というものを大きく感じるのが、6歳から13歳頃に読んだ、多くの漫画です。
それは、何か、子供の頃の家族の思い出よりも、ワルガキ達と遊んだ思い出よりも、初恋だとかの思い出より、もっともっと大きなものとして、甘く嬉しく懐かしく郷愁を感じるものです。
僕は大人になって、立派な人間としては育ちませんでしたけど(成りませんでしたけど)、自分を作った基礎は、この子供時分に読んだ膨大な漫画だと、思っています。だからブログでも、やはり一番中心は漫画です。
(あの、僕は立派な人間に育たなかったって、別に僕は犯罪者だという訳ではありませんので)。
 
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