よのなかに かほどうるさきものはなし とらんぷ とらんぷと よるもねむれず
かほどうるさきトランプから離れて、日本のことも書いていきたいと思います。
日経新聞が日曜日にフルページで、クリストファー・シムズ教授の財政理論(FTPL)をインタビュー形式で解説しました。ノーベル賞を受賞したプリンストン大学教授の理論が評判になりつつあります。シーサイド親父さんは、
>シムズ教授の物価水準の財政理論(FTPL)の内容が徐々に分かってきたところで、さっそくリフレ派の人たちが、そちらに移動している構図が見えてきました。
と書かれています。
特にアベノミクスの理論的支柱の一人である浜田宏一氏がそこに活路を見つけたようですので、クギをさしておきましょう。いや、彼はアベノミクスが功を奏さないので「自分は間違っていた」と認めたのに、また誤った理論で上塗りしようとしているので、年寄り見合ったお灸をすえておきたいと思います(笑)。
なんのことだかわからない方が多いとおもいますので、まずは超簡単解説をしておきます。
日経記事のタイトルは「インフレで債務軽減宣言を」。サブタイトルは「脱デフレ、金融政策では限界だ」です。
タイトルだけでピンとくる方もいらっしゃるでしょう。そもそも金融政策だけで2年もすれば簡単にデフレから脱却できると高らかに謳いあげた連中が、失敗したので別の手を考え、それをまたぞろノーベル賞受賞者に言わせているということを。
そもそも超緩和策の核心部分はクロちゃんが何度も言っていたように、みんなの「期待インフレ率」に働きかけ、みんなが「インフレになるかも」とその気にさせることでした。
それに失敗したのに、今度も「インフレになるまで、徹底的に財政出動をするぞ」と政府に宣言させ、みんなをその気にさせろと言っているのです。
財政出動の目標を従来からの景気回復とはせず、インフレによる債務削減にしようというのです。つまり「インフレが100%になれば、政府の債務は実質的に半分だ」、ということを目標にします。するとみなさんの現金・預金の価値も半分になる、恐ろしい政策です。
そんなバカな、冗談じゃない、と言う反論に対してこのシムズ教授の用意した回答は、「いや、100%じゃなくて、2%までだよ」です。
日経に出ている彼の言葉を引用します。まずは、
「政府のトップが『インフレを起こす準備ができている。それを債務返済に使う』と言えば、人々の予想を十分に変えることができる」と言っています。さらに、
「歯止めの効かないインフレは恐ろしいものだ。人々は物価が目標の2%に達して以降、3%、4%、5%と上がっていくのではないかと恐れる。しかし今では金融政策の進化で、インフレを抑制する手段が多くある。いざとなれば緊縮財政に転じることもできる」。
私はこれを見て、「なんともおバカな政策だ」と即断しました。理由はたったひとこと。
「ネタバレの政策に誰が踊らされるもんか!」
人々はハイパーインフレにこそ恐れを感じますが、ネタバレ・インフレなど「どこ吹く風か」に違いありません(爆)。
私は立派なノーベル賞受賞者をおちょくるつもりはないのですが、自分の理論に酔ってネタをばらし、人々をあざむけると思ったら大間違いです。
今一度、この教授の考え方を日経新聞により解説してもらいます。ちょっと難しい言葉が含まれます。
そもそも彼の考え方は、「物価水準の財政理論」に基づきます。英語ではFTPL、Fiscal Theory of the Price Levelの略です。数式はシーサイド親父のコメントにありますが、難しく、怪しいので省略し、以下に日経の記述を引用します。手順は、
① 政府が財政支出を増やす
② 企業や個人が将来の財政悪化を懸念する
③ お金の価値が下がる
④ インフレが発生する
インフレで政府債務の実質価値を減らそうというものです。 そして政府は、
「増税しません。インフレで借金を返しますと公約すればいい」、とあります。
このブログに集まっているみなさんなら、そんな公約を宣言した瞬間に待ってましたとばかりに、政府をあざけるでしょう。何故ならみなさんは、
「そんなこと言われなくたって、とっくの昔に財政リスクや円リスクには準備万端だよ」だからです。
それでも浜田先生のお言葉にアベチャンが乗ったらどうなるか。次回はそれを債券の専門家の見方で見通しておきます。
つづく