ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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定年退職さんへの資産運用アドバイス 1

2017年02月08日 | 定年退職時の資産運用

  長野県の諏訪にある富士見パノラマスキー場から一昨日戻りました。今回も好天に恵まれ、楽しく滑ることができました。いつも宿泊する八ヶ岳のペンションでの食事も楽しみの一つです。

   夕食は本格的フルコースで、オードブルに魚料理に肉料理、3種のデザートも付きます。朝食にはフレンチトーストにたくさんの果物も出て、一人1泊1万円2千円程度はとてもお得感があります。部屋も広く清潔で、オーナーの若いご夫婦にご両親の4名で歓待してくれるため、安心感があります。そういえば宮崎駿さんのサイン色紙もありました。なんだか宣伝めいてしまいましたが、応援したくなるペンションです。

 

  ではおまたせしました、定年退職さんへのアドバイスです。資産などの詳細な内訳を開示いただき、ありがとうございます。

   驚くほどの金融資産をお持ちですね。これまでの堅実な暮らしぶりが手に取れるようにわかります。今後も株式などへ投資をせず、超安全な米国債への投資を考えていらっしゃるという理由も理解できます。

  「ストレスフリーの資産運用」をお薦めする私としても、堅実さを大切にされる定年退職さんには、アドバイスのしがいを感じます。たぶん1回ではアドバイスしきれないと思いますので、ご本人とじっくりとやりとりしながらアドバイスを差し上げたいと思います。

 

  最初に、全くもって勝手な計算をしてみます。私が定年退職さんならこうします、という提案だと思って聞いてください。

   まず今後のラフな人生設計ですが、これまでの堅実と思われる人生を一変させ、私のようにリタイアしたら死ぬまでに金融資産をゴルフや旅行で使い切るような人生にされるか、あるいはこれまでどおり堅実さを維持されるかどちらでしょう。

   仮に堅実なる生活を維持しながらも、趣味や旅行である程度余裕を持ち、リタイアライフをエンジョイするという前提で提案をさせていただきます。

  であれば、実は資産運用など全く必要ありませんよね。公的年金プラスご自分で掛けた年金関連収入で、月々のキャッシュフローは十分確保できると思われるからです。

   個人年金などを一括でもらわず、終身でもらうことを前提にしたおよその計算をしてみます。月々の年金額はいただいた数字を元に計算した概算です。間違っていたらご指摘ください。

 

<60歳から64歳までの定期収入>

給与40万円+財形5万円+住生5万円+日生10万円程度=月額60万円

5年合計3,600万円

 

<65歳以降69歳まで>

公的年金21万円+財形5万円+住生5万円+日生10万円=月額41万円

5年合計2,460万

 

<70歳以降終身>

公的年金21万円+住生5万円+日生10万円=月額36万円

85歳までの15年間とすると合計6,480万

 

  もちろんここから税金が引かれますので、その分はご自分で勘案ねがいます。

  上記のキャッシュフロー収入は、5年ごとに減っていくようですが、実際には年齢とともに月々の必要資金も減るので、あまり心配はいらないと思います。

 

  その上に、本来の意味での現金・預金が以下のように潤沢にあります。

 郵便局500万、A銀行200万、B銀行450万、C銀行300万、

A生命保険会社100万  合計1,550万

それに、退職金約2,000万を加えますと、現預金が3,550万もあります。

 

  この現金は、いざというときの予備でもありますが、毎年お二人で100万円の豪華旅行をしても、使い切るのに35年もかかり、その時には95歳にもなっています。早く使わないと使い切れませんよ(笑)。

   以上がアドバイスの第一弾です。ストレスのある運用などしないで済めばそれにこしたことはありませんし、定年退職さんの場合、実際に必要ないと思います。

   しかし私が普段から申し上げているように、円の現金を保有すること自体がリスクと感じられるようでしたら、かなりの部分をドルに転換しておくことをお薦めします。

   その場合、いくらくらい転換するかですが、それに正解はありません。また、ドルに転換するのはいつか、どのくらいのレートで転換すべきかとか、転換後もついつい毎日ドル円レートを気にすることになり、それがストレスになる場合がありますので、ご注意ください。

  それでもある程度ドル資産を保有する場合、円リスクをドルでヘッジする安心感とドル保有のストレスを比較してみてください。たとえばいわゆるファイナンシャルプランナーという人達が書いている「3分の1くらいは外貨で」とか、半分外貨でもいいと思います。どの割合でマッチングするかは、最終的にはご自分で判断していただきたいと思います。

 

  ちなみに私の考え方は著書で示してある通り、「現預金のほとんどをドルにすべきだ」というかなり極端に聞こえる提案です。ご自分の不動産や今後得られる年金を円の債券に換算した総資産を計算すると、多くの方の円資産はかなり膨大になるため、たとえ現有資産の3分の1をドルでヘッジするとしても、いま持っている現預金のほとんどになってしまうからです。

  では定年退職さんのケースを具体的に数字でみてみましょう。将来の年金の総額は計算済みです。

 <将来の年金総額を含む総資産>

持ち家1,500万+65歳までの収入3,600万+70歳まで2,460万+85歳まで6,480万=1億4千40万

 

この総額の3分の1だけをヘッジすると、ドルへの必要転換額は  4,680万

家を除いた資産の3分の1とすると、  同           4,180万

   つまり現時点の現預金3,550万を全部ドルにしても3分の1にも追いつきません。なので私は保有資産のほとんどをドルヘッジすべきだとアドバイスしているのです。もちろん当座の必要資金は確保しておきましょう。

   そこまで極端なリスクヘッジはせず、保有している現預金の3分の1程度だとしても、1,200万円程度が転換必要額になります。

   まずここまでのアドバイスで、定年退職さんの感想をお聞きかせください。わかりづらいところがあれば、遠慮なく聞いてください。

  なお質問はご本人でなくとも大歓迎です。読者のみなさんも簡単ですので、是非こうした計算をして、ご自分の将来総資産額を把握してみてください。

コメント (13)
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