ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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円高・デフレのトラップに嵌まり込む日本  31.じゃ、どうしたらいいの  その⑮

2012年04月20日 | 資産運用 
  4月5日の記事で、私は「アップルの株は高いので買わない」と申し上げました。


  バブルの匂いがしたからです。その時のアップルの株価は633ドルでした。アップル株は9日に636ドルの高値を付けましたがその後は大きく反落し、昨日19日のNYでは587ドルと、あっという間に10%近い下げを演じています。

  今後この株価がどう推移するかわかりませんが、折角のよいサンプルですので、みなさんは株価をしばし追ってみてください。特に5-10年の長いレンジのチャートを見ることをお薦めします。今年に入って5割近い上昇をして、私がバブルの表現で使う言葉、著書でも使いましたが

「東京タワーが立った状態」

を見てとれます。そしてバークシャー・ハサウェーの株価のチャートとも比較してみてください。

  アメリカ株のチャートを見るのに便利なのは、アメリカ版のYAHOO Financeです。
http://finance.yahoo.com/

 それぞれの株のシンボル(ticker)はアップル;AAPL、バークシャーA株;BRK a です。チャートは年数を変えて見ることができます。長い年数で見ると同じPER20倍でもバークシャーとアップルの違いが一目了然です。東京タワー型と山脈型の違いです。


さて、前回までのお話をふりかえりますと、

「株価を算定するには、割引現在価値の方法」
が優れている。そして

「割引現在価値の方法とは、実は確定利付き債の価格決定理論の応用だ」



さらに「債券計算がすべての投資の基本動作」なのだ、というお話をさし上げました。

  しかし割引現在価値の計算は面倒ですから、みなさんはそんなことをする必要はありません。そのかわり以下の簡便法を使ってください。

簡便法1.キャッシュフローを生みださない資産は買わない
 典型的にはゴールド(金)やゴルフ会員権です。ただし会員権はメンバーの割引がビジターの払う金額比べ何度かプレーすれば得をするなら、買ってもペイするかもしれません。金は価格が買い値を下回ると、利子はもらえないのでひたすら価格の上昇を待つ以外ありません。

簡便法2.株価はPERで判断するのが簡便法だが、低PERであっても倒産するかもしれないので手を出さない(笑)

簡便法3.とにかく評判になっているものには近づかない
これが一番安全かもしれません。投資しなければ失うものはありませんから。

「つまんねー!」という声が聞こえます。

そうなんですよ、安全な投資にはロマンもなにもありません。ロマンでは自分の資産を確実に増やすということはできないんです。

  このバブルの匂いを嗅ぎわける力を身につけることは、投資の世界だけでなく、日常生活でも大事なことだと私は思っています。自分の住む家を買う、別荘を買う、そんな時にはみなさんもかなり気を付けるでしょう。しかし例えば就職をする時でも、そこに何かバブルの匂いがしたらそれを避ける。ゲーム産業が破竹の勢いなら、決してそうした企業に就職してはいけません。消費者ローン会社と同じような運命をたどるのは目に見えているからです。

次回からは、債券のバブルついて述べて行くつもりです。

つづく
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