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円高・デフレのトラップに嵌まり込む日本  38.じゃ、どうしたらいいの  その22

2012年06月02日 | 資産運用 
日本経営合理化協会さんでの「会社と社長の資産防衛」セミナー、6回シリーズの収録のうち4回が終わり、あと2回残ってはいますが、気分的にはほぼ山を越えることができました。ブログの方に力を徐々に入れていきたいと思っています。

昨年の10月から開始した「円高・デフレのトラップに嵌まり込む日本」のシリーズ、終盤に近付きつつあります。最後は「バブルの臭いを嗅ぎ分けろ」というサブタイトルで、相場変動をどう見るかのお話を、私なりにみなさんに解説してきました。

  まとめますと、

① 妥当な株価はPERで15倍

妥当な株価レベルとはPERで15倍程度。つまり将来の1株当たり予想キャッシュフローの15倍程度が歴史的には妥当で、それを超えてきている時は要注意だ、ということでした。

② 債務は収入の5-6倍

国家の債務の場合、税収の5-6倍が目安で、アメリカは6倍、日本は24倍にもなっている。またGDPとの対比では、明確な目安はないものの、現状では市場はGDPの0.8倍程度までは安全圏とみているようです。ドイツがこれにあたります。アメリカは110%、日本220%。戦後のデフォルトは237倍で起きた。

③ ゴールドなどの価格バブルは、東京タワーが立ったら注意
キャッシュフローのない商品などは値動きのチャートを見て、一方的に上昇が続き、加速度がつくとカーブがエビ反るような形になることがあり、そうなったら頂点が近い。キャッシュフローのある株でも、やはり東京タワーには気を付けること。

④ ハヤリものにはきをつけろ
   ゲーム産業が好例。宣伝量が爆発的に増え、みんながこぞって参加し、高収益を謳歌しはじめたらそれがピーク。任天堂しかり、スクェア・エニックスしかり。


   こうしたバブルは、ちょっと冷静にその本質的価値があるか否かを考えれば、継続するかわかるものばかりです。その話を友人にしたら、

   「おまえはいつも世の中の動きをヒネた目でみているからな(笑)」と、言われました。
      
   自分としてはヒネているのではなく、経済・金融ヲタクらしく物事の本質を見極めないと気が済まないからなのですがね・・・


   さて、私がセミナーの収録に集中している間、5月の株式相場は惨憺たる結果になっていました。2月に日銀がデフレ退治を目指して、インフレ目標を設定して以来の上昇を吹き飛ばしてしまったようです。アメリカの株式相場の動きも同様です。そしてその間に買われたのは米国債と日本国債。通貨でいえば米ドルと円。米ドルは、円以外の通貨に対しては上昇しているのですが、円だけには負けています。
     
   シリーズの最後は、「デフレの克服はできるか」というテーマについてお話をしていきます。

つづく
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