先週土曜日の朝、FMラジオのゴルフ番組で聞いたゴルフ話です。番組ホストのプロゴルファーT氏とゴルフ・ジャーナリストU氏の会話を適当にサマリーしました。
T;安倍さんがトランプに贈ったあの50万円もするホンマのゴルフクラブ、どうよ。
U;ハンディ3の使うドライバーじゃないね。金持ちじいさんのスペックじゃ、とてもトランプには合わないし、ハンディ3のゴルファーが人からもらったみやげドライバーを使うなんて、ありえない。あんなんでトランプと親しくなれたと思ったら、大間違いだよ。
T;外務省の役人が買って来たってよ、中国製ドライバーを(笑)。日本名のブランドだけど、株主はほとんど中国人だって知らないのかな。中国人の金持ちを騙すためのクラブだよ。
U;そう、トランプにしてみれば皮肉もいいところで、「なんて嫌味なやつだ」に違いない(爆笑)。
(林の注)ホンマゴルフは2005年に破たんし、日本のファンドが入って再生。それを中国系の投資会社が買収。日本では見向きもされなかった時代、台湾を含む中国人の金持ちをターゲットに、バカ高いクラブを売っていた。現在は香港に上場されていて、株主の9割以上が中国籍。最近はツアープロに高額の契約金を支払い専属契約を結ぶ戦略が奏功。最初は韓国勢プロが多かったが、日本人プロも使用するようになっている。
U;トランプ陣営は安倍首相がヒラリーと会っていることをにがにがしく思っているし、今回はファミリー同士なら会おうといって家に招き入れたのに、ファミリーは来ずに役人がぞろぞろ付いてきた。日本政府はあの会談でTPPの説得をしようとしたけど、大間違いだ。そんなこと、トランプが話すわけないよ。だいいち、まだオバマが大統領だからね。オバマを怒らせちゃったから、もし1月20日までに戦争でも起こって日本が攻められたら、政府はどうするつもりだ。
T;ところで、トランプ陣営にコネがあるんだって?
U;あるよ。日本人では数少ないコネがね。「政府のために使ってあげてもいいよ」って内閣府のしかるべき筋に申し入れたんだ。そしたら、なしのつぶてだった(笑)。オレがアドバイスしていたら、このタイミングであんなトンチンカンな会談なんかさせなかった。トランプ陣営は安倍首相に対してはヒラリーとの会談以来怒り心頭だから、ドライバーもらって喜んで親しくなれたなんて、これっぽっちも思っていない。
D;ドライバーなんて価値なかったってこと?
U;あれって中国製品だよ、トランプが嫌っている。嫌味だよ(笑)。彼はまだ大統領じゃないけど、アメリカじゃ普通、政府関係者への贈答や食事の接待は、せいぜい50―100ドルまでだよ。そんな基本的なこと外務省が知らないわけないのに。500ドルは立派な賄賂だよ。トランプの返礼の50―100ドルのポロなら許される範囲だけどね。
サマリーは以上です。
私はこの放送を早朝、ゴルフ練習場に向かう車の運転中に聞いたため、記述したことは正確とは言えませんが、趣旨ははずれていないつもりです。
この番組は毎週土曜の朝5時から8時に放送される、ゴルフ場に向かうゴルファー向け「グリーン・ジャケット」というインターFMのゴルフ番組で、パーソナリティーはTBSテレビのサンデーモーニングで「屋根裏のプロゴルファー」と自称するタケ・小山氏。この日のゲストは政治ジャーナリスト廃業宣言をした上杉隆氏。いまはゴルフ・ジャーナリストとか、元ジャーナリストと自称しています。彼は以前NYタイムズの日本記者で、日本のジャーナリズムと政治の癒着を象徴する「記者クラブ」システムを批判したため、政治の主流からは完全にホサレています。
ご存知のように省庁や政党、それに類する政治団体、さらには経済団体など、ほとんどの組織は自己防衛のため、記者会見の参加者を大手新聞などの御用記者に限定し、海外メディアやフリーのジャーナリストに門戸を閉ざしています。それは大手新聞社・放送局などが、自分たちの独占的権益を維持するためにも利用されています。
彼は「報道の自由」以前に、門戸すら閉ざしている大手報道と政府などの鉄の結束を批判し続けました。そして挫折。その後フリーのジャーナリストとして3・11直後に原発のメルトダウン情報をいち早く得て暴露したところ、隠そうとする東電・政府サイドからこれまた徹底的に叩かれ、その後はほとんどすべてのメディアから追放されています。以前はフジテレビの「新報道2001」に準レギュラーで出演していましたが、舌鋒鋭い政府批判で降板させられた経歴も持っている鬼っ子ジャーナリストです。政治から締め出された後は、好きなゴルフを飯の種にゴルフ・ライターをしていましたが、やはり政治には未練たっぷりで先日の都知事選に出馬もしていますし、ネット放送を主催したりしています。。
一方のタケ小山もプロゴルファーというよりも舌鋒鋭いゴルフ・ジャーナリストの呼び名の方が合っていて、上杉隆とはウマが合い、この番組の準レギュラーです。二人の共通項は、「日本ゴルフ改革会議」という団体で、議長はゴルフ好きの大宅映子、副議長にはアナウンサーの蟹瀬誠一やスポーツライターの玉木正之がいます。その会議の趣旨をウィキペディアから引用します。
「日本ゴルフツアー機構国内男子ツアーの衰退、進まないゴルフ場利用税撤廃問題、若者のゴルフ離れや団塊の世代の高齢化、ゴルフとメディアの関係などの様々な問題を検討し、関係各所に具体的な提案を含む報告書を提出することを目的としている。既存の権益や利害関係に縛られずに「OPEN」で「FAIR」な議論を通じて、現実的な提案をすること、それによって日本のゴルフの健全で堅実な改革に少しでも貢献できるのではないか、という考えのもと月1回のペースで会議を行っている。」
私は一ゴルファーとして、この趣旨に全面的に賛成します。
日本の男子プロゴルフは不振を極めています。海外の事情に詳しく、ゴルフ好きで着眼点の優れた二人の言うことに耳を傾けたら、有力なヒントがえられるのではないかと思っています。
タケ小山のゴルフはアメリカ仕込みです。彼はアメリカでプレーヤーとしてのゴルフだけでなく、ゴルフリゾート経営全般を学び、その後早稲田の大学院スポーツ科学研究科でスポーツマネージメントを修了しています。
この二人の心情的共通点は、既得権益を守ろうとする古い体質の組織防衛に対し、実に的を射た批判と提案を展開するところです。私はそうしたジャーナリスト精神を評価しますが、なにせ二人とも的を射すぎるため、体制派からは嫌われ、不倶戴天の敵が多すぎます。
上杉は政治ジャーナリズムの世界からシャットダウンされ、小山も古い体制派のゴルファーやゴルフ団体からは締め出されています。口の悪さは、私が聴いていても「それは言い過ぎだろう」という部分が2割くらいはあるほどです。
それでもゴルフ界を含む世の中のためには、口の悪い二人の話にたまには耳を傾ける価値があると思っています。
以上、つれづれなるままに