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米国債投資をお考えの方へ、今買うべきか

2016年11月26日 | 米国債への投資

    10日ほど前の記事の最後で、私はこう書いています。

「このままNYで株高、金利高、ドル高が一方的に昂進するとは思っていません。今の株高などは、日本株を含め、どう変節するかもわからないトランプノミクスのいいとこ取りにすぎないと思っています。」

   この見解は変わっていません。これに関しては、のちほど詳しい理由を説明させていただきます。

  今回は緊急に「米国債投資へのアドバイスがほしい」とのリクエストが多く寄せられましたので、それにお答えします。

  アメリカの株高と金利高がさらに昂進しました。これまでアメリカ国債に投資するかどうかを検討していた方も、10年債が2.3%台まで来ると決断をすべきか悩んでいる方も多いと思います。

   できれば円高局面でドルを仕入れ、その後の米金利高局面で米国債に投資することが理想です。トランプの勝利前までしばらくの間、円高と米金利安が続いていましたが、現在金利がかなり急上昇しました。いまそうした投資チャンスがきつつあります。すでに投資を実行された方には、「よいタイミングでした」と申し上げます。

   あるいは米国金利がさらに高くなるチャンスを待っている方もいらっしゃると思います。そうした方には「チャンス到来」と申し上げます。といっても、金利のことですから、来週、来月、来年はもっと高くなっていることもあるでしょう。ご自分である程度の目安を持っていらしたら、その目標金利を目指すべきです。

 

   私はまた、円高の時点では満期が数年以内の短期債を、満期を分けて買っておくというやり方もお薦めしました。数年とは5年以内くらいが目安です。そして満期到来時に金利が上昇していれば長期債に入れ替える、上昇していなければまた短期債でチャンスを待つやり方です。そうした戦略をすでに取られた方は今どうすべきでしょうか。

   まず一つの方策は、そのまま初心貫徹すること。二つ目は満期構成の中で一番短い期間の債券価格は大きく下落していないはずなので、それらの債券を売却し長期債に入れ替えること。

   二つのどちらでもよいと思いますが、どちらが良いかはご自分でご判断をお願いします。

 

   一方これから長い目で投資機会を探るという方は、現時点からこの短期債への分散投資戦略も有効だと思います。現在5年債が1.84%、2年債でも1.12%あります。くりかえしますが、ドルの現金で置いておくよりも多少なりとも金利を得て、債券価格の変動の影響を受けないよう、満期まで保有するということです。そして満期時点で金利が上昇していれば、長期債投資に踏み切ります。

 

   先日のコメント欄には、現時点で30年債に投資すべきか迷っているとのコメントもいただきました。個々の方への最適なアドバイスは、一般論ではできません。私は個人的に相談を受ける場合、その方の年齢、家族構成、全資産などの基本情報を得ることはもちろん、今後の生活設計までを伺った上でアドバイスを差し上げます。その方の将来を左右する大事なアドバイスですので。

   証券会社のように自社が儲かるものを薦めたり、セールス担当が自分の点数があがるような商品を薦めることは絶対にしたくないのです。

 

   それでも、ご自分のプロファイルなどはさておき、「現時点で米国債を買うべきかを教えろ」という方も多くいらっしゃるので、超一般論で今の時点、つまり10年物金利が2.36%での投資はどうかと聞かれれば、「悪くない」とお答えします。ドル円が100円そこそこで長い間うろうろしていた時にすでにドルへ転換していたなら、余計にそれをお薦めします。

 単純計算で、金利と為替を簡単に比較します。

2.3% X 10年 = 23%・・・これが113円 X 23%=26円分に相当、

    113円 ― 26円 = 87円

つまり現時点のドル円レート113円が、87円になっても損はないことになります。ですのでお薦めします、となるのです。

  しかも、もしドルがうろうろしていた時の103円程度ですでに買っていたとすると、さらに10円幅の円高にも耐えられることになります。

  以上、この時点での米国債投資でした。

コメント (15)
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