大統領選の開票のあった11月9日から10日にかけて多くのコメントをいただきました。また前回の記事にもいくつかのコメントをいただいています。やっと時間的余裕が出てきたので、これまで返事をできずに気になっていたみなさんからのコメントに、まとめて返事を書かせていただきます。
ぽんぬきさんへ
>林先生のご著書に沿った指南は今後も有効であるのか?長期スパンで見ればむしろ円高が外国株や米国債買いのチャンスとなり得るのか?
これは円安方向に行ってしまったので、瞬間風速で過ぎ去りましたね。果たしてチャンスをつかまえた方、いらっしゃるでしょうか。
>不透明度が増した今後の日本と世界経済の成り行きについて、林先生の想像される範囲でご意見を聞かせて下さい。
はい、今後しっかりとブログの本文でフォローしていきます。
おちょこちょいのななしさんへの返事でも申し上げましたが、アメリカ国債を資産運用の中心に据える超安全運用に、全くゆらぎはありません。
トランプが4年大統領をやろうが8年やろうが、米国債の本質的安全性に変化などありません。米国債の金利上昇については、今後さらに本文の中で私の見解をお示しします。
トサカさんへ
>米国と英国が音頭をとってすすめてきた、グローバリゼーション、超資本主義の巻き戻しであると理解します。両者はおよそ世界を席巻し、その恩恵を広くもたらすとともに、多くの後遺症を残しました。
多くの識者の見解もその点にあるようですね。私もそれを否定しません。ただ忘れてならないのは、どこの国も国民も、そのおかげでこれほどの繁栄を享受してきたことです。だからと言ってそのことで満足はしないでしょうが。
私はそうした不満を持つ側にも人間の貪欲さを感じます。強欲資本主義で直接メリットを受ける推進側ももちろんですが・・・
>今回の大統領選がなんらかのアクシデントではなく、いずれ訪れる潮目の変化であったと理解するべきであることは、先のイギリスのEU脱退も同様の理屈によって説明可能であることからも妥当でしょう。過去の延長、集積した知見からの演繹で未来を見通すほかに無いのですから、林さんの分析と見通しは至極まっとうであったと思います。そうした至極まっとうな理屈が裏切られるような事態(潮目の変化)が起きていることこそ、今回私達がまず確認すべきことではないでしょうか。
そのとおりでしょうね。
私はそれらの現象を一つの「地政学上のリスク」ととらえ、講演会の内容にあるように、「同時多発ポピュリズム現象」と表現しました。ただしトランプを除外していましたが(笑)
シーサイド親父さんへ
小黒一正氏の新著 「預金封鎖に備えよ、マイナス金利の先にある危機」の紹介とレビュー、ありがとうございます。相変わらず新刊への即時対応はすごいですね!
ところで、レビューの文章をどこに投稿されたのですか?
審査するのは誰ですか?
もう一つ、「日本国債が暴落する日は来るのか?」の紹介もありがとうございます。
遂に榊原氏も現実に目覚めたのでしょうか。それとも本音を出したのでしょうか。
彼は財務省退官後も政府に近いところにいたり、様々な諮問委員会にお声がかかるあいだは、言いたいこともいえなかったのかもしれませんね。
諮問委員会は、ヨイショデない声こそ大事なのに、そうした方々は決して委員には選ばれません。いつも大政翼賛会によるアリバイ作りに終わります。去年の年末、増税先延ばしの時に、海外から権威と言われる先生方を大勢招いたのも、まさにアリバイ作りでした。
さらにもうひとつ
>萱野稔人さんが著書「成長なき時代のナショナリズム」のなかで、日本におけるナショナリズムの台頭の原因は外国人嫌いや排外主義でなく日本社会における「パイの縮小」に対する危機感であると核心を突いています。
今回のトランプショックの原因の一つにもなっているような気がします。
これまたそのとおりでしょうね。
日本の場合、それに加えて中国の進出がさらに迫ってくると、右旋回が強くなるかもしれません。
もっともそこまで果たして国民、それも特に若者に旋回させるだけの政治的エネルギーがあるかはかなり疑問ですが。
>女性が社会で台頭する時代は、みなは食糧を分かち合い平和が長く続く、それを”雌時”、逆にパイが少なくなると男が奪い合い戦争が増える、それを”雄時”と言うと聞いたことがあります。
面白い見方ですね。
平和主義者の私としては、雌時の時代に生きていたいですが、昨今の政権のやり口は自ら雄時を宣言して危険な道を歩んでいるように見えます。
以上ですが、今回返事をつけることができなかった方々を含め、みなさん、コメントどうもありがとうございました。今後も活発に議論していきましょう。
なお、「アメリカはトランプで大丈夫か」については、さらにシリーズでしっかりと書いていくようにします。