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米国債のデフォルト騒ぎ、その4

2013年10月17日 | ニュース・コメント
 腰痛になっていました。すみませんこんな大事な時期にご無沙汰して。ゴルフで腰痛になったことはなかったのですが、今回は部屋の重いキャビネットを動かし、同時に天井のよごれを取るため1時間もリビングの天井と格闘したのが効いてしまい、ついに腰痛を発症。深刻ではないものの、ゴルフをちょっと自粛します。

 
 さて、チキンゲームは下院共和党ベーナーの負けで終了。そして今後も同じ轍を踏むための先延ばしとなりました。米国債のデフォルトはなかったわけですが、今回の騒動で共和党はだいぶ支持を失ったようです。今後また同じ轍を踏まないようにしないと、共和党有利と言われてきた来年の中間選挙にも影響が出るかもしれません。

 では今回の騒動と私の出版時点、11年8月の同じ騒動をちょっと比較しておきます。教科書をお持ちの方は、146ページを開いてください(笑)。書いてあることをまとめますと、

・デフォルトはもちろんしない

・為替や株式市場の参加者はシロウトを含めて多種多様なので大きく動いている

・債券市場はプロが大半を占める市場のため、動揺していない

・CDSのスプレッドはピクリとだけした


そして結論は「たとえデフォルトしたとしても、それはスリップダウンだ」と書いてあります。

 よくご覧いただけば、この書きっぷりは今回私が書いていることと全く同じです。そして、実際の市場はどうだったか2回を比較しますと、

・株式市場は上下動は結構あったが、11年と今回では振れ幅は半分以下

・債券は11年も今回も微動だにしなかった

・CDSのスプレッドは11年も今回もピクリとだけした


 要するにこうした騒ぎを材料としてはやし立てて何とか動きを作ろうとしてがんばる株式市場だけが動いて、その他は冷静であったということです。特にご本尊の債券市場は微動だにしていません。株式市場の変動幅の縮小は、市場もいくらかは学習効果が働いて賢くはなっている、ということでしょう。

 では格付け会社の動きはどうだったか。11年8月の時は、7月末にS&P社が米国債をAAAからAA+に一段階引き下げました。今回はフィッチレーティングス社がダウングレード・ウォッチに入れました。

 その後S&P社は先ごろ米国債の将来見通しをネガティブから安定的に変更し、今回は反応していません。S&Pは以前にも書きましたが、ダウングレードの決定をした理由の中で、米国財政の赤字見通しを100兆円も過大計上していて、CEOが辞任しています。今回はその反省もあったのかもしれません。

 依然としてチキンゲームが予想される中で今後フィッチがどのように米国債を扱うかが注目されます。

 ということで、残念ながら今回は「デフォルトに乗じて米国債を暴落時点で買う」という逆張りをすることはできませんでした(笑)。

 そして今回もう一つ明らかになったのは、「株式市場でさえ学習していたのに、政治家は全く学習していなかった」ことです。じゃ、次回までに学習するか否かこれも注目です。

  最後に今から申し上げておきますが、「来年初めに次回の騒動があったとしても私の予想は全く変化しません(笑)」

コメント (4)
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