コメント欄で議論の続いている雪風ファンドさんとのやりとりで、債券投資の重要なポイントが出てきました。せっかくですので、債券投資をこれから考える方にもよい勉強になると思いますので、本文で解説させていただきます。
雪風ファンドさんのコメントは
>債券を満期まで持ち切ったときに受け取る金額は、名目では変わるリスクは(ほぼ)無いものの、実質では償還時のマネーの価値次第で変動する。以上の定義づけは、私は正しいと思うのですが、林さんは正しくないとお考えでしょうか?
ハイ、正しくありません(笑)
理由は簡単なことです。それまでにもらった金利を忘れています。ゼロクーポン債を考えればわかります。現在の30年米国債の金利は3.69%です。30年後には複利でちょうど3倍になります。
雪風ファンドさんの議論は、フィクストインカムで一番重要な金利の原理を抜かしている議論です。なのでインフレヘッジにならないと信じ切ってしまうのです。
みなさんにも勉強していただくため、「そもそも」からいきます。
債券金利の決定要素で最重要ポイントは
「将来のインフレ率(期待インフレ率)」です。
将来のインフレ率が高くなると予想されれば、足元のインフレ率が低くても現在の長期金利は上昇してしまう。この半年のアメリカの金利上昇がそれです。低インフレなのに金利が高くなりました。今年1月から9月の平均インフレ率は1.6%です。10年物の金利で見ると年初は1.6-1.8%くらいだった金利が、5月以降上昇し始め、2.6-2.8%くらいで推移しています。
フィクストインカムは原理的にインフレヘッジができていて、それにプラスアルファがついてくれば万歳という商品なのです。私の著書には長期間で債券、株(S&P500)、そして金などの投資結果を比較した表がP.256にあります。それをよくみてください。インフレの数値は比較していませんが、債券でもインフレには簡単に勝っているのです。
例えば、2000年代の10年間のアメリカのインフレ率は約2%です。米国10年債の平均金利は4%で推移し、インフレ率を平均的に2%上回っていました。
次にこれからの債券投資を考えます。
30年債の現在の金利は3.69%です。インフレ率がその金利レベルを将来に渡り上回り続けることはありえないでしょう。インフレはそれよりずっと低くなったままかもしれません。
ドイツは昔から2%を上回ると警戒警報が発令されますが、アメリカも警戒をおこたらないので3.7%が2年も続くことはFRBが許しません。ときどきインフレが3-4%になったとしてもあとは2%前後なら、元本が3倍になるので簡単にはインフレに負けません。
株には価格の保証もないし、倒産が増えれば分散投資をしていても大負けすることがありえます。アメリカ政府より安全な投資先がたくさんあればよいのですが、というより、現在の株価を必ず上回る株がいくつかあればよいのですが、私にはそれはみつけられないので株式投資はしません。
以上、フィクストインカムの実力をご理解いただけましたでしょうか。著書のP.256にある投資結果の比較表を是非頭に入れていただき、今後の投資を考えてみてください。
雪風ファンドさんのコメントは
>債券を満期まで持ち切ったときに受け取る金額は、名目では変わるリスクは(ほぼ)無いものの、実質では償還時のマネーの価値次第で変動する。以上の定義づけは、私は正しいと思うのですが、林さんは正しくないとお考えでしょうか?
ハイ、正しくありません(笑)
理由は簡単なことです。それまでにもらった金利を忘れています。ゼロクーポン債を考えればわかります。現在の30年米国債の金利は3.69%です。30年後には複利でちょうど3倍になります。
雪風ファンドさんの議論は、フィクストインカムで一番重要な金利の原理を抜かしている議論です。なのでインフレヘッジにならないと信じ切ってしまうのです。
みなさんにも勉強していただくため、「そもそも」からいきます。
債券金利の決定要素で最重要ポイントは
「将来のインフレ率(期待インフレ率)」です。
将来のインフレ率が高くなると予想されれば、足元のインフレ率が低くても現在の長期金利は上昇してしまう。この半年のアメリカの金利上昇がそれです。低インフレなのに金利が高くなりました。今年1月から9月の平均インフレ率は1.6%です。10年物の金利で見ると年初は1.6-1.8%くらいだった金利が、5月以降上昇し始め、2.6-2.8%くらいで推移しています。
フィクストインカムは原理的にインフレヘッジができていて、それにプラスアルファがついてくれば万歳という商品なのです。私の著書には長期間で債券、株(S&P500)、そして金などの投資結果を比較した表がP.256にあります。それをよくみてください。インフレの数値は比較していませんが、債券でもインフレには簡単に勝っているのです。
例えば、2000年代の10年間のアメリカのインフレ率は約2%です。米国10年債の平均金利は4%で推移し、インフレ率を平均的に2%上回っていました。
次にこれからの債券投資を考えます。
30年債の現在の金利は3.69%です。インフレ率がその金利レベルを将来に渡り上回り続けることはありえないでしょう。インフレはそれよりずっと低くなったままかもしれません。
ドイツは昔から2%を上回ると警戒警報が発令されますが、アメリカも警戒をおこたらないので3.7%が2年も続くことはFRBが許しません。ときどきインフレが3-4%になったとしてもあとは2%前後なら、元本が3倍になるので簡単にはインフレに負けません。
株には価格の保証もないし、倒産が増えれば分散投資をしていても大負けすることがありえます。アメリカ政府より安全な投資先がたくさんあればよいのですが、というより、現在の株価を必ず上回る株がいくつかあればよいのですが、私にはそれはみつけられないので株式投資はしません。
以上、フィクストインカムの実力をご理解いただけましたでしょうか。著書のP.256にある投資結果の比較表を是非頭に入れていただき、今後の投資を考えてみてください。