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アメリカのデフォルト騒ぎをどう見るか

2013年10月04日 | ニュース・コメント
ななしさんと秋生さんへの回答です。

ななしさん、お久しぶりです。
賢いお母様の賢い運用方法こそ、普遍の真理に通じるかもしれませんよ。その血を受け継ぎ、数字に強いななしさん、向かうとこ敵なしじゃないですか。

テール・リスク、今の米国債デフォルト騒ぎがちょうど「まさかのテール・リスク」のように見えますね。

日本の重税リスクに対して、何をもってヘッジするか?

円資産のリスクはドル資産でヘッジできますが、重税に対しては移住以外に手立てなしでしょう。最近私の友人夫婦がリタイア早々、突然マレーシアに移住しました。移住は本当なら高い円を上手く使えたら一番いいのでしょうね。

さて、ななしさんの質問にあったCDSですが、以下のサイトで見ることができます。

http://www.markit.com/en/about/news/commentary/cds/cds.page

markitという金融情報会社のサイトです。英語ですが、国名と数字だけなので、見るのに困難はないと思います。

最近の動きを見ますと、米国のCDS5年物は、9月20日ころまで落ち着いていて22bp(日本60)だったのが、9月27日に31(日本61)と上昇、10月2日に35(63)になりました。

日本がプラス3なのに対して、プラス15ですから、デフォルト騒ぎに一応敬意を表しているというところです。しかし、本当にデフォルトが近付くと数百bpにもなりますので、いまだ「ピクリ」とした程度と言ってよいでしょう。
(注)CDSはデフォルトに対して掛ける保険で、料率の35bpとは年率0.35%を払えば、倒産の時は損失分の保険金を払います、というもの。プロ同士の相対取引です。

しかし一方肝心の米国債の金利ですが、11年8月同様、ピクリともしていません。きのうのNYで、10年物の金利は前週から引き続き2.6%台です。

ではこの先をどう見るのか。秋生さんのご質問にも回答させていただきます。

私は今の騒ぎの本質は、11年8月の初めての騒ぎと同じだと見ています。その時、S&Pだけがあわてて格付けを下げましたが、最近になり先行きの見通しをネガティブから安定的に変更しました。そのせいか、またデフォルトが近付いたようです(笑)。なんだか彼らはいつも逆を行っていますね。

「人の行く、表に道ありS&P」

では何故私がいつも楽観的に見ているのか?

別に「米国債を買え」と言っちゃったからではありません(笑)。安全だから「米国債を買え」なのです。

11年8月出版の著書に書いたのは、
「デフォルトなんかしっこない。たとえしてもそれはスリップダウンだ」

つまりダウンはカウントなどされないスリップしたダウンだということで、その見解は今も全く同じです。

日本の報道は特に面白おかしく書きたてます。今日メールをいただいた方からは、「産経新聞を読むとリーマン以上の世界恐慌になるぞと書いてある」そうです。NYタイムズには共和党の反対派急先鋒の議員10人程度の顔写真入りで、「このバカ騒ぎをいいかげんにヤメロ」と書いてあります。

本質的に政争であって、経済・金融問題ではありません。

ですので心配いりません。
コメント (5)
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