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2013年からの資産運用 その24、 日本の不動産市場の動向

2013年04月19日 | 2013年からの資産運用

  ここまでの不動産投資のお話はJREIT の話からスタートし、米国REITの話を差し上げました。

  今回から、日本の不動産についてアベノミクス下で私がどのような相場観を持っているか、みなさんにお伝えしていきたいと思います。私は不動産の専門家ではありません。しかし不動産については昔から大いに関心を持ち、話をするのは大好きです。不動産は経済を映す鏡という側面があり、不動産の相場観を持つことは、資産運用を語るのに不可欠の要素だと思っています。

  日本では不動産価格は毎年政府おしきせの「公示地価」として土地の値段のみ発表されますが、インデックス化されていないため不動産市況全体を俯瞰することができません。ぜいぜい特定地点で去年よりなんぼ上がったか下がったか程度の情報しか得られません。しかも売買がない場合の方が多いため、信憑性に欠けます。また調査時点と公表時点に差があるためかなりの役立たずです。

  それにもまして私が一番不満なのは、日本は建物の価値に対して鈍感なため、住宅でもオフィスでも、建物を含めた不動産価格を評価する指標がないことです。とても先進国とは言い難いのが日本の不動産業界の実態です。

  アメリカには例えば「ケース・シラー住宅指数」などのように建物を含めた価格の信頼できる指数があり、地域別の数値や集合住宅か戸建てかなどの区別もでき、価格動向を的確に把握することが可能です。

  日本は政府も不動産業界も、そして証券会社の不動産アナリストも、こうした投資環境の整備を進めないと、私ごときにバカにされつづけます(笑)。

  その点、JREITのインデックスは少し役に立ちます。もちろんこれは不動産そのものの市況ではありません。そして、日本の場合はほとんど都市限定で、オフィスRIETに偏った市況を表すものではありますが、タイムリーな情報だし、土地だけの評価ではなく建物の価値も含み、しかもインデックスですから俯瞰しやすさもあります。他の指標より優れた点は確実にあるのです。みなさんも是非日本の不動産市況を見る時は、大いに参考にしてください。

  もう一つ私が常に注目している不動産に関わる指標があります。ゴルフ会員権相場です。最近、またぞろ日経新聞などで「アベノミクスでゴルフ会員権相場が上昇」とはやしたて始めました。
  不動産市況を先読みするには、このゴルフ会員権相場にも注目してください。不動産より流動性が高く、しかもインデックス的に価格が表示されるので、資産バブルの目安にはもってこいなのです。会員権は不動産より不要不急のぜいたく品ですから、価格の上下動が激しくなりがちで動きが目立つため、モニターとしてもってこいなのです。

  日本の不動産は80年代の「大バブル」が90年代に崩壊し、元の黙阿弥以下になりました。でもその時代はJREITがなかったため、市況をしっかりと追うことができません。

  その後一部の大都市だけ00年代のREITブームの中で「中バブル」を経験し、リーマンショックとともにそれが崩壊しました。

では、今後アベノミクス下ではどうなるのか。

つづく
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