ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

新刊「投資は米国債が一番」幻冬舎刊
「証券会社が売りたがらない米国債を買え」ダイヤモンド社刊
電子版も販売中

2013年からの資産運用 その23、 アメリカのREITについて

2013年04月15日 | 2013年からの資産運用

REITのお話しに戻ります。

前回までのお話をおさらいしますと、

1. アメリカのREITは長い目で見ると、かなりよいパフォーマンスを示してきた
2. 長期では依然として右肩上がりのトレンドにある
3. 様々な分野にそれぞれREITがあり、市場は非常に分散が効いている
4. 現在の配当利回りは、対米国債スプレッドで2%を切っていてオイシイとは言えない
5. 円のリスクヘッジを目的とするなら、買えないことはない


ただし、このところの米国REIT市場は非常に勢いがあり、かなりの速度で上昇しています。そのことは前回まで利回りの低下、対国債スプレッドの低下という話で申し上げたとおりですので、投資タイミングは要注意です。

アメリカのREITをどうしたら買えるか、方法をお伝えするのが今回のお話です。

おさらいの3.で書きましたが、アメリカのREITは分野が非常に分散しています。日本のようにオフィスビルに偏ってはいません。英語の得意な方であれば、ネット上に様々な分析がありますので、それから探すということは不可能ではありません。しかし私はみなさんが個別銘柄を探すことをお薦めしません。
多くの分野のREITがあるため、分野そのものを選択するのも困難ですし、ましてやその中から一つのREIT銘柄を選択するのはもっと困難です。

ではどうしたらよいか?

 みなさんが日本から米国のREITに投資するには、日本で販売されている投資信託を選びましょう。円で購入できますし、なじみの証券会社などで簡単に注文できるからです。

その場合、ご承知だと思いますが、購入時の手数料と毎年の信託報酬はかなり取られます。およそですが、購入時には3-4%、毎年は1.5%前後です。従ってETFなどと違い、短期の投資には向いていません。あくまで長期の投資目的に限定して考えてください。
しかもほとんどの商品が私の嫌いな『毎月配当型』です。たいてい再投資型との選択肢があると思いますので、ご自分のニーズに合わせ、配当を選ぶか再投資を選んでください。
 私が何故高配当投信を嫌うのか?

それは、価格変動より毎月の配当の大きさに目がくらみ、儲かっているか否かがわからなくなるからです。特に高齢者で年金世代の方であればあるほど高配当に目がくらみます。投信価格は株と同じで、「配当すれば、価格はその分低下」します。配当落ちです。そしてほとんどの毎月配当型投信の価格は設定時の1万円を大きく割り込んでいます。自分で自分の足を喰う「タコ足配当」をしているからです。
配当の累計と価格変動をしっかりとみずから計算していないと、本当に儲かっているのかどうか、わからなくなります。

そうした毎月配当型投信の問題を解決するには、「1万円を上回った分だけ配当可能とする」というルールを設定すれば簡単に防げるのですが、業界は絶対にやろうとしません。安定配当が必要だとか御託をならべますが、実はごまかしがきかなくなるからです。あー、またこのことを繰り返してしまいました。

さて本筋に戻ります。

円資産のリスクをヘッジする目的でアメリカのREITに投資するなら、言うまでもありませんが「為替ヘッジなし」を選択しましょう。
商品の選択肢は驚くほどたくさんありますが、ほとんどの米国REIT投信は分野を十分分散しています。1例を上げますと、以下のような分散になっています。

モール型商業施設 16%、集合住宅 13%、医療施設12%、ショッピングセンター11%、オフィス 9%、ホテル・リゾート7%、産業施設 6%、個人用倉庫 6%、・・・・

アメリカのREIT全体の構成比は上記とは一致しませんが、およそこんなイメージで分散しています。日本のリートが5割程度オフィスに偏っていて、バブルを起こしやすい体質であることが一目遼然でわかると思います。

実際に投資する場合、の注意点をまとめますと以下のとおりです。

1.十分な分散投資が行われているか。一応各投信の目論見書などで分散がされているかチェックしましょう。

2.米国REITのインデックスに連動する投信である必要は必ずしもないが、インデックスに沿った動きのもの、できれば長期でインデックスを凌駕する実績をあげているものが好ましいと思います。

3.運用を誰がやっているのか。米国籍のREIT専門投資アドバイザーが運用していれば、比較的安心です。


投信の一般的評価については、何度か紹介している「モーニング・スター社」の評価を見ることをお薦めします。米国籍のリサーチ会社で、信用のおける会社ですし、日本語でみることができます。URLは以下のとおりです。海外REITの評価もみることができます。

http://www.morningstar.co.jp/fund/

投信→国際REIT と見て行けば、様々な角度からのランキングなどを見ることができます。

米国REITのお話を続けてきましたが、これでおよそのお話は終わります。

じゃ、アメリカ以外のREITはどうか?

私はお薦めしません。理由は

1. 市場規模が小さく、流動性に乏しい
2. 米ドル以外は為替リスクが大きい
3. 不動産市場の情報を証券会社以外から得るのが難しく、公正な評価が難しい


こうしたことから、海外のREITではアメリカのREITが唯一のおすすめです。

(ご注意)私のブログの方針として、投信などをお薦めする場合、個別銘柄をお薦めはしないようにしています。それはブログの中立性を保ちたいからです。そんな影響力はありませんけどね(笑)。米国債などをお薦めするのは、特定の証券会社や商品に肩入れするわけではありませんので問題はないと思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする