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2013年からの資産運用 その22、 アメリカのREITについて

2013年04月04日 | 2013年からの資産運用

前回はアメリカのREITの特徴と長期のパフォーマンスがとてもよいというお話を差し上げました。

  今回はそのパフォーマンスをグラフで確認し、

「じゃ、いま買えるか」


について私の考え方を述べることにします。
 
 アメリカのREITの「予想配当利回り」は現在3.6%前後まで低下しています。この数値はアメリカのREIT市場全体をカバーする指数と予想配当の比率を計算したもので、英語版ですがみなさんも以下のサイトでみることができます。

http://www.bloomberg.com/quote/NRDYEQTY:IND

 もう一つ、REITの利回りとREITの指数の長期的関係をみることのできるサイトがありますので、紹介します。

http://www.vectorgrader.com/indicators/reit-dividend-yield

 グラフは上段がREITの配当利回り下段がREITの指数そのもので、きれいな逆相関になっています。つまりREITの価格指数が高いと配当利回りは低下し、価格指数が低いと高利回りになっている。株で言えばPERと株価の関係に似ています。
 このグラフは長期なので数値はCURRENTとありますが毎日アップデートされているわけではありませんので、注意してください。先ほどのブルームバーグの数値は現時点の数値で、毎日アップデートされます。
 
  前回の記事で私が「ざっくり見るとプラスのリターンを7-10年続け、その後マイナスのリターンが1-2年あるという繰り返し」と書いたのが、下段の指数グラフから長期では右肩上がりであることが見てとれます。

  上段のグラフは配当利回りですが、グラフの中に、「median(中央値)8.03%」とあります。グラフの期間の真ん中の数値という意味です。何故「平均値」でなく「中間値」を出しているのかわかりませんが、グラフを見る限りかなり平均値に近いと見えます。

  グラフの左半分の73年くらいから93年くらいまでの20年平均は9%強(緑線)くらいであるのに対して、グラフの右半分の93年から13年の20年くらいを見ると平均値は6%強(赤線)になっています。配当率が93年くらいを境に低下したことを示していることが読みとれます。

  アメリカのREITの配当が7%台と言われますが、70年代はじめから全期間を通じての平均値なので、緑と赤の平均とちょうど符合します。

  指数は75年をボトムに、きれいな上昇傾向を描き、例外は08年から09年にかけてのリーマンショックだけです。平均値が6%としても12年後には複利で2倍になる勘定です。

  しかし現在の配当利回りは3.6%程度、すぐ買えるという決断はしづらい数字です。

つづく
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