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2013年からの資産運用 特別編 ななしさんへの回答

2013年04月08日 | 2013年からの資産運用
ななしさんへ

  いつもたくさんのご質問、ありがとうございます。いやみじゃないですよ、ご安心を。

  前にも申し上げた通り、ななしさんのご質問はみなさんも聞きたいポイントをずばり突いているのだと思いますので、できるかぎり私の考えをお知らせしたいと思います。

順番にいきます。

>米著名投資家のジョージ・ソロス氏は米CNBCのインタビューに対し、「日本が行っていることは非常に危険だ」と発言。 「もし円が下がり始めて、日本の人々がお金を海外に移したいと考えれば、円は雪崩のように下落するかもしれない」と、制御不能な資本流出に懸念を示した

  これはななしさんの質問ではありませんが、重要なことだとおもいますので、私のコメントを書きます。

  以前から一貫して申し上げているとおり、私は基本的には彼の考え方と同じです。いつかその日が来る。そしてこれまで引き金は以下の二つを想定していました。

① 経常赤字からの円安→資本逃避→財政破綻
② 財政破綻から資本逃避→円安

こうしたことが2015年プラスマイナス1-2年どちらかの原因により進行するか、あるいは同時進行する可能性が高い、ともうしあげてきました。

現状はこの見通しが

「アベノミクス・黒田インパクトにより加速させられる可能性が出てきた」
という認識です。

  昨年末あたりでは、ななしさんからの質問「円安スイッチはいっちゃったのかな?」に対して「いまの円安は、雪崩をうつところまで行っていない」。円売りヘッジをしている外人買いによる株高との同時進行で、外人の株の投資家が巻き戻すときは円高に巻き戻される可能性がある、と申し上げてきました。

  ところが先週の黒田インパクトからの株高・円安進行はそうした見通しを凌駕しているかもしれません。

  外人は巻き戻すどころか黒田インパクトで株買いを強め、日本人が一緒についてきているのを見て一層買う。そして円安ヘッジのためにさらに円を売りヘッジしている。以前取り上げたアメリカで売れている「円安ヘッジ付きドル建ての日本株ETF」がさらに売れているという報道もありました。

  そして肝心の日本人は株を買うだけでなく円安を見て外貨資産にも積極投資を開始した。これは日本人の資本逃避ではないと思いますが、円安に拍車を掛けます。

  ソロスの警鐘は、「この円安が日本人の外貨資産投資に火を点けると、そのまま資本逃避にまで繋がってしまう恐れがある」というもので、私も同感です。

 資本逃避でなく外貨資産への積極投資であっても「円安スイッチが入る」ということがありうるかもしれません。


>①また大地震が起き、燃料棒がむき出し、制御不可能。
 ②北朝鮮がミサイル発射しちゃった
 こうした場合、為替の行方はどうなるんですか?


わかりません。

  こうしたイベントに私はどう対処するかといいますと、「しょせん往復運動だ」と考えることにしています。どちらに振れてもまた戻る。

>③自分の金融資産に対してトータルで何割の外貨を持てばよいのかわかりません。また同じ外貨を持つにしたって、日本の金融庁の傘下である国内の金融の銀行や証券会社で持つのか、海外のグローバルな金融機関に海外にわざわざ出かけて行ってでも口座を作ったほうがよいのか

簡単な方から。国内での外貨預金は預金保険の対象ではないため、銀行の破たんでは円預金のリスク以上のリスクを抱えます。

海外での口座開設は、安心できる銀行を選択すること。そして開設手続きだけでなく、その後のメンテナンスも手間暇がかかります。私のところには昨年だけで「海外口座のオカネを動かさずにいたら、口座を凍結されてしまった。どうしたらよいか」という問い合わせが3件ありました。ご注意を!

MMFや外債での保有は投資対象が証券なので、国内金融機関の破綻に影響はうけず証券会社の破綻からもまぬがれます。

>あと、いつか、金融資産別の理想のポートフォリオを提示していただければ有難いです・・例えばこんなカテゴリーで、④日本在住組の
金融資産のみで三千万・・・


  私の考え方は著書や前回のシリーズの中の「ポートフォリオをどう組むか」で申し上げているとおり、給料や年金を円建てでもらう人は、将来もらえる額を金融資産にプラスして考えるとかなり円に偏ったポートフォリオになるので、「金融資産はほとんどを外貨建てにすべきだ」という極端な考え方です。金融資産しかないとしてもあまりかわりません。将来円で使う額を想定して、その他は外貨で持った方が安全という考え方です。

  これまでこうした超安全策を薦める私のアドバイスに従った方で、損したという方は聞きません。為替が超円高に向けて進行しつつあったときでも長期では「金利は為替に勝てる」からです。そして超安全な投資対象しかお薦めしませんから、相場で負けることもありません。

  ちまたのFPさんのように、通貨は何で、株と債券と不動産は何割ずつ、などというポートフォリオを組んでも、これまでは一貫して成績は悪かったし、逆に今は何に投資しても成績はすべて絶好調(笑)

>「金融資産別の理想のポートフォリオ」・・・これがあれば私にも是非教えてください、おねがいします(笑)
コメント (8)
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