岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

 御祝(ごいわい)

2023-11-14 14:05:52 | いなか暮し

  今年、わが里では柿が大豊作、渋抜きしたり干し柿にしたところで到底食べきれる量ではない。この秋はクマの出没が大きな話題、持て余す柿に里山に近い家では柿をもぎ取ったり枝を切り落としたりしてクマに目を付けられないようにしている。
 24節気 大雪 次侯 熊穴に籠る(くまあなにこもる)新暦では12/11~12/15ころというから各地のクマ騒動はまだ続きそう・・。

 花巻地方ではめでたい席では「御祝」、不幸があれば「お念仏」、山の神、庚申・・等の講は集まった人たちで御詠歌を唱える。長く続く習慣だが、昨今は音頭をとれるお年寄りも少なくなり省略されることが多くなりコロナ禍も加わって絶滅寸前の習慣ともなっている。かって大切に伝承されたものを順次紹介したいと思う。

 「御祝(ごいわい)」
 慶長5年、今から430年ほど前、和賀城を攻略した南部藩のお祝いの席上、お国自慢を唄ったのが御祝の始まりとされ南部藩内では広く唄われたらしい。
 ご祝は繁ければ お坪の松はそよめく
  お祝いの宴がたけなわになったので坪前(庭園)の松もお祝いするようにそよめく。
 上り舟に花が咲く 下り舟に実がなる
  当時の北上川は物資を運ぶ唯一の輸送路だった。南部の国は産物の多いことを自慢に歌った。
  花巻地方はここで「御祝」は終わる。一部では宴席のお酌さん方が紋付を着て ご祝に合わせて舞うという地もある。 
  短い歌詞をゆっくりゆっくり唄うので初めての人には歌詞はどのへんか、ほとんどわからない、それでも15~20分はかかるから、その間の正座はつらい。
 まるき銭は数知れぬ 黄金の倉は九つ
  まるき銭とは穴のあいた銭を紐で連ねたもの、南部の国は金の産地で金が沢山あることを歌った。
 雫石は名所どころ 野菊の花は二度咲く
  南部の国は美人の多いことを自慢したもので雫石のお菊という美女は二度目(再婚?)には殿様の奥方となり花を咲かせたと伝えられる。
 おゆる、おゆるとお控えなされ 大沢川原に舟がつくまで
  輸送機関の発達しない当時、舟が目的地に着くのは大変めでたいことであった、ゆっくりとお控えください、大沢川原(盛岡)に舟が到着するまで。
 テテボ鳥は山鳩によく似た・・ 以下不明
  鳩は礼儀の正しい鳥であることを歌ったと思われる。
 お立ちをば忘れて お酌にまぎれて今立つ
  立つ時刻も忘れてお酌にまぎれて 今立つ。

     ー昭和年代発行の花巻老人クラブ(だと思う)の古い印刷物の中から見つけた資料からー

 

コメント
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