世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

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首都とは思えないのんびりさの漂うハノイですが、道路横断には勇気がいります(ベトナム)

2016-09-04 08:00:00 | 世界の町並み
 福岡からは東京より近くにあり、海の恵みが豊かな町が韓国の釜山でした。この釜山と姉妹都市になっているのが、ベトナムの首都のハノイです。首都といっても、ホーチミンと比べて、どことなくのんびりとした雰囲気が漂う街ですが、信号の無い交差点をオートバイの大群をかき分けて横断する時ばかりは、のんびりとはできません。今回は、このハノイの旧市街を中心に紹介します。

 ハノイは、南北に長いベトナムの北の端に近くにある首都です。かつての南ベトナムの首都のサイゴンだったホーチミンと比較して、人口はやや少ないだけですが、人口密度では1/2程度であるせいか、どことなくのんびりしています。ベトナムの南端に近いホーチミンとは緯度で10度ほども違う(日本では鹿児島と青森ほどの差)ので、気候も随分と違うようです。

 
 
 
 ベトナムは、旧宗主国のフランスの雰囲気が漂う国で、フランス以外でもっともフランスパンがおいしい国だともいわれています。ハノイにはフレンチ・コロニアル風の建物が沢山残されており、これらの建物は、なぜか黄土色に近い真黄に塗られています。ベトナム歴史博物館も宮殿風の黄土色の建物で、設計者はフランス人だそうです。この黄土色は南仏の建物を模したもので、南にある建物は黄色といった意識のためだそうです。ただ、すべてが黄土色かというと、オペラハウスは、アイボリーに薄い黄色、それに金色の縁取りで、雰囲気が随分と違います。

 
 ハノイの観光の目玉は、ホーチミン廟で、ギリシャ神殿風の15m立方の巨大な建物です。この中に、永久保存されたホーチミンの遺体が安置されています。写真は勿論、話すことも、腕を組むことも禁止で、なんとも窮屈な環境ですが延々と入館待ちの行列が続いています。世界で唯一、アメリカ帝国主義に勝利した、偉大な英雄は、死後も人気が絶大です。
 ホーチミン廟は市街地の中心から外れた西側ですが、周辺には、お寺や緑豊かな公園があります。その公園の中にホーチミンが生前に使っていた建物に遺品が陳列されています。また、隣接して記念館も作られています。

 
  
 お寺というには、お堂が一つ、それも5m四方ほどのものが一本の柱の上に乗っているだけのお寺が一柱寺です。四角の池の中に、直径2mほどの丸柱が建っていて、その上にお堂が危なげに乗っています。お参りをするのも、細くて手すりも低い階段を上り下りですれ違うのは、かなり怖いのですが、こちらもお参り待ちの行列です。

 
 
 
  一方、大きなお寺(厳密にはお寺ではなく、孔子廟)は文廟で、広大な境内には、水連の咲く池や、お堂が並んでいます。途中の中庭の回廊には、石碑をしょった亀の像がずらりと並んでいます。中国に行くとよく見る光景です。お堂には、巨大な孔子像がデンと座っていて、門から中は中国です。
 町並みに飲み込まれそうなハーダ寺院もなかなか趣があります。

 
 元の宗主国の影響で建てられたと思われる、ハノイ大聖堂はベトナムに居ることを忘れるくらいのネオゴシックの建物です。19世紀から20世紀初頭にかけて、石造りで建てられ、パリのノートルダムを思わせる二つの尖塔を持つ堂々たる教会堂です。

 
 
 ハノイで見逃せないのが、水上人形劇で、浅いプールの舞台の中で、人形たちが繰り広げるコミカルな動きは、筋書きがきが解らなくても楽しめます。この人形劇場の近くにある、ホアンキエム湖は、市街地の中心地にあって、市民ンお憩いの場所になっているようです。いろいろな伝説があり、伝説の主の亀が出現した場所には亀塔がポツンと建っています。

 ハノイの道路には、ほとんど交通信号機が無くて、車も人もクロスする相手車両を縫って通り抜けています。けして、交通量が少ないわけではなく、道路の横断には、かなりの決断がいります。しかし、土地の人は、老人も含めて、悠然と横断してゆきます。どうも、この悠然が良いらしく、ゆっくりと歩いて横断すると、相手の車は横断者の位置の予測ができ、避けて走れるようです。走ってしまうと、これが難しくて、事故につながるとか。ところで、この交通信号機は、交通量を測るセンサの入力を元に、最も車がスムーズに流れるように、コンピュータにより複数の信号機を総合的に制御されています。青や赤の時間の長さや、隣の交差点との連動など、シミュレーションなどに基づく実験式によって決めているようです。けれど、交通信号機が無いベトナムのほうが、ある種の理想かもしれません。