世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

人口6万人ほどの小さな都市に2つの世界遺産があるのがヴァイマールです(ドイツ)

2013-08-18 08:00:00 | 世界遺産
 都会の喧騒から離れて、質素な生活を送ったシトー会が立てた修道院が、フォントネー修道院でした。建物は、華美な装飾がなく、宗教活動にに必要な機能がシンプルに具現化されているように感じます。機能的な建築と言えば、20世紀初頭にドイツで設立された学校であるバウハウスが、合理主義的、機能主義的な様式を掲げ、その後の建築様式に大きな影響を与えました。バウハウスの学校は、当初ヴァイマールで開校され、その後はデッサウに移転し、その両方の関連施設が世界遺産に登録されています。今回は、ワイマールのもう一つの世界遺産である古典主義の都の面からもヴァイマールを紹介します。

 ヴァイマールは、ベルリンの南西150km、ドイツ中央部のやや東より、チェコが西に張り出してドイツに食い込んでくびれている角の北西あたりに位置しています。かつては、東ドイツの南西端の都市だったようですが、北ドイツで感じた「かつては東欧圏}という、雰囲気は受けませんでした。鉄道駅は、旧市街の南に位置をしていて、駅から旧市街までは歩いてもいける程度の距離です。バスで行くと時間は短縮できますが、途中の川沿いの道は、小さな滝などもあって往路か復路のどちらかを散歩すると気持ちのいいものです。


 
 ヴァイマールは、20世紀初頭までは、ザクセンの首都として栄え、バッハも宮廷音楽家として活躍した町です。そのバッハと入れ替わるようにして生まれたゲーテの活躍の場もヴァイマールで、旧市街の中心部に晩年を過ごした旧宅が残されています。同時代にヴァイマールで活躍をしたシラーの家もその近くの残されていて、世界遺産「古典主義の都ヴァイマール」として登録されています。ヴァイマール憲章が採択された国民劇場の前には、ゲーテとシラーとが並んで立つ像が建っています。


 
 その像の目線の先にあるのが、バウハウスの博物館で、かつてのヴァイマールでのバウハウスの拠点となった建物です。ヴァウハウスは、わずか14年間、ヴァイマールでは、わずか6年という短い期間のみ存在した学校ですが、その後の建築デザイン分野に大きな影響を残したと言われています。博物館内には、作品の一部が展示されていますが、余計な装飾をそぎ落としたシンプルなデザインでしたが、博物館としては展示品が少なく物足りなさを感じます。

 
 
 
 
 これらの建物がある旧市街には、グラーナハの家、市の教会、美術館となっているヴァイマール公のお城、それにシュバイツアー記念館などがあります。ただ、シュバイツアー記念館がヴァイマールにある理由が、よくはわかりませんでした。生まれも育ちもドイツのフランス国境のあたりで、ドイツ東部のヴァイマールからは遠いのですが。旧市街の中心部のマルクと広場の周辺は、緑も多く、石造りと思われる建物が並ぶ微妙に曲がりくねった道を散歩するのは気持ちのよいものです。このあたりには、観光用の馬車も走っています。

 シラーと聞くと、ベートーヴェンの第九交響曲を思い起こします。第4楽章の合唱のもとになった歓喜の歌は、シラーの詩を引用であることは、よくしられています。かつて、CDの規格を決めるに当たって、カラヤンが、ベートーヴェンの第九が入る長さにしろ!といったという逸話も有名ですが、当然カラヤンの指揮による第九の長さが基準だったのでしょう。現在では、親指のつめほどのメモリカードに第九が何曲も入ってしまいますが、便利になった反面、芸術に使い捨ての風潮が大きくなってきたのが気になります。