世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

マハラジャは宮殿の中にジャンタル・マンタルと呼ばれる天文観測機器も作ってしまいました(インド)

2013-04-07 08:00:00 | 世界遺産
 中国の中央、黄河中流域の嵩山の麓にある登封は世界の中心だという思想があり、優れた天文の遺跡も残されていました。巨大な日時計は、一年の長さを現在の観測技術と遜色の無い誤差で観測していたようです。中国のお隣のインドのジャンタル・マンタルにも、制度の高い天体観測施設が残され、世界遺産に登録されています。

 
 ジャンタル・マンタルは、インドの北部のジャイプールの郊外にあります。首都のニューデリーから南西に200kmほどで、東に200kmほどのアグラを結ぶ三角形は北部インドの代表的な観光コースのようです。インドでは、地方豪族のマハラジャが現役で存在し、ジャンタル・マンタルはシティ・パレスと呼ばれるマハラジャ宮殿の一角にあります。このシティ・パレスは一部が公開されていて、豪勢な生活ぶりが垣間見られます。

 
 
 
 さて、世界遺産のジャンタル・マンタル天文台ですが、18世紀の初頭に天文学者であったマハラジャがインド各地の5箇所に建てたものの最大のものです。登封の天文台では、巨大な日時計が1基だけでしたが、こちらには観測目的の違う18の観測装置が並んでいます。これらの機器は、少しくぼんだ所に設置されていて、上から眺めると、滑り台がたくさん並んでいるようにも見えます。ただ、滑り台にしては、滑る面が無くって、上に上る階段だけなのですが。現在時刻を知る日時計、星座の観測器、曜日を知ることのできる観測器など、かなり巨大なものが多く、日時計では2秒単位の表示ができるそうです。中国の登封のものに負けず劣らずの精度ではなかったかと思います。

 
 ジャンタル・マンタルのあるシティ・パレスからは、ジャイプールの市街地にある風の宮殿が、遠望できます。風の宮殿はジャイプールというより、北部インドの観光の目玉的な存在のようです。旅行会社のインド旅行パンフレットには、タージマハルと並んで、その写真が取り上げられます。この、風の宮殿というのは、宮殿の女性達が、自分達の姿を見られることなく、宮殿の外を眺められるように作られた建物と言われています。建物というよりは、回廊を窓と装飾のあるパネルで挟んだ、ごくごく薄いもので、回廊の幅は2mほどではないかと思います。暑いインドでも、裏表に窓のあるカイロの部分は、風が通って涼しいのだそうで、名前もこの構造から付けられています。そして、この風の宮殿も、シティ・パレスの一部なのだそうです。

 1時間は、地球の自転を元に決められましたが、不変と思われた自転周期がふらつくことが判り、現在では原子時計を使った時刻が使われています。これを、協定世界時と呼んでいますが、地球の自転がふらつくために、太陽の位置と協定世界時とがずれてきます。これを、補正するのが閏秒で、1秒単位で時計を進めたり遅らせたりします。これまで25回行われましたが、すべて遅らせる、つまり、閏秒を加える捜査がされてきました。この閏秒の処理は、廃止論も強いのですが、廃止に反対する意見もあり、結論は2015年まで先送りをされています。閏秒を止めてしまうと、極端には太陽の位置と、時刻とがずれてしまいますが、閏秒の操作で困ることも多いのだそうです。現代は、コンピュータによってさまざまなことが自動制御されています。コンピュータには時計を持っていますが、この時計を閏秒で補正すると、操作ミスなどによって、システム異常を起こす恐れが大きいのだそうです。航空管制や新幹線の集中管理などで異常が発生すれば、人命に関わるというのが廃止論の理由の一つのようです。閏秒を廃止すると、登封の日時計もジャンタル・マンタルの観測機器も見かけの誤差が増えてしまうでしょうね。