世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

日本一長い廊下の校舎が博物館になっている卯之町

2005-09-25 16:41:17 | 日本の町並み
 町じゅうが博物館になる大阪の平野に対して、小学校の校舎を利用した博物館が2種類もある町が四国にあります。宇和島と松山との間にある愛媛県の卯之町がその町です。
 卯之町と聞いてもあまりなじみの無い地名ですが、JR予讃線の特急「いしづち」や「しおかぜ」も停車する駅を擁する歴史の古い町の一つです。特急が停車するわりにはこじんまりとした町で、漆喰で塗られた妻入りのしっとりした町並みの主だった所へは、歩いても10~20分くらいで回れてしまいます。
 卯之町は、藩医の二宮敬作らがシーボルトに師事した縁で、蘭学への関連も深い町としても特徴があります。脱獄中の高野長英が隠れ住んだ家が残っており、シーボルトの娘のイネも住んでいたことがあるそうです。現在は、時間に取り残され忘れ去られたような町ですが、かつては時代の先端をゆく文化都市であったのかもしれません
 校舎を利用した博物館の一つは、明治時代に立てられ重要文化財にもなっている開明学校の旧校舎を利用した学校博物館です。松本にある旧開智学校とは姉妹校で、洋風のハイカラな校舎です。明治時代などの学校の資料に混じって、ドイツ製の古いグランドピアノが展示されています。この古いピアノは、みんなの募金によって演奏できる状態に蘇らせたそうです。
 もう一方の博物館は、校舎を利用していますが教育とは関係のない米の博物館です。この校舎は木造ですが、さほど古くないようです。変わっているのは、廊下の長さが100mを超えている点です。雨が降っても、廊下と並行する土間で100mの徒競走が可能な長さです。端に立つと、他方の端はかすんでるように見える、というのはオーバーかもしれませんが、とにかく長~い建物です。毎年、この長い廊下の雑巾がけ競争が行われ、廊下の端から端までに雑巾がけをする時間を競うものです。壁に張り出されたチャンピオンの記録を見ると30秒そこそこで駆け抜けるつわものがいるようです。
 この長い廊下の両端で大声を出して会話をしたらどうなるかを計算してみました。音波の速度は約340m/秒ですから、片道でおよそ0.3秒ほどかかります。衛星を使った携帯電話は、どんな山の中でも使えて便利ですが、少し音声の遅延があります。この遅延時間が約0.25秒ですから、ここでの会話は衛星携帯電話を使った通信より遅延が大きいことになります。