くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「妖怪アパートの幽雅な食卓」香月日輪

2010-03-08 06:07:03 | YA・児童書
やっと見つけました……。どこを探してもないんだもん。一時はamazonでも品切れだったよね。今まで借りて読んでいたのに、つい買っちゃった。確か本編を読み終わったときには、「妖怪アパート」を卒業するとかなんとか思ったのに、また読んでるよ。
香月日輪「妖怪アパートの幽雅な食卓 るり子さんのお料理日記」(講談社)です。レシピが読みたかったせいでもありますが。
でも、どうもこれはファンブックであるらしい。料理紹介とるり子さんの日記がセットになっていて、そのほかに夕士の部屋だの長谷の部屋だの千晶先生の部屋だのがイラスト入りで載っているわけです。しかも、るり子さんの「日記」のわりには、本編のあらすじ紹介みたいになってる。だって、るり子さん、おかしいよ。夕士とまるっきり同じ価値観? 夕士が青木先生のことを認めないのは別に仕方ないのかとは思うけど、登場人物全員が全員、同じ見方をしているのではないはず。彼女に心酔する子たちの価値観を否定することはできないでしょう。
でも、るり子さんは全く会ったことのない千晶先生のことを延々と日記に書くのです。不自然だろー!
しかも、秋音ちゃんと、ファンクラブを作ろうと盛り上がっていたって……。
秋音ちゃんも、千晶先生のことは夕士の話でしか知らないんだよね?
伝聞で語られるのに、それにしてはそのことしか語られない。もっとるり子さん自身のエピソードが語られる方がおもしろいのではないか、と。しかも、ラストも十年後踏襲だ。
きっと本文に出てきた宴会での料理とその作り方を知りたいと思う人が多かったんでしょうね。でもさー、特別番外編に載っている黒豆ボーロの作り方も知りたいんだけど。それに、るり子さんは千晶先生の風邪のためのメニューも考えたのでしょう? それに関しての日記はないの? あれほどあれこれ書いていたなら、病床の彼に食べさせるメニューも熟考したのでは。一冊の中で矛盾がないようにしてあるともっといいのにな。
発見だったのは、手だけの幽霊でありながらるり子さんは涙を流すというところですかね。